ここは弊社のゲームです~ただしBLゲーではないはずなのに!~

マツヲ。

文字の大きさ
99 / 188

99:今のところは防戦一方だけど……

しおりを挟む
 あらかじめ決められたストーリーにそって進むように、担任教師とベルは『俺がパレルモ様をいじめた』という前提で糾弾をしてくる。
 いくらリオン殿下が、それはちがうと言ったところで、聞く耳を持たなかった。

「貴様ら、この俺の言葉を無視するとはいい度胸だ!己の都合のいいように真実をねじまげようとは、見下げたヤツらだ!!」
 不正が嫌いなリオン殿下だからこそ、そんなふたりの態度に不快感をあらわにする。

「いいえ、とんでもない!そのような下賤のもののために、リオン様が泥にまみれる必要などないと申し上げているだけです」
 もみ手をしながら媚びへつらう担任教師の顔には、取って付けたような薄っぺらい笑みが張りつき、不快感を増加させるだけだった。

「そうですよ~、リオン様がおやさしいのは、よくわかっていますって!だからパレくんとも仲よしなんですもんね?だからムリなさらなくても大丈夫ですから!」
 そして、ヒロインあらためヒーロー?のベルにしても、リオン殿下の発言にもまるで動じる気配は見えない。

「人の話を聞け!パレルモに公爵家の嫡男としての自覚が足らないと言って叱責したのは、まちがいなく俺だ!ダグラスをうたがうなんて、とんだお門ちがいだからな!!」
 そんななかでもリオン殿下は、なかなか相手に伝わらないことにイラだちながらも、必死に己の主張をくりかえす。

「だったら、皆さんにも聞いてみればわかるんじゃないですか?!」
 けれどそれは、暖簾に腕押し。
 ベルはなにかいいことでも思いついたかのように、ポンと手を合わせると、いけしゃあしゃあと提案をしてきた。

「それじゃあ聞きますね、皆さん、パレくんを泣かせたのは、リオン様がいじめたせいだと思う人~?」
 片手をあげてクラスメイトへと問いかけるベルに、しかしあたりまえのことながら、こたえる人はいなかった。

 そりゃ当然だろ、そもそもリオン殿下のあれは正論であって、いじめでもなんでもないし。
 それに、今みたいな聞き方をされてみろ!
 リオン殿下のせいだと、面と向かって言えるような生徒がいるわけがない。

 そんな王家にたいする不敬ともとられかねないこと、ふつうの神経をしているならば、こたえられるわけがないだろ!
 ついでに言った本人ですら、いじめたとは思っていないのだから、同意しようがない。

 これもひとつの、だましのテクニックだ。
 意識の誤誘導というか、まちがえている前提を、さも正しいことのようにとらえた質問をするとか、もう!!
 もし、それをわかってやっているのなら、ベルはなんて食えないヤツだろうか!

「ほら、だれも手をあげないじゃないですか!なら、泣いているパレちゃんの前にいて、うたがわしいのはあなただけになるんです!」
 ビシッと俺を指差しながら、ドヤ顔で見当ハズレな推理をさらされたところで、今後の展開を思うと胃が痛くなるばっかりだった。

 この子のあたまには、パレルモ様が叱られて泣いたとか、演技をしているとかの選択肢はないんだろうか?
 まぁ、このゆるふわぼっちゃんなら自分が悪くて叱られたことでさえも、ガチでいじめられたと思ってそうだしな……。

 パレルモ様の目の前にしゃがみこみ、その顔を見ようとすれば、ふいっと目をそらされた。
「……パレルモ様も、本当に私がいじめたとお感じになっているんですか……?」
 もしそうなら仕方ない、そうあきらめをにじませた声でたずねる。

 おそらく、いじめたのが事実であるかどうかなんて関係ない。
 ただパレルモ様がそう感じていたなら、それだけで俺は『黒』になる。
 それくらいの力を、パレルモ様の父親のライムホルン公爵は持っていたから。

 パレルモ様がそう思っていたのなら、まずまちがいなく俺の命はない。
 そのこたえがどういうものになるのか、固唾を飲んで見守った。
 いまだにベソをかいているパレルモ様は、そっぽを向いたまま、俺と目を合わせようとはしてくれなかったけれど。

「パレくんをいじめた本人に問いただされたら、怖くてこたえられるハズがないでしょう?!少しはかんがえたほうがいいですよ!?」
 パレルモ様をかばうようでいて、その目が俺にたいする冤罪に多少ゆらいでいるのが見てとれたから、きっとベルはそれを先まわりしてつぶすために言ってるんだろう。

