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第6章 安らぎの時間と魔剣フォルキナ
~事情と罰と対等~唯愛へのけじめ①
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□□□□ ~エステルの事情と覚悟~ □□□□
帝国エクスペイン・帝都エクスペイン
『中央区』待ち合わせ広場 16月1日 9時
今日はリアとのデートの日だ。
そしてオークションの日でもある。
主目的はデートだが、当然オークションにも参加するつもりだ。
『中央区』の広場には既にたくさんの出店と人で溢れかえっている
月1の休日はオークションだけではなく、帝都全体が一種のお祭り騒ぎとなる。
既に朝早くから花火がなったり、人々の話し声やらでかなり騒々しい。
正直うるさくてイライラする。
そんなお祭り騒ぎの中、俺は一人で待ち合わせの定番と化している広場でリアを待つ。
俺が一人で待つことができるのには理由がある。
既にお嫁さん達には、リアとの関係を打ち明けたからだ。
そうでなければ、一人で待つことなど不可能だ。
誰かしらが必ず俺と行動を共にしようと名乗りでる。
ふっ。モテる男はつらいぜ!
・・・。
.....じ、冗談はさておき、
リアのことは誕生日パーティーで紹介していたからか、すんなり受け入れてもらうことができた。
そう、あっけないほどすんなりだった。
どうやら俺とリアの関係は薄々感づかれていたらしい。
リアというよりかは、女の気配、といったほうが正しいか。
いや、女の勘ってやつ?
隠していた意味が全然ない。こ、恐すぎる。
そんな訳で今日は遠慮してもらって、既に家族達には小遣いを渡して自由に過ごしてもらうことにした。
リアとの待ち合わせ時間は10時。
今日からリアと一緒に暮らす訳だから、少し遅めの時間に待ち合わせることにした。
荷物の整理とかいろいろあるだろうしな。
俺には転移があるから、荷物はまとめてもらうだけでいい。
ちなみに家族達とは既に1時間前には別れた。
つまり、既に1時間ずっと広場でぼけ~っとしている訳だ。
なに?待ち合わせるには時間が早すぎないかって?
その通りだが、ちゃんと理由はある。
多分そろそろなはずだ。
そして、その時がようやく訪れた。
少し遠くからこちらに駆け寄ってくるのが見える。
背丈はまだまだ小さい少女だ。
陽射しに照らされて綺麗に輝く黄金色の髪。
一目で高貴さを伺わせる縦ドリルヘアー。
その高貴さに対して、少女らしいチャームポイントである大きめの赤いリボンが可愛らしさを際立たせている。
そして最大の特徴は、年や体に不相応な大きさの巨大な霊峰。
走る度にぶるんぶるんと揺れている。
け、けしからん霊峰だ!
ありがとうございます!
一瞬にして、周りの男共の視線を釘付けにしている様は圧巻だ。
.....とりあえずこいつらは神圧の刑は確定だな。
「お師匠様!お待たせしたのじゃ!」
愛しい嫁であるロリ巨乳エステルの登場だ。
「お待たせ、じゃねぇよ!1時間遅刻してるだろ!」
俺が1時間もぼけ~っとして待っていた理由はエステルだ。
8時に待ち合わせしていたのだが、1時間も遅刻してきた。
「なにを言っておるのじゃ。女を待つのは男の甲斐性なのじゃ」
エステルは、えへんっと胸を張り、悪びれる様子もなくそう言い放った。
あっ、揺れた。げへへ。
.....にしても、
相変わらずだな。エステルは!
おしおきとして、その巨大な霊峰を乱暴に鷲掴んでひぃひぃ言わしてやろうか!
すぐにでも自分が雌である自覚を.....ハッ!色魔。色魔。
「それで?本当のところは?」
なんとか情欲を抑えた俺は改めて尋ねた。
「今日お師匠様に会えるのが嬉しくて、昨夜あまり眠れなかったのじゃ。そしたら寝坊してしまっての.....」
エステルがバツの悪そうな顔をして俯いてしまった。
・・・。
か、可愛すぎ!
少しわがままだけど、素直でいじらしい。
俺は、そんな可愛らしい反応を見せるエステルを抱き寄せた。
「今日楽しみにしてたのか?昨日も会ったのに?」
「当然なのじゃ!なのに、今日はいっぱい会えるというのに1時間も無駄にしたのじゃ.....」
なるほど。
先ほど落ち込んだように見えたのは、反省したからではなく、会える時間が減ったことによるショックか。
本当に相変わらずだが、それがエステルなんだよな。
「じゃあ今日は1時間遅く一緒にいよう」
「よいのか?お師匠様の迷惑にならぬか?」
遠慮なんてエステルらしくない。
しかし、エステルが遠慮するのも仕方がない理由がある。
エステルは公爵令嬢だ。
既に皇帝継承権とやらは妹に移っているらしく、ある程度は自由な身らしい。
ただ自由と言っても、そこは貴族。
いろいろと問題があるらしい。
似た境遇で言えば、シャルもそうだ。
シャルが俺に気があるのは前々から知っていた。
シャルは可愛いし、誰に対しても優しい。
恋人にしてもいいと思うぐらい好ましく思っている。
.....そう、シャルが貴族でなかったのなら。
俺は貴族が嫌いだ。
関わると絶対ロクなことにならないのは、既に過去の勇者時代で経験済みだ。
俺ならなんとかできるかもしれないが、それでも必ず弊害は起こる
それがお約束であり、テンプレなのだ。
それを防ぐ手段はその国の全貴族の始末しかない。
なんの問題もないが、ただただめんどくさい。
だから俺は、積極的には貴族と関わろうとは思わない。
特に皇族位を除いて、最大爵位である侯爵のシャルは本来なら危視すべき存在だ。
それでも仲良くなれたのは、天性の優しさを持つシャルだからだろう。
長くなったが、俺がシャルと結ばれることは絶対ない。
そしてシャルも自分の立場をよく理解しているからこそ、俺との仲は諦めている節もある。
エステルは例外中の例外。特別中の特別なのだ。
さて、話をエステルに戻そう。
エステルが遠慮している理由、それは実に貴族らしいものだ。
夏休みが終わってすぐ、俺はリアに呼び出された。
用件はエステルについてだ。
エステルとギルドに何の関係が?
