少女は 見えない糸だけをたよりに・・

すんのはじめ

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第1章

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 次の日、私は、5時少し前に民宿に行った。案の定、起きている様子がなかったので、部屋まで上がり込んで

「おきろー 起きろー」と、枕で叩くようにしていたんだけど、部屋ん中がお酒臭くて、男の臭いが・・。たまらず、直ぐに外に出てきてしまった。

 二人が、外に出て来た時、短パンにビーチサンダルで・・私は、長袖、長ズボンで来ていたんだけど

「あのねー 海に行くんじゃぁ無いの 山! 虫とか蛇が・・」

「おい! 蛇って マムシいるんかー」と、はじめさんが

「うーん 居るかもね 私は、見たこと無いけどー でもね せめて、サンダルはねー」

 結局、靴だけスニーカーで・・。

「時間遅れたから、走るね 日の出 間に合わないから」と、私は、言ったものの、意外と彼等はどんどん登っていくのだ。遅れ始めた私を見て、巧さんは、手を差し出して、私の手を掴んでくれた。だけど、余計に走りずらかったんだけど、私は、ぬくもりを感じていた。

 山の上に着いた時、陽があがったとこで何とか間に合った。その日の出を見ている時、私達は手を繋いだままだった。というより、私は、指を組むように繋ぎ直していたのだ。その時、私は、その日の出を生まれて初めての感情で見ていた。なんか、訳がわからないんだけど、希望みたいなものが・・この人と・・結ばれているのかも・・・。

 山を下りてきて、その足で私は、海藻を採りに行った。帰ってくるとき、砂浜に座っている巧さんを見つけた。

「なにしてるの? はじめさんは?」 私 長ズボンを脱いで、下のスパッツのままだった。

「うん アイツは寝てしまったよ 朝 早かったから」

「そう それで、巧さんは何してるの」

「朝の海 見てんだー それと、もしかして、君と会えるかもって・・多分 海藻を採りにくるだろうなって・・・」

「私も 会いたかったの かも・・」

それからは、いろんな話をした。私も、島の生活とか、高校のことも・・。彼は、京都大学の農学部ということもわかった。笑い合ったりもした。私も、こんなに笑ったの、いつ以来だろう。

「もう 行くね おばぁちゃん 待っているから」

 その時、私は抱きしめられた。えー えぇー と私は、戸惑っていた、初めてのこと・・だから・・

「好きだよ 昨日会った時から 何か感じていたんだ 結ばれているって」

「私も」って、小さい声で言ったと思うけど、そのまま抱かれていたら、巧さんが顔を寄せてきて、私は、その時・・顔をそむけてしまった。

「ごめんなさい 私 巧さんのこと あんまり知らないのに・・こんなー こと できない・・・」

「あー そうだよね 昨日今日 知り合って こんなことってな ごめんな 信用できないよなー でも、君のことが好きだ 昨日 出会った時からー 今日のお昼の便で帰るんだ だけど、もう一度 冬休みに必ず もう一度、この島に戻って来る その時には・・」私をもう一度、抱きしめて言ってくれた。

「やっぱり 帰っちゃうんだ あのね さっきワタリガニ捕ったの お昼 うちに来てね おいしいよ」

「わかった 船に乗る前 寄るよ」

 だけど、お昼、船の時間になっても、来なかった。私は、港に行ってみると、船に乗り込んでいる人達が、その中に彼の姿を見つけた。もう、船も出る所で・・。

 手を振りながら追いかけて行った。そうすると、あの人も私を見つけたみたいで、手を振って何かを叫んでいる。聞こえない。船は離れていくんだけど、汽笛を鳴らしながら・・

 でも「好きだ」って言ってくれているような・・。この時、見えない糸が繋がっているような気がしていた。そして、あの時・・巧さんと・・もっと・・と 後悔していた。連絡先も知らないままなのだ。


 ― ― ― * * * ― ― ―

 そして、夏の終わり、私はいつものように海藻を採りにいった。だけど、私の秘密基地に見知らぬ男の人が3人、朝から、ビールを飲んでいるみたいだった。私は、知らんぷりをして、海藻を拾って、早々と立ち去ろうとした時、大波が来て被ってしまった。おそらく、白いTシャツにブラが透けて見えてしまっていたのだろう。

「おい! あいつ 女なんだぞー」という声が聞こえて来た。

「そうか 男かと思ってたけどなー」

 私は、構わず黙ってその横を立ち去ろうとした時

「おねえちゃん 遊ぼうぜ 俺等と 楽しませてやるからさー」と、二人が私を掴まえてきて、倒されてしまった。私は、声をあげたけど、あっと言う間にシャツをたくし上げられて、胸をもまれながら、短パンとショーツを下げられる、嫌ぁーと思った時

「ワン ワォー グルルー」と、バクだ。男に飛びかかっていた。

「ワァー なんだ この犬」

 その時、巌さんの声で「おーい バク バクー」と

「やばい 誰か来るぞ ヤバイ 逃げるぞー」と、男たちはあわてて退散していった。

「あいつ等 何なんだ おそらく、昨日の夕方の船で来て、そのまま野営してたんだなー」

「おじさん それより バクが 棒みたいなんで叩かれとった 大丈夫かなー」

 おじさんとバクを見ると耳の後ろが血が滲んでいた。

「バク 私のために・・ ありがとう」と、抱きしめながら

 あの人との想い出の場所で汚されようとしたことが、悔しくて涙が止まらなかった。もう一度、私は「バク 有難う」と、抱きしめてキスまでしてしまった。その時、私は、巧さんのことが頭をかすめていたのだ。あの人と・・。

 そして、その秋。船で通っている本土の高校から帰ってきた時、おばぁちゃんが店の中で倒れていた。

「おばぁちゃん しっかり わかるぅー」と、私は、叫んで診療所に連絡をして、緊急に本土の病院に連れてってもらったのだけど、手遅れで・・脳溢血だった。

 葬儀を終えて、私は本当に独りぼっちになってしまったのだ。巌さんが「うちに くるかい」と声を掛けてくれたが、考えられなかった。この先の希望も何にも無かったのだ。

「おばぁちゃん 私を 見守って・・」と



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