上 下
21 / 59
第一章 終わり。そして、新たな道へ。

Ep.4.0-③ 自分なりの“技能”。-③

しおりを挟む
「あれ?
 そういえば、お前、“技能スキル”持ってたんだ?」

不思議に思い、尋ねてみる。

「うん。
 貴方がさっき、ファイルと睨めっこしていた間、私すごく暇だったじゃん?
 だからその間に、昔、転生させた人が使ってた“技能スキル”の中で、使いやすくて、リスクが少ない物を選んでおいたのよ。
 結構いいのが選べたと思うわ。」

へー、気づかなかった。
あの間にか。

というか、ほんと脱線しすぎだ!
そうだよ!
今は俺の“技能スキル”のことだよ!

「で、さっきの演算で結局どんな組み合わせの案が出たんだ?」

「いけない、そうだったわね。
 全く、貴方って人は……。
 話を脱線しすぎよ。
 本当にポンコツなんだから。」

ルアンメシアはクスクスと笑う。

うん、たしかに言われてみれば、俺もポンコツなのかもしれない。

だけどな、お前が偉そうに言うな!
確実に俺は、お前よりはまだましだと思うぞ。

とか言い返すとまた、脱線が続いてしまうので、ここはぐっと堪える。

「そうだな。
 次からは気をつけるよ……。」

「うんうん。
 それなら、そんな貴方にこれを!」

そういうとルアンメシアは先程やったのと同じように、どこからともなく紙を取り出した。
でも今度は二、三枚の紙にまとめられており先程よりも圧倒的に少ない。
なんと有難い。

「ありがと。」

そう言って受けとり、テーブルの上で広げてみる。

どうやら三つの組み合わせの案が算出されたみたいだ。
三枚の紙にそれぞれ、一つずつの組み合わせが記されている。

とりあえず、一枚目に書いてある一つ目の組み合わせの案から目を通してみる。

<“技能スキル”> 
①SSランク一次性能力:吸血鬼 ヴァンパイア
吸血による身体能力の向上などができるようになる能力。
②SSランク四次性能力:無限回復 オーバーヒーリング
制限なく回復ができる能力。
③Sランク五次性能力:身体強化Ⅳ フィジカル・エンハンスメント・フォースレベル
身体のパラメータを全体的に向上できる能力の四段階目。
④Aランク二次性能力:身体硬化 ボディ・ハーディング
身体を硬化し、防御や攻撃に使用できる能力。
⑤Bランク三次性能力:液状化 リィキュファクション
様々な物を液体に変えることができる能力。
⑥Cランク五次性能力:高速化Ⅱクロックアップ・セカンドレベル
動きを高速化できる能力の、二段階目。
⑦Dランク五次性能力:視力向上 アイサイト・アップ
視力を向上できる能力。
<魔素因子>
火、風。
 

なるほどね。
いや、なかなかかっこいい組み合わせだと思うよ?
だけどさ……。
吸血鬼 ヴァンパイアってワード、なんか嫌な予感するんだよな……。

「なあ、その吸血鬼 ヴァンパイアって、やっぱり日に当たったりするとさ……。」

「完全消滅するわよ。」

無限回復 オーバーヒーリングとかいうのを使ったとしても?」

「無理ね。
 無限回復 オーバーヒーリングに物質の消滅を防ぐ機能なんてないもの。」

ルアンメシアは肩をすくめた。

ええ……。
やっぱりそうなの?
昼間外に出れないとか、とんだ欠陥“技能スキル”じゃねえかよ、おい……。

「お前、やっぱ、ポンk……。」

すると、ルアンメシアはちょっと怒ったように言った。

「しょ、しょうがないじゃない。
 欠陥ばっかりなものがほとんどなのよ“技能スキル”っていうのは!
 これでもまだ全然ましな方よ?」

いや、分かるよ?
あの、加速破壊 ブーストブレイクとか、次元抹殺 ディメンションデコンポーザーに比べればまだましだとは思うけどさ……。

「さ、流石にこれはパスだな。
 次行こ、次。」

まあ、まだ案は二つあるしな。
それに賭けよう……。

「そうね……。
 次はまだマシだから安心して?」

信じてますよ?
ルアンメシアさん。
と思いつつ、二枚目に視線を移す。

<“技能スキル”〉
①SSランク一次性能力:探求者 シーカー
様々な物を探索したりするのに役立つ能力。
②SSランク一次性能力:超記憶 ハイパー・メモリー
一度見たり聞いたりしたものは絶対に忘れない完全記憶能力。
③Sランク三次性能力:物体加工 メイクシフト
様々な物の性質や、見た目などを変化させることができる能力。
④Aランク五次性能力:集中力向上Ⅲ コンセントレイション・アップ・サードレベル
集中力を向上させる能力の三段階目。
⑤Bランク一次性能力:高適応力 ハイ・アダプタリビィティ
周りの環境などへの適応度を高める能力。
⑥Cランク一次性能力:観察眼 オブザベーションアイ
様々な、物や人、魔物を鑑定できる能力。
⑦Dランク五次性能力:思考力向上Ⅰ シンキング・アップ・ファーストレベル
思考力を向上させる能力の一段階目。
<魔素因子>
土、水。