と、その時は思ったものだ。
まぁ簡単に言えば、エステルの実家が権力を振りかざして、ギルドに苦情を言ってきたらしい。
ギルドに苦情を入れた理由は、俺が冒険者だからだ。
俺はSランク冒険者だし、魔術大会でも優勝している。
エステルと親しくしていることはさすがに隠し通せるものではない
そしてこの案件は、俺と親しくしているリアにまで影響が及んだらしい。
その一連の事情を知った俺は、さすがにブチ切れそうになった。
俺に迷惑をかけるだけならまだいい。
でも、リアにまで迷惑をかけられたのでは黙って見逃せない!
エステルを除く皇族を皆殺しにしてやるか、とその時は思ったほどだ。
結局エステルに、やめてほしい、と懇願されて諦めたのだが。
そして現在に至る。
つまりエステルが心配しているのは、またエステルの実家が苦情をいってこないか、ということだろう。
あれから3ヶ月か。
ずいぶん時間がかかったものだ。
俺はもう決めている。『覚悟』したからな!
「エステル。今すぐとはいかないが、近いうちに一緒に暮らそう。今度は誰にも邪魔はさせない」
「よ、よいのか?し、しかしの。きっとまた.....」
エステルはまだ不安なようだ。
それなら俺流の励まし方をするだけだ。
「なんか不安な要素があるのか?この俺だぞ?エステルを手に入れるのに、誰の許可もいらないし、誰かに気兼ねする必要もない。いいか?よく聞け。貴族や皇族、王様や皇帝が偉いんじゃない。俺が偉いんだ。だから偉い俺に、その他大勢が従うのは当然のことだ。エステル、安心して俺に任せろ!俺とエステルは一緒に暮らすことが決まっている運命なんだからさ!」
俺はそういうと、エステルにサムズアップした。
「.....そうじゃったな。お師匠様はそんな人じゃったな」
「ただ、一つだけ確認したい」
「なんじゃ?」
エステルが小首を傾げる。
仕種も可愛いのだが、巨大な霊峰がいちいち揺れるのでついつい凝視してしまう。
「俺と一緒に暮らす代わりに、家族とは絶縁してしまう可能性があるが大丈夫か?」
貴族、ましてや皇族だ。
生半可なやり方ではダメだろう。
それこそ、家族か俺か、ぐらいの『覚悟』が必要かもしれない。
果たして、エステルの答えは如何に.....
「なんじゃ、そんなことか。そんなもの悩む必要すらないのじゃ。妾はお師匠様と暮らしたいのじゃ!お師匠様と一緒にいれるのなら、家族も位もなんにもいらないのじゃ!」
微塵も悩む素振りもみせずに、エステルは可愛い笑顔でハッキリ答えてきた。可愛らしい。
.....それにしても、
聞きましたか?アイサさん?
これがお嫁さんの実力なんですよ?
リアだけではなくエステルもだが、改めて俺への想いの強さにますます二人への愛しさが増していく。
「分かった。なら俺に任せろ!もう少しの辛抱だ!」
「なのじゃ!」
エステルのあまりに可愛らしい全幅の信頼に、気持ちが高ぶった俺は、
「エステル、いいよな?」
「み、みなが見ておるのじゃ。恥ずかしいのじゃ」
なに言ってるんだよ。
見られてもイケる口だろ、エステルは。
この変態さんが!たまらんな!!
「ダメだ。我慢できん」
「お、お師匠様は強引なのじゃ。でもそんなお師匠様が好きなのじゃ!」
顔は赤いのに、期待したような瞳で見つめてくるエステル。
俺は可愛らしいエステルと見つめ合い、そして、
「エステル・・・愛している」
「お師匠様・・・愛しているのじゃ」
今まで会えなかった分の想いを込めて、お互い激しく唇を求めあった。
エステルとのキスは.....
「.....苺ジャムだな」
「お師匠様!?」
エステルが慌てて口を手で覆う。
いや、遅いから。
もうたっぷり吸っちゃったから。
しかも、ずっと気になってたから言うけど.....
さっきからずっと臭ってるから!
どんだけ食べてきたんだよ!
エステルとのキスは苺ジャムの味がした。
寝坊はしたが、ちゃんと朝食は食べてきたらしい。
.....偉いんだが、
さすがに急ごうぜ!
遅刻してるんだからさ!
□□□□ ~エステルへの罰~ □□□□
『中央区』・待ち合わせ広場 9時40分
エステルと熱いキスを交わしてから30分がたった。
時間も微妙だし、結局広場でそのまま待つことにした。
リアを待つ間に、エステルにはリアとのことを話しておいた。
「本当は2時間ぐらいエステルとデートするつもりだったんだが?」
俺はジト目でエステルを見る。
2時間近くも、なにもせずにずっと待ち続けることになったしな。
「ごめんなのじゃ!なにか一つだけ言うこと聞くから許して欲しいのじゃ!」
そう言って俺の膝上でくつろぐエステルが、俺の顔を見上げてきた。
「なんでもいいのか?」
「なんでもいいのじゃ」
言ったな?言ったよな?
それはダメとか今更なしだからな?
「じゃあ、おっぱいを揉ませろ」
「こ、ここで!?」
「それがエステルへの罰だ。安心しろ。服は着たままでいいから」
「あ、当たり前なのじゃ!」
エステルの許可も頂いたことだし、早速触らせてもらおう。
俺は素早くエステルの服の中に手を滑らせ、その豊満な霊峰を揉みしだいた。
「ちょっ!?直に触るのか!?お師匠様!?」
「当たり前だろ。服着たまんまなんだから大丈夫だって」
だって、直のほうが気持ちいいしな!
