45 / 59
第二章 王国国立学園入学。
Ep.12.0-③ 誰かのために。-③
しおりを挟む
だが、血液変換を使うとしても、時間がかかってしまう。
先程作った盾は、前にサイズこそ違えど、近しい物を生成した事があったが故に、即座に生成する事ができたのだ。
その一方、剣は今まで生成してみた事が一度もない。
ともかく、どうにか生成に要する時間を稼がなきゃならない。
男に悟られないよう、振り向かずにルアに念話で話しかける。
『ルア!
血液変換で剣を生成する!
剣の生成はやった事ないから時間がかかると思うんだ。
だから、そのための充分な時間を稼ぎたい!』
『しょ、正気なの!?
レイジ、貴方はもう魔素が……!』
今はそんなこと気にしてられねえんだよ!
『分かってる!
でも、やるしかねえんだ!
みんなのために、エレナ様のために、そしてお前のために!』
分かってくれ、ルア。
お前だったら、この状況と、どうするべきなのかが理解できるだろ?
『っ……!
……で、でも……!』
『大丈夫だ。
速攻でやる……!』
流石に俺の圧に折れたのか、ルアは最後に気をつけてね、とだけ言って黙った。
まずはコイツらが何者なのかとか目的はなんなのかとか色々と聞き出す事も考えて、対話を試みてみよう。
上手くいけば、もしかしたら交渉もできるかもしれないし。
……まあ、さっきもろにエレナ様を暗殺対象とか言ってし、見た目と行動からしてヤバい集団であることは分かるし、本来なら聞き出すもクソもないんだけどね。
ゆっくりと男の方に近づく。
怖え、ジッと見てやがるぞ、コイツ。
「一度、話し合おう。
おまえら、一体何者だ?
目的はなんだ?」
落ち着いたトーンを意識しつつ、少しだけ強気な物言いで尋ねる。
するとソイツは、少し考えるような素振りをしてから、持っていた巨大なを地面に思いっきり突き立てた。
どうやら会話に応じる気はあるみたいだ。
俺は男から三メートルくらい離れたところで立ち止まって、隠しながら剣を生成する為に自分の体の後ろで腕を組んだ。
「……血液変換……」
バレないであろうほどに小さな声で詠唱し剣のイメージを脳内で構築する。
そうしていると男が話し始めた。
「……我々は……悪夢の領域だ……。
……我は……それの一部隊を統括している……。
……名は、グレイブ・タイプ-49と言う……」
一々話すの遅くて聞くこっちとしてはめっちゃイライラするが、それは今はどうでもいい。
それよりも一体なんなんだ?
悪夢の領域?
なんだよその学年に一人ぐらいいそうな厨二病全開の痛いやつが付けたみたいな名前は。
で?
グレイブだ?
おいおい、もろに墓って意味じゃねえか。
縁起悪いなあ。
というかさ、目的言えよ、マジで。
やはり都合が悪いから、話したくないのだろうか?
そんなこと考えている一方で、俺は半分意識があってもう半分は無意識になっているような脳の領域で、剣のイメージを必死で増幅させていく。
そして、手の中で少しずつ少しずつその形が作られていく。
だが、俺自身もそれがどのような形で生成されているのか分からない。
恐らく、俺が、今最も欲している形を脳の無意識領域が再現してくれているのだろう。
とりあえず、こっちの俺は、このグレイブと名乗る男との会話に集中するしかない。
「ほう、グレイブ殿か。
では、グレイブ殿。
先ほどのなぜ襲撃したのがアルフェリス家だったのだ?
王国八大貴族は他にもあるであろう。
それともアルフェリス家そのものに対して恨みでもあったのか?」
手の中に握られたそれが着実に大きくなってきているのを感じつつ、変則的な聞き方をして相手の真意を慎重に探ってみる。
どうだ……?
答えるか……?
三秒ほどして、グレイブは答えた。
「……違う。」
まあ、やっぱりそうだよね。
だってもろにエレナ様の暗殺って言ってたもんね。
とりあえず、あと少しで生成しきれそうなんだ。
もう少し、もう少しだけ時間を稼げれば……!
「違う、と。
では何上で?」
ちょっとばかしきつめの口調で聞き返す。
もうそろそろ潮時かな……?
「……エレナ……第三王女の暗殺だ……」
!?
え、普通に言いやがったんだが、コイツ。
!
仕上がった……。
包み隠すことなく目的を言うグレイブに少し驚いたちょうどその時、生成が完了した。
少し感触を確かめてみる。
……!
この感触は……!
やはり、繰り返す物なんだね、人生って。
その時、グレイブが冷たく言い放った。
「……で、レイジ・アルフェリスよ……。
その手の中の物はなんだ?」
!?
バレていた……?
「こ、これは……!」
くっ、できれば動機も聞き出したかったが……!
「……」
グレイブは地面に突き刺していた巨大な剣を引き抜き、構えの姿勢をとった、と同時に、こちらに突進してきた。
……!
俺は生成された物を引き抜きグレイブの剣の軌道の先に持ってくる。
ガンッ!
俺の生成した剣……刀がグレイブの剣と衝突した。
***
こんばんは、錦木れるむです!今日もお疲れ様です。
次回から、Ep.13.0に入ります!
ご気軽にコメントお願い致します。必ず返信させていただきます。応援、感想コメント頂けると嬉しいです。また、表現や、言葉などに間違えなどがあったら指摘してくださるとありがたいです。よろしければ、お気に入りもよろしくお願いいたします!
