ここは弊社のゲームです~ただしBLゲーではないはずなのに!~

マツヲ。

文字の大きさ
55 / 188

55:管理空間でのふたたびの邂逅

しおりを挟む
「───しゅさま!我が創造主様!!」
「っ!?」
 ハッと気づいたのは、宇宙空間にも似た星がまたたく濃紺のなかだった。

「あぁ、よかった、創造主様とようやくお話しできますぅ!」
 目の前にいたのは、あの日俺を『星華せいかとき』の世界に誘ったこの世界を司る女神様だった。

「あれ……?えーと、数日ぶり……?」
「はいぃ!我が創造主様におかれましてはさっそくモテモテであらせられて……」
 ちょっと待て、そのあいさつはどうなんだ?!

 ていうか、ひょっとして世界の管理ができるなら、ここから見ようと思えばあのゲームの世界が見えたりするのか……?
 それって、つまりは……?

「いや~、先日の夜はあまりにも刺激が強すぎでしてぇ~、もう創造主様にいただいたティッシュペーパーの箱が手放せませんでしたわぁ!」
 赤くなったほっぺたを両手でおさえながら、興奮気味にしゃべる女神様には、威厳もなにもあったもんじゃないけれど。

「悪い、改変をたださなくちゃいけないってのに、むしろ俺があの世界を腐海に沈めるような改変しちゃってないか?!今すぐなおせるなら、ここから修正を……っ」
 管理世界なら、物語の修正だって直接できるのではないかと、そう思ってのことだったのに……。

「いえ、あれはこの世界のことわりには反しておりませんよ?」
「えっ?!」
 あたまを下げたところに、想定外のこたえがかえされた。

 まさかの、世界の理には反してない……だって……!?
 いやいや、そんなことはないだろ!?
 だってテイラーがブレイン殿下とくっつくなんて、本編にはそんな描写なかったっていうのに?

「我が創造主様、どうぞこの世界の理についてゆっくりとかんがえてみてくださいませ~。この世界を愛するあなた様なら、きっと気がつくはずですわぁ」
 にっこりと笑いかけてくるその顔は、慈愛に満ちた極上の笑みでいろどられている。

「ところで、創造主様がご活躍なさったおかげで、だいぶ私も力を取りもどして参りましたのですぅ~。侵食者にたいして、改変に際しての制約を課すことに成功いたしましたぁ!」
 両手をにぎりしめて報告してくる姿は、実に晴れ晴れとした表情だった。

「へぇ、『制約』って?」
「ずばり、『物語の整合性』です!!さすがにさかのぼっての適用はできなかったんですけど、これから先、彼女が行う改変についてはその内容の説明がつけられないものですとか、つじつまが合わない改変などができないようになりましたぁ!」

 なるほど、物語の整合性か。
 たしかに俺たち原作ゲームのシナリオライターたちは、そこにはとても気をつかっていたからな。
 ていうか、それまでの改変がヒドすぎたんだ!

 たとえば原作パレルモは、かわいらしい天使のような見た目にもかかわらず、相当悪辣なこともできてしまうそのギャップに、そしてそんな悪魔系キャラにもかかわらず、ヒロインにだけは見せる特別なデレ方というギャップにも、キャラクターとしての魅力がある。
 もちろんそこには、きちんと背景が設定されている。

 まず悪辣さは、公爵家の嫡男としての厳しい教育をきちんと受けてきたからこそ身についたものだし、だからこそ実は幼少期から愛に飢えた子どもだったりもする。
 そしてヒロインと出会ってその飢えを満たされ、人としての成長を遂げたことで、真の高位貴族としての自覚がめばえていくというストーリー展開になるわけだ。

 ───そう、つまりそこから言えることはただひとつ、どんな事象にもきちんとした理由がある、ということだ。
 きっかけこそ偶然かもしれないけれど、そこから先の事象はすべて必然だというのが、このゲームの世界観の根底にある。

 だからこそ、今回の侵食者にはもの申したいんだよ!
 パレルモ様がモテるならモテるで、その理由や背景を不自然のないようにきちんと書き込んでくれ、と。

 本来のこの世界の貴族たちは、権謀術数のうずまく世間で渡りあっている。
 仮にも次期公爵予定で、資産も潤沢にあり、本人の見た目もいいとしたら。
 ふつうなら、玉の輿をねらう貴族令嬢から、結婚相手として猛烈なアタックをかけられているところだろう。

 でもこの世界のパレルモ様はちがう。
 言うなれば、概念『現人神あらびとがみ』とでも言おうか?
 パレルモ様のモテかたは理屈ではなく、むしろ狂信者的な熱意さえ感じられるものだった。

 その一方で、男からだけは欲望の対象として見られ、油断をすればすぐに襲われかねない状況でもあって。
 暗がりだの空き教室だのに連れ込まれそうになったのは、もはや数えきれないくらいある。

 いやもうこの時点でも、ちょっと待てと言いたい。
 あんだけ実年齢以上に幼い子を見て、どうしてこの世界の男たちは性欲がわくんだよ?!
 むしろ今すぐ保護が必要なレベルにかわいそうで、残念かつ心配な子だろ!

