過去と現在を結ぶ異世界ストーリー

なつきいろ

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第4章 純愛の撫子とSランク冒険者

~オラクロアとプロポーズ~最愛と純愛④

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会話パート

「」ユウジ 『』ヘイネ []セリーヌ 〔〕サーシャ

《》あかり {}エステル <>氷竜王 【】店員さん

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『オラクロアドラゴン』

 別の名を宝石ドラゴンとも言われる通り全身が宝石オラクロアでできている
 れっきとしたドラゴン種であり、体を構成しているオラクロアの硬さの影響で並のダメージが通らない為、最強の魔物の一角とも言われている
 またドラゴン種の中でも最強種とも言われている
 どの部位もオラクロアなのだがオラクロア自体にもランクがある
全身を構成しているオラクロアよりも体内で生成されるオラクロアのほうが純度が高い

□□□□

魔樹海・最深層 15時30分(タイムリミットまで残り30分)

エステルに告白し終えた俺はエステルと分かれてオラクロアドラゴンの捜索に当たっている
本当はいつまでもエステルといちゃいちゃしていたかったが本来の目的を忘れてはいけない
愛しい嫁達の為の婚約指輪。それを作るためにオラクロアが必要だ
 その為に愛しいエステルに協力してもらって広大な魔樹海を別々に探している

「チッ。ここもはずれかよ」

 既に捜索を開始してから30分経っているが、俺もバカじゃない。むやみやたらと探している訳でもない

 エステルから聞いた話だとオラクロアドラゴンはラブリーファントを好んで食べるらしい
 ドラゴンと言えど腹は減る。つまりラブリーファントの群れを探していればオラクロアドラゴンが見つかる可能性が高い

 それとドラゴンもののテンプレでよくあるのが洞窟の奥深くをねぐらとしているパターンだ
 その場合はきっと財宝もわんさかとあるに違いない
今更金目のものに興味はないが、もしかしたらユニークアイテムがあるかもしれない

 もう一つの候補としては水場だ
生きていく上で食料が必要なら水もきっと必要だろう
 それとこれもよくある話だがドラゴンの水浴びシーン
 ドラゴンの神秘さを表す為に描かれることが多いが、なんの手がかりもない以上探す場所の候補地としても悪くはないだろう

 ・ラブリーファントの群れ
 ・岩壁などに作られた洞窟
・川や湖などの水場

この3つを重点的に調べ回っている

 ・・・しかしこれがなかなか見つからない
 ラブリーファントの群れはファントレーダーですぐわかる
魔樹海のいたるところにその集団は点在しているが、どれもこれもハズレだ。もちろんファント肉は回収している

岩壁が見つかればもちろんお約束のように洞窟がある
洞窟の中は何もオラクロアドラゴンだけがねぐらにする訳ではない。当たり前のことだが・・・
既にいくつかの洞窟に押し入っては熊やら虎やらのような住人と出くわし瞬殺しては貯め込まれた財宝を奪っていく
 やはりねぐらに財宝は定番らしい。かなりの数の財宝があり、その財宝の中の一つにユニークアイテムもあった
地球のテンプレ恐るべし!いやもしかしたらこんなとこも地球に合わせた可能性もなきにしもあらずか?

 川や湖などもそれなりに見つかった
 たくさんの魔物が水を得ようと群がっていたので、逆に今はオラクロアドラゴンがいないとすぐ判断できた
 ドラゴンがいるのにゆっくり水を飲んでいる魔物なんて普通いないからな
 とりあえず俺と出会ったのが運の尽きとばかりに魔物を神圧で殲滅してアイテムボックスに放り込んでいく
 どの部位が素材になるかわからないので基本神圧で殲滅する。これが俺の戦闘スタイルだ。

