異世界への迷い人?

大器晩成らしい

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「・・・また、やっちゃった」

気付いたら、ベッドで寝ていた。

もちろん自分で入った記憶はない。

マッサージの心地良さに寝落ちし、またしても侍女さんに、お姫様抱っこで運ばれたという訳だ。

女の人に、お姫様抱っこされるなんて、情けない。

「すみません。ありがとうございました」

起こしに来てくれた侍女さんに、朝一で謝った。

「ふふっ、可愛らしい寝顔だったので、起こすのが忍びなくて、ですので、お気になさらず」

可愛らしい寝顔って・・・

僕、可愛いなんて言われた事ないんだけど?

美的感覚が違うのかな?

(注意:涼はかなり可愛い。さらさらの黒髪に、小さな顔。パッチリした大きな黒目。右目の下、真ん中よりやや目尻よりの所に小さな泣き黒子。シミのない真っ白な肌に、小さく薄い唇。女子より男子にもてていたが、親友の篤志が、常にべったり傍にいて、よからぬ輩から守っていた為、気付いていない。美的感覚がおかしいのは、涼の方である。無自覚さんだったりする)


「お食事の用意ができております。こちらへどうぞ」

テーブルの上には、目玉焼きと、かりかりベーコン、それにコーンクリームスープ。

真っ白なふわふわなパン1つに、果物の粒入りの、甘くて美味しいジャム。

これこれ、この位が丁度いい。

最近、マナーの勉強も兼ねて、朝昼晩、しっかりとしたコース料理が用意されていたけど、ちょっとというか、だいぶ食べ過ぎで、このままじゃメタボまっしぐらな感じだったから、〝朝だけでも、コース料理じゃないので〟って、昨日の夕食の後に、お願いしておいたのだ。

「本当に、こんなに少ない量で大丈夫なのですか?」

「足りなかったら言って下さいね。スープもパンも、おかわりをご用意致しますので」

いやいや、これで充分だよ。

パン1つって言っても、よくスーパーとかに売ってる、6枚切りのパンの2枚分の大きさはあるからね。

結構な厚みだから。

そう言えば、隊長さん達はもちろんの事、チャイブ先生や人族であるクレソン先生も、かなりの量を食べていた。

こっちの世界の人って、皆、大食い。

あれ?侍女さん達も?

僕のを見て、少な過ぎるって言うって事は・・・

「パンは少なくとも3個は食べますよ」

訊いたら、皆うんうん頷いて・・・マジか。

僕は、そこまで食べられないからね。







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