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三章 人魔戦線
三十九話 潰えぬ希望
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「数が増えたってなにも変わらない!アスフェンへの愛は引き裂けない!」
フュートレックが狂ったように叫ぶ。
「何言ってんだお前、バカじゃねえの!」
シャルロッテが嘲笑いながら襲い掛かる手を切り裂く。
『無理だな……押しきられるのは時間の問題だ。余裕があるのは私達『スターハイツ』とアスフェンと空飛んでるオッサンだけだ。
アリスとガキは満身創痍だ。特にガキ、腕を飛ばされてやがる』
「メリッサ、ガキにヒールかけてやれ!」
シャルロッテがメリッサに指示を出すが、チュンチュンが遮る。
「私よりアリスとパンタロンにかけてやれ!私は今のままで問題ない!」
メリッサがアリスと空を飛び回っているパンタロンにヒールをかける。
「恩に着る!」
パンタロンが手を粉砕する。
『こいつのヒール、魔力も回復するのか!もう少し戦えるぜ』
アリスの剣捌きも鋭さが戻る。
『ふー、アルティメットヒールが温存出来るのは大きいわね』
「私達で手を引き付ける!」
アリスが叫んでアスフェンの周りの手を一掃する。
「アスフェンはあの化け物に集中して、手の攻撃は私達に任せて!」
「……おう!」
アスフェンが駆け出す。
手がアスフェンに襲い掛かる。
「やらせるかよ!」
シャルロッテがその攻撃を阻止する。
「上等だ!」
パンタロンがあらゆる兵器を駆使して手を粉砕していく。
チュンチュンも巧みに血液を操り、手を翻弄する。
「頑張って!」
チュンチュンが血を吐きながら叫ぶ。
『限界が近い……!回復しないと死ぬけど、回復したら完全暴走状態が終わる。そしたら私はこの戦いにもうついていけなくなる』
シャルロッテの仲間達も援護する。
フュートレックが高笑いする。
「全部載せよ」
結界内にある手が光りだし、炎魔術、風魔術、雷魔術、氷魔術が放たれる。
アスフェンとパンタロン以外が大ダメージを受ける。
『ちくしょう、回復した魔力が一気に削られた!四属性魔術を同時に放つとは……。急いで張った魔力シールドが間に合ってなかったと思うと……』
パンタロンが地面に降り立つ。
アリスとシャルロッテが立ち上がる。
「化け物め……!」
「ふざけんな、チートが過ぎるでしょ!」
しかし彼らの目的は達成された。
アスフェンがフュートレックに肉薄する。
「やっと近くであなたが闘う姿が見れるわ!」
フュートレックが腕を硬質化させて攻撃を受け止める。
アスフェンが不敵な笑みを浮かべる。
「すぐ逃げたくなるさ」
「いいえ、一生このままが良いわ」
アスフェンとフュートレック、かつての仲間同士の闘いが熾烈を極める。
⭐⭐⭐
チュンチュンは仰向けに倒れて空を眺めていた。
「びっくりしちゃった……」
さっきの攻撃は避けきることが出来なかった。
アンデラートも大破し、崩れ始めていた。
「あ……瓦礫が……」
チュンチュンの上から瓦礫が降り注いでくる。
「チュンチュンがヤバイ!」
アリスが動こうとするが脚に力が入らない。
パンタロンが走る。
『駄目だ間に合わん!だがここで死なす訳にはいかん!』
「……皆、先に天国で待ってるね……」
チュンチュンの瞳から涙が溢れだす。
瓦礫が後数メートルというところに迫る。
「チュンチューン!」
パンタロンが叫んでチュンチュンの上に覆い被さろうとして、飛び出す。
その時、不思議なことが起こった。
パンタロンの動きが止まったのだ。
アリスもシャルロッテも、アスフェンとフュートレックもだ。
彼らの周りを漂う土埃さえも動きを止める。
音も世界から消え去る。
世界が動きを止めたのだ。
誰かがチュンチュンを抱え上げる。
そのままパンタロンのからだの向きを変える。
「間に合ったみたいね」
世界が動きを取り戻した。
チュンチュンが驚きを露にする。
「えっ!?あ、あァァ!」
アリスも涙をながす。
「くっ……全く、心配したんだから!」