こうして探し回ること30分、いまだにオラクロアドラゴンは見つからない。早く出てこいよ!
タイムリミットまで残り30分だ。さすがに焦ってきた

今まで探し回った収穫品は以下の通りだ
 ・ファント肉51個
・たくさんの魔物の素材
・たくさんの金銀財宝
・魔樹海の天然水

 一番の収穫はやはりユニークアイテムと魔樹海の天然水だろうか
 ユニークアイテムは言わずもがなだが、魔樹海に流れる川や湖の水のなんとうまいことか!
きっと料理好きなサーシャやサラ、あかりなんかは喜ぶかもしれないと思い大量に持ち帰ることにした
収穫品だけ見れば魔樹海にきた価値は十分あるのだが、肝心のオラクロアドラゴンが見つからない

 さすがに本当にいるのか?と、疑いの念を持ち始めてきたときについにその時がきた
発見したのはエステルだ
 エステルの大死滅圧が発動したのを肌で感じたからだ
魔樹海で戦ってみた感じでは、最深層でもエステルが不利な状況になるほどの敵はいない
 そんな状況でも大死滅圧を使ったとなると一つしかない
 きっと見つかったのだろう

(さすがエステルは頼りになる!なにかご褒美をあげないとな!なにがいいかな~?やはりキスだろうか?もしくはなでなでかな?むしろどっちもあげちゃえばいいか!)

 俺はオラクロアドラゴンがついに見つかった嬉しさと、これから愛しいエステルに会える嬉しさに心を弾ませ、全速力でエステルの元へと向かった

□□□□

魔樹海・最深層 15時40分(タイムリミットまで残り20分)

 <ゴガアアアオオオゥゥゥ!!>

 威嚇のつもりだろうか?ただうるさいだけなんだが・・・遠くから聞こえる竜の咆哮
 俺がエステルの元に辿り着いた時には、既にエステルとオラクロアドラゴンの死闘が始まっていた
 エステルはオラクロアドラゴンから放たれるブレスを右に左に余裕で避け、強靭な爪による切り裂く攻撃や固そうな尾によるスイングなども全て槍でいなしている
 ふむ。全く勝負になっていないな。これなら楽勝か

 オラクロアドラゴンは全長10mぐらいだろうか
 オラクロア鉱石で構成されている為全身は淡い桜色だ
見るからに力強い四肢に、2本の足で立ち、長い尾、背中から広がる大きな翼。蒼く輝くその双眸はどこか冷たい印象や残虐性さえ感じさせる
 その風貌は東洋の「龍」ではなく、まさに西洋のドラゴンそのものである
 さらに威風堂々な雰囲気を纏い強者の風格さえある

(・・・?たかがそのへんにいる魔物にしては妙に威圧感があるな。オラクロアドラゴンってのはみんなこうなのか?まぁオラクロアドラゴンはドラゴンの中でも最強種らしいからそれも有り得るか・・・それでも様子を見る限りじゃエステルでも問題なさそうだな。見た目まんまオラクロアドラゴンだが、念のため確認しとくか・・・神眼!)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
氷竜王シャムエル 2058歳 (♂) レベル:365

種族:オラクロアドラゴン
職業:氷王

 体力:9500000(+2000000)
 魔力:8800000(+2500000)
 筋力:810000(+400000)
 敏捷:640000
器用:1500
幸運:78

加護:竜神ドラゴネス『神属』
 称号:『氷竜王』
 技能:氷結凍土Lv.40/身体強化/龍眼/アイスブレスLv.36
   人化/再生/氷龍/渦龍/雷龍/楓龍/土龍/閻龍/龍圧
    永久凍結Lv.24/龍戟術Lv.42/戟舞Lv.42/龍器創成
    魔力操作/魔力感知/魔力圧縮/複合魔法/竜の咆哮
    同族招来/竜神流体術Lv.56/同族念話/竜化/硬化
    縛鎖Lv.52/氷竜の衣

 『神属』:体力と魔力と筋力のステータスUP絶大(固定)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(ぶっ──────!!・・・は?オラクロアドラゴンはオラクロアドラゴンだが、こいつ普通のオラクロアドラゴンじゃねぇ!明らかに魔樹海のラスボスらしきやつだよな!?魔山が邪竜王だったし、きっとこいつもそうに違いない!・・・しかもなかなかいいスキルを持ってやがる!げへへ・・・確認して頂くとするか!)

