過去と現在を結ぶ異世界ストーリー

なつきいろ

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第5章 唯愛の賢妻と傲慢勇者

~新米冒険者⑤と裸の付き合い~

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前書き

会話パート

「」ユウジ 【】スハイツとジーン

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『お風呂』

お風呂という文化はイリアスにもあるのだが、日本のような浴槽に浸かるお風呂とは全く違う
所謂サウナみたいなものをイリアスでは『お風呂』と呼ぶ
ちなみに浴槽などに浸かるタイプのものもあるが、こちらは基本的には『温泉』と呼ばれる

お約束の事ながらイリアス式のお風呂であるサウナですら、高級品扱いとなり一般市民では縁がない
一般市民はお湯で体を拭くというのが基本である
富豪や貴族あたりになってくると、各家庭にお風呂であるサウナが設置され嗜むようになる
そして王侯あたりになってようやく浴槽に浸かるタイプのお風呂である『温泉』に入れるようになる
イシスで王宮に滞在中の時は当然『温泉』に入っていた

商都リブループが観光地として有名なのは温泉街もあるからだ

と言っても当然『温泉』に入るには高い料金が必要となるので、大概の旅行者は『お風呂』に入ることになる
しかしほとんどの旅行者はその『お風呂』ですら普段お目にかかることができない嗜好品であり、こちらなら気軽に利用できるとのことで連日大盛況となっている
一般市民でも『お風呂』が利用できる数少ない場所だ

□□□□

帝都エクスペイン・ユウジ邸 ~男湯~

「ほら、頭洗ってやるから早くこい」
俺とスハイツとジーンは今、裸の付き合いの真っ最中だ

スハイツとジーンは異世界においては一人前の年齢でもお風呂に接してきた経験は当然ない
だからお風呂の入り方を根本的に教えてやらないといけないのだ

エクスペインの自宅やこの別荘にもイリアス式である『お風呂サウナ』は常設されていた
しかし日本人である俺はお湯に浸かりたい!
その一心で自宅を改造して混浴温泉を創った
俺的にはあまり必要性を感じていなかったのだが、そこはマナーであると考え仕方なく男女別の温泉も創った

当然普段は混浴を利用している
サーシャやセリーヌ、あかりのお嫁さん一同と一緒だ
セリーヌといつも一緒にいるアオイだが、お風呂の時ばかりはさすがのアオイも女湯に入る
セリーヌはアオイも一緒に!と言ってはいるがそういう訳にもいかないだろう
ナニしちゃう時もそれなりにあるので結構助かっている
同じ風呂場にいたらアオイにも手を出しかねないからな!

そんな俺の楽しみの一つであるお風呂タイムも新米君達の登場で一変してしまった

さすがに入り方も知らないスハイツ達だけで風呂に入らせる訳にもいかないし、混浴に入らせるのはもっとない
だから仕方なく俺も男湯に入るハメになっている

(一刻も早くスハイツとジーンには風呂の入り方を覚えてもらう必要がある!急務だ!なにが悲しくて小さい象さんなんて見なきゃいけないのか・・・俺は個性ある霊峰を眺めていたい!)

という訳で、体の洗い方や各設備、各用品の使い方を教えている最中だ
設備も用品も日本式のものだがスハイツ達を伺うに、この様子なら数日でマスターできるだろう
てかマスターできようができまいが関係ない。数日したらもう一緒に入ることはないだろう

「ふぃ~。やっぱり風呂はこうでなくっちゃな~」
スハイツ達を洗い終わった俺は湯船に浸かりながら大きく息を吐く

(やはり風呂と言ったら湯船に浸かるものだよな~。サウナで満足などできん!それにしてもこう一人で・・・ゆったり入るのも久しぶりだな・・・いつもサーシャ達と一緒だしな~。たまにはこういうのもいいかもしれん)

俺は敢えて目の前の光景には目を向けないようにしていた
軽い現実逃避とも言える
この俺がまさか男と一緒に風呂に入るなんていう悪夢を直視したくないからだ

しかし現実はそうもいかない訳で・・・

【兄ちゃん!俺こんなでっかい風呂に入れるなんて思わなかったよ!】
【本当だよね~。こんな大きいお風呂に入れるのは王様達ぐらいだもんね~】
・・・。話しかけんな!俺を現実に引き戻すなよ!

