魔王を倒した勇者

大和煮の甘辛炒め

文字の大きさ
19 / 60
二章 学園交流会編

十九話 交流会参加決定

しおりを挟む
「交流会?」

アスフェンが首をかしげる。

「はい!」

クアルトが大きく頷く。

「我がフュートレック冒険者学園と冒険者育成学校アンデラートの交流会です」

「具体的に何をするんですか?」

レグルスが興味津々な様子で尋ねる。

「ダンジョン攻略と決闘です。ダンジョン攻略ですが、二つのパーティーがダンジョン攻略の速さを競います。中にいるモンスターは……内緒です」

「内緒……!」

レグルスが息を飲む。

「決闘はどうせ一対一の勝ち上がりだろ?」

アスフェンがつまらなさそうに言う。

「そのとうりです。実はまだ出場してくれるメンバーが決まっていなくてですね」

「交流会はいつ」

「明後日です」

「今まで何してたんだアホ」

「アンデラートに勝つためには妥協出来ません!」

クアルトが大声をだす。

「この学園の生徒達は皆優秀です。でもアンデラートの生徒にはどうあがいても及ばないのです……」

クアルトがしょんぼりする。

「当日は国王夫妻も観戦に来られます。何とかして勝利を届けたいのです」

「……出てあげても良いんじゃないですか、師匠」

アリスが言う。

「ええー」

「あの魔人の情報が得られるかも知れませんよ」

「要らないよ、あんなのの情報」

「アイツを送り込んだ親玉の情報も」

『確かに奴らを従えているやつはいるだろう。あの赤髪の魔人が言っていたクローバーというやつの情報』

「出ます。必ず勝ちますから気を落とさないで下さい」

レグルスが勝手に決める。

「おい……なにやって……」

アスフェンが固まる。

「本当ですか!ああ、なんと心優しい方々だ!」

クアルトが小躍りする。

「今日は寮の空き部屋でお休みください、明日制服を支給いたしましょう」

「は?制服いるのか?」

「勿論、ダンジョン攻略と決闘は制服を着て行います」

「げー、動きにくそう」

アスフェンが眉をひそめる。

「ヤッフー」

クアルトがスキップしながらどこかへ行く。

「寮、どこだよ」

慌ててアスフェン達が追いかける。



⭐⭐⭐

「ベッドがフカフカであったか~い!」

レグルスがベッドで飛び跳ねる。

「三人部屋にしては広いですね」

アリスが髪をタオルで拭きながら部屋を見渡す。

「来客用なんじゃないか?レグルス、ホコリが舞うから止めろ」

「はーい」

レグルスが飛び跳ねるのを止める。

「ケラスターゼさんは明日ここに来るんですよね」

「うん、彼女も交流会に参加するそうだ」

アリスが頷く。

「もう電気消すぞ」

「早!」

「夜更かしして得することなんてないぞ」

アスフェンが電気を消す。



⭐⭐⭐

飲み屋が立ち並ぶ小さな通りを黒いフードを被った男が歩いている。

彼の隣を酔っ払い集団がすれ違う。

酔っ払い集団の消息はそこで途絶えた。

巡回中の衛兵二人が声をかける。

「おい、こんな時間に何してる」

その問いかけを最期に衛兵二人の消息は途絶えた。

彼とすれ違う人が次々消えていく。

「……もっとだ。奴らを皆殺しにするにはまだ足りない」

男が呟く。



⭐⭐⭐

翌朝、ケラスターゼと合流したアスフェン達はフュートレック冒険者学園の制服に身を包んでいた。

「思ったより動きやすいですね」

ケラスターゼが軽くストレッチする。

青を基調とした凛々しい制服だ。

「制服……初めて着た」

アスフェンが裾を引っ張る。

「わたしもここのは初めてですよ」

「わたしも」

ケラスターゼとレグルスが頷く。

「おお、皆さんお似合いですね」

クアルトがにこやかに言う。

その時、

「じいさん、明日のサンドバッグは用意したか?」

侮蔑の響きが混じった声が聞こえた。

アスフェン達が振り返る。

白髪の美女が腕を組んで立っていた。

アンデラートの制服に身を包んでいる。

後ろに同じ制服を着た三人控えている。

「ん?アリス・サイファー、なんであんたがこんなところに……」

白髪の美女が嫌そうな目を向ける。

アスフェンが素っ気なくあしらう。

「やかましいぞ女、あっちへ行け」

「ああ、なんだと?」

白髪の美女がアスフェンの胸ぐらを掴む。

「私がA級パーティー『スターハイツ』のリーダー、シャルロッテ・ブラーノと知っての発言か?」

「ダセェ名前だな」

「てめぇ!」

シャルロッテがアスフェンを殴り飛ばす。

実際は殴られたふりをしてぶっ飛んだだけである。

「イターイ、コワイヨー、ハヤクニゲナイトー」

アスフェンが棒読みな台詞を言いながらクアルトに促す。

「え、あ、あぁ!保健室に案内しましょう、どうぞ」

アスフェン達が駆け出す。

「ちっ」

シャルロッテが舌打ちする。

『ムカムカするぜ、このムカムカは交流会で爆発させてやる』

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

霊力ゼロの陰陽師見習い

三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。 ……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」 その言葉は、もう何度聞いたか分からない。 霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。 周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。 同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。 ――俺だけが、何もできない。 反論したい気持ちはある。 でも、できない事実は変わらない。 そんな俺が、 世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて―― この時は、まだ知る由もなかった。 これは―― 妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~

とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。 先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。 龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。 魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。 バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...