 「エステルお疲れ。見つけてくれてありがとな」
 <────!?>

 俺は労いと感謝の言葉をかけながらエステルに近づき優しく抱擁した
 もはや氷竜王の攻撃など避ける必要は全くない
俺のアブソリュートの前では氷竜王など赤子・・・いや赤子に失礼か。ミジンコやミドリムシ程度の存在でしかないのだから

{はぁ~。お師匠様のアブソリュートは本当にすごいのじゃ。全く避けなくていいとかもはや反則技なのじゃ。さすがお師匠様なのじゃ}
 <──────!!?>

 目の前の異常な事態に氷竜王は驚いているみたいだ
 エステルは少し呆れ顔だがどこか自分のことのように喜んでいる
自分の師匠が圧倒的な存在というのが誇らしいのかもしれない
 そしてアブソリュートをねだってこないあたりもエステルの中ではなにか明確な基準があるのかもしれない

「まぁ俺だし当然だな。それにしても本当によく見つけてくれた。よくやったぞ!ご褒美だ!」
 精一杯の愛を込めてエステルの頭をなでてあげた

{くふふ。お師匠様のなでなではやはり格別なのじゃ。なでなでしてくれるならもっと頑張るのじゃ!}
 嬉しいことを言ってくれるじゃないか!可愛いやつめ!

 俺とエステルの周りに突如展開された桃色ラブラブワールド
俺の告白を経て俺達の距離はかなり近づいたような気がする
 エステルの告白はまだないが以前よりも強く俺を意識してくれてるみたいだ
 そして俺も想いを言葉にしたことによってエステルをより一層愛おしく感じていた

<お、お前達は一体何者だ!?なぜの余の攻撃が全く効かぬ!?>

あっ。喋れたんですね。そういえば邪竜王もなんか話してたな?・・・まぁどうでもいいけど
 そんなことより俺達のいちゃいちゃを邪魔するとかいい度胸だな、ただのトカゲの分際で!

 俺はエステルを胸の中で優しく抱きなでなでしたまま氷竜王を観察する
 エステルはもはや戦う気はないようですっかりリラックスして甘えている

(返事はしなくていいだろ。どうせ殺すし。とりあえずいくつか気になるのがあるから見ていくか・・・神眼!)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『人化』 ランク:SSS
人型に偽装できるスキル
 イメージにより人型を具現化する
自分の体型などによる影響はない
効果時間は魔力依存
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『竜化』 ランク:SSS
竜型に偽装できるスキル
 イメージにより竜型を具現化する
自分の体型などによる影響はない
効果時間は魔力依存
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(とりあえず『氷龍』と『閻龍』は頂く。これを『五天龍』と合成して『七天龍』にしよう。サーシャやあかりが喜ぶだろう。そしてずっと気になってたのがこの『人化』と『竜化』だ。やはり思った通りの内容だった。これさえあればアヤメ達もサーシャの世界から出ることができるし、普通に生活できるようになるかもしれない)

 <ゴガアアアオオオゥゥゥ!!>
うるせえな!話せるんだから話せや!

 氷竜王はシカトされて怒り狂っているのかやかましく吠えている
負け犬の遠ぼえならぬ負け竜の遠ぼえってやつか?
 検証中なんだから黙ってろ!