風呂の中で楽しそうに泳いでいるスハイツ達を叱ろうかとも思ったがめんどくさいのでやめた
そこまで面倒は見きれん。のぼせたらのぼせたで放っとこう

・・・

しばらくするとスハイツ達も泳ぐのに飽きたのか今はまったりと風呂を堪能しているようだ
そろそろ頃合いだろう・・・実は確認したいことがあった

「なぁ、スハイツにジーン・・・お前らテレサやフアナの事が好きなのか?」

─────ざぶんっ!

スハイツ達の方から勢いよく水しぶきがたった
明らかに驚いている様子だ。いや狼狽しているといったほうがいいかもしれない

【な、なに言ってるんだ?兄ちゃん?そ、そんな訳ないだろ?】
【そ、そうだよ?べ、別に好きじゃないよ?】
想像以上の反応が返ってきたな。バレバレだっつうの。しかしここは・・・

「ふ~ん?そうなんだ。じゃあ俺がテレサやフアナをもらってもいいんだな?」
【【!?】】

「お前らも知っての通り俺はSランク冒険者だ。そしてお前らよりも遥かに強いし力もある。テレサやフアナぐらいなら余裕で一生護ってあげられる。それに俺はお前らと違って金持ちでもあるな。テレサやフアナが欲しがるものならなんでも買ってあげられる。さらに俺にはすでに将来を誓った相手が数人いるのは紹介したよな?今更テレサとフアナの二人ぐらい増えたところなんの問題もない。俺も二人の事は気に入っているしな。お前らはテレサやフアナの事をなんとも思っていないようだし、それなら俺がもらってもいいんだよな?」

唐突にきりだされたかのような恋ばなだが実は理由がある

俺の『記憶収集』には検索機能がある
名前を知りたい場合はある程度条件を絞ることで必要な情報を得ることができる
例えるならPCを想像してもらうとわかりやすいと思う
しかし『記憶収集』の検索機能もPCと違う点があり、検索してもPCみたいにその情報がポンっと出てくるものではない
その情報に関わる記憶がムービーみたいな形式で頭の中に流れてくるのだ
当然頭の中には名前以外の情報も入ってくることがある

さて話を戻そう

俺が恋ばなを始めた理由
それは家族会議の最中にフアナの記憶を覗かせてもらったときの事だ
確かあれは貴族邸の場所をフアナの記憶から探っていた時だったと思う
スハイツ達4人組が仲良く手を繋いでダンジョンから帰宅している最中の記憶だった
初めは仲がいいぐらいにしか思っていなかったが、その後もスハイツとジーンが明らかに照れているような光景が何度もあった

・・・え?プライバシーの侵害だって?
なに言ってんの?俺が法律だ!だから俺が許す!

そんな訳で少しスハイツ達にカマをかけてみたら大当たりだったという訳だ

【・・・え?に、兄ちゃん。テレサの事が好きなのか?】
【お、お兄さん。フアナちゃんの事が好きなの?】
ぷ~!お前ら動揺しすぎだろ!!どっちがどっちを好きなのか丸わかりだ

俺の突然の宣言に二人とも困惑したような、悲しそうな表情を俺に向けてきた
俺がその気になったら本当にテレサ達が取られてしまうと思ったのだろう

(スハイツはテレサを、ジーンはフアナの事を好きみたいだな。まぁ二人がどっちを好きなのかは記憶を覗いていた時に分かってはいたが)

