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第二章 王国国立学園入学。

Ep.12.0-① 誰かのために。-①

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大きく息を吸い、声を上げる。

「おい!
 てめえら人様の家になんて事してくれてんだ!」

周りの注目をこちらが完全にこちらに向く。
俺とルアがここにいることに警備兵のみなさんも、黒いローブの連中も驚きを隠せないようだ。
黒いローブの連中のうちの一人がボソリと呟いた。

「……レイジ……アルフェリス……生きていたか……。
 ……それに……ルア……アルフェリスも……。
 ……計画に狂いは……ない……。
 ……ただ我々は、……命に従うのみ……」
 
言ってる事は聞き取りにくいし、全身黒いもの身に纏っててなんか不気味だし、まじで気持ち悪い連中だ。
コイツらはカルト宗教かなんかだろうか?
まあ、今はそんな事考えるだけ時間の無駄だ。
コイツらはさっき俺のことを本気で殺そうとしわけだし、エレナ様の事を暗殺対象とか言ってたわけどしな。



そして今度は、 警備兵の一人が大声で叫んだ。

「レイジ様!
 それにルア様も!
 ここは危険です!
 早く逃げてください!」

何言ってんだ。
ここで逃げたらあんた達が……!
チッ、ここはどうにかこの人達を鼓舞するしかない……!

「警備兵のみなさん!
 お忘れですか!?
 俺とルアは誇り高き王国八大貴族が一つ、アルフェリス家の人間です!
 そしてみなさんはそのアルフェリス家に実力を認められて雇われている、違いますか!?
 こんな奴らに負けるわけないでしょう!?
 俺とルアも参戦します、だから、この屋敷にいるみんなを、アルフェリス家を、一緒に守りましょう!!」

一瞬、周りが静まり返る。
あれ、引かれた?
ど、どうだ……!?

次の瞬間。

「「「「「ウォーーーーーー!!」」」」」

警備兵のみなさんが雄叫びをあげ、一気に敵に攻め立て始めた。

ッカーーン!
キーーン!!

す、すげえ。
なんかみんな一気にやる気に溢れてきた。

あ、やばいやばい。
ちゃんと言っとかないと。

「み、みなさん、できれば生け取りに!
 極力殺したりすることがないようにお願いします!」

「「「「「オー!!!」」」」」

よかった分かってくれたみたいだ。

じゃあ、俺がやるべきなのは、アイツだ。
さっきから喋ってる、あのいかにもオーラからしてヤバそうなガタイのいい男。

本能的にコイツはやばいと感じる。
立ち姿、姿勢、眼光、剣のサイズ、そして身につけている真っ黒なローブに一本だけ白い線がついていたりと、全てが他の黒ローブの連中と違う。
間違いない、コイツがだ!
まずはコイツを……!

『ルア。』

『分かってる。
 あのヤバそうなやつでしょ?
 私が、援護するからレイジは一気に攻め立てて!
 まず、ダメージ軽減と高速化のバフをかける……!』

『了解!』

ルアが俺にかけたバフを感じつつ、右足を思いっきり踏み込み、一気にソイツに向かって飛び出す。

よし!
他の連中は反応できてなくてガラ空きだ。
今だったら……一気に叩き込める……!

剣身に、手のひらで発生させた火と光の合成魔術を惜しみなく、流し込む。
剣身が紅く光り、柄までその熱さが伝わる。

コイツを倒した後のことを考えて、使う技は俺が今使えるものの中で三番目に強い、“プロミネンス”を使う。

ここで……決める……!

『プロミネンス……!』

その瞬間、ソイツが俺の視界から消えた。
本当に言葉通りにソイツが“”のだ。

!?
は!?

体のバランスを崩しかけ、一度地面に着地する。

アイツ、どこ行きやがったんだ?

その途端、身体中をなんとも言えない不快な感じが支配した。

!!
なんだと、後ろ!?

「……いい動きだ……レイジ・アルフェリス……。
 ……だが……遅い……その程度の攻撃……」

『ストームブレイク』

見えないはずなのに、ソイツが俺に斬りかかろうとしているのが鮮明に分かる。

今後ろを振り向いても多分間に合わない。
だったら……!

左手を剣から離し、ソイツがいると思われる方向に向け、瞬時に詠唱する。

血液変換 ブラッドリメイク!』

先程できた傷跡から血液が飛び出し、左手のところにとある物を生成する。

ガン!

派手な音を上げ、ソイツが振り下ろした剣がそれとぶつかる。

「……何?」

ソイツは少しだけ困惑したような声を上げた。

よし!
どうにか間に合った!

俺は左手に握っている物、血液変換 ブラッドリメイクで、血液から生成した盾。
俺が今までに血液変換血液変換 ブラッドリメイクで作った物の中で最大サイズの物だったため、しっかり作れたことに一瞬だけ安堵したが、またすぐに気を引き締め、盾を血液に戻し、体内に戻す。
盾があった方が遥かに心強いが、戦闘中に貧血になる方が死活問題だ。

それにコイツの前で油断したら、すぐに殺されるやられる
畜生、一瞬でも気が抜けねえ!


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