 俺の検証はまだまだ続く

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『同族招来』 ランク:SS
同種族を呼び寄せるスキル
効果範囲は魔力依存
 自分より上位の存在は呼びだし不可
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『同族念話』 ランク:SSS
同種族間による念話スキル
効果対象は魔力依存
 言語は自動翻訳
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(『龍器創成』は『魔器創成』の上位だろうな。『竜神流体術』も合わせて頂く。『龍戟術』・・・戟?てか、戟って槍とは違うのか?よくわからんが、まぁ槍みたいなもんだろ。エステルの為にも奪うか。そしてこの『同族招来』と『同族念話』・・・以前ブラッドも似たようなスキルを持ってたな。その時はゴミスキルだと一笑に附したが考えようによっては・・・)

 「なぁ、エステル。氷竜王の同族招来と同族念話なんだが、これって抽出スキルを使えばオラクロアドラゴンを呼び放題できたり、俺達も念話できたりすると思うか?」
なんとなくだができるような気もするんだよなぁ

{ほほぉ~。さすがお師匠様なのじゃ!良いところに気がつくのぅ。結論から言えばできるのじゃ。ただし招来は難しいかもしれないのじゃ。お師匠様がスキルを手に入れた時点で対象が人間になってしまうかもしれないのじゃ}
チッ。なにもかもそう上手くはいかないか・・・

(となると招来はいらないな。まぁ念話だけでもかなりの収穫にはなるか)

 <人間風情が余を無視するなど万死に値するわ!余を怒らせたことをあの世で後悔するがよい!・・・氷結凍土!>

 氷竜王が唱えた氷結凍土により当たり一面が白銀の世界へと徐々に様変わりしていく
空はなにやら曇り空が広がりちらちらと雪が舞い始めた
今はまだ大した事ない雪だが次第に吹雪へと変貌しそうな気配さえある
地面は氷竜王の魔力を帯、植物などがどんどん凍らされていっている
 まさに眼前は氷の世界と言うにふさわしい世界が広がりつつある

(うわ!?くっそ寒いわ!!こんのクソトカゲ天変魔法まで使えんのかよ!とりあえずエステルを寒さからまもらないと!)

 急いで俺はアイテムボックスからふぇんりるマントを取り出してエステルに羽織わせた
 ふぇんりるマントに耐寒機能などは付いていないが、何もしないよりはいいだろう

(さすがに天変魔法まで使えるとは思わなかった。腐ってもドラゴンか・・・油断していた。これ以上やっかいな技を使われたら面倒だ。全部頂いて後で処理しよう・・・時間停止魔法アハルテン!)

────。

────────。

────────────────。

 「ビブラシオン全機能停止!!」
 <・・・>

 飛べない豚はただの豚
スキルのないドラゴンはただのトカゲ

 こうして俺は全てのスキルを強奪し、ただのトカゲと化した氷竜王からオラクロア鉱石を手に入れた

(今回は色々と考えさせられる戦いだったなぁ。ただ強くなるだけじゃダメだ。強さの視点を少し変えたスキルも作っていかないと・・・。とりあえず帰るか)

ピンチにはなってない。圧勝だった
 それでも不測の事態に備えられるほど万全ではなかった
愛しい人が傷付いてから気が付いても意味がない
考えられるあらゆる事態に備える必要がある

俺の胸の中でにっこりと微笑むエステルを見ながら、そう考えざるを得なかった

{ところでお師匠様。オラクロア鉱石にも純度のランクがあるのじゃが、お師匠様はそれを判っておるのか?}
 「え゛?・・・マジかよ────────!!!」

 魔樹海に俺の叫びが響き渡る
 こうして俺とエステルは魔樹海を後にした

□□□□

国都ベルカイム・宝石店 16時00分

タイムリミットを迎えてしまった
 しかしまだ戻ることはできない。肝心の婚約指輪がまだだからだ

必要なオラクロア鉱石は手に入れた
 しかしオラクロア鉱石にも純度のランクがあるらしい
 それが俺にはさっぱりわからない
神眼で調べてみても『オラクロア鉱石』と鑑定結果は出るが、純度のランクまでは出ない
 どうせ婚約指輪を作るなら最高品質で作りたい!
だからベルカイムの宝石店で鑑定してもらうことにした