それに着衣のほうが、より卑猥な感じがする。
もみもみもみ
くんくん
「エステル、いい匂いがする」
「.....んぅ!いやぁ.....恥ずかしいのじゃ」
俺は大きな霊峰を揉みしだきながら、エステルの匂いを吸い込む。
俺もだんだんスイッチが入ってきた。
エステルの性感帯である耳も徐々に甘噛みしていく。
もみもみもみ
はむはむはむ
「エステル、可愛いよ」
「.....はぁ、はぁ、はぁ。おししょうさまぁ、わらわは、もう.....」
エステルの息が荒い。
.....と、言うよりもエロい。
エステルも完全にスイッチが入ってしまったようだ。
期待するような瞳が潤んでいてとてもムラムラする。
このまま宿屋に直行してエステルを欲望のままに抱きたいが、今日の主役はリアだ。
しかもこれはエステルへの罰。
.....とても残念だが、色魔、色魔。
「ダメだ。続きはなし」
「そ、そんな.....こんな切ないままでいるのは辛いのじゃ.....」
エステルから懇願されるように強く抱き着かれた。
見上げた顔の双眸には涙がたまり、本当に切ない表情が伺える。
エステルの、そんな表情を見た時に混み上がってくるこの快感がすごくたまらない。
俺のSっ気がすごく刺激されて興奮を覚える。
エステルはエロさに関してはあかり寄りで積極的だが、その性質はサーシャに似てM寄りだ。というよりもドMだ。
高慢ちきな女性は、ドSかドMのどちらかが多いという。
エステルも例に漏れなくドMだった。
だからほどほどに虐めるのがたまらなく興奮する。
「仕方ないな。じゃあキスだけな?それで我慢しろ」
「キス、だけ.....?い、いやなのじゃ!わらわは.....」
あぁ!もう!
わがままだけど甘え上手!
だから俺は、
「ダメだ。俺の言うことを聞け.....愛している」
「おししょうさま!おししょうさま!!おししょうさま!!!」
エステルが救いを求めるかのように、激しくキスを求めてきたのでそのまま受け入れることにした。
それから5分間ずっとキスを繰り返した。
・・・。
「落ち着いたか?エステル」
「ダメなのじゃ!まだするのじゃ❤」
可愛いなぁ。もう大丈夫そうだ。
時間は待ち合わせの10分前。
リアが来るまでいちゃいちゃしてるつもりだったのだが、
「.....こ、こほん」
「・・・」
どうやら既に来ていたみたいだ。
ただ不思議なのは、リアの顔がなぜか赤くなっている。
ま、まさか.....
「い、いつから見てた?」
「ユウジさんがエステル様と破廉恥なことをし始めた時からです」
破廉恥なこと.....
あれかな?揉み始めた時からかな?
それにしても.....
俺はちらっとリアの表情を伺う。
ひ、ひぃぃ!
綺麗な笑顔なのに、顔が全然笑ってない!
天狗!天狗がいるよ!
俺が恐怖を感じていたら、天狗が口を開いた
「ユウジさん?さすがに公衆の面前で破廉恥なことをするのは、いくら非常識なユウジさんでも度が過ぎてますよ?反省してください!」
ご、ごめんなさい。
反省はしないけど、ほどほどにします。
□□□□ ~お嫁さんに上下はないのじゃ~ □□□□
『中央区』待ち合わせ広場・9時50分
「こんにちは。ユウジさん。エステル様」
「こんにちは、リア。とてもきれいだよ」
「・・・?」
「ありがとうございます。とても嬉しいです」
デートのお約束であるリアの容姿をちゃんと褒めることができた。
だから早速デートをしようとしたのだが、そこで待ったがかかった
「ちょっと待つのじゃ!なんでリアは妾に対して急によそよそしくなっているのじゃ?」
.....やっぱり気付いちゃったか。
実は、エステルにはギルド苦情事件で、リアにまで迷惑が及んだことを伝えていなかった。
今でも、エステルらしくない遠慮を時々することがあるから余計な心配をさせても、との配慮からだ。
一方リアはあの事件以来、貴族というものに関して少し萎縮してしまっているように見受けられる。
もしかしたら貴族だけではなく、ギルド側からもなにか言われている可能性がある。
それが顕著になっているのが呼び方だ。
以前はエステルさんだったのに、今はエステル様だ。
.....本当、貴族が関わるとロクなことにはならない。
俺にとっては魔族や魔物よりも、貴族のほうがよっぽど害にしかならない。
そんな経緯があるので、俺はしばらく二人のやりとりを眺めることにした。
「エステル様は公爵様の御令嬢なんですから当然ですよ」
まぁ普通は、リアの言っていることが正しいよな。
「その件については以前にも話したはずなのじゃ!妾は全く気にしないのじゃ!」
「そう言われましても、身分を弁えるのは礼儀ですから」
俺にはピンとこないもんなんだが、そういうものらしい。
でも、先輩と後輩の関係に当て嵌めれば納得できるかも?
「妾はそれが嫌なのじゃ!気軽にしてくれて構わないのじゃ!」
「エステル様がよくても引き受け兼ねます」
おぉ!?リアは意外ときっぱりはねつけるんだな。
いや、大人だからこそと言うべきか。
「リアはわがままなのじゃ!」
「よく意味がわかりませんが?」
わがまま言ってるのはエステルだがな。
気付いてるか?
「とりあえずリアは気軽に話せばいいのじゃ!よいな?」
「それこそエステル様のわがままですよね?」
ぶふっ!正論言われているんだが?
どうすんの?エステル。
「ぐぬぬ.....」
この問題は難しいんじゃないかな?
