過去と現在を結ぶ異世界ストーリー

なつきいろ

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第6章 安らぎの時間と魔剣フォルキナ

~提案と覚悟~④

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委員長達が滞在し始めて、あれから3ヶ月がたった。

季節は早秋、今日は15月30日である。
明日から16月となり、季節は晩秋になる。

16月には武術大会があり、目玉はユニークアイテムと判明している

武術大会には当然参加するつもりだ。
俺とあかりはSランク特権で予選なし。
その他の家族達も当然ながら地区予選は通過した。



この3ヶ月でだいぶ俺のまわりの環境も変化した。

まず夏休みが終わり、魔法学校が始まった。
可愛いちびっ子達であるサリーとアオイと一緒に毎日登校している。

委員長には、俺が真面目に学校に通っていることに驚かれた。
ただ、通ってる理由を教えたら呆れられたけどな。

.....ひどくね!?


次に、エステルが自宅に戻ることになった。
夏休みの間はうちに滞在していたが、夏休みが終わった今、戻らざるを得ない状況になった。

戻る時のエステルの悲しそうな顔は今だに忘れられない。
学校で会えるとはいえ、俺もエステルが側にいない生活は考えられない。

.....けじめをつける時が近いようだ。


さらに様々な国に行き、数多くのダンジョンを制覇した。
ユニークアイテム目的ではあったが、成果は芳しくない。
リア曰く、もしかしたら秘匿案件絡みかも、とのこと。

さすがギルド職員。そういう情報はリアが頼みとなる。
リアには頼りっぱなしだ。
なのに他のお嫁さんに比べて寂しい思いをさせている。

.....エステルだけでなく、リアとの関係も考えないとな。


ここ最近は忙しかったが、ようやく時間がとれるようになった。
俺はここらで、いろいろ行動しようと密かに誓うのだった。

□□□□

帝都エクスペイン・『居住区』ユウジ邸 14時

明日は月始めの休日となる為、本日の魔法学校も半日で終わった。
それはとても嬉しいのだが、正直やることがない。

サーシャやセリーヌは鍛練中。
あかりはSランク冒険者の仕事で不在。
エステルは実家だし、ちびっ子達(たまちゃん含む)はお昼寝中。

.....あれ?
俺ってやつは、実はみんながいないと何もやることがない!?

枯れた老人かっ!

いやいやいや!
一人ツッコミしてる場合じゃない!
なにかないか!?楽しいこと!

そんな焦燥にも似た焦りを感じながら、屋敷をうろうろしていたら、庭のほうから暇つぶしできそうな声が聞こえてきた。

よし!いっちょ揉んでやるか!

俺はウキウキしながら、庭へと歩みはじめた。

□□□□

「調子はどうだね?諸君」
「諸君、じゃないわよ。何様よ」
俺様だが、なにか?

庭にいたのは委員長達を始め、ハリーとアイサ、そしてスハイツとジーンだ。
間違いなく鍛練をしている最中だろう。

基本的に午前中にはサーシャの世界で、そして午後からは庭で鍛練しているらしい。
サーシャ達と被らないように配慮しているとか。

「スハイツ達や委員長達はどんなもん?」

俺は鍛練を任せている、ハリーやアイサに尋ねてみた。

「スハイツ達は一般騎士レベルぐらいまでにはなっているさね」
ふ~ん。スハイツ達を見ているのはハリーなのか。

え?なんでそんなことも知らないんだって?
だって興味ないし?スハイツ達は男だし?

.....それにしても騎士レベルか。神眼!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ジーン 11歳 ♂ レベル:72

種族:銀狼族
職業:奴隷

体力:560000(56万)
魔力:120000(12万)
筋力:480000(48万)
敏捷:960000(96万)
器用:60000 (6万)
幸運:51
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

確かにハリーの言う通り、一般騎士レベルか。
もう少し頑張ったら、リブループ騎士団にも入れるな。

「ふむ。拾った時とは段違いな成長速度だな」
「ほ、本当か!?兄ちゃん!?」
「本当!?お兄さん!?」
兄ちゃんじゃねぇって言ってんだろ!

ゲシッ!

