ここは弊社のゲームです~ただしBLゲーではないはずなのに!~

マツヲ。

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169:真実のもたらす衝撃波をくらえ

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 今の端的な説明ではあまりにもシンプルすぎて、まともな説明とは言えないよなぁ……。
 さりとて、どこまで話して大丈夫なんだろうか?
 でもこのまま迷っててもしょうがないし、ひとまず試してみるか。

「まず説明する前提条件として、『星華せいかとき』の世界観の根底にあるかんがえ方に、『きっかけこそ偶然でも、その先は必然がかさなりあった結果でできている』っていうものがあるんだけど……」
 はたしてクレセントは、それをどこまで知っているだろうか?

「もちろん知ってるに決まってるでしょ!もはやファンには常識でしょ、常識。こちとら各種SNSの公式アカから、スタッフの個人アカまでフォローしてるガチ勢だっつーの!」
 そんな俺の心配をよそに、クレセントは食い気味なくらいに身を乗り出してきた。

「お、おぉ……じゃあ話は早いな。なら、それを踏まえて聞いてほしいんだけど、今の俺からは猛烈なあたまの痛みに襲われる前におまえと話していたこと、そしてその内容に関する記憶が完全に抜け落ちてるんだ……しかも思い出そうとするだけで、また激しい頭痛に襲われそうになる」
 まずは淡々と、この身に起きている事象について告げる。

 よし、この時点では頭痛のきざしもなさそうだ。
 てことは、今自分に起きたことについて言及するのは、問題ないってことになるな!

「なに、それ……??」
 それにたいするクレセントは、ぽかんと口を開けたまま、あっけに取られていた。
 そりゃ、いきなりこんなこと言われたら、だれだってとまどうだろう。

「そしてその内容について、おまえもまた言葉にしようとすると、不可思議な力がはたらいて、声が出なくなるわけだ。そこまではいいか?」
「うん、まちがいないね」
 念のために事実確認をすれば、クレセントは大きくうなずきながらこたえてくれた。

「おなじ内容に関して、ふたりの人間が同時に記憶が飛んだり、突然しゃべれなくなるなんてふしぎな現象に襲われるとか、たんなる偶然とするには、あまりにも不自然だろう?まして、この世界の根底にあるかんがえ方と照らし合わせてみろよ。そんなおかしなことが、なんの意図もなく、ただの『偶然』で起きるハズがないだろ!」

 この世界がどういう世界なのか、それを創りあげたスタッフのひとりである『』だからこそ、自信を持って言いきれる。
 この世界に、そんな意味のない偶然は起こりっこないんだってことを。

「───ならそれはきっと、なんらかの意図をもって『必然』とされて起きたことなんだ。そしてその理由を想像してみると、今クレセントと話していたことは本来、この世界の住人が知っていてはいけないことだった、となるんじゃないか?」
 きっとあの女神様がここにいたら、『さすがです創造主様!』とか言いそうな気がする。

 そしてやっぱり今の俺たちに起きたことについて、その理由をかんがえようとすること自体にも、特段の制約はなかった。
 たぶんあれだ、俺の性格からしてゲームのプレイヤーに課される条件のようなものがあれば、そこはすなおにしたがうだろうし、問題ないとみなされているのかもしれないな。

「……う~ん、そう言われると、そうとしか思えなくなってくるね」
「だろ?」
 最初は渋い顔をしていたクレセントも、腕を組んだまま首をひねり、やがて盛大なため息とともに同意を示してきた。

 とはいえ、あいかわらずその眉間には深いシワが刻まれたままだったけど。
 う~ん、どうやらこれはまだ本人に引っかかりをおぼえる点があるってことなのか?

「───でもちょっと待って、そんなふうに『星華の刻』の世界観ができているからって、ここがそうだとはかぎらないでしょ?」
 そう思った矢先に、案の定クレセントからの反論が提示される。

 まぁ、その疑問は、もっともだろうと思う。
 だって彼は、ここがどういうところなのかを知らないんだから。

「そうだな………」
 さて、どうしたものか。
 逡巡したのは、ほんの数秒間だったとは思う。

 でもその数秒間は、俺にとってはとても重かった。
 この世界を守りたいという気持ちと、それを蹂躙しようとしたものへの怒り、そしてなにより『星華の刻』を大好きでいてくれるファンを信じたいという希望とが俺のなかでぶつかり合う。

 やはり、今ここでそれを相手に明かしてしまっても大丈夫なんだろうか、かえってもっと好き放題ヤラカシてくるんじゃないかってことは、最後まで不安としてのこっていたし。
 でも人を信じなきゃ、なにもはじまらない。

「───うん、決めた。俺はおまえを信じる」
「なに、急に?」
 一度目をつぶって軽く深呼吸をすると、今度はまっすぐにクレセントの目を見て告げた。

 うたがうよりも、俺は『星華の刻』を愛するファンの人たちを信じたかったんだ。
 あのやさしい世界を愛する人なら、きっとわかってくれるハズだって……!

「それが偶然ではなく、必然で起きたことなんだって言いきれるんだよ。だってここは───すべての『星華の刻』の大元になる世界、『原典オリジナル』の世界なんだから」
「それって……」
 こちらに視線をかえすクレセントの内心の動揺は、せわしなく動き出した目線にあらわれていた。

「正真正銘、本物の、生きている彼らの住む世界なんだ」
 ゆっくりと相手の心にまで染み込むようにと言葉を区切って告げれば、対峙するクレセントの目が大きく見開かれ、あきらかに顔中に冷や汗が浮かびはじめている。

「はっ!?えっ?!オリジナルって……えぇっと……待って!?どういうこと……??」
 そしてあたまをかかえたクレセントは、今やおもしろいくらいに混乱していた。
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また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

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