「……よくまわる口だな。まったく、無礼なピンクあたまだ」
 勝手に激昂していくベルを尻目に、大きくため息をつくと、ゲームのシナリオどおりのセリフをあえて口にして、ゆっくりと立ち上がった。
 それにしても……と、ふと思う。

 こんなふうにテイラーがつるし上げを食らうとか、原作のゲーム本編にはなかったのに……。
 まるで昼間から、悪夢でも見ているかのような気分だった。

「先生から見て、私がパレルモ様をいじめたように見えるというなら、なにをおっしゃろうとかまいません。ですが、ひとつだけうかがわせてください。なにを根拠に、私がやったとおっしゃっているんですか?」
 本当は怒りで一発殴ってやりたいくらいの気持ちだったのをグッとこらえ、冷静にたずねかえす。

 ここまではっきりと俺を犯人だと決めつけるからには、根拠があってのことなんだよな?
 それもないようじゃ、名誉毀損で訴えてやるからな!?
 口には出さず、ひそかに決意をする。

「っ、なに生意気なことを言っているんだ!生徒が教師に歯向かうなど、あってはならんことだ!!」
 俺からの質問に、しかし担任教師は一瞬言葉に詰まったあと、こたえるでもなく烈火のごとく怒りはじめた。

 きちんとした根拠や証拠があるのなら、それを示せばいいだけのことだ。
 なのに例示すらせずに、論点をすり替えて怒った。

 ───それってつまりは、たいした根拠もないってことだろ?

 たしかにそれでも身分差のエグいこの世界では、場合によっては白いものも黒くできる。
 だから整合性はあるものと判断されて、担任とベルとで俺を断罪するようなシナリオに改変できたんだろう。

 でも、これまでの改変を見てきての推測でしかないけれど、シナリオの改変を行ってあらたなイベントを作り出せたとしても、侵食者自身ではその結末までを決めることはできないんじゃないだろうか?
 さらに、この世界の人の気持ちまでは、簡単にはいじれないんだとしたら。

 そこに俺の勝機はある。
 そしてそれらの改変は、この世界の住人として取れる手段でも抵抗できるのは確認済みだった。

 なら、やってやろうじゃねーか!
 俺の持つ原作知識と知恵で、見事この理不尽、打ち破ってやる!!
 そんな決意を固めたところで、担任とベルを見据えた。

「では、どちらの主張が正しいのか、『査問会』をひらいて、その場で決めていただきましょう」
「なっ!?」
「査問会……?なにそれ?」
 俺からの提案に、両者はことなる態度を見せた。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 校正も自力です(笑)

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います

緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。 知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。 花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。 十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。 寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。 見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。 宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。 やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。 次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。 アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。 ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃がはじまる──! といいな!(笑) 本編完結済、ロデア大公立学園編、はじめました! 本編のあと、恋愛ルートやおまけのお話に進まずに、すぐロデア大公立学園編に続く感じです。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけです! 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ※第33話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

悪役令息(Ω)に転生した俺、破滅回避のためΩ隠してαを装ってたら、冷徹α第一王子に婚約者にされて溺愛されてます!?

水凪しおん
BL
前世の記憶を持つ俺、リオネルは、BL小説の悪役令息に転生していた。 断罪される運命を回避するため、本来希少なΩである性を隠し、出来損ないのαとして目立たず生きてきた。 しかし、突然、原作のヒーローである冷徹な第一王子アシュレイの婚約者にされてしまう。 これは破滅フラグに違いないと絶望する俺だが、アシュレイの態度は原作とどこか違っていて……?

【完結】義妹(いもうと)を応援してたら、俺が騎士に溺愛されました

未希かずは(Miki)
BL
第13回BL大賞 奨励賞 受賞しました。 皆さまありがとうございます。 「ねえ、私だけを見て」 これは受けを愛しすぎて様子のおかしい攻めのフィンと、攻めが気になる受けエリゼオの恋のお話です。 エリゼオは母の再婚により、義妹(いもうと)ができた。彼には前世の記憶があり、その前世の後悔から、エリゼオは今度こそ義妹を守ると誓う。そこに現れた一人の騎士、フィン。彼は何と、義妹と両想いらしい。まだ付き合えていない義妹とフィンの恋を応援しようとするエリゼオ。けれどフィンの優しさに触れ、気付けば自分がフィンを好きになってしまった。 「この恋、早く諦めなくちゃ……」 本人の思いとはうらはらに、フィンはエリゼオを放っておかない。 この恋、どうなる!? じれキュン転生ファンタジー。ハピエンです。 番外編。 リナルド×ガルディア。王族と近衞騎士の恋。 ――忠誠を誓った相手を、愛してはいけないと思っていた。切ない身分差、年の差の恋。恋の自覚は、相手が成人してからになります。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。

処理中です...