人竜千季

秋谷イル

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第二部

五章・斬燕(2)

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 ──三時間後、特異災害対策局本部最上階執務室にて、神木かみき 緋意子ひいこは報告に来た部下へ訊ねる。
「被害は?」
「負傷者多数。ただし死者は確認されていません」
「なによりだ。不幸中の幸いだな」
「王太女殿下も無事です」
「そうか」
 あの少年、伊東 旭を模倣した“竜”が上手くやってくれたらしい。あるいはマーカス達の尽力によるものか。なんにせよ“人斬り燕”と交戦したにしては軽微な被害と言える。
 軽く頷いた緋意子の前に、調査官全員を統括する調査部の長・青柳 アザミが資料を提出した。短い茶髪でメガネをかけており、特異災害調査官らしい長身痩躯。現在はデスクワーク専門だが、四年前までは現場で活躍していた才媛だ。男社会の特異災害対策局で局長に次ぐ地位まで上り詰めた彼女、そして局長の緋意子と朱璃の三人を局員達は密かに“三大女帝”と呼んでいる。
「こちらが詳細な報告です。それから野外実験場で発見された変異種についてもまとめておきました」
「ご苦労」
 書類を受け取り、目を通し始める神木。人斬り燕と新発見の変異種。後者の報告書から読んでいる。
 青柳は上司に気付かれないよう、ほんの少しだけ片眉を上げた。
(一人娘が狙われたと言うのに気にならないのか……?)
 自分だったら真っ先に暗殺未遂事件の方から目を通すだろう。いや、そもそも我が子の命が狙われているとわかれば、即座に駆け付けて行って抱きしめる。そして安全な場所を確保し、自らの手で守るだろう。
 ところが目の前の上司は、そんな素振りを微塵も見せない。対策局の長として職務を全うしようとしているからか、公平性を重んじる性格だからなのか、あるいは──
(いや……)
 考えても栓無きことだ。こちらは与えられた仕事を粛々とこなすだけ。それこそ子供達を守るために働かなければ。
 現代社会でも労働を拒絶する人間はいる。しかし統治者達はそんな彼等に厳しい。この国に税金は無いが、別の義務を果たすことは求められる。労働だ。病気や障害などの理由無くこの義務から逃れようとした人間の行き先は、管理放棄されたピラーの中か生存率の低い地上だけ。特に重犯罪を犯した者は見せしめを兼ねて地下都市から追放される。追放刑に処されて帰って来た者は一人もいない。
(時々、彼等の気持ちがわかる)
 この国はあまりにも窮屈だ。兵士か調査官になれなければ、大抵は一生を地下で過ごすことになる。しかも職業選択の自由は無い。雨や雪を知識でしか知らない住民が過半数を占め、仮に地上へ出られる職についたとしても、待っているのは命がけの任務。人々の思い描く理想からは程遠い。
 遠い昔、生存を最優先する仕組みが作られ、それが二〇〇年以上も遵守され続けている。悪いことだとはけして思わないが、いつになったらこの鳥籠から出て行けるのかと焦燥感に駆られてしまうのも人として当然の話なのだろう。直に陽の光を浴びることのできない人生なんて、なんのために生まれて来たのかもわからなくなる。
(まあ、私は子供を産んでから地上へ行く意欲を失ったが)
 上司の場合、己が子を太陽のような存在だと捉えているわけでもないらしい。いったい彼女は、この歪な世界のどこに生きがいを見出しているのか?
 時折、それが不思議に思える。