仮に外的要因を排除しても、リア自身の気持ちの問題が残るだろうし。
「そもそも、エステル様はどうして私のようなものに対して、そこまで求められるのですか?」
う、う~ん。
なんかリアのこの物言いはあまり好きじゃないな。
「簡単なことなのじゃ!妾はリアと仲良くしたいのじゃ!」
「ありがとうございます。ですがそれは、身分を弁えた関係でも可能かと思います。実際私はエステル様と仲良くしたいと思っていますし」
確かにリアの言う通り、このままでも仲良くはできるだろう。
ただ、エステルが言いたいのはそういうことじゃないんだと思う。
「全然違うのじゃ!!なんでリアは分かってくれないのじゃ!!」
「そ、そう言われましても.....」
エステルの悲痛ともとれる叫びに、さすがのリアも困惑している。
俺は胸の中で泣いているエステルの頭をなでながら、リアに静かに語りかけた。
「リア。俺の世界には慇懃無礼って言葉があるんだ。言葉や態度が丁寧すぎて、かえって無礼であるって意味なんだけどどう思う?あと別の言葉もあるな。いきすぎた謙遜はかえって厭味になるってのもある。言い換えれば、いきすぎた礼節はかえって無礼になるんじゃないのか?リアが礼儀を大切に思う気持ちはわかるけど、エステルがこう言ってるんだし、甘えてもいいんじゃないか?」
リアは真面目で常識人だけど、融通きかないところがあるからなぁ
それが原因で、最初は俺とも衝突して最悪な出会いになったし。
真面目すぎるのも考えものだよな。
俺は俺なりに、エステルに援護射撃をしたつもりだ。
これでダメなら、あとは時間が解決してくれるだろう。
そう思っていたのだが、エステルは諦めていなかったようだ。
これには正直俺も驚いた。
なにがそこまでエステルを駆り立てるのだろうか?
「妾はお師匠様達と過ごすうちに、シャルの気持ちが分かるようになってきたのじゃ。心から気軽に接してくれる友達のありがたさが。身分に囚われることもない親しい関係が。妾はそんな関係が羨ましいのじゃ!だからリアともそんな関係になりたいのじゃ.....」
「・・・」
エステルの心からの告白を聞いても、リアは渋い顔をしている。
.....これでもダメなのか。
多分気持ちは傾いているのだろうが、理性が邪魔をしているのかもしれない。
もう理屈うんぬんでは、リアを動かせないだろう。
やはり時間が解決するのを待つしかない。
俺はそう結論付けた。
「これでもまだ納得できぬのか?」
「申し訳ありません」
「分かったのじゃ.....」
エステルもとうとう諦めたか。
いずれはリアとも親友になれる時がくるさ。頑張れ!
俺は、こんなシリアスな展開とは一刻も早くおさらばしたかったので、デートを再開しようとした。
.....のだが、
まだ話は終わっていなかったようだ。
「では、視点を変えてリアに尋ねるのじゃ」
「「視点!?」」
え?どういうこと?
てか、まだ諦めてないのか?
「お師匠様の恋人であるリアに尋ねるのじゃ」
「は、はい」
あぁ、視点ってそういうことか。
どうなるのか気になるな。
「妾とリアには身分格差がある。だからリアは妾に対して敬意を払う。それは間違いないのじゃな?」
「その通りです」
うんうん。
それでそれで?
そこからどう展開させるんだ?
「つまりリアは妾を偉いと思っているのじゃな?言い方を変えれば、妾はリアよりも上であると思っていることになるのじゃ。どうじゃ?」
「そ、そうですね」
偉いと思っているのは確かだろう。
身分上は貴族と平民だしな。
ただ、上?上ってなんだ?
まぁ、才能や実力、体付きは確かにエステルが上だが。げへへ。
「妾はリアよりも上.....リアはそう思っておるのじゃな.....」
「「?」」
エステルが確認するように何度もつぶやく。
その言葉に俺もリアも首を傾げた。
エステルは一体なにを言いたいんだ?
そしてついに、エステルが真意を口にし始めた。
「つまり、妾のほうがリアよりもお師匠様を愛していることになるの」
「それは違います!」
うお!?びっくりした!
俺はリアの突然の大声に驚いた。
さすがのリアもそこだけは譲れないらしい。
「なにが違うのじゃ?妾はリアよりも上なのじゃろ?だったらお師匠様への愛も上なはずじゃ」
「それとこれとは話が違います!」
なるほど。
そういう方向に話を持っていく算段か。
「では上は違うとするのじゃ。次は偉い件じゃな。妾のほうが偉いのじゃから、妾の言うことは聞かぬとならないのじゃ。ではリア。お師匠様を諦めてもらえぬか?リアの分まで妾がお師匠様を愛するから心配ないのじゃ」
「できませんし、それも話が違います」
な、なんかエステルの言い回しが俺に似てないか?
俺って普段からこんな無茶苦茶なこと言ってるのか?
「.....のう、リア。妾はつまりそういうことを言いたいのじゃ。確かに妾とリアの間には身分格差があるかもしれないのじゃ。それに対してリアが譲れない部分があるのも理解したのじゃ。じゃが、お師匠様の恋人でありお嫁さんと言う部分から見れば、妾とリアの間には身分格差もなければ、上下関係もないのじゃ。妾とリアはお師匠様の前では対等なのじゃ。だからお師匠様の恋人でありお嫁さんである妾から、同じくお師匠様の恋人でありお嫁さんであるリアに頼みたいのじゃ。妾はリアと仲良くしたいのじゃ。アカリとリアのような関係に、妾もリアとなりたいのじゃ。ダメじゃろうか?」
.....驚いた。
まさかエステルがこれほどまでリアとの関係を考えていたなんて。
本当に出会った当初と比べると別人みたいだ。
周りの人や環境が与える影響で人はこんなにも変われるんだな。
これなら融通のきかないリアでも、
もしかしたら.....
そう確信した俺はその場を離れ、出店へと足を運んだ。
話し過ぎでエステルもリアも喉がカラカラだろう。
二人の喉を癒す必要がある。
その後の二人がどんな話をしたのかは、俺には全く分からない。
でも話の一部だけは、全体の内容が全く分からなくても、どんな内容だったのかはすぐに分かった。
「エステルさん、彼女をほったらかしにしていたユウジさんがやっと戻ってきましたよ」
「こんな可愛い彼女2人をほったらかしにするなんて、お師匠様は罪な人なのじゃ!罰としていっぱいなでなでしてほしいのじゃ!」
いやはや、俺の可愛いお嫁さん達は手厳しい。
それでも一つだけ言えることがある。
お前ら、本当に仲がいいな!
ようやく、エステルとリアの溝も埋まったみたいだし一安心だ。
さぁ!俺達のデートを始めよう!
