ボクと魔剣と時々勇者 〜『忌子』と呼ばれ追放されたボクが泣き虫勇者な妹と戦う理由〜

愛善楽笑

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35話 聖騎士ハンス・マーフリー

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「ガキが! 口だけは一丁前のくせに、手も足も出ねぇじゃねえかッ」

 かくして再開した、フラガラッハと呼ばれた聖剣を振るう聖騎士ハンスの猛攻が絶え間なく振り下ろされる。

 先日の聖騎士の攻撃力を軽々と上回る威力の豪剣。加えて〝聖剣技〟を合間に繰り出された結果、経験値の足らないボクが闇の能力を駆使しても、相手の速さについていけなかった。

 防ぎ切ることが難しい……!

 受け止める度に足元の大地は抉れ、その脅威さを痛感する。防御に徹しているばかりのボクを嘲笑うかのように飛んでくるフラガラッハによる薙ぎ払いの一閃。

『影潜り』を発動しようものなら聖剣技で光を放ち影を消し去るため不意を突いた攻撃を封じられる。その上に光の精霊術を尚も畳みかけるように放つ。

 魔剣の力を遥かに上回るのではないかと疑うほど、凄まじい攻勢だ。
 ボクはハンスの言う通り、ほとんど防戦一方を強いられていた。

「調子に乗ってこの俺様に喧嘩売ったんだ!! 生かしちゃおかねーから覚悟しろよ! てめぇら魔族は皆殺しだッ」

「きったない言葉だな! 神に仕える聖騎士とは思えないよッ!」

「るせぇ! ガキのくせに生意気な!」

「なんであなたみたいなゲスが聖騎士になれたのか不思議だよ! 聖騎士ってのは騎士道を重んじるものだと思っていたんだけどな!」

「知るか! 騎士道精神でメシが食えるかバカが!」

 聖騎士ハンスの猛攻は続く。

 向上した身体能力と魔剣のおかげでどうにか致命打は防いでいるものの、今のボクはそれが精一杯だ。

 反撃を繰り出す隙がない。

 これまでボクは彼を散々馬鹿にしたけど、ハンスから一方的に痛めつけられていた。

「あなたは、いやあなたたちは〝慈悲〟や〝正義〟という心がないんですか!? そもそも聖騎士は正義のために剣を振るう者じゃないんですかッ」

「戯れ言を吐かすなクソガキが! 〝正義〟だと? 〝慈悲〟だと? そんな綺麗事でメシが食えるほど世の中甘かねーんだよッ!!」

「くっ……! あんたなんか聖騎士じゃない!」

 互いに嘘偽りの無い言葉だった。

 
 しかし聖騎士ハンスは──否、この場に居合わせる者達は知らなかった。

 もちろんボクも……!

 脅威的な力で人間達に立ち向かっていく、魔剣使いとしてボクが目覚めていくのを……!

 ボクの前世から受け継がれる力が少しずつ〝覚醒〟しようとしていた──!
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