ちなみにテレサ達は恐らくだが好意はあってもそれは友達みたいな感覚なのだろう
スハイツやジーンの好意とは明らかに違うように見えた

(にしても最近のガキはマセてやがんな。いや、異世界ならこれが普通なのか?まだ11歳と9歳のガキだろうが。それにマセるのって普通女の子のほうが早いと聞くんだがな)

「まぁ可愛いとは思うな。テレサは将来ものすごい美人になるだろうし、フアナはあんな感じだからな。癒されるし護ってあげたくなっちゃうよな。だから俺のものにするのも悪くはないと思うぞ?・・・いいんだよな?そうしちゃって。だってお前らはテレサ達の事を好きじゃないんだろ?」

俺はスハイツとジーン、二人の様子を伺うように眺めた
二人からは明らかに苦悩の表情が読み取れる。そこまで意地張るものかね?
好きなら好きでいいんじゃねぇかな?これが思春期ってやつか?
そういえば俺にも思春期が・・・うっ。頭が痛くなってきた・・・

【俺達がテレサ達の事を好きなら、兄ちゃんはテレサ達を取らないでくれるのか?】
「そりゃ無理な話だな。誰が大切な家族をお前らみたいな弱っちい連中に任せるんだよ。お前らに任せるぐらいなら俺が護ってあげたほうがいいに決まってんだろ。それともなにか?お前らは自分らの我儘でテレサ達を殺したいのか?今の・・お前らにはテレサ達うんぬんを言う資格もなければ力もない」

ままごと恋愛なぞに時間を使ってる暇などないということを気付いてもらいたいものだ
どうもこいつらは真剣味が足りないんだよな~。俺の時とは大違いだ
第一男の生きざまを話した時、単なる憧れみたいな気持ちしか抱いていなかったみたいだしな

【【・・・うぅ】】

泣いちゃいますか。どうして俺から奪ってみせる!ぐらいの一言が言えないのか・・・
覇気もなければ度胸も覚悟もない。所詮は単なる子供か
救ったのはやっぱり間違いだったかな?

「はぁ~。お前らは俺の話を聞いていなかったのか?お前らの今いる環境に悲観してるぐらいなら強くなれよ。俺から好きな女ぐらい奪ってみせろ。それぐらい死に物狂いで強くなれ。いつまでも甘えてるな。そもそもお前ら人を護ってあげることを甘く考えてないか?命だけ護ってあげればいいだけじゃないんだぞ?その人の人生丸ごとすべてを護ってあげる必要があるんだぞ?今のお前らにテレサ達の全てを護れるのか?無理だろ?・・・だったら、悔しくて泣いている暇があるなら覚悟を決めて全てを護れるぐらいに強くなれ」

俺の言葉を聞いて、スハイツとジーンの瞳の奥からはメラメラとやる気に満ちた炎が燃え盛っていた
先程の生き様の時の憧れとは違う、覚悟に近い決意が伺える
この決意があるならもう大丈夫だろう
それなら後は背中を押してやるだけだ

「グダグダ訓練しててもラチがあかないからな。半年だ。半年で強くなってみせろ。半年後俺はお前達を奴隷から解放してやる。その時お前達がテレサやフアナを連れていっても俺が心配しないぐらいの強さを俺に示してみろ」

余程テレサ達のことが好きなのか、スハイツ達は真剣に俺の話を聞いていた
あの可愛いらしい雰囲気を漂わせていたジーンでさえ、闘志を剥き出しにしていたのだから本気なのだろう

【じゃあ兄ちゃんは半年間はテレサ達に手を出さないんだな?】
「そんなのわかる訳ないだろ」
【【なんで!?】】
「バカなのか?俺からじゃなくテレサ達から求めてくる可能性だってあるだろ?心配なら、そうならないようテレサ達にしっかりアプローチしとけよ?」

新米君達は貴族のもとで半年間奴隷をしていたみたいだ
その半年の間に友情だけでなく密かに愛情も育んでいたのだろう
まだテレサ達には気持ちを伝えていないようだが・・・