俺達のデートはまだまだ始まったばかりだ。
帝国エクスペイン・帝都エクスペイン
『中央区』待ち合わせ広場 16月1日 9時
今日はリアとのデートの日だ。
そしてオークションの日でもある。
主目的はデートだが、当然オークションにも参加するつもりだ。
『中央区』の広場には既にたくさんの出店と人で溢れかえっている
月1の休日はオークションだけではなく、帝都全体が一種のお祭り騒ぎとなる。
既に朝早くから花火がなったり、人々の話し声やらでかなり騒々しい。
正直うるさくてイライラする。
そんなお祭り騒ぎの中、俺は一人で待ち合わせの定番と化している広場でリアを待つ。
俺が一人で待つことができるのには理由がある。
既にお嫁さん達には、リアとの関係を打ち明けたからだ。
そうでなければ、一人で待つことなど不可能だ。
誰かしらが必ず俺と行動を共にしようと名乗りでる。
ふっ。モテる男はつらいぜ!
・・・。
.....じ、冗談はさておき、
リアのことは誕生日パーティーで紹介していたからか、すんなり受け入れてもらうことができた。
そう、あっけないほどすんなりだった。
どうやら俺とリアの関係は薄々感づかれていたらしい。
リアというよりかは、女の気配、といったほうが正しいか。
いや、女の勘ってやつ?
隠していた意味が全然ない。こ、恐すぎる。
そんな訳で今日は遠慮してもらって、既に家族達には小遣いを渡して自由に過ごしてもらうことにした。
リアとの待ち合わせ時間は10時。
今日からリアと一緒に暮らす訳だから、少し遅めの時間に待ち合わせることにした。
荷物の整理とかいろいろあるだろうしな。
俺には転移があるから、荷物はまとめてもらうだけでいい。
ちなみに家族達とは既に1時間前には別れた。
つまり、既に1時間ずっと広場でぼけ~っとしている訳だ。
なに?待ち合わせるには時間が早すぎないかって?
その通りだが、ちゃんと理由はある。
多分そろそろなはずだ。
そして、その時がようやく訪れた。
少し遠くからこちらに駆け寄ってくるのが見える。
背丈はまだまだ小さい少女だ。
陽射しに照らされて綺麗に輝く黄金色の髪。
一目で高貴さを伺わせる縦ドリルヘアー。
その高貴さに対して、少女らしいチャームポイントである大きめの赤いリボンが可愛らしさを際立たせている。
そして最大の特徴は、年や体に不相応な大きさの巨大な霊峰。
走る度にぶるんぶるんと揺れている。
け、けしからん霊峰だ!
ありがとうございます!
一瞬にして、周りの男共の視線を釘付けにしている様は圧巻だ。
.....とりあえずこいつらは神圧の刑は確定だな。
「お師匠様!お待たせしたのじゃ!」
愛しい嫁であるロリ巨乳エステルの登場だ。
「お待たせ、じゃねぇよ!1時間遅刻してるだろ!」
俺が1時間もぼけ~っとして待っていた理由はエステルだ。
8時に待ち合わせしていたのだが、1時間も遅刻してきた。
「なにを言っておるのじゃ。女を待つのは男の甲斐性なのじゃ」
エステルは、えへんっと胸を張り、悪びれる様子もなくそう言い放った。
あっ、揺れた。げへへ。
.....にしても、
相変わらずだな。エステルは!
おしおきとして、その巨大な霊峰を乱暴に鷲掴んでひぃひぃ言わしてやろうか!
すぐにでも自分が雌である自覚を.....ハッ!色魔。色魔。
「それで?本当のところは?」
なんとか情欲を抑えた俺は改めて尋ねた。
「今日お師匠様に会えるのが嬉しくて、昨夜あまり眠れなかったのじゃ。そしたら寝坊してしまっての.....」
エステルがバツの悪そうな顔をして俯いてしまった。
・・・。
か、可愛すぎ!
少しわがままだけど、素直でいじらしい。
俺は、そんな可愛らしい反応を見せるエステルを抱き寄せた。
「今日楽しみにしてたのか?昨日も会ったのに?」
「当然なのじゃ!なのに、今日はいっぱい会えるというのに1時間も無駄にしたのじゃ.....」
なるほど。
先ほど落ち込んだように見えたのは、反省したからではなく、会える時間が減ったことによるショックか。
本当に相変わらずだが、それがエステルなんだよな。
「じゃあ今日は1時間遅く一緒にいよう」
「よいのか?お師匠様の迷惑にならぬか?」
遠慮なんてエステルらしくない。
しかし、エステルが遠慮するのも仕方がない理由がある。
エステルは公爵令嬢だ。
既に皇帝継承権とやらは妹に移っているらしく、ある程度は自由な身らしい。
ただ自由と言っても、そこは貴族。
いろいろと問題があるらしい。
似た境遇で言えば、シャルもそうだ。
シャルが俺に気があるのは前々から知っていた。
シャルは可愛いし、誰に対しても優しい。
恋人にしてもいいと思うぐらい好ましく思っている。
.....そう、シャルが貴族でなかったのなら。
俺は貴族が嫌いだ。
関わると絶対ロクなことにならないのは、既に過去の勇者時代で経験済みだ。
俺ならなんとかできるかもしれないが、それでも必ず弊害は起こる
それがお約束であり、テンプレなのだ。
それを防ぐ手段はその国の全貴族の始末しかない。
なんの問題もないが、ただただめんどくさい。
だから俺は、積極的には貴族と関わろうとは思わない。
特に皇族位を除いて、最大爵位である侯爵のシャルは本来なら危視すべき存在だ。
それでも仲良くなれたのは、天性の優しさを持つシャルだからだろう。
長くなったが、俺がシャルと結ばれることは絶対ない。
そしてシャルも自分の立場をよく理解しているからこそ、俺との仲は諦めている節もある。
エステルは例外中の例外。特別中の特別なのだ。
さて、話をエステルに戻そう。
エステルが遠慮している理由、それは実に貴族らしいものだ。
夏休みが終わってすぐ、俺はリアに呼び出された。
用件はエステルについてだ。
エステルとギルドに何の関係が?