 オラクロア鉱石を持ち込んだ時の店員さんの驚き様は凄かったことだけは追記しておこう

今は鑑定待ち中だ

「「テス、テス。ヘイネさん、ヘイネさん。聞こえますでしょうか?応答をお願いします。どうぞ」」

 鑑定を待っている間にトカゲ氷竜王から奪ったスキルを整理中だ
何よりも優先したのは同族念話だ
宝石鑑定は時間がかかるみたいだ。だから帰宅が遅れる事をお嫁さん達に伝えないといけない
連絡しないで遅刻するとまた怒られるからな!
 一度帰宅することも考えたが、抜け出す理由を考えるのがめんどくさいのと、できれば婚約指輪はサプライズで渡したいので変に気取られたくないという理由からやめた

 そこで同族念話の出番という訳だ
似たようなスキル持ち同士なら念話ができるはずだ

(ヘイネは心話があるからいけるはずだと思うんだがな?あれは心の声を聞くだけじゃないと思うんだよな。たまに念話っぽいのもしてくるし)

 「「ヘイネさ~ん?聞こえませんか~?聞こえたら応答してくださ~い」」

やはり同族念話を少しいじったほうがよかったか?
 手に入れた状態のスキルじゃ役に立たないな
 なんてことを思い始めた時にそれはきた

『『え?ユウジなの?なんでユウジが念話を?というか今どこなの?』』
キタ────────────!!

とりあえず俺はエステルの修業に付き合ってる為、30分程帰宅が遅れることやまたその修業の過程で念話を手に入れたことを伝えた
少し嘘が入っているがサプライズの為だ、仕方がない
優しい嘘ってやつだな!・・・少し違うか?

 『『わかった。みんなには伝えておくね?早く帰ってきてね』』
ふぅ~。これでよし。怒られる心配はなくなった

同族念話はやはり後で少し手を加えよう
今のままだと使い勝手通信機能が悪すぎる
 スキル整理を再開しながら店内を物色しているエステルを眺めていた

 しばらくするとオラクロア鉱石の鑑定が終わった
大雑把に言うと体を覆っていたオラクロア鉱石は低純度で、体内のコア付近に蓄積されていたオラクロア鉱石が高純度だった
量からすると、使える低純度鉱石がバスケットボール1個分で、高純度鉱石はソフトボール1個分らしい。それ以外は宝・石・と・し・て・は・使えないらしい。こちらの量はかなりある

(すくなっ!?いちおオラクロアドラゴンのボスらしき氷竜王でその程度なの!?)

そんな俺の考えが顔に出ていたのか、店員さんにこれでも凄く多いほうだと説明された
仮にオラクロアドラゴンを倒せたとしても、宝石として使える鉱石が手に入るどうかは鑑定してみないとわからないらしい
 しかも手に入っても低純度でさえ極少量で、高純度などは滅多に手に入らないとか・・・

(ふ~ん。そう言われると確かに奇跡が起きなければ出会えない宝石ってのもあながち間違いではないかな。今回は氷竜王だからこその成果なのか。まさにエステル様様だな)

 当然オラクロア鉱石を売却して欲しいと持ち掛けられたが断った
 そんな貴重なものを売れる訳がない
今後もオラクロアドラゴンは狩る予定なので、その時は相談に乗るということで納得してもらった

(さて婚約指輪はどうしたものか・・・俺自身が作ってもいいのだがここはやはりプロに任せたほうがいいか?マジックアイテム化は完成品などでもできるしな。記念となる指輪だけに手作りよりかはプロの完成された意匠のほうが見映えもいいだろう)

ある程度かい摘まんでエステルや店員さんに意見を伺ってみる
 やはり婚約指輪ぐらいは手作りよりもプロに任せたほうがいいと言われた
女の子がそう言うならそれがいいのだろう。任せることにした

任せることになると今度はやれデザインはどうするのかとか、つける宝石の内容はどうするのかとか、と店員さんに色々質問されてしまった

「邪魔にならない程度に可能な限り大きな宝石をつけるのはダメなんですか?」
 素直に感じた疑問だ。でかい宝石つけた指輪ってあまり見ないな

【大きな宝石が価値が高いと考えられがちですが、実はそう単純なものでもないんですよ。 特にオラクロア鉱石の場合はダイヤモンドと指標が同じです。ダイヤモンドの価値を決める指標の一つに4C があります。4Cには・・・】

