泉の聖

大器晩成らしい

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「供物を台の上に捧げ、外へ出ようと歩いていると、後ろから、何かが走ってくる足音がして、振り向いたら、森の方の門から、大きな狼が入って来るのが見えて、思わず立ち止まって見ていたのです。そうしたら、巫女が、持ち運んでも大丈夫そうな物だけ選んで、包みに入れ、その狼の首に引っ掛けていました」

やっぱり

「狼が立ち去るのを待ってから、巫女にお聞きしたら、狼は聖獣様だと言われ、以前は2~3日に1回現れていたのが、聖なる者が現れたと発表された辺りから、毎朝、食料等を受け取りに来られるようになったと・・・なので、後をつけたら聖なる者にお会いできるかと思い、家から連れてきた護衛を引き連れて、そのまま聖獣様を、足跡をもとに追って来たのです」

追われていたのに気付いていなかったのか、このバカ狼は・・・

本格的に鼻づまりを疑うレベルだな。

いやっ、耳も見た方がいいのか?

「護衛を前に一人、後ろに二人配置して進んできたのですが、薄暗くなり始めた時、後ろの護衛の内の一人がもう片方を切り捨てたようで、叫び声で振り向く前に背中に痛みが走って、同時に、前を歩いていた護衛に腕を引かれ、聖獣様が通り道にされていると思われる道を、真っ直ぐ進めと指示されて・・・護衛同士が戦っている内に、逃げて来たのですが、力尽きて倒れてしまったみたいです。周囲が明るくなってきたのは、覚えているのですが・・・」

えっと~、人の足で、一昼夜かかるの?

この場所。

で、君は傷を負ったまま、夜通し逃げてきたと・・・

「はい」

ヴォルフ・・・どんだけ速く走ってるの?

「神より、私の一族は加護を受けておりますので、矢より速く走れますよ」

フンッ

ドヤ顔はやめろ

「朝早くここを出て、帰ってきてから二度寝しているのですよ」

?じゃあ、何でこの子と行き会わなかったの?

「縄張りを確認しながらなので、気分によって道を変えてるからですね」

なるほど、それじゃ、会わないのも仕方ないか・・・

「それに、後を追われても気付ける訳ないですよ。すでに、遥か遠くにいるのですからね」

フンッ
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