と、その時は思ったものだ。
まぁ簡単に言えば、エステルの実家が権力を振りかざして、ギルドに苦情を言ってきたらしい。
ギルドに苦情を入れた理由は、俺が冒険者だからだ。
俺はSランク冒険者だし、魔術大会でも優勝している。
エステルと親しくしていることはさすがに隠し通せるものではない
そしてこの案件は、俺と親しくしているリアにまで影響が及んだらしい。
その一連の事情を知った俺は、さすがにブチ切れそうになった。
俺に迷惑をかけるだけならまだいい。
でも、リアにまで迷惑をかけられたのでは黙って見逃せない!
エステルを除く皇族を皆殺しにしてやるか、とその時は思ったほどだ。
結局エステルに、やめてほしい、と懇願されて諦めたのだが。
そして現在に至る。
つまりエステルが心配しているのは、またエステルの実家が苦情をいってこないか、ということだろう。
あれから3ヶ月か。
ずいぶん時間がかかったものだ。
俺はもう決めている。『覚悟』したからな!
「エステル。今すぐとはいかないが、近いうちに一緒に暮らそう。今度は誰にも邪魔はさせない」
「よ、よいのか?し、しかしの。きっとまた.....」
エステルはまだ不安なようだ。
それなら俺流の励まし方をするだけだ。
「なんか不安な要素があるのか?この俺だぞ?エステルを手に入れるのに、誰の許可もいらないし、誰かに気兼ねする必要もない。いいか?よく聞け。貴族や皇族、王様や皇帝が偉いんじゃない。俺が偉いんだ。だから偉い俺に、その他大勢が従うのは当然のことだ。エステル、安心して俺に任せろ!俺とエステルは一緒に暮らすことが決まっている運命なんだからさ!」
俺はそういうと、エステルにサムズアップした。
「.....そうじゃったな。お師匠様はそんな人じゃったな」
「ただ、一つだけ確認したい」
「なんじゃ?」
エステルが小首を傾げる。
仕種も可愛いのだが、巨大な霊峰がいちいち揺れるのでついつい凝視してしまう。
「俺と一緒に暮らす代わりに、家族とは絶縁してしまう可能性があるが大丈夫か?」
貴族、ましてや皇族だ。
生半可なやり方ではダメだろう。
それこそ、家族か俺か、ぐらいの『覚悟』が必要かもしれない。
果たして、エステルの答えは如何に.....
「なんじゃ、そんなことか。そんなもの悩む必要すらないのじゃ。妾はお師匠様と暮らしたいのじゃ!お師匠様と一緒にいれるのなら、家族も位もなんにもいらないのじゃ!」
微塵も悩む素振りもみせずに、エステルは可愛い笑顔でハッキリ答えてきた。可愛らしい。
.....それにしても、
聞きましたか?アイサさん?
これがお嫁さんの実力なんですよ?
リアだけではなくエステルもだが、改めて俺への想いの強さにますます二人への愛しさが増していく。
「分かった。なら俺に任せろ!もう少しの辛抱だ!」
「なのじゃ!」
エステルのあまりに可愛らしい全幅の信頼に、気持ちが高ぶった俺は、
「エステル、いいよな?」
「み、みなが見ておるのじゃ。恥ずかしいのじゃ」
なに言ってるんだよ。
見られてもイケる口だろ、エステルは。
この変態さんが!たまらんな!!
「ダメだ。我慢できん」
「お、お師匠様は強引なのじゃ。でもそんなお師匠様が好きなのじゃ!」
顔は赤いのに、期待したような瞳で見つめてくるエステル。
俺は可愛らしいエステルと見つめ合い、そして、
「エステル・・・愛している」
「お師匠様・・・愛しているのじゃ」
今まで会えなかった分の想いを込めて、お互い激しく唇を求めあった。
エステルとのキスは.....
「.....苺ジャムだな」
「お師匠様!?」
エステルが慌てて口を手で覆う。
いや、遅いから。
もうたっぷり吸っちゃったから。
しかも、ずっと気になってたから言うけど.....
さっきからずっと臭ってるから!
どんだけ食べてきたんだよ!
エステルとのキスは苺ジャムの味がした。
寝坊はしたが、ちゃんと朝食は食べてきたらしい。
.....偉いんだが、
さすがに急ごうぜ!
遅刻してるんだからさ!
□□□□ ~エステルへの罰~ □□□□
『中央区』・待ち合わせ広場 9時40分
エステルと熱いキスを交わしてから30分がたった。
時間も微妙だし、結局広場でそのまま待つことにした。
リアを待つ間に、エステルにはリアとのことを話しておいた。
「本当は2時間ぐらいエステルとデートするつもりだったんだが?」
俺はジト目でエステルを見る。
2時間近くも、なにもせずにずっと待ち続けることになったしな。
「ごめんなのじゃ!なにか一つだけ言うこと聞くから許して欲しいのじゃ!」
そう言って俺の膝上でくつろぐエステルが、俺の顔を見上げてきた。
「なんでもいいのか?」
「なんでもいいのじゃ」
言ったな?言ったよな?
それはダメとか今更なしだからな?
「じゃあ、おっぱいを揉ませろ」
「こ、ここで!?」
「それがエステルへの罰だ。安心しろ。服は着たままでいいから」
「あ、当たり前なのじゃ!」
エステルの許可も頂いたことだし、早速触らせてもらおう。
俺は素早くエステルの服の中に手を滑らせ、その豊満な霊峰を揉みしだいた。
「ちょっ!?直に触るのか!?お師匠様!?」
「当たり前だろ。服着たまんまなんだから大丈夫だって」
だって、直のほうが気持ちいいしな!