その後もつらつらと色々説明してもらったのだが正直わからん
 とにかくただデカいのをつけるだけじゃダメらしい
 バランスが重要なんだろう、多分。きっとそうだ、そうしておこう
 てか説明聞く必要ないよな?最高品質でお任せすればよくね?
そのことに気付いたのはあらかた説明が終わった後だった

 お任せした指輪は以下の通りだ

『高純度鉱石の指輪は都合4個』
こちらは完全なエンゲージリングだ
(ヘイネ・サーシャ・セリーヌ・あかりの4人用)

エステルについては正式に嫁となったらエンゲージリングを渡すつもりだ。エステルもそのほうが気負わなくていいだろう

『低純度鉱石の指輪は都合14個』
こちらは家族としての親愛の証といったところか
(ミー・サリー・サラ・ハリー・アイサ・詩乃・アオイ・リア・エステル・スイ・レン・アヤメ・ガーベラ・アマリリスの14人用)

 指輪に飾られる宝石の大きさは大体直径で4~5mm程度らしい
 どちらもそこそこの大きさの鉱石があるので、せっかくだから作ってもらうことにした
今日中に、と頼んだら渋い顔をされたので今からお店を貸し切ることにした。これなら文句はないだろう?
 指輪とお店貸し切り全ての代金はいくらか尋ねたら、低純度鉱石でもいいのでそれで払ってくれと頼まれた。ちゃっかりしてやがる。

 受け取りは3時間後と決まった
 お店の全職人が取り掛かってもそれぐらいかかるらしい
 ヘイネの帰還時間までには多少の猶予があるぐらいだ

 さてこれで全ての用事が片付いた
 あとは個人的な用だけだ

「店員さん、色々と親切にありがとうございました。またいつか利用させてもらいますね。それと最後にこちらを二つ頂いてもいいですか?」

 俺が差し示したのは先程からずっとエステルが喰い入るように見つめていたダイヤモンドリングだ
 スキル整理中ずっとエステルの様子を伺っていたが、どうやら気に入ったらしい
 ねだってこないあたりがなんとも健気でいじらしかった
 そんな態度をされたら男としてなんとかしてあげたくなるよな?

 店員さんから受けとったそれぞれの指輪に魔力を込めてマジックアイテム化する
一つをエステルに、もう一つを店員さんに渡した
 エステルはかなり喜び、店員さんはかなり驚いている

【え?どういうことですか??】
 「感謝の気持ちです。遠慮なく受け取って下さい。店員さんがいなければオラクロア鉱石を手に入れることができませんでしたし、それにずっと気になってたんです。宝石を販売する方がそれらの類いを一切身につけていないことに。実際身につけて接客するほうが買う方にとっても説得力あると思いますよ?ただ贈られる相手がいないとのことでしたので、それなら俺が店員さんに贈ろうかとそう思った次第です。先程も言いましたが、単純に感謝の気持ちなので受け取って下さい」

イリアスではデモンストレーションをする知識はあっても、店の品を貸し出して店員に身につけさせる風習はないみたいだ
実際宝石を販売する店員が宝石を身につけていなかったら客としては不思議に思うのではないだろうか?
 奨めるくせにお前は身につけていないのかよ!と
 ・・・地球じゃないし考えすぎか?まぁそれでも仲良くなっておいて損はないだろう

