母子(おやこ)スワッピング -ママ(母さん)を愛しすぎて-

山田さとし

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第九部 余韻

第一章 自信

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【守と正16歳】
【2016年 10月13日】

初めてのセックスした日からの翌々日。
体育館で。

※※※※※※※※※※※※

キュッキュとシューズの擦れる音とボールが弾む振動が喧騒となって体育館に響いている。

「はぁっ・・はぁっ・・・」
「へへ・・・」

息を弾ませ両手を広げるディフェンスに守は不敵な笑みを浮かべている。
目の端にいる正のポジションを確認すると、その反対方向をチラリと見た。
釣られるようにしてディフェンスの重心が傾いた瞬間、ドリブルするボールを股の下をくぐらせクロスオーバーで抜き去る。

「ヘルプッ・・・」
慌てる声に後方に控えていた一人が守に立ち向かうと、ボールをバウンドさせ投げた。

「ただしっ・・・」
短い声の先にはコーナーで待機する正がいた。

ボールを両手で掴んだ瞬間にジャンプシュートを放つ。
吸い込まれるようにバスケットゴールに入っていった。
正の得意な「キャッチ&シュート」である。

「よっしゃぁっ・・・」
ガッツポーズする守が駆け寄りハイタッチをする。

今日、何回このシーンを見たことだろう。
先輩レギュラー達も口を開けてしまうほど見事なプレーだった。

「あいつら、本当に上手くなったな・・・」
バスケット部顧問の林が呟いた。

「新人戦」で二人をレギュラーに抜擢した時は未熟だったが、目を見張る成長をみせている。
当初は不満顔だった二年生の先輩達も今では実力を認め、優先的に二人にパスを送るようになった。

※※※※※※※※※※※※

「へへぇ・・今日も決まったな・・・」
「おぅっ・・・」

守が楽しそう話しかけると、どちらかというと無口なタイプである正が短く返す。
部活が終わり、二人は家路につこうとしていた。

「あ、あのさぁ・・・」
珍しく守が声を詰まらせる。

戸惑うような表情に何を言おうとしているのか、正は容易に想像ができた。
守が焦れったそうに次の言葉を探している。

「おーい、待ってくれよぉ・・・」
後ろから声がした。

振り返ると山田が走って近づいてくる。
息を切らすクラスメートに目を合わせた二人は一瞬、顔を曇らせた。

今、大事な話をしようとしていたからだ。
守が伝えたいことは一つに決まっている。
正も同じく「報告」しようと思っていたのだ。

それでもクラスで二番目に仲の良い友人に、守は優しい眼差しを向けた。
思えば山田が貸してくれた「エロ本」がきっかけで母と結ばれることが出来たのだから。

「何だい・・・?」
「何だ、じゃねぇよぉ・・・」

山田が拗ねるような口調で続ける。

「この頃、冷たいぞぉ・・・」
隣にいる正にも恨めし気な視線を向けた。

「二人でばっかし、つるんでさぁ・・・」
溜まっていた不満をぶつけていく。

遊びに誘っても部活が忙しいとか言って断ったり、昼休みはいつも二人だけでどこかへ行っていたりして、自分がのけ者になっている気がしている。
この間も「エロ本」を買いに本屋に行ったのにスッポカされたこととか、長々と話していく。

「あの時はごめん・・・」
素直に謝る守に山田は胸がざわついた。

美少年に見つめられると、男なのに変な気持ちになってしまう。
高杉と二人は、クラスはおろか学校中の女子が目をつけているイケメンコンビなのだ。

この間の「新人戦」で一年生なのにレギュラーで活躍したこともあるが、中間テストの結果も良かった。
掲示板に張り出された二人の名前が四位と五位で並ぶのを見た時、嫉妬を通り越して嬉しくなったものだ。

二人の自信に満ちた表情を改めてみる山田は、夏休み後の変化を感じていた。
それ以前、守は甘えん坊の雰囲気がマザコンを連想させてからかっていたのだけど、今は堂々としている。

「お前の母ちゃん、綺麗だよなぁ・・・」
「当たり前だろ、世界一のママなんだから」

照れることなくシレッと返されると何も言えない。
正にしろ一段とクールさを増して、とても同じ歳とは思えないほど大人びて見える。

やはり、二人は変わったと思わざるを得ない。
最近、何かあったのか聞きたくて仕方無かったが敢えて尋ねるのをやめた。
何か触れてはいけないことのような予感がするからだ。

「あっ・・俺の家、こっちだから・・・」
「じゃぁな・・・」
「さよなら・・・」

名残惜しそうに道を分かれる山田に守と正も声を投げた。
早くなった夕暮れが街をオレンジに染めていく。
山田の後姿を追いながら正は綺麗だなと思った。

「さっき・・言いかけたこと・・・」
正が問いかけた。

山田が去り、再び二人きりになったことで「秘密」の話ができるようになったからだ。
当然、今日の昼休みで「報告」はし合ってはいたが、もう少し聞きたいことがあった。

いや、そうではない。
守も同じ気持ちだろうが結ばれた興奮をもっと分かち合いたかったのだ。

互いの「報告」を聞けば聞くほど結ばれた瞬間が思い出され、充実感を得ることができる。
二人の脳裏に昼休みの「報告」がリアルに蘇ってくるのだった。
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