黒曜の誓い、竜を狩る者たち

ンヴ

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調律者の「虚無の核」を貫いた希望の剣。その七色の輝きは、宇宙全体に広がり、歪んでいた時空の法則を修復し、砕け散った星々を再生させていく。それは、まるで宇宙そのものが、長い悪夢から覚め、新たな息吹を取り戻していくかのようだった。

「……これが……『絆』……というものか……。あるいは……それもまた……宇宙の……新たなる……法則……なの、かも……しれぬ……な……」
光の粒子へと変わりながら、調律者の最後の言葉が、宇宙の静寂の中に微かに響いた。その声には、もはや冷酷さも嘲りもなく、ただ、ほんのわずかな、理解と安堵のようなものが感じられた。

そして、彼の存在は完全に消滅し、宇宙には、温かく、そして清らかなエネルギーだけが満ち溢れていた。

「……終わった……。本当に、終わったんだな……」
俺、ウルフルムは、再生した希望の剣を握りしめたまま、その場に膝をついた。全身の力は抜けきり、魂の奥底からの深い疲労感に包まれていたが、心の中には、これまでに感じたことのないほどの、静かで、そして大きな達成感が広がっていた。

「ウルフルム!」
ルナが、涙を浮かべながら俺に駆け寄り、その小さな体で俺をしっかりと支えてくれた。
「よかった……本当に、よかった……!」

「ああ……みんなのおかげだ……」
俺は、仲間たちの顔を見回した。ザナック、アルドリス、カイ、リアラ、リオ、セナ、クロノス、アウストラ、そしてミカエル。誰もが傷つき、疲弊しきっていたが、その顔には、安堵と、そして勝利の喜びが浮かんでいた。

その時、俺たちの頭上から、荘厳で、そして慈愛に満ちた光が降り注いできた。
見上げると、そこには、時間を司る女神ホーラが、穏やかな笑みを浮かべて立っていた。彼女の背後には、かつて俺たちに試練を与え、導いてくれた森の賢者、そして、犠牲となった裁定者の魂と思われる、淡い光の球体が寄り添っている。

「ウルフルム、そして勇気ある者たちよ。あなた方の勇気と、揺るぎない絆の力は、ついに宇宙の調和を乱す最大の脅威――調律者を打ち破りました。そして、その結果、宇宙は新たなる法則の元に、再生を始めたのです」
女神ホーラの声は、宇宙全体に優しく響き渡った。

「ホーラ様……。裁定者様は……」
俺が尋ねると、ホーラは悲しげに、しかし誇らしげに微笑んだ。
「裁定者は、自らの存在を賭して、あなた方に最後の希望を託しました。彼女の魂は、この新たなる宇宙の礎となり、永遠にあなた方を見守り続けるでしょう」

俺たちは、裁定者の犠牲に、改めて深く頭を垂れた。

「そして、クロノス……」ホーラは、少し離れた場所で静かに佇んでいたクロノスに視線を向けた。「あなたは、自らの過ちを認め、そして最後の力で世界を救いました。その償いは、十分に果たされたと言えるでしょう。これからは、時の精霊として、この新たなる宇宙の正しい時の流れを見守りなさい」

「……はい、ホーラ様。この命、新たなる宇宙の調和のために捧げます」
クロノスは、深々と頭を下げた。その瞳には、もはや歪みはなく、ただ澄み切った決意の光だけが宿っていた。

そして、女神ホーラは、再び俺たちに向き直った。
「ウルフルム、ルナ、そして仲間たちよ。あなた方が示した『絆の力』と『未来への希望』こそが、この新たなる宇宙の基本法則となるでしょう。それは、時に不合理で、時に脆く、そして時に大きな苦しみを伴うかもしれません。しかし、それこそが、生命が持つ最も尊く、そして美しい輝きなのです」

ホーラは、その両手を広げ、俺たち一人一人に、温かく、そして力強い光の祝福を授けた。
「これは、私からの、そしてこの新たなる宇宙からの祝福です。あなた方の魂に、『調和の印』を刻みましょう。それは、あなた方が、この宇宙の永遠の守護者であることを示す証。そして、あなた方が望む限り、その力は、仲間たちとの絆を通じて、無限に増幅され続けるでしょう」

祝福の光に包まれた俺たちは、体が軽くなり、そして魂の奥底から、新たな力が湧き上がってくるのを感じた。それは、もはや個人的な力ではなく、宇宙そのものと繋がるような、広大で、そして優しい力だった。

「さあ、行きなさい、勇気ある者たちよ。あなた方が創造した、この希望に満ちた新たなる宇宙を、その目で確かめ、そして、その未来を、あなた方の手で紡いでいくのです」
女神ホーラの言葉を最後に、俺たちの意識は、温かい光に包まれ、そしてゆっくりと元の世界へと帰還していった。

後に残されたのは、静寂と、そして無数の星々が、以前にも増して美しく、そして力強く輝き始めた、新たなる宇宙の夜明けだけだった。
調律者という絶対的な脅威は完全に排除され、宇宙は、ウルフルムたちが示した「絆」と「希望」という新たな法則の元に、再生を遂げたのだ。
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