 でも、しかし、と渋っている店員さんを残して俺とエステルは店をでた。既に用事は済んでいるしな
 いつまでもゴネられててもめんどくさい。さっさと店を出るに限る

{・・・}
 「な、なんでしょうか?エステルさん?」

 店を出た後、俺と店員さんのやり取りを一部始終見ていたエステルが黙って俺を見つめていた
表情から窺い知れるのは怒りや嫉みなどではなくどこか呆れ顔だ

{無自覚なのかどうかわからぬがお師匠様は罪深い人なのじゃ}
 「・・・」

 俺はなんとも言えない空気のまま、愛しい嫁達が待つマイホームへと帰途についた

【マジックリング『唯愛のダイヤモンドリング』を作成しました】
 【マジックリング『感謝のダイヤモンドリング』を作成しました】

□□□□

『居住区』ユウジ邸 17時00分 

マイホームに帰宅した俺はデートの続きを楽しんだ
愛しい嫁達はどうやらクッキーを作ってくれていたらしくおやつとして家族みんなで美味しく頂いた
 これでヘイネのレパートリーにクッキーが追加された。ヘイネ育成計画は順調だ
婚約指輪ができるまでもう少し時間がかかる。さてお家デートって何やるんだ?
 俺のイメージだとただひたすらいちゃいちゃしてるぐらいしかないんだよなぁ
結局ごろごろするぐらいしか思いつかなかったのでヘイネの部屋の小物やらを買いに出かけることにした
 こういうのも本当はベルカイムがいいのだろうがまだ地理がよくわかっていない
時間も時間だし今回は帝都エクスペインで買い物をすることにした

帝都の雑貨屋はなかなかの品揃えだ
小物に関しては女の子同士で仲良く決めていたので、俺も必要なものだけ揃えていった
 てか、みんな仲良くなりすぎじゃね?微妙に疎外感を感じるんだが?まぁ仲がいいのに越したことはないが・・・
俺が購入したのはなんてことない普通の茜色と藍色の布だ
普通の布なんだが、俺が布なんて珍しいものを購入したからかお嫁さん達の関心を集めてしまったようだ

『ユウジ、その布はなにに使うの?』
 「これはあかり用だな。あかりは巷では天女やら聖女やら言われてて白を基調としたドレス装備をしてるだろ?それも似合ってはいるんだが・・・個人的な趣味として着物を推薦したいと思います!絶対あかりは着物がいいと思うんだ!その姫カットは着物を着るためにあるといってもいい!装備作るから着てくれ!いや着てほしい!着てください!お願いします!」

 『[〔≪!!!≫〕]』

・・・え?なにこの雰囲気?セリーヌやサーシャには作ってあげたしあかりにもよくね?
このあかりだけずるい!みたいな雰囲気はさすがに心が痛むな・・・

「いちお簪も作るし草履も作るぞ?それと付け帯も頑張っちゃおうかな~とか思ってる次第であります。簪は宝石を使うし、草履はオリハルコンにしようと思う!それぐらいあかりに着てほしい!俺の撫子はあかりだけなんだからな!」

≪ありがとう!雄司君!楽しみにしてるね!≫
全力で作ってやるからな!絶対似合うから!これでサリーとあかりの和服美人が揃う!

 『ふふっ。よかったね?あかりちゃん。ちょっと羨ましいかも?』
あぁそういえばヘイネのはまだ作ったことないな。どんなのがいいんだろ?

 [アカリ、よかったですの!羨ましいですの!]
セリーヌはフル装備作ってあげてるだろ!一番優遇してるはずだぞ!

 〔本当に羨ましいです。最近ユウジ様はアカリさんばっかりじゃないですか?〕
いやいやいやいやいや!それは被害妄想だからな!?ちゃんとサーシャも愛してるから!!

ヘイネは今度作ることを約束し、セリーヌやサーシャはなんとかなだめた
 ふぅ~。みんなを平等に愛するってのは意外と大変だよな
 そんなことを考えながら俺達は引き続きお買い物デートを楽しんだ

□□□□

国都ベルカイミ・高台公園 20時00分

 夏とは言ってもこの時間になるとさすがに辺りは闇に覆われてきた
俺とお嫁さん達は本日の最終目的地であるベルカイムの高台公園へとやってきた
 この場所は店員さん一押しの夜景オススメスポットらしい
婚約指輪を渡すならベルカイムならここが一番いいと教えてもらった。俺達以外にもそれなりに人はいるどうやらオススメスポットなのは間違いないみたいだ