それに着衣のほうが、より卑猥な感じがする。
もみもみもみ
くんくん
「エステル、いい匂いがする」
「.....んぅ!いやぁ.....恥ずかしいのじゃ」
俺は大きな霊峰を揉みしだきながら、エステルの匂いを吸い込む。
俺もだんだんスイッチが入ってきた。
エステルの性感帯である耳も徐々に甘噛みしていく。
もみもみもみ
はむはむはむ
「エステル、可愛いよ」
「.....はぁ、はぁ、はぁ。おししょうさまぁ、わらわは、もう.....」
エステルの息が荒い。
.....と、言うよりもエロい。
エステルも完全にスイッチが入ってしまったようだ。
期待するような瞳が潤んでいてとてもムラムラする。
このまま宿屋に直行してエステルを欲望のままに抱きたいが、今日の主役はリアだ。
しかもこれはエステルへの罰。
.....とても残念だが、色魔、色魔。
「ダメだ。続きはなし」
「そ、そんな.....こんな切ないままでいるのは辛いのじゃ.....」
エステルから懇願されるように強く抱き着かれた。
見上げた顔の双眸には涙がたまり、本当に切ない表情が伺える。
エステルの、そんな表情を見た時に混み上がってくるこの快感がすごくたまらない。
俺のSっ気がすごく刺激されて興奮を覚える。
エステルはエロさに関してはあかり寄りで積極的だが、その性質はサーシャに似てM寄りだ。というよりもドMだ。
高慢ちきな女性は、ドSかドMのどちらかが多いという。
エステルも例に漏れなくドMだった。
だからほどほどに虐めるのがたまらなく興奮する。
「仕方ないな。じゃあキスだけな?それで我慢しろ」
「キス、だけ.....?い、いやなのじゃ!わらわは.....」
あぁ!もう!
わがままだけど甘え上手!
だから俺は、
「ダメだ。俺の言うことを聞け.....愛している」
「おししょうさま!おししょうさま!!おししょうさま!!!」
エステルが救いを求めるかのように、激しくキスを求めてきたのでそのまま受け入れることにした。
それから5分間ずっとキスを繰り返した。
・・・。
「落ち着いたか?エステル」
「ダメなのじゃ!まだするのじゃ❤」
可愛いなぁ。もう大丈夫そうだ。
時間は待ち合わせの10分前。
リアが来るまでいちゃいちゃしてるつもりだったのだが、
「.....こ、こほん」
「・・・」
どうやら既に来ていたみたいだ。
ただ不思議なのは、リアの顔がなぜか赤くなっている。
ま、まさか.....
「い、いつから見てた?」
「ユウジさんがエステル様と破廉恥なことをし始めた時からです」
破廉恥なこと.....
あれかな?揉み始めた時からかな?
それにしても.....
俺はちらっとリアの表情を伺う。
ひ、ひぃぃ!
綺麗な笑顔なのに、顔が全然笑ってない!
天狗!天狗がいるよ!
俺が恐怖を感じていたら、天狗が口を開いた
「ユウジさん?さすがに公衆の面前で破廉恥なことをするのは、いくら非常識なユウジさんでも度が過ぎてますよ?反省してください!」
ご、ごめんなさい。
反省はしないけど、ほどほどにします。
□□□□ ~お嫁さんに上下はないのじゃ~ □□□□
『中央区』待ち合わせ広場・9時50分
「こんにちは。ユウジさん。エステル様」
「こんにちは、リア。とてもきれいだよ」
「・・・?」
「ありがとうございます。とても嬉しいです」
デートのお約束であるリアの容姿をちゃんと褒めることができた。
だから早速デートをしようとしたのだが、そこで待ったがかかった
「ちょっと待つのじゃ!なんでリアは妾に対して急によそよそしくなっているのじゃ?」
.....やっぱり気付いちゃったか。
実は、エステルにはギルド苦情事件で、リアにまで迷惑が及んだことを伝えていなかった。
今でも、エステルらしくない遠慮を時々することがあるから余計な心配をさせても、との配慮からだ。
一方リアはあの事件以来、貴族というものに関して少し萎縮してしまっているように見受けられる。
もしかしたら貴族だけではなく、ギルド側からもなにか言われている可能性がある。
それが顕著になっているのが呼び方だ。
以前はエステルさんだったのに、今はエステル様だ。
.....本当、貴族が関わるとロクなことにはならない。
俺にとっては魔族や魔物よりも、貴族のほうがよっぽど害にしかならない。
そんな経緯があるので、俺はしばらく二人のやりとりを眺めることにした。
「エステル様は公爵様の御令嬢なんですから当然ですよ」
まぁ普通は、リアの言っていることが正しいよな。
「その件については以前にも話したはずなのじゃ!妾は全く気にしないのじゃ!」
「そう言われましても、身分を弁えるのは礼儀ですから」
俺にはピンとこないもんなんだが、そういうものらしい。
でも、先輩と後輩の関係に当て嵌めれば納得できるかも?
「妾はそれが嫌なのじゃ!気軽にしてくれて構わないのじゃ!」
「エステル様がよくても引き受け兼ねます」
おぉ!?リアは意外ときっぱりはねつけるんだな。
いや、大人だからこそと言うべきか。
「リアはわがままなのじゃ!」
「よく意味がわかりませんが?」
わがまま言ってるのはエステルだがな。
気付いてるか?
「とりあえずリアは気軽に話せばいいのじゃ!よいな?」
「それこそエステル様のわがままですよね?」
ぶふっ!正論言われているんだが?
どうすんの?エステル。
「ぐぬぬ.....」
この問題は難しいんじゃないかな?
