ここは弊社のゲームです~ただしBLゲーではないはずなのに!~

マツヲ。

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171:思わぬ味方ができたらしい

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 今の音声はなにを伝えてきた……?
 ぼんやりとしたあたまで、必死にかんがえる。
 あぁそうだ、『テストプレイユーザーの追加』だ。

 それってつまりは───この世界の住人として、仮とはいえ、クレセントが認められたってことにならないか!?
 この世界に侵食してきた、排除しなければならない危険な異分子だと思っていたけれど、これからはそうじゃないってことになるのか───??

「……………よろこべ、クレセント。おまえがこの世界に滞在することが、おそらくだけど、容認されたらしい」
「えぇっ!?マジで!?」
「あぁ、そう聞こえた」
「マジで!?やったぁーーー!!ありがとうございます、神様ぁ~~っ!!」

 ただし『テストプレイユーザー』としてだとか、余計なことはつけ足さず結論だけを告げれば、わかりやすくテンションをあげたクレセントは、両手をふりあげて全身でよろこびをあらわしてきた。
 それどころか、その場で奇妙な振付でおどりはじめる始末だ。

 まぁ、だれから言われたのかとか、なんで俺にしか聞こえなかったのかとか、そこを追及されずに済んだのは幸いだったけど。
 聞かれたところで、こたえられたかもわかんないしな。

「じゃあじゃあ、僕はこれからもここに残って、大好きなこの世界を堪能してもいいってこと?!」
「まぁ派手にヤラカシて、こんなところに収監されてるんだから、もう好き放題に暴れるんじゃないぞ?」
 念のためにクギを刺したものの、はたして浮かれたクレセントがどれだけこちらの話を聞いているのかは、わからなかった。

「もちろん、もう身のほどはわきまえるよ!僕はモブでいい、なんならこの世界を味わえるなら人でなくてもいいんだ───それこそ、パレくんの部屋の壁だって柱だってかまわないし!あ、でもここから出してもらえたあかつきには、約束どおりベルに張りついて、だれよりも近くでその攻略を見届けるからね!」
「切り替えはやいな、おまえ……」
 なんていうか、本当に反省しているのかわからなくなるな……。

「……まぁ、おまえがいなくなってからパレルモ様が落ち込んでるからな。俺の精神衛生上、よろしくないのもたしかだから……少しでも早く出られるように口添えするくらいなら検討してやるよ」
 さすがにここは風紀委員の管轄だし、ただの協力者にすぎない俺にはなんの権限もない。
 だからはっきりと、『出してやる』とまでは言えないけれど。

 それでもたぶん、クレセントへの処分はそんなに重くはならないハズだ。
 だって今回の被害者は俺ではあるし、我が家への誹謗中傷未遂ではあるけれど、このことで我が家が動くことはないと思う。

 なにしろクレセントはパレルモ様のお気に入りなんだから、そしたらパレルモ様の機嫌を損ねることになるわけだろ?
 むしろ査問会まで開いてパレルモ様の立場をなくさせた俺を罰したとしても、クレセントを罰しようなんてことにはならないハズ。

 ………うん、かんがえるほどに今の俺の立場、マズいよね?!
 パレルモ様のことをほったらかしにしたあげく、敵対したみたいになってるとか、ライムホルン公爵閣下からの心証も最悪じゃん!

 これはもう一気に残虐な処刑コースまっしぐらかも……。
 うぅっ、胃が痛い……。
 ていうか、頭痛も地味に復活してきてるし、本当に立ってるのもツラくなってきたかも。

「マジで!?僕がいなくなって、パレくんが落ち込んでるだって?!そんな……僕のこと、気に入ってくれてたんだね?!もういつ死んでもいいっ!待っててね、パレくん!僕は必ずそばにいくから!!」
 俺とは対照的に、元気になっていくクレセントがうらやましいというか。

 でもその気持ちは、わからなくもない。
 俺だって大好きなゲームの世界に入れたってこともうれしかったし、さらに『うちの子』セブンから懐いてきてくれるのは、ムチャクチャうれしかったもんなぁ。

「……よかったな」
「うんっ!本当にもう、めっっちゃうれしい!!今ならこの世界を蝕む魔王だろうとなんだろうと、なぎ倒せる気がする!あなたにもお礼を言わなくちゃ、ありがとうございますっ!」
 いやはや、あきれるほどにクレセントは元気いいな。

「ううん、お礼の言葉なんかじゃ足んないよね!僕にできることがあったら、なんでも言って!」
「あぁ、じゃあもし今後なにかあったら、おまえからパレルモ様へ取りなしてくれよ?」
「まかせて!パレくんといっしょの空気を吸えるなら、なんでもするよ!」

 思わぬところで、味方ができたのか……?
 こんなことくらいで、俺の処刑エンドが回避できるとはかぎらないけど。

 とはいえ、それはさておき。
 そろそろこのポンコツすぎる最弱なからだが、これ以上は体力の限界だと悲鳴をあげてきた。

 ここで倒れでもしたら、今度こそブレイン殿下にも迷惑をかけてしまうし、まちがいなくお説教タイムに突入してしまいそうだ。
 なら、そろそろ切り上げ時だよな?

「───ところで、もし早くここを出たいなら、『ペロさん』がこの世界でだれなのかってこと、話してもらうからな?」
 ずいぶんと時間がかかってしまったけれど、ようやくずっと聞きたかった本題に入ることができた。

「えっ……?まさかあなた、まだペロさんと会ってなかったの?!」
 今のクレセントなら、きっと浮かれたついでに口をすべらしてくれるかもしれない。
 そんな期待を抱きつつ話を振れば、前なら『敵』とばかりに警戒されていただろうけれど、やっぱり警戒心はゆるんだままのようだった。

「っていうか、おなじクラスにいるじゃない、ほら───って、んんっ?!えっ、ウソでしょ!?ペロさんは───うわああああ!!!!」
 特になんの抵抗もなくこたえようとしていたクレセントだったが、それが突然固まったと思ったら、直後に大声をあげて苦しみ出す。

「おい、どうしたんだ、クレセント?!」
 わからないけれど、クレセントの身になにか尋常ではないことが起きているのだけは、まちがいなかった。
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