「疲れた……」
 長時間の聴取を終え、アサヒが対策局地下の自室まで戻って来たのは、すでに真夜中と言うべき時間帯だった。
「おつかれさまです。それでは私は、これで」
「はい、おつかれさまでした」
 王室護衛隊の大谷 大河たいがは部屋の前で夜番の兵士に監視の任務を引き継ぐと、凛とした佇まいのまま帰って行った。凄いなと感心する。彼女も自分と同じく陸軍や対策局の聴取を受けていたのに疲れを全く顔に出していない。
「おやすみなさい」
「おやすみなさいませ」
 夜勤の兵士達にも頭を下げ、部屋に入る。
 すると予想外の声に出迎えられた。
「おかえりなさいませアサヒ様。お疲れ様です」
「え? 小畑おばたさん、まだここに?」
 もう帰っていると思った侍女が、嫌な顔一つせず会釈した。テーブルの上には、ちょうど今しがたできましたという風に湯気を立て、暖かな料理が待ち構えている。
「アサヒ様のお世話が私の務めですので」
「す、すいません」
 随分長く待たせてしまった。謝りつつ急いで手を洗い、着席する。これを食べてしまわないと彼女は帰れないのだろう。
「いただきます」
 夕飯も洋食だった。クリームシチューとサラダ。シチューには珍しく、何かの肉がたくさん入っている。一つ食べてみると、なんだかホルモンのような食感だった。けれど軟骨に似たコリッとした触感もあり、風味も鶏や豚とは異なっている。なんというか旨味がものすごく濃い。
「美味しいけど、なんですか、この肉?」
「それはヌタウナギです」
「ウナギ?」
 その名前から連想したイメージと味も食感も全く違う。そもそも弾力が強くて魚類だとさえ思わなかった。
「正確にはウナギではありません。細長い生物でして、形が似ていることからそう名付けられただけだとか。深海魚なのですが五m程の比較的浅い海でも捕獲が可能で、秋田では旧時代から食されてきました」
「へえ、そうなんですか」
「外部から刺激を受けた際にムチンという成分を分泌し、そのムチンが周囲の水分を取り込むことで粘膜を形成。それによって身を守ります。ヌタというのは、このぬるぬるした粘膜の呼び名ですね。
 ただし、その肉も厳密にはマソヌタウナギという変異種のものです。通常の数倍に大型化しており、彼等の腸を加工することで“服”が作れます」
「あ、この服って」
 陸軍の兵士から借りた戦闘服を引っ張るアサヒ。伸縮性が高く、保温性と通気性を兼ね備え、静電気の発生を抑制することにより人類の死亡率を低下させた万能素材。生物の腸を加工したものだとは聞いていたが、肉まで美味しく食べられる魚だったとは。
 なお、厳密に言うとヌタウナギは魚類ではない。原始的な構造の脊椎動物を指す無顎類だ。他にはヤツメウナギしか現存していない寂しいグループである。場合によっては魚類と見なすこともあるそうだが、そんなことはアサヒにとってはどうでもいいことだ。単純に「美味い美味い」と思いながら食べ進める。
 そんな彼を笑顔で見つめ、言葉を肯定する小畑。
「そうです、我々が着ているこれはマソヌタウナギが原料です。靴も腸と革を組み合わせたものですね。彼等には捨てるところがありません。とはいえ、以前は普通のヌタウナギとは異なり、捕獲の難しい生物でした。しかし王太女殿下のご両親が効率の良い養殖法を確立なさったおかげで、今日では地下都市内の養殖場にて大量に飼育されております」
「なるほど……」
 生まれて来る娘のため必死にこの素材を探し出したという朱璃の父。凄い人だったとは聞いたものの、そんな功績まで遺していたとは。改めて驚かされる。彼の発見と研究でどれだけ多くの人が救われたのだろう? 会ったことは無いが素直に尊敬できた。朱璃が目標にするのも納得だ。
 でも、今の小畑の話には少し気になる部分があった。彼女は“ご両親”と言ったのだ。ということは、あの自分の娘に対する愛情を全く感じさせない母親かみきも、以前はそうではなかったのだろうか?
 確かめておきたい気はしたが、これ以上待たせるのも悪い。黙々とスプーンを動かし食事を進めるアサヒ。小畑はそんな彼を静かに見つめる。
 すぐに皿は空になった。サラダも完食。おかわりが無いのは残念だけれど、地下都市の食糧事情を考えると贅沢は言えない。食べる必要の無い自分に食べさせてくれているだけで感謝だ。スプーンを置いて両手を合わす。
「ごちそうさまでした。美味しかったです」
「料理長に伝えておきましょう。それでは、私はこれにて失礼いたします。そちらの服はいつものようにカゴに入れておいてください。洗濯した上で陸軍に返却しておきましょう。寝間着はベッドの上に用意してありますので」
「はい、ありがとうございます。あの、遅くなってすみませんでした」
「事情は伺っておりますから、お気になさらず」
 食器をワゴンに乗せ、一礼して退室する彼女。

 途端、静かになった。魔法の光で終始照らされている地下室。一人残され、ふうと息を吐くアサヒ。再び椅子に座って考え込む。久しぶりの外出。朱璃とのデート。野外実験に地下でのワーム達との戦い。続けざまに現れた人斬り燕なる怪人。今日だけで色々な事がありすぎた。気疲れするのも当然の話。
 それに心配だ。本当についていなくて良かったのだろうか?