家々が夜の深い闇に沈んでいく。眼下に広がるのは真っ黒な深い闇だ。
どこまでも吸いこまれていきそうな深淵だ。ここまで闇に染まるのも珍しいのではないだろか
 そしてこの闇はいつまでも続くんじゃなかろうかと思えるほど静寂で静かな時間が続いていた
 だがその闇の静寂にも終わりが訪れた

家々からポツリと、そしてまたポツリと、明かりが徐々に灯されていく
町が整備されていないが故の乱雑な明かりの灯はきらびやかに町を彩っている
眼下に美しく広がる夜景。まさに100万ドルの夜景だ

『きれい・・・』
 「あぁ、これはすごいな・・・」

 隣で俺と腕組をしているヘイネの腕に少し力が入ったのを感じた。気に入ってもらえたようだ
 サーシャやセリーヌ、そしてあかりもしばし絶景に見とれていた

(・・・頃合いだろうか?いざやるとなると結構緊張しちゃうもんだな。一生に一度だもんな、本来なら)

 俺は腕組をしているヘイネとサーシャから離れてみんなに向かい合う
 みんなの視線が俺に集まる。心臓がバクバク鳴っているのがわかる。覚悟を決めろ!

 覚悟を決めた俺はアイテムボックスから一つの婚約指輪を取り出し跪きながらみんなに向かって差し出した
 そして婚約指輪の箱を開けながらプロポーズの言葉をはっきりと綴った

「ヘイネ、サーシャ、セリーヌ、あかり。今更だが・・・俺と結婚してほしい。ヘイネ、俺は必ずヘイネを迎えにいく。そしていつまでも一緒にいよう。サーシャ、二人で、みんなで一緒に幸せな家庭を築いていこう。セリーヌ、もう俺はセリーヌから離れたりはしない。二度と寂しい思いをさせない。ずっと一緒だ。そしてあかり、俺の嫁としていつまでも俺を支えてほしい。俺が間違っていたらいつでも叱ってほしい。俺はわがままで傲慢だ。多分この先もみんなにたくさん迷惑をかけると思う。それでもこの先ずっとみんなと一緒にいたい。幸せにしてやるとは言わない。一緒に幸せになっていこう。俺とこの先もずっと一緒に人生を歩んでいってくれないか?もし一緒に歩んでくれるなら俺はみんなを全身全霊で愛すると『約束』する」

 俺のプロポーズにみんな一様に驚いている
断られるはずがないのはわかっているがそれでも緊張する。この静寂がすごく長く感じる
 うまくプロポーズできたかはわからない。それでも素直な気持ちは伝えたつもりだ
 しばらく静寂は続いていたがそれぞれがそれぞれの反応で口を開いた

『もちろんだよ、ユウジ!これからもずっと一緒にいよ?私はユウジを信じてずっと待ってるから!』
 〔私でよければ・・・。ユウジ様が愛してくれたこの笑顔でずっとユウジ様のお側にいますね!〕
 [ユウ様ありがとうございますですの!セリーヌはユウ様から離れないですの!ずっと一緒ですの!]
≪まさかプロポーズしてくれるとは思わなかったよ。ありがとう雄司君!不束者だけどよろしくね!≫

そして俺はみんなの左手の薬指に指輪をはめながら愛を囁き唇を重ねていった


 ヘイネには、『最愛のエンゲージリング』をはめて、『結婚の約束』のキスを!

サーシャには『相愛のエンゲージリング』をはめて、『結婚の約束』のキスを!

セリーヌには『切愛のエンゲージリング』をはめて、『結婚の約束』のキスを!

あかりには、『純愛のエンゲージリング』をはめて、『結婚の約束』のキスを!


 「みんなありがとう!愛してる!」
 『〔[≪愛してる!≫]〕』

そして『約束』とは別のキスでそれぞれがお互いの愛を確認していった
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