だからってなんだよー 私は負けない

すんのはじめ

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第2章

2-4

 5月の連休中、私は三倉先生と裏山の探索に出掛ける約束をしていたのだ。仕方ないので、会うのは嫌だったんだけど、山の持ち主の庄爺には、承諾を貰っていた。幾らかの樹々の葉っぱとかも採っても良いと。

 その裏山は、庄爺のお父さんが昔 炭焼きをしていて、その小屋の形は残っていて、そこまでは何とか道があるけど、その奥はわからないということだった。庄爺でさえ何回かしか行ったことが無いと言っていた。

 朝、先生が家に迎えに来てくれて、私の短パンとスニーカーの姿を見て

「それで、行くのかよー 山ん中だぞー 長袖、長ズボンじゃぁないと駄目だよー」

「ですよねー この子ったら これで良いんだって 聞かないんですものー」と、お母さんは、まだ道の駅の仕事に出る前だったのだ。

「でも 私 長ズボンなんて無いもん」

「仕方ないから お母さんの穿いて行きなさい」と、出してくれたスリムジーンのズボン。それでもぶかぶかで・・・

「これで良いわよ ベルトして長靴だから、何とかなるわよー 先生 よろしくお願いしますね この子 昨日からとっても楽しみにしていたんです 朝 早くから おにぎりも自分で握って・・・」

「あっ あー 僕も コンビニでおにぎり買ってきたんですがー まぁ 両方 いただきますよ」

 お母さんに見送られて、山に向かった。

「若くて可愛くてきれいなお母さんだね。最初、お姉さんかと思ったよ」

「先生 お世辞じょうず お母さんが聞いたら喜びそー」

「いや 少し 小芝風花に似てるかなー あれじゃぁー 言い寄る男 いっぱい 居るだろう」

「先生 やーらしい! ねぇ 手 繋いでくれないのぉー?」

「この道だったら ひとりで歩けるでしょっ!」と、言いながらも周りが雑木林になってきたら、繋いで山道を登ってくれていた。先生は、そのうち笹薮を分け入り、樹の葉っぱを採っては、持ってきた濡れたタオルでくるんで大きなカバンに収め始めた。

「先生 そんなん集めてどーすんのん? 観察?」

「あぁー これはね 実家に送るんだ レントランやってるって言ったろう? 料理の飾りに使うんだ 今は、取り寄せてるんだが 案外高くつくらしい だから もっと 手軽にって 聞いていたもんだから・・・ この山椿とかサカキ トチノキもあるしね なかなか いいよー それに、湧き水なんかあると、ちかくにシダ類もありそうだよ」

「ふ~ん お金になるん?」

「なるともさー でも、喰っていくには 使ってくれるとこ増えないとね だけど 安かったら 使うとこが増えて行くと思うよ」

「先生 それで お金儲けしようって考えてるの?」

「まだ わからん 送ってみて 使えるかどうかー」

 そして、奥に進んで行くと、少し開けたところにあったのだ ぐずれ落ちそうなバラックの炭焼き小屋と、トタンの屋根が落ちてしまっているのがもう一つ。

「あっ あそこ 多分 ひかげかづら」と、草があんまり生えていない崖のほうに駆け寄って行った。

「おー これっ これっ これは完全に使えるよー」

「ふ~ん そんなモールみたいなもん 何に使うの?」

「これはね ちょっと高級なお弁当とかお節料理なんかのお重に飾りとしてね」

「ふ~ん 何だかね 私には わからないなー そんな 食べられへんの入れるなんて」

 私達はその辺りにシートを敷いて腰掛けると、持ってきたおにぎりを食べることにして、先生は私の握ったものを食べてくれていた。

「ごま塩と梅干しだけなんで ごめんなさいね」

「いや おいしい このキュウリの漬物も絶妙に合うよ」私は、先生が買ってきたというおにぎりを食べていたのだけど

「ねぇ 先生 さっきから これは良いって 集めているけど ここは 他人んちだから いざとなっても 採れないよ」

「うん なるほど そーだな それは 現実的になったら 君に助けてもらわなきゃーいけないかもな」

「えっ 助けるって?」

「それは その時に話すよ まぁ 僕が動くより 君のほうがいいと思う」

「なによー その 訳わかんないのってぇー なんか ずるぅーい」と、私は思わず先生の胸に飛びついて押し倒していた。割と厚くて、そんなことは私には初めてだった。男の人の胸・・・。

「すぐり・・君 この態勢はまずいと思うよ 誰かに見られたりしたら 教師と生徒なんだから・・・」

「誰もこないよ 私ね お父さん 知らないから、こんな風なのかなーって 先生 あったかい もう少しの間」と、私 そのまま いねむりしてしまったみたい。しばらくして、気がついて

「あっ 私 寝てしまったみたい わぁー よだれも・・・」

「ふふっ 5分か10分くらいだよ すぐに すやすやと・・・」

「うん そーかー 先生 抱いててくれたの?」

「うん まぁ しょうがないので 片手を添えてた」

「だからか 守られているみたいで安心したんだねー」

 その後も奥に登って行って、何枚かを採って、帰るとなった時

「先生 晩御飯も一緒に食べてってよー 帰っても独りなんでしょー?」

「まぁ そーだけど 早速 これを送る手配しなきゃー 帰るよ」

「そーかー じゃぁさ 明日は イワナ 獲りに行こうよー」

「うん そーすっか」

「じゃぁさー ここの坂 降りたとこ、線路を超えたところで 10時ね 今日は 腕枕・・・じゃぁないか 抱いててくれて ありがとう 幸せの時間だったよ!」

「ウ~ン たまたまなんだからー 誰にも・・・ 二人だけの秘密だぞ」

 私は、 その二人だけの秘密 という言葉に・・・ときめきを感じていた。


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