仮に外的要因を排除しても、リア自身の気持ちの問題が残るだろうし。
「そもそも、エステル様はどうして私のようなものに対して、そこまで求められるのですか?」
う、う~ん。
なんかリアのこの物言いはあまり好きじゃないな。
「簡単なことなのじゃ!妾はリアと仲良くしたいのじゃ!」
「ありがとうございます。ですがそれは、身分を弁えた関係でも可能かと思います。実際私はエステル様と仲良くしたいと思っていますし」
確かにリアの言う通り、このままでも仲良くはできるだろう。
ただ、エステルが言いたいのはそういうことじゃないんだと思う。
「全然違うのじゃ!!なんでリアは分かってくれないのじゃ!!」
「そ、そう言われましても.....」
エステルの悲痛ともとれる叫びに、さすがのリアも困惑している。
俺は胸の中で泣いているエステルの頭をなでながら、リアに静かに語りかけた。
「リア。俺の世界には慇懃無礼って言葉があるんだ。言葉や態度が丁寧すぎて、かえって無礼であるって意味なんだけどどう思う?あと別の言葉もあるな。いきすぎた謙遜はかえって厭味になるってのもある。言い換えれば、いきすぎた礼節はかえって無礼になるんじゃないのか?リアが礼儀を大切に思う気持ちはわかるけど、エステルがこう言ってるんだし、甘えてもいいんじゃないか?」
リアは真面目で常識人だけど、融通きかないところがあるからなぁ
それが原因で、最初は俺とも衝突して最悪な出会いになったし。
真面目すぎるのも考えものだよな。
俺は俺なりに、エステルに援護射撃をしたつもりだ。
これでダメなら、あとは時間が解決してくれるだろう。
そう思っていたのだが、エステルは諦めていなかったようだ。
これには正直俺も驚いた。
なにがそこまでエステルを駆り立てるのだろうか?
「妾はお師匠様達と過ごすうちに、シャルの気持ちが分かるようになってきたのじゃ。心から気軽に接してくれる友達のありがたさが。身分に囚われることもない親しい関係が。妾はそんな関係が羨ましいのじゃ!だからリアともそんな関係になりたいのじゃ.....」
「・・・」
エステルの心からの告白を聞いても、リアは渋い顔をしている。
.....これでもダメなのか。
多分気持ちは傾いているのだろうが、理性が邪魔をしているのかもしれない。
もう理屈うんぬんでは、リアを動かせないだろう。
やはり時間が解決するのを待つしかない。
俺はそう結論付けた。
「これでもまだ納得できぬのか?」
「申し訳ありません」
「分かったのじゃ.....」
エステルもとうとう諦めたか。
いずれはリアとも親友になれる時がくるさ。頑張れ!
俺は、こんなシリアスな展開とは一刻も早くおさらばしたかったので、デートを再開しようとした。
.....のだが、
まだ話は終わっていなかったようだ。
「では、視点を変えてリアに尋ねるのじゃ」
「「視点!?」」
え?どういうこと?
てか、まだ諦めてないのか?
「お師匠様の恋人であるリアに尋ねるのじゃ」
「は、はい」
あぁ、視点ってそういうことか。
どうなるのか気になるな。
「妾とリアには身分格差がある。だからリアは妾に対して敬意を払う。それは間違いないのじゃな?」
「その通りです」
うんうん。
それでそれで?
そこからどう展開させるんだ?
「つまりリアは妾を偉いと思っているのじゃな?言い方を変えれば、妾はリアよりも上であると思っていることになるのじゃ。どうじゃ?」
「そ、そうですね」
偉いと思っているのは確かだろう。
身分上は貴族と平民だしな。
ただ、上?上ってなんだ?
まぁ、才能や実力、体付きは確かにエステルが上だが。げへへ。
「妾はリアよりも上.....リアはそう思っておるのじゃな.....」
「「?」」
エステルが確認するように何度もつぶやく。
その言葉に俺もリアも首を傾げた。
エステルは一体なにを言いたいんだ?
そしてついに、エステルが真意を口にし始めた。
「つまり、妾のほうがリアよりもお師匠様を愛していることになるの」
「それは違います!」
うお!?びっくりした!
俺はリアの突然の大声に驚いた。
さすがのリアもそこだけは譲れないらしい。
「なにが違うのじゃ?妾はリアよりも上なのじゃろ?だったらお師匠様への愛も上なはずじゃ」
「それとこれとは話が違います!」
なるほど。
そういう方向に話を持っていく算段か。
「では上は違うとするのじゃ。次は偉い件じゃな。妾のほうが偉いのじゃから、妾の言うことは聞かぬとならないのじゃ。ではリア。お師匠様を諦めてもらえぬか?リアの分まで妾がお師匠様を愛するから心配ないのじゃ」
「できませんし、それも話が違います」
な、なんかエステルの言い回しが俺に似てないか?
俺って普段からこんな無茶苦茶なこと言ってるのか?
「.....のう、リア。妾はつまりそういうことを言いたいのじゃ。確かに妾とリアの間には身分格差があるかもしれないのじゃ。それに対してリアが譲れない部分があるのも理解したのじゃ。じゃが、お師匠様の恋人でありお嫁さんと言う部分から見れば、妾とリアの間には身分格差もなければ、上下関係もないのじゃ。妾とリアはお師匠様の前では対等なのじゃ。だからお師匠様の恋人でありお嫁さんである妾から、同じくお師匠様の恋人でありお嫁さんであるリアに頼みたいのじゃ。妾はリアと仲良くしたいのじゃ。アカリとリアのような関係に、妾もリアとなりたいのじゃ。ダメじゃろうか?」
.....驚いた。
まさかエステルがこれほどまでリアとの関係を考えていたなんて。
本当に出会った当初と比べると別人みたいだ。
周りの人や環境が与える影響で人はこんなにも変われるんだな。
これなら融通のきかないリアでも、
もしかしたら.....
そう確信した俺はその場を離れ、出店へと足を運んだ。
話し過ぎでエステルもリアも喉がカラカラだろう。
二人の喉を癒す必要がある。
その後の二人がどんな話をしたのかは、俺には全く分からない。
でも話の一部だけは、全体の内容が全く分からなくても、どんな内容だったのかはすぐに分かった。
「エステルさん、彼女をほったらかしにしていたユウジさんがやっと戻ってきましたよ」
「こんな可愛い彼女2人をほったらかしにするなんて、お師匠様は罪な人なのじゃ!罰としていっぱいなでなでしてほしいのじゃ!」
いやはや、俺の可愛いお嫁さん達は手厳しい。
それでも一つだけ言えることがある。
お前ら、本当に仲がいいな!
ようやく、エステルとリアの溝も埋まったみたいだし一安心だ。
さぁ!俺達のデートを始めよう!
俺達のデートはまだまだ始まったばかりだ。
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◇◆◇◆◇◆◇◆◇
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へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
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