(朱璃が、あの変なやつに命を狙われてるのに……)
 あんなことが起こった以上、今後は四六時中彼女の近くにいて守れと言われるかもしれない、そう思っていた。だが、どういうわけか結局この場所へ戻されてしまった。朱璃も普段この建物の三階で生活しているのだが、今夜からはしばらく王城に移るらしい。
(王室護衛隊がいるから安全、ってことかな)
 まあ実際、自分が守るより彼等の方が頼りになるだろう。今日の自身の体たらくを思い出し、自己嫌悪に陥る。まさか人間相手にあそこまで後れを取るとは。マーカスが戻って来てくれなければ朱璃共々殺されていただろう。英雄だったオリジナルから超人的な力を受け継いだというのに、我ながら情けない。
(結局、俺は戦い方に関して素人だからな……)
 兵士用の戦闘服に身を包んでいることが滑稽に思えた。今のままでは護衛として大した役には立てないだろう。

 こういうことがある度に、いつも思う。
 どうして伊東 旭は自分に全ての記憶を引き継がせなかったのか。
 せめて戦闘に関する知識と経験だけでも与えてくれていたら……。

「戦い方……か」
 頼めば誰か教えてくれるだろうか? もちろん一朝一夕に強くなれるとは思っていないけれど、だからといって何もしなければ永遠に素人のままだ。この時代で自分の足で歩み、生きていくと誓った以上、人との約束はしっかり守りたい。今朝も同じことを考えた気がするが、自分のような化け物が人々と共に暮らしていくには、まず社会に貢献して信用を勝ち取ることが大切だと思う。朱璃もそう言っていた。
 しかし戦い方を教えてもらうと言っても誰に頼んだものか? マーカスにはまず確実に断られるだろう。ウォールは面倒見が良さそうだが、意思の疎通が難しい。カトリーヌには何かとからかわれそうだ。となると、やはり友之か小波になるか?
 ああでもないこうでもないと考え込んでいると、横から声をかけられた。
「なに? 訓練でもしたいの?」
「あ、うん。格闘技でも教われば多少はマシになるかな……って、朱璃!?」
「見りゃわかるでしょ」
 勝手にベッドに腰かけ、筋肉の凝りを解すように伸びをする彼女。寝間着パジャマ姿で足下には大きなカバンを置いている。いったい、いつの間に入って来たんだ?
「なっ、えっ、どうしてここに? 王城に行ったはずじゃ?」
「馬鹿ね、アイツの注意を向こうへ引き付けるための嘘に決まってるでしょ。偽情報での攪乱なんて基本中の基本よ。アンタだって表向きは城にいることになってんだから」
「そうなの!?」
 そんな話、全く聞いていない。
 もちろん、彼に話したら簡単に情報が漏れてしまいそうだから意図的に伏せられたのだ。この少年は嘘をつくのが上手くない。
「ま、あの化け物をこの程度で騙し通せるとは思えないけど、少しの間だけ狙いを絞らせなければ問題無いわ。昼間の戦闘でアイツの戦い方は分析できたし、アンタの抱える問題も把握したからね」
「え?」
「どう戦えばいいかわからないなら、アタシが教えてあげる。自分の命がかかってるもの、特別よ。よっぽど物覚えが悪くなけりゃ一日か二日でモノになるでしょ」
 たったそれだけの時間で、全く手も足も出なかったあの怪人に対抗できるようになるのか? にわかには信じ難い。
(俺を過信しすぎじゃないか?)
 たしかに手段を選ばなければ勝ち目はある。なにせ自分は、この地下都市を丸ごと吹き飛ばすことも可能なのだ。
 でも、当然そんなことはしないし、したくない。だから地下都市内で戦う限り極力周囲への被害を考慮して戦う必要がある。それでも普通の人間に比べてまだまだ大きなアドバンテージを有しているはずなのだが、人斬り燕はその差を圧倒的な技量と霊術によって覆した。
 正直言って勝てる気がしない。なのに朱璃は自信満々に言い放つ。
「その顔は疑ってるわね? まあ見てなさい、次は勝たせてあげるから」
「たった二日で?」
「できれば一日でよ。いつまたアレに襲われるかわからないんだからね」
「頑張ってみる……」
 まだ半信半疑だが、何か策があるというのなら従ってみよう。こっちだって連敗したいわけじゃない。
 ただ、もう一つ気にかかることがあった。
「あの……ところで朱璃、どうして寝間着なの?」
「寝るからに決まってるじゃない」
「どこで?」
 彼の質問にペロリと舌なめずりして笑う彼女。ベッドの上に寝そべり、艶めかしい視線を送りながら手招きする。
「ちょっと早いけど初夜といきましょうか、ダーリン?」
「出してください! 他の部屋に移ります!」
 猛然と走り出しドアに縋りついて懇願するアサヒ。しかし、その願いは外の兵士達には聞き入れられなかった。



