中二病少女

木下寅丸

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同居する隣人と予兆

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 病院も退院し、夏休みも終わった。この頃あたりから、妹は時頼難しい顔を見せることが増えていったように思う。そのことを母に聞いてみると、「どこが?」と一蹴されて話す気がなくなった。私は、学校ってものは何かしら起きるから、当たり前っちゃ当たり前のことかなと、深く考えることを止めることにした。
 退院してからというものの、妹との本の会話は無くなった。会話をする機会は徐々に減り、元の「おはよう」とか「おやすみ」だけを言う同居人に戻った。

13

 一つ事件が起きた。会社から家に戻ると、妹が泣いていた。ずっとグスグスしており、時頼大あられを繰り返す。何があったのと聞いてみても、「何でもないの」の一点張りだ。こんな姿は初めて見た。
 心配だ。妹はよくできた人間であり、自分の弱さを人に見せることをおそらく嫌っている。それを保てないほどの事が、妹に起きたのは明白であった。しかし、ノーヒントである。親に今日の様子で変わったことや、何か呟いたりしていなかったか聞いてみることにした。「特に…普通だったよ」両も揃って同じような反応。心配している様子もなかった。
「何もないはずは、ないんだよなぁ」
何か出来ることはないか。ない頭を振り絞って考えてみることにした。しかし、何も思いつかない。元々、仲が良い方というわけでもなかったし、雑談の類から攻め込もうにも話題がない。
 小休止。いや、あるか。本でも貸してみよう。

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