「纏わり付くな!蹴っ飛ばすぞ!」
「兄ちゃん、蹴ってるから!蹴ってるから!」
「お、お兄さん。痛いよ」

知らんがな!
無意識に蹴ってたんだから、俺は悪くない。


そんな俺の行動を見たハリーは、

「ユウは相変わらずさね」
「どうせ抱き着かれるなら、ジーン達よりハリーがいいしな」

俺の言葉に対して、はいはいとばかりに手を振って受け流した。

ちっ。
猫人族はむやみやたらと馴れ合わないのは本当らしい。


今度は委員長達を担当していたアイサに尋ねてみた。

「それで委員長達はどうだ?」

「いや~。さすが勇者でありますな。ぐんぐん成長しているであります。もう少ししたら自分一人で四人相手は厳しくなるでありますな」

ふ~ん。なんだかんだ言っても勇者か。神眼!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ナギサ・クロカワ 18歳 ♀ レベル:312

種族:人族
職業:勇者

体力:8900000(890万)
魔力:6800000(680万)
筋力:4000000(400万)
敏捷:2500000(250万)
器用:1000000(100万)
幸運:69
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

なるほど。
3ヶ月前に比べて約3倍増か。
まぁ、それでも魔族相手はまだきついな。

「ふむ」
「なによ?」

俺がジロジロ見ていたせいか、委員長が不機嫌になった。
てか、見ているだけで不快になるって何気にひどくね?

「ちっぱ.....じゃなくて、まだまだだな」
「はぁ!?今なにか言いかけたわよね!?」
ふぅ。あぶない。あぶない。危うく本音がでかけた。

顔を真っ赤にして、胸を隠している委員長はなかなか可愛い。

顔が真っ赤なのは、きっと恥ずかしがっているからに違いない。
うん、絶対そう!怒っているはずがない!


俺がそんなウブな委員長を更にジロジロ見ていたら、

「ふざけんな!この変態!」

よくわからないが、言われのない中傷を吐きながら突然委員長が殴り掛かってきた。

だがしかし!

「残念ながら効かないのだよ、俺にはな!」

当然委員長如きでは、俺のアプソリュートを貫けるはずもなく、委員長は弾かれてしまった。

「そんな委員長を颯爽とお姫様だっこで抱える俺。キリッ」
「キリッ。じゃない!は、離しなさいよ!」

俺の腕の中で顔を真っ赤にしながら暴れる委員長。

はぁ.....女心と秋の空とはよく言ったものだ。
仕方のない女だぜ、委員長は。


そんな俺達のやりとりを見ていたアイサが、

「相変わらずでありますな。ユウジ殿と委員長殿は。あまりじゃれあいすぎるとアカリ殿が拗ねてしまうでありますよ」

と、苦笑気味に注意を促してくれた。

おっと!
そうだった。

なぜかあかりは、俺が委員長とバカをやってると不機嫌になる。
普段嫉妬をしないあかりが、なぜか委員長に対してはやきもちを妬くんだよな。

本当に女心はわからん。


俺は女心に悩みながらも、腕の中のものを愛しく抱きしめた。

「さっさと離しなさいよ!.....あっ!こら!だ、抱きしめないでよお!」

照れちゃってまぁ。
委員長は本当にからかいがいがあるぜ!

□□□□

「それでユウジ殿は何しにこられたでありますか?」

今更聞くの!?
結構じゃれあった後だけど!?

「暇つぶ.....じゃなくて、からかいにきた」
「暇つぶしのほうがマシなんだけど!?」

ナイスツッコミだ!委員長!

「暇つぶしは否定しないが.....」
「どうせあれでしょ?誰も構ってくれないんでしょ。これだからボッチは」

ぐはっ。
い、今はボッチじゃないし。

「と、とりあえず成果を見に来た。まずまずみたいだな。助かるよ、ハリー、アイサ。それとごめんな。委員長達を押し付ける形になって」

「別に構わないさね」
「ユウジ殿の頼みならお安いご用であります」

スハイツやジーンだけでなく、委員長達も結局アイサ達に任せっぱなしだ。

ハリーやアイサも自分の鍛練をしたいだろうに。
そう考えると、俺が好き勝手やれるのは家族のおかげなんだよな。

「いやいや。俺はいい家族を持って幸せだよ。二人には日頃の感謝の気持ちも込めて、なにかご褒美をあげようと思う。なんでも言ってくれ」

「気にしなくてもいいさね」
「そうでありますよ」

う~ん。頑固だなぁ。
お前らは遠慮を美徳とする日本人か!

「過ぎた謙遜は相手にも失礼になるんだぞ?滅多にないんだ。遠慮するな」
「自分で滅多にないとか。普通言わないでしょ」

委員長は黙らっしゃい!邪魔すんな!