「とにかく半年間の間は死に物狂いで訓練しろ。ハリーやアイサには俺から頼んどくから、二人に協力してもらえ。それと半年後どういう結果だろうとスハイツとジーンの二人は家からたたき出すからな?奴隷じゃなくなるんだ。いつまでも俺に甘えてるわけにはいかないだろ?だから一人立ちしろ。その時にテレサ達をお前達に任せていいかどうか判断するからな」

奴隷でなくなってもテレサとフアナだけなら家族として迎えてもいいなぁ~・・・スハイツとジーンはいらん!
成り行きで助けてしまったがやはり家族は女の子だけに限る!
ちょうど奴隷契約が一年になる半年後にたたき出す理由ができてよかった、よかった

【分かった!半年後に兄ちゃんに認めさせてみせるよ!】
【僕もフアナちゃんの為に頑張るよ~、お兄さん!】

さてと、スハイツとジーンの覚悟が決まったところで湯当たりでもされたらめんどくさい
そろそろ風呂を上がるかと思っていた時にスハイツから聞き捨てならない言葉が飛んできた

【なぁ~兄ちゃん。半年後、俺らが兄ちゃんに認めてもらえるぐらいに強くなったら何かご褒美くれよ】

(はぁ~?ご褒美だぁ?てめえらへのご褒美はテレサ達だろうが!図に乗るなよ?ガキどもが!第一ご褒美をねだるのは女の子の特権だろうが!・・・少しからかってやるか)

「・・・別に構わないぞ?俺の取っておきをやるよ」
【本当か!?取っておきってなんだ!?兄ちゃん!】
【お、お兄さん!僕も、僕もご褒美が欲しいよ!】

スハイツとジーンは俺からのまさかの答えに歓喜してにじり寄ってきた

近いんだよ!俺に男がそれ以上寄るな!

若干イライラしつつも、俺はアイテムボックスから一つの丸錠を取りだしスハイツとジーンに見せることにした

【?兄ちゃん?なんの薬だ、これ?こんなのよりも武器とかのほうがよかったな】
力は自分で手に入れろ!それにこれがなんなのか知らないだろ!

【万能薬って感じじゃないね。何これ?見たことない薬?なのかな?】
薬学士でも知らないか。まぁ俺も本では見たことないしな

当然スハイツとジーンは丸錠を見ただけでは、それがなんなのか分からなかったみたいだ

(そもそも滅多に見れる代物ではないからな~。薬学士のジーンが知らなくても当然だ。この俺でさえオークションを通しても中々手に入れられない超高級品だしな。初めアウラ様からその話を聞いた時は喜んだものさ。絶対手に入れてやるってな!)

二人が懐疑的な表情をしていたので、二人の耳元でこの丸錠の正体を明かすことにした

「・・・」
【【!!!】】

俺からこの丸錠の正体を聞いた二人はそれはもう顔から火が出るかのように顔を真っ赤にしていた
態度も明らかに狼狽し落ち着きなくそわそわしっぱなしだ
きっとこいつらは今、目眩く妄想を抱いているに違いない

(くくく・・・。からかい成功みたいだな。それにしても本当に最近のガキはマセてやがるな。薬の説明も必要かと思ったがまさか知ってるとは思わなかった。結局異世界だろうとどこだろうと男は所詮男ってことか?)

「おら!早く出ないとのぼせるぞ?ムッツリども。お前達がエロい妄想をしてたってテレサ達にバラすぞ?」

【ちょ!?兄ちゃんやめてくれよ!すぐ出るから!】
【お兄さんさんやめてよ~!フアナちゃんに嫌われちゃうよ~】


こうして誰得だよ!?の男湯の裸の付き合いは終了した


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『睾丸錠』ランク:SSS
妊娠促進錠剤。異種族間にも適用される
万能薬を作成する段階で極々稀に生成される幻の錠剤
オークションでもごく稀にしか出品されない
相場は王金貨15~20枚前後となる
キャッチコピーは『女神アウラもオススメ!これで貴方もハッスル!ハッスル!』
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