チュンチュンを助けた人物には獣耳二つ。
鼻が良く利くハツラツ獣人娘。
フュートレックが驚愕する。
「な、どうやって復活した!レグルスゥゥ!」
レグルスがフュートレックを睨み付ける。
フュートレックが狂ったように叫ぶ。
「何言ってんだお前、バカじゃねえの!」
シャルロッテが嘲笑いながら襲い掛かる手を切り裂く。
『無理だな……押しきられるのは時間の問題だ。余裕があるのは私達『スターハイツ』とアスフェンと空飛んでるオッサンだけだ。
アリスとガキは満身創痍だ。特にガキ、腕を飛ばされてやがる』
「メリッサ、ガキにヒールかけてやれ!」
シャルロッテがメリッサに指示を出すが、チュンチュンが遮る。
「私よりアリスとパンタロンにかけてやれ!私は今のままで問題ない!」
メリッサがアリスと空を飛び回っているパンタロンにヒールをかける。
「恩に着る!」
パンタロンが手を粉砕する。
『こいつのヒール、魔力も回復するのか!もう少し戦えるぜ』
アリスの剣捌きも鋭さが戻る。
『ふー、アルティメットヒールが温存出来るのは大きいわね』
「私達で手を引き付ける!」
アリスが叫んでアスフェンの周りの手を一掃する。
「アスフェンはあの化け物に集中して、手の攻撃は私達に任せて!」
「……おう!」
アスフェンが駆け出す。
手がアスフェンに襲い掛かる。
「やらせるかよ!」
シャルロッテがその攻撃を阻止する。
「上等だ!」
パンタロンがあらゆる兵器を駆使して手を粉砕していく。
チュンチュンも巧みに血液を操り、手を翻弄する。
「頑張って!」
チュンチュンが血を吐きながら叫ぶ。
『限界が近い……!回復しないと死ぬけど、回復したら完全暴走状態が終わる。そしたら私はこの戦いにもうついていけなくなる』
シャルロッテの仲間達も援護する。
フュートレックが高笑いする。
「全部載せよ」
結界内にある手が光りだし、炎魔術、風魔術、雷魔術、氷魔術が放たれる。
アスフェンとパンタロン以外が大ダメージを受ける。
『ちくしょう、回復した魔力が一気に削られた!四属性魔術を同時に放つとは……。急いで張った魔力シールドが間に合ってなかったと思うと……』
パンタロンが地面に降り立つ。
アリスとシャルロッテが立ち上がる。
「化け物め……!」
「ふざけんな、チートが過ぎるでしょ!」
しかし彼らの目的は達成された。
アスフェンがフュートレックに肉薄する。
「やっと近くであなたが闘う姿が見れるわ!」
フュートレックが腕を硬質化させて攻撃を受け止める。
アスフェンが不敵な笑みを浮かべる。
「すぐ逃げたくなるさ」
「いいえ、一生このままが良いわ」
アスフェンとフュートレック、かつての仲間同士の闘いが熾烈を極める。
⭐⭐⭐
チュンチュンは仰向けに倒れて空を眺めていた。
「びっくりしちゃった……」
さっきの攻撃は避けきることが出来なかった。
アンデラートも大破し、崩れ始めていた。
「あ……瓦礫が……」
チュンチュンの上から瓦礫が降り注いでくる。
「チュンチュンがヤバイ!」
アリスが動こうとするが脚に力が入らない。
パンタロンが走る。
『駄目だ間に合わん!だがここで死なす訳にはいかん!』
「……皆、先に天国で待ってるね……」
チュンチュンの瞳から涙が溢れだす。
瓦礫が後数メートルというところに迫る。
「チュンチューン!」
パンタロンが叫んでチュンチュンの上に覆い被さろうとして、飛び出す。
その時、不思議なことが起こった。
パンタロンの動きが止まったのだ。
アリスもシャルロッテも、アスフェンとフュートレックもだ。
彼らの周りを漂う土埃さえも動きを止める。
音も世界から消え去る。
世界が動きを止めたのだ。
誰かがチュンチュンを抱え上げる。
そのままパンタロンのからだの向きを変える。
「間に合ったみたいね」
世界が動きを取り戻した。
チュンチュンが驚きを露にする。
「えっ!?あ、あァァ!」
アリスも涙をながす。
「くっ……全く、心配したんだから!」
チュンチュンを助けた人物には獣耳二つ。
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