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第二部 秋穂(あきほ)と正(ただし)
第三章 いけない・・・
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暗闇の中、私は眠れないまま天井を見つめていた。
「ただし・・さん・・・」
愛おしい息子の顔を思い浮かべている。
今の高校生になった正さんではない。
12歳の頃、初めて会った時の愛らしい顔だ。
「ほら、挨拶しないかっ・・・」
夫との結婚が決まり、初めて連れ子である彼を紹介された時のことだった。
「こ、こんにちは・・・」
正さんは目を泳がせるようにして小さく呟いた。
(あぁ・・・)
私は一目見た瞬間、強い印象を受けた。
夫になる人の面影を残した表情、それ以上に魅力を感じたから。
その時は勿論、夫、彼の父親を愛していた。
彼が再婚であったとしても結婚を嬉しく受け止めていたのだ。
夫は数年前に奥様を病気で亡くしていた。
正さんは夫の連れ子である。
夫は大きくはないが会社の社長で私は秘書だった。
ハンサムで仕事もやり手だった彼に惹かれていた私は求婚された時、幸せを噛み締めながら受けとめた。
だけど、男の本性を見抜く力も経験も無かった。
夫は仕事も敏腕だったが女性遍歴も豊富だった。
地位も富もある彼は私との新婚生活が落ち着く間もなく、多くの女性と関係を持つようになる。
当然、結婚前からもそうだったのかもしれず、私が秘書を退職して家庭におさまるようになると浮気の頻度も増していったのだ。
息子である正さんの教育を任せられるようになったことも拍車をかける一因だったのかもしれない。
出張と称して何日も帰宅しない日が続いた。
夫婦の営みも激減し、一人寝の日も増えていく。
元々、奥手の方だった私は性の知識も少なくて夫を歓ばせるような手管を持っていなかったせいもあるのだろうか。
そんな寂しい日々を埋めてくれたのは正さんだった。
最初は新しい母に対する照れ臭さで素っ気ない態度をしていた彼も、留守勝ちにする父親への反発もあって私に優しい眼差しを向けてくれるようになった。
「今日のハンバーグ、凄く美味しいよ・・・」
二人きりの食卓でも嬉しそうな表情で私の料理を褒めてくれる。
それがどんなに私の心を慰めてくれただろうか。
私にとって夫よりも息子の正さんの方が大切になるようになるのは、時間の問題であった。
食後のコーヒーを飲みながら私達は会話をする。
特にテレビを見たいわけではなく、むしろ二人きりの時間を楽しむようになっていたのだ。
キリッとした眉毛。
涼やかな瞳。
まっすぐ通った鼻筋の下には形の良い唇が艶を帯びた若々しい弾力を見せていた。
夫と結婚するほどだから、彼の面影を残す正さんの顔を好きになるのは当然のことかもしれない。
それ以上に一目会った瞬間から、私は正さんに惹かれていたのだろう。
その頃から、夫に邪魔されない二人きりの時間を楽しむようになっていた。
そう。
私は息子に恋をしていたのです。
「ただし・・さん・・・」
愛おしい息子の顔を思い浮かべている。
今の高校生になった正さんではない。
12歳の頃、初めて会った時の愛らしい顔だ。
「ほら、挨拶しないかっ・・・」
夫との結婚が決まり、初めて連れ子である彼を紹介された時のことだった。
「こ、こんにちは・・・」
正さんは目を泳がせるようにして小さく呟いた。
(あぁ・・・)
私は一目見た瞬間、強い印象を受けた。
夫になる人の面影を残した表情、それ以上に魅力を感じたから。
その時は勿論、夫、彼の父親を愛していた。
彼が再婚であったとしても結婚を嬉しく受け止めていたのだ。
夫は数年前に奥様を病気で亡くしていた。
正さんは夫の連れ子である。
夫は大きくはないが会社の社長で私は秘書だった。
ハンサムで仕事もやり手だった彼に惹かれていた私は求婚された時、幸せを噛み締めながら受けとめた。
だけど、男の本性を見抜く力も経験も無かった。
夫は仕事も敏腕だったが女性遍歴も豊富だった。
地位も富もある彼は私との新婚生活が落ち着く間もなく、多くの女性と関係を持つようになる。
当然、結婚前からもそうだったのかもしれず、私が秘書を退職して家庭におさまるようになると浮気の頻度も増していったのだ。
息子である正さんの教育を任せられるようになったことも拍車をかける一因だったのかもしれない。
出張と称して何日も帰宅しない日が続いた。
夫婦の営みも激減し、一人寝の日も増えていく。
元々、奥手の方だった私は性の知識も少なくて夫を歓ばせるような手管を持っていなかったせいもあるのだろうか。
そんな寂しい日々を埋めてくれたのは正さんだった。
最初は新しい母に対する照れ臭さで素っ気ない態度をしていた彼も、留守勝ちにする父親への反発もあって私に優しい眼差しを向けてくれるようになった。
「今日のハンバーグ、凄く美味しいよ・・・」
二人きりの食卓でも嬉しそうな表情で私の料理を褒めてくれる。
それがどんなに私の心を慰めてくれただろうか。
私にとって夫よりも息子の正さんの方が大切になるようになるのは、時間の問題であった。
食後のコーヒーを飲みながら私達は会話をする。
特にテレビを見たいわけではなく、むしろ二人きりの時間を楽しむようになっていたのだ。
キリッとした眉毛。
涼やかな瞳。
まっすぐ通った鼻筋の下には形の良い唇が艶を帯びた若々しい弾力を見せていた。
夫と結婚するほどだから、彼の面影を残す正さんの顔を好きになるのは当然のことかもしれない。
それ以上に一目会った瞬間から、私は正さんに惹かれていたのだろう。
その頃から、夫に邪魔されない二人きりの時間を楽しむようになっていた。
そう。
私は息子に恋をしていたのです。
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