「失敗したな」
「……」
 暗がりの中、一人の男が彼女に話しかける。お互いに顔はほとんど見えない。見えたとしても無意味。所詮は使い走りだ。雇い主の意志を伝えるだけの下っ端に過ぎない。
「人斬り燕ともあろうものが、小娘一人に手間取るとは」
「次は殺すとも」
 断言した。弱気で返すのは悪手。雇われの身だからこそ、こちらにまだその価値があるのだと明示しておくことが重要。
「帰って伝えろ。役目は必ず果たすとな」
「そう願いたいものだ。いつまでも、あの保守的な連中に任せてはおれん。地下都市の寿命が近い今こそ人々は我々の導きを必要としている。あの小娘を殺すことは人類復権に向けての第一歩。こんな段階で躓くことは許されんぞ」
「……ああ」
 本気でそう思っているならおめでたい思考回路だが、あえて指摘したりはしない。辛い時代だ、甘い夢に陶酔したい気持ちも理解できなくはない。
「主には伝えておこう。だが、敵はこれで警戒を強めた。チャンスは残り少ない。次こそしくじるな。またしても失敗するようなら、あの娘には二度と会えんと思え」
「言われずとも、承知している」
「ふん」
 蔑むような目を向け、男は去って行く。行き先は上層──ここは午前中に訪れたピラーと同じく百年以上放置されている建物だ。今の地下都市にはこういう密談に適した場所が数多く存在する。人口に対して建造物が多すぎるせいで管理が行き届いていない。
 あの連中は、そんな死角を利用して活動を続けてきた。現体制に逆らう革命家気取りの集団。時には今回のように王族暗殺を企てることもあったが、成功例は一度も無い。
 にもかかわらず、今回は必ずやれるはずだと息巻いている。彼等にそう思わせるだけの強力な後ろ盾バックが付いたからだろう。まったく迷惑な話だ。
 光が細く差し込む場所へ移動し、仮面と、黒いカラーコンタクトを外して今しがた渡された写真を見つめる。暗い部屋で椅子に縛りつけられ、怯えた表情を浮かべる少女が映っていた。あの男の言葉を信じるなら今朝撮影された一枚。まだ彼女が生きているという証拠。

 ──つまりは人質。彼女の命が惜しければ計画に協力しろと言われ、しかたなく従っている。

 こちらの素性も知られてしまっていた。それだけなら朱璃や神木局長も同じだが、人質まで取られている以上、寝返る以外の選択肢は無い。
「まったく、人でなしの計画だ」
 写真を魔法で燃やすと、炎の照り返しで一瞬だけ素顔が浮かび上がった。青い瞳に白い肌、日本人離れした美しい容貌。長い金髪は結ってまとめあげ、布を巻いて隠してある。さらに烏帽子を被っているから、彼女を知る人間でも仮面を外さない限り正体には気付かないだろう。
 偽りの名はカトリーヌ。本名は天王寺てんのうじ 梅花ばいか。星海班所属の特異災害調査官にして朱璃の唯一の友人。
 そして、人斬り燕の正体である。
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