うーん……。
なんか、こう、微妙な感じだ。
名前の感じだと割とリスクの少なそうな“技能スキル”ではある。
だけど、なんかさっきのみたいに心を掴まれるようなワクワク感あまりない。

俺が微妙な顔をしていることに気付いたのか、ルアンメシアは焦りながら言った。

「そ、そんな顔しないで?
 大丈夫だから!
 まだ次のがあるから!
 次のはきっと気にいるって!」

いや、まあ、そうだね。
次があるね。
うん。
信じる事にしておくよ。

まあ、最悪この二つ目でも妥協はできなくはないし。

「分かったよ。
 信じる。」

ルアンメシアはコクリと頷いた。

三枚目に視線を落とす。

<“技能スキル”>
①SSランク一次性能力:剣聖 ブレイド・マスター
剣の才能がもたらされる能力。
②SSランク一次性能力:二刀流 ダブルブレイド
二刀流の才能がもたらされる能力。
③Sランク三次性能力:血液変換 ブラッドリメイク
血液を魔素を含む物や、有機物以外、あらゆる物に変換できる能力。
④Aランク四次性能力:重加速回復 ヘヴィ・アクセラレイト・ヒーリング
一度回復し始めると、時間経過で回復率が上がっていく能力。
⑤Bランク二次性能力:防御力向上Ⅲ プロテクション・アップ・サードレベル
防御力を向上させる能力の三段階目。
⑥Cランク五次性能力:分析力強化 アナリティカル・エンハンスメント
分析力を強化させ、より、冷静な判断をしやすくなる能力。
⑦Dランク一次性能力:反射神経強化 リフレックス・エンハンスメント
反射神経を強化させる能力。
 <魔素因子>
闇、水。
 
「どう……かな……?」

ルアンメシアが不安げに聞いてくる。

……いい。
いい!

これだよ!
これ!
こういうのを求めてたんだ。

でも、やっぱりこんな能力にも欠点があるのだろう。

「ルアンメシア。
 この組み合わせすごくいいと思う。
 でさ……。」

「分かってる。
 欠点でしょう?」

俺は黙って頷く。

「この組み合わせの欠点は、とてつもない努力が必要だという点ね。
 それこそ他のどの組み合わせにも類を見ない程に。
 あと、血液変換 ブラッドリメイクは一気に使いすぎると、重加速回復 ヘヴィ・アクセラレイト・ヒーリングが追いつかなくなって貧血を起こすわ。
 相当な覚悟がないなら選ばない方がいいわね。」

努力か……。
そんなの決まってる……。


そう、俺は決めたんだ。

今度こそは絶対に後悔の残らないように生きると。


そのためなら、やってやるよ。
努力なんていくらでも。

使いこなしてやるよ。
その“技能スキル”達を。

「ルアンメシア。」

だから。

「うん。」

「一番最後の組み合わせで頼む。」

ルアンメシアは驚くかと思ったが、意外と冷静だった。

「本当にいいの?
 これで。」

確認してくるルアンメシアにまっすぐ向き合い、俺は答えた。

「妥協なんかじゃない。
 俺は、がいいんだ。」

そういうとルアンメシアは今日一番の笑顔で微笑んだ。

「うん。
 なんとなくだけど、分かってたよ。
 これを選ぶって。
 流石は私が見込んだ人ね。」

俺は苦笑した。

「じゃあ、これで転生先も決まったわ。」

え?
これでって、どういうこと……?

***
こんばんは、錦木れるむです。
六時に公開できなくて申し訳ございません。
カクヨムとアルファポリスは記法が全然違うため、ルビなどの変換に多大な時間を要してしまいました。
次からは前もってしっかりやっておきます💦

ご気軽にコメントお願い致します。必ず返信させていただきます。応援、感想コメント頂けると嬉しいです。また、表現や、言葉などに間違えなどがあったら指摘してくださるとありがたいです。よろしければ、お気に入りもよろしくお願いいたします!これからよろしくお願いします!
しおりを挟む

処理中です...