追放者の帰国記

剣正人

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七話 襲撃

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 レイアを背に庇って、服の中に隠しておいた新型短銃を取り出して撃った。
「いっ!」
 連続した銃声が響く。そして、五人の襲撃者が倒れた。
 早撃ちで発射された五発の弾丸が、前に立ち塞がる襲撃者達の胸部に当たった結果だ。
 今回使用した新型短銃は連射可能である。銃弾も火薬と弾丸、雷管等が一つになった新型銃弾だ。
 しかし、あくまで対人用の武器なので威力は低めであり、急所に当てるか、数発撃ち込むかしないと仕留められない。
 それでも、効果はある。胸をおさえて苦しそうに床に転がっているのだから。
 襲撃者達が想定外の展開に動揺して固まっている間に、短銃を再装填する。
 彼らにして見れば、知らない武器で霊法術師達が数秒で戦闘不能になった。恐怖でしかないだろう。
 再装填を終えて短銃を構えた俺を見た彼らは、平静を取り戻し、逃げの一手に入った。
 だが、易々と逃がすわけにはいかない。俺は逃げようとする男達の背中に弾を撃ち込んでいく。

 はっきり言って、弱かった。もしもの時は躊躇なく封印している力を使う気でいたが、その必要はなく終わった。
 さて、ひと段落ついた所で、死体をどうするか考えよう。
 取り敢えず、空間拡張鞄に入れる事にした。本当は嫌だが、仕方なく入れていく。
「商売道具に死体を入れたくないな」
「そうね。でも、この状況では仕方ないわ」
 嫌々ながら死体を入れ終わり、次に血痕や足跡といった痕跡を消していく。
「こんなもんかな」
「そうね」
 ある程度の痕跡を消した後、やっと宿に帰ってきた。

 今日は疲れた。早めに寝ようとしていたら、レイアから話があると言われた。
「どうかした?」
 何の用事か分からなかったので、単刀直入に聞いてみた。
「これが届いたの」
 レイアが木箱を持ち上げて机に乗せた。かなり重いのか机が悲鳴をあげた。
「これは、もしかして!」
 心当たりがあった俺は箱を開封する。そこにあるのは、片刃の大剣だ。
「良い」
「そう?」
 レイアには引かれているが、新型の武器と言うのは憧れがあるのだ。気分が上がる。
 箱から取り出して、大剣を構えてみる。思ったよりは軽いな。
 この大剣は闘気武装で、闘気を吸収して切れ味、耐久性、対法術性を持つ。簡単に言えば闘気で何でも切れる大剣だ。
 全身鎧の闘気武装は闘気を吸収して防御力を上げ、対法術性も備わっている。簡単に言えばとても硬い全身鎧だ。
 この全身鎧と大剣の組み合わせで闘気武装は構成されている。今までは鎧のみだったが、剣が届いた事でついに完成体となった。
「急いで送ってくれたみんなに感謝しなさい。分かった?ブレイブ」
 当初の予定では俺ではなく、傭兵を雇う筈だったので鎧だけ用意していた。それが急遽俺に変更になったので、色々と予定が狂ってしまったのだ。
「ああ。感謝してる。何かやらないとな」
 独断での行動の結果だ。甘んじて受けよう。お菓子とかも買ってくか。
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