 しかも、だ。
 この世界のパレルモ様は性的知識がまったくないとか、身分と年齢不相応なキャラ設定になっている。
 前にも思ったことだけど、あの年齢の公爵家嫡男なのに。

 だってふつうの貴族なら、この学校に入学する前に、まちがいが起きないようにと、息子たちに熱心に教育をほどこすものだ。
 まして玉の輿ねらいのさもしいご令嬢に引っかからないためにも、高位貴族の家ならば特に、自衛の知恵を授けるための必須教科だろーがっ!!

 ───要は、そんなことを言いたかった。

 一方で、それだけ不自然なキャラクター設定をしたということは、ある意味でこのゲームの根底にある世界観にふくまれる、この貴族社会の常識を真っ向から否定しようとしたことになる。
 それもロクな理屈も決めずに、ただ『物語創作ストーリーライター』という権能の力任せにだ。

 その結果としてなにが起きたかと言えば、この世界が崩壊を防ぐために、自らその空白を埋め、無理やりにつじつまを合わせようとしてきたんだ。

 それを具体的に言うならば、本人が無意識に魅了の魔法をふりまいてるせいで、周囲の人からモテモテなんていう、クソめんどくさい設定になっちまったというわけだった。
 こんなことくらいなら、わずか数日でも十分に理解できた。

「我が創造主様には、多くを語る必要はなさそうですねぇ。それでは最後にひとつだけ。そのを探し出すための近道ですが、まもなく物語は大きく動きます。どうぞそのときには、耳をお澄ましくださいませぇ~」
「なんだって?」
 俺が聞き取れたのは、そこまでだった。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 校正も自力です(笑)

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います

緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。 知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。 花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。 十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。 寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。 見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。 宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。 やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。 次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。 アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。 ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃がはじまる──! といいな!(笑) 本編完結済、ロデア大公立学園編、はじめました! 本編のあと、恋愛ルートやおまけのお話に進まずに、すぐロデア大公立学園編に続く感じです。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけです! 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。

悪役令息(Ω)に転生した俺、破滅回避のためΩ隠してαを装ってたら、冷徹α第一王子に婚約者にされて溺愛されてます!?

水凪しおん
BL
前世の記憶を持つ俺、リオネルは、BL小説の悪役令息に転生していた。 断罪される運命を回避するため、本来希少なΩである性を隠し、出来損ないのαとして目立たず生きてきた。 しかし、突然、原作のヒーローである冷徹な第一王子アシュレイの婚約者にされてしまう。 これは破滅フラグに違いないと絶望する俺だが、アシュレイの態度は原作とどこか違っていて……?

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ※第33話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

【完結】義妹(いもうと)を応援してたら、俺が騎士に溺愛されました

未希かずは(Miki)
BL
第13回BL大賞 奨励賞 受賞しました。 皆さまありがとうございます。 「ねえ、私だけを見て」 これは受けを愛しすぎて様子のおかしい攻めのフィンと、攻めが気になる受けエリゼオの恋のお話です。 エリゼオは母の再婚により、義妹(いもうと)ができた。彼には前世の記憶があり、その前世の後悔から、エリゼオは今度こそ義妹を守ると誓う。そこに現れた一人の騎士、フィン。彼は何と、義妹と両想いらしい。まだ付き合えていない義妹とフィンの恋を応援しようとするエリゼオ。けれどフィンの優しさに触れ、気付けば自分がフィンを好きになってしまった。 「この恋、早く諦めなくちゃ……」 本人の思いとはうらはらに、フィンはエリゼオを放っておかない。 この恋、どうなる!? じれキュン転生ファンタジー。ハピエンです。 番外編。 リナルド×ガルディア。王族と近衞騎士の恋。 ――忠誠を誓った相手を、愛してはいけないと思っていた。切ない身分差、年の差の恋。恋の自覚は、相手が成人してからになります。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。

処理中です...