先程作った盾は、前にサイズこそ違えど、近しい物を生成した事があったが故に、即座に生成する事ができたのだ。
その一方、剣は今まで生成してみた事が一度もない。
ともかく、どうにか生成に要する時間を稼がなきゃならない。
男に悟られないよう、振り向かずにルアに念話で話しかける。
『ルア!
血液変換で剣を生成する!
剣の生成はやった事ないから時間がかかると思うんだ。
だから、そのための充分な時間を稼ぎたい!』
『しょ、正気なの!?
レイジ、貴方はもう魔素が……!』
今はそんなこと気にしてられねえんだよ!
『分かってる!
でも、やるしかねえんだ!
みんなのために、エレナ様のために、そしてお前のために!』
分かってくれ、ルア。
お前だったら、この状況と、どうするべきなのかが理解できるだろ?
『っ……!
……で、でも……!』
『大丈夫だ。
速攻でやる……!』
流石に俺の圧に折れたのか、ルアは最後に気をつけてね、とだけ言って黙った。
まずはコイツらが何者なのかとか目的はなんなのかとか色々と聞き出す事も考えて、対話を試みてみよう。
上手くいけば、もしかしたら交渉もできるかもしれないし。
……まあ、さっきもろにエレナ様を暗殺対象とか言ってし、見た目と行動からしてヤバい集団であることは分かるし、本来なら聞き出すもクソもないんだけどね。
ゆっくりと男の方に近づく。
怖え、ジッと見てやがるぞ、コイツ。
「一度、話し合おう。
おまえら、一体何者だ?
目的はなんだ?」
落ち着いたトーンを意識しつつ、少しだけ強気な物言いで尋ねる。
するとソイツは、少し考えるような素振りをしてから、持っていた巨大なを地面に思いっきり突き立てた。
どうやら会話に応じる気はあるみたいだ。
俺は男から三メートルくらい離れたところで立ち止まって、隠しながら剣を生成する為に自分の体の後ろで腕を組んだ。
「……血液変換……」
バレないであろうほどに小さな声で詠唱し剣のイメージを脳内で構築する。
そうしていると男が話し始めた。
「……我々は……悪夢の領域だ……。
……我は……それの一部隊を統括している……。
……名は、グレイブ・タイプ-49と言う……」
一々話すの遅くて聞くこっちとしてはめっちゃイライラするが、それは今はどうでもいい。
それよりも一体なんなんだ?
悪夢の領域?
なんだよその学年に一人ぐらいいそうな厨二病全開の痛いやつが付けたみたいな名前は。
で?
グレイブだ?
おいおい、もろに墓って意味じゃねえか。
縁起悪いなあ。
というかさ、目的言えよ、マジで。
やはり都合が悪いから、話したくないのだろうか?
そんなこと考えている一方で、俺は半分意識があってもう半分は無意識になっているような脳の領域で、剣のイメージを必死で増幅させていく。
そして、手の中で少しずつ少しずつその形が作られていく。
だが、俺自身もそれがどのような形で生成されているのか分からない。
恐らく、俺が、今最も欲している形を脳の無意識領域が再現してくれているのだろう。
とりあえず、こっちの俺は、このグレイブと名乗る男との会話に集中するしかない。
「ほう、グレイブ殿か。
では、グレイブ殿。
先ほどのなぜ襲撃したのがアルフェリス家だったのだ?
王国八大貴族は他にもあるであろう。
それともアルフェリス家そのものに対して恨みでもあったのか?」
手の中に握られたそれが着実に大きくなってきているのを感じつつ、変則的な聞き方をして相手の真意を慎重に探ってみる。
どうだ……?
答えるか……?
三秒ほどして、グレイブは答えた。
「……違う。」
まあ、やっぱりそうだよね。
だってもろにエレナ様の暗殺って言ってたもんね。
とりあえず、あと少しで生成しきれそうなんだ。
もう少し、もう少しだけ時間を稼げれば……!
「違う、と。
では何上で?」
ちょっとばかしきつめの口調で聞き返す。
もうそろそろ潮時かな……?
「……エレナ……第三王女の暗殺だ……」
!?
え、普通に言いやがったんだが、コイツ。
!
仕上がった……。
包み隠すことなく目的を言うグレイブに少し驚いたちょうどその時、生成が完了した。
少し感触を確かめてみる。
……!
この感触は……!
やはり、繰り返す物なんだね、人生って。
その時、グレイブが冷たく言い放った。
「……で、レイジ・アルフェリスよ……。
その手の中の物はなんだ?」
!?
バレていた……?
「こ、これは……!」
くっ、できれば動機も聞き出したかったが……!
「……」
グレイブは地面に突き刺していた巨大な剣を引き抜き、構えの姿勢をとった、と同時に、こちらに突進してきた。
……!
俺は生成された物を引き抜きグレイブの剣の軌道の先に持ってくる。
ガンッ!
俺の生成した剣……刀がグレイブの剣と衝突した。
***
こんばんは、錦木れるむです!今日もお疲れ様です。
次回から、Ep.13.0に入ります!
ご気軽にコメントお願い致します。必ず返信させていただきます。応援、感想コメント頂けると嬉しいです。また、表現や、言葉などに間違えなどがあったら指摘してくださるとありがたいです。よろしければ、お気に入りもよろしくお願いいたします!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
28
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる