中二病少女

木下寅丸

文字の大きさ
上 下
27 / 36

親友の一言はナイフよりも痛い

しおりを挟む
45

「クラスにとてもブサイクな子がいるの。今まで気にも留めなかった。三人組の暗いグループの首領。
 ある日ね。物凄く暗いように見えたの。ただの不機嫌とかじゃなくてさ、何か途轍もないことが、この子に起きているんだって。ハッキリと見て分かるの。あまりのことだったからさ、取り巻きの子に聞いてみたの。でも、いつもと変わらないって。
 納得いかなくってさ、私の親友。ほらさ、小学生の時よく家に来た子。に聞いてみたの。それでも、普段と変わらないと言うし。そもそも、あんなの興味がないって。仕方がないから帰り道に付いていって、二人きりで話せる機会を伺うことにしたの。
 お話したわ。両親が離婚したんだって。しかも、原因は自分のせいなんだって。自分がブサイクのまま成長したのが原因で、母の整形がばれたみたい。母は泣いて謝ってきたけど、父の方は怖かったみたい。父は出て行ってそのまま離婚。私が生まれていなければ、幸せのままだったのになって。
 その話を聞いてから、心配になってクラスでも話すことが増えていったの。案外良い子なのよ。話してみると全然暗くないしさ。結構頭も切れるのよ。私たちは仲が良くなったの。でも、私の親友はそれを許さなかった。
 ある日親友に言われたわ。私、幼稚園の頃からあなたが憧れだったって。それが、最近はなんなの? あなた変よって。変な本の話をするようになったと思えば、一緒に大好きだったアイドルには無関心になった。あんなに好きだったじゃない。それに加えて、今度はなに? あの暗い連中ともつるみ始めて。お願いだから元に戻って。もうあんなのとつき合うのは止めて。
 私、変になったのかな?」
「変になってないよ」と私は言った。
「私は親友を選んだの。お兄ちゃん。ブサイクな子には悪いけど、シカトすることに決めたの。
 初めてシカトした時の目が忘れられないわ。お兄ちゃん。全て悟ったような顔をしてさ、これで良いのよ。みたいな優しい瞳。忘れることなんて出来るはずがないわ。
 私はあの子に謝りたいの。また仲良くしたいの。でも、私は親友を裏切ることなんて出来ない。だって、幼稚園からずっと一緒なのよ。何をするにも。どんなときも」妹の話はそこで終わった。
 妹は泣いていた。私はどんな顔していれば良いのか分からなかった。泣き止むまで隣に座っていた。
しおりを挟む

処理中です...