異世界への迷い人?

大器晩成らしい

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「ここだな」

すぐに分かるよう、境界線だった場所の横にあった木に、目印の紐が結ばれていた。

手を突っ込んでみる。

消えることなく、そこに見える。

「やっぱり、境界線は現れてないね」

「そうだな。・・・おいで」

そう言いながら、抱き寄せられ、頭を優しく撫でられた。

ニジェールさんには見られないよう、横を向いたんだけど、ちょっと、泣きそうになって、歪んだ顔を見られたのかもしれない。

「まだ、現れないと決まった訳じゃない。希望は0じゃない。・・・だが、これからする話は、もしもの話なんだが、もし、リョウが向こうの世界に帰れなくなったらなんだが、その時は、俺の所に来ないか?」

「俺の所?」

「そう、第1騎士隊の隊長をしてるから、それなりに稼いでるし、リョウ一人くらい、余裕で養えるだけの蓄えもある」

「でも、余裕と言っても、金銭的に負担をさせるのは心苦しいですし、あまり、迷惑をかけたくないです」

「全然迷惑なんて思わない。俺は独身で、恋人もいないから、誰かに気兼ねする必要も全然ない。それに、一緒にいる時に、こっちの常識とかも教えてあげるから、俺の所に来ると、お徳だよ。俺も、1人で暮らしていて、寂しいからね。リョウが来てくれるなら嬉しい。もしもの時は、リョウが遠慮しないよう、また声をかけるから、覚えておいて」

「グスッ、ありがとうございます。覚えておきます」

そうだよね。

帰れなくなったら、どうやって生活していくか、考えなきゃいけないよね。

正直、ニジェールさんの提案は、とても嬉しい。

万が一の時は、受け入れ先になってくれると言ってくれたのだから。

でも、そう言われたからといって、頼りっきりにはなりたくない。

僕だって、自分で頑張れるところは、頑張りたい。


何か、僕でも役に立てる事があるといいんだけど・・・

僕にできる仕事って、何かあるかな。






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