「なら.....ウォルダムで開催される武術大会に出たいさね」

ウォルダム?
.....あぁ、武術国家の獣王国ウォルダムか。
ご褒美が武術大会に出たいって、ハリーは本当に相変わらずだな。

「わかった。Sランク特権で出られるように手配するよ。あとはこれを持ってけ。スハイツ達や委員長達は俺が借りていくから、この後は自由にしてくれていいぞ」

そして俺は、ハリーに一つの酒瓶を投げて渡した。

「こ、これは!」

受けとったハリーはその酒瓶を見て、目を見開いて驚いている。

ハリーが驚くのも、さもありなん。
猫人族に伝わる最高酒『またたび酒』だからな。

ハリーは最近、酒の味を覚えたらしい。
だから密かにオークションで落としていたのだ。

「ありがとう!ユウ!大好きさね!」

そう言うとハリーは、俺の頬にキスをして嬉しそうに屋敷内に戻っていった。

はぁ.....本当に現金なやつだな。
必要な時にしか甘えないところはまさに猫だ。

.....まぁいいか。
日頃の感謝の気持ちだしな。
今日ぐらいは最高級の酒に酔いしれてくれ。

□□□□

「なんなんであります?あれは」

ハリーのあまりの喜びように不思議がるアイサ。

「またたび酒。猫人族に伝わる最高級の酒なんだってさ」
「そうでありますか。でもなんでそんなものをユウジ殿が?」

あるぇ~?
さっき言ったよね?感謝してるって。
俺ってそんなに感謝とかしない人間に見えるのか?

「言わなかったか?お前達家族には日頃から感謝してるってさ。だから感謝の印として、前々から用意してたんだよ」

「単なる思いつきではなかったんでありますか!?」
「・・・」
「ユ、ユウジ殿?」

俺の雰囲気が変わったことに、さすがのアイサも気付いたらしい。
あたふたしている。
てか、あたふたするぐらいなら初めから言うなよ!

それにしても思いつきって.....

さすがにひどくね!?
確かに俺は普段は傲慢でわがままだが、感謝ぐらい普通にするぞ?

「アイサはご褒美いらないみたいだな?」
「う、嘘であります!感謝しているであります!」

いやいやいや!
感謝しているのは俺だから。
テンパりすぎておかしくなってるから。


そんな俺達を見ていた委員長が横から、

「てか、白兎が勘違いされるのは自業自得でしょ。アイサさんはなんにも悪くないじゃない」

あべしっ!
い、委員長は的確に急所を刔るなよ。
わ、わかってるよ、それぐらい!

「と、とりあえずアイサにもご褒美あげるよ。なにがいい?」
「う~ん。そうでありますな.....」

アイサは真剣に考え始めた。

てか、考えることか?
今すぐ欲しいものがないならあれしかないだろ。

「特に思いつかないなら、俺が用意してやろうか?」
「.....例えばなんでありますか?」

.....冗談だろ?
無欲なのか、はたまた、単なるバカなのか。

でもこれが、アイサという娘なんだよな。
どこまでも愚直でどこまでもウブ。

仕方がない。俺がリードしてやるか。


意を決した俺は、みんなが見ている前で強引にアイサを抱き寄せた

「ユウジ殿!?」

アイサは突然抱きしめられたことに相当慌てている。

抱きしめられただけで慌てるアイサに苦笑しながら俺は、愛しい彼女を抱きしめるようにして一言囁いた。

「今度デートでもするか」
「い、いいのでありますか?」

アイサは信じられないと言った表情で驚いている。

「いいもくそもあるかよ。俺の恋人になりたいんだろ?」
「は、はいであります.....嬉しいであります」

アイサの突然の変化に、俺はみんなに見られないようにする為、そっとアイサの顔を俺の胸の中へと押し込んだ。

騎士であることを誇りにしているアイサだ。
みんなに涙を見られることはあまり好まないだろう。

「泣くバカがあるか。大袈裟だろ」
「自分にとっては最高のご褒美であります!」

う~ん。
あまりにも純粋ピュアすぎる!

なんか手を繋ぐだけでも赤面しそうな、中坊時代の恋愛みたいで少しむずがゆい。
まぁ、中坊時代に手を繋いだ経験はないんだけどね。


でも、こんな純粋ピュアすぎる恋愛もいいかもしれないな。


胸の中で嬉し泣きをしているアイサを見て、俺はそう思った。


俺はアイサと真剣に向き合うと『覚悟』を決めた。
さぁ次は、スハイツ達や委員長達の『覚悟』を見せてもらうとするか。

どんな『覚悟』が見れるのか楽しみだなぁ!


俺の暇つぶしはまだまだ続くのだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後書き

~提案と覚悟~編の『覚悟』パートに突入しました。

今回は主人公の『覚悟』がメインです。

この~提案と覚悟~編を皮切りに、様々な『覚悟』を主人公がしていくことになります。

その前座がこの~提案と覚悟~編となります。

今しばらくお話が続きますので、お付き合い頂けたら嬉しいです。
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