水と涙

きーち

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コルク

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実は君がここに来て、帰った後、伊山先生がいらしてね。
そう。君のお父さんだ。
初めは気づかなかった。君のお父さんが、あの伊山先生だなんてね。
前から伊山先生とは知り合いだった。
本当に君が帰った直後だった。
伊山先生は私に言った。
『あの娘を頼んだ』
ってね。
ところで私の考えは変わらなかった。
あの時先生は涙を語っていた。
本当になにも思わなかった。
涙はただの目から流れる邪魔くさいものだって、本気で思ってた。前は。
伊山先生は言ったよ。
"涙は心のシャワー"ってね。今思えばなんてうまく例えたんだろうなって思う。
あんなに語れるのは、一度そういうのを経験した人だけなんだろう。勿論、友達と喧嘩ってのも例外ではないだろうね。
伊山先生も過去に一度そういうことがあったんじゃないのか?
––––あぁ、知るはずないよな。ごめん。
本題に入ろう。
この3ヶ月程で私を変えた、、いや、違う。何もない。
君を診て何日かして、私達は子を授かる。
––––ありがとう。

単刀直入に言う。
私の妻は自殺した。
––––何でって。あぁ、あぁああ、俺のせいなんだ。俺のせいで、ケイコは、あああ。
すまない、取り乱した。

さっき、子供が出来たと言ったろう?自殺の原因としてそれも大きく関わっている。
育児だ。
ケイコは息子をとても可愛いがった。当たり前の事だ。
まだ、産まれたての悟。悟は息子の名だ。
いたって健康に生まれてきてくれた。
知っての通り、赤子はなく。耳を劈くように、なく。
育児なんて、世界中の母親が経験していて、皆苦労している。
夜を過ぎても、なき続ける。それも当たり前の事。
赤子はなくのが仕事だというだろう?

私が家に帰れば、まず私に映るのは疲れきった顔でも、尚私に「おかえり」と笑いかけてくれるケイコだ。
私は仕事で疲れている事を理由に「ただいま」の一言で悟を抱いたケイコの横を通り過ぎた。
眠っている、可愛らしい、悟の顔も見ずに。
私はそのままベットに倒れ込んだ。起きた時にはもう外が明るかった。
最低な父親だ。
いや、私はもう父親ではない。
父親失格だ。
そんな日が何日も続いた。
私は、なぜ、あんな………。
もう人間でもない。あんなの、姿が人間に似た、化け物か。
言い過ぎなんて言うな。
確かに、ケイコもケイコかもしれない。育児とは誰しもが通ってきた道なのだから。
でも、やはり原因は私に全てあると、思っている。
結局、3人で撮った写真は1枚。病室で。

なんの言葉もかけなかったんだ。




そして遂に耐えられなくなったんだ。私との関係にも、育児にも。





私は泣き続ける。毎晩のように、。

私はどう償えばいい?

償なったところで私をケイコは許すか?

そんなに追い込んでいたなんて。




何時間泣き続けたのか分からなくなった、薄明かりの差す部屋。

目の前、自分の作り出した水溜りを見た。

私の中の何かが動いた。

"何か"なんてただの都合のいい表現だ。

重かった体が軽くなった気がしたんだ。

気づけば私の目は乾いていた。

そんな時。伊山先生が言った言葉達が私の中で一気に叫びだした。

涙は私の心を洗い流し、決心付けた。


ケイコの死を、無駄にしない。






私に残されたのは唯一、悟だ。

無駄にしない。


君が地獄にいるのか、天国にいるのか。



君が地獄に行くなら僕も行こう。

なんて言わない。

勿論、忘れるわけないけど、。



私は次に進むから。











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