3 / 14
正当性恋愛の錯誤
【2】
しおりを挟む「ふーん……それはそれは…」
「…ちゃんと聞いてる?」
「聞いてる聞いてる」
「じゃあなんて言った?」
「………襲い受けは尊い?」
「尊いけど…ちがう」
にへへと笑いながらまったく気にした素振りもなく
俺の紺色のベッドの上で長い足を組みヘラヘラ笑いながら漫画を読んでいるこいつはお隣の幼馴染三日月天
低学年の小学生が習う漢字で書ける名前のくせに
無駄にスペックの高い男だ
陸上部で焼けて小麦色の肌と白い歯がチャームポイントだと自己申告していた
「にっははは」
「何その笑い方」
「ははっ、なんか言った?」
「なーんでもございませーん」
カチカチッ
PCでBLゲームに目を戻す
ふぃ~天龍寺様俺様たまらねぇー
こんななのにツンデレで隠れスチルでは受けシーンもあるっていうのが驚きだ
新しい扉が開いちまうぜ
危うく涎を垂らすところだった
そんな中身のない休日を過ごしたのが日曜日
そして月曜日昼
……
ピチャッ
汚い
俺の机にケチャップが落ちた
急いでポケットティッシュで拭く
うー油の跡が不愉快ー不愉快でござるー
そう思って一心不乱にゴシゴシ擦る
当の本人はポカンとハンバーガーを頬張ったまま丸い目を開いて固まっていた
ピチャッ
「おい!また溢した!おこ!おこだぞ!」
必死にゴシゴシ
ピカピカに擦る
俺は汚れが嫌いだ
気になって仕方がない
学校なんて自分の管轄エリア以外仕方ないし
無視したけど、机にダイレクトアタックはダメ!絶対!
言った側からまた落ちた
いくら温厚な俺でも堪忍袋の尾が切れちまったぜ
熱い拳が火をふくぜ!
と思って見上げると違和感を感じた
ん?教室が静かだ
我が物顔で他人の椅子に座っている三日月が注目されているのか
でも今更だし、お母さん曰く天ちゃんはイケメンらしいのでそれなりに騒がれるらしいけど蚊帳の外なので、てかどうでもいいから気にしていなかった
なら、この静寂は何?
時止め系恋愛BL!?あれなんか違う
いや…見てないからね!そんなジャンル健全だからね!
誰に言い訳してるのかそんな内心と違って教室は静けさが支配していた
ピチャッ
いい加減にしろゴラァ!?鬼畜BLに出演させるぞ!!
と思って見上げた
するとやっと、理由がわかった
「……おい」
「……」
「お前だよ御子柴」
「…?」
「なんで自分の名前疑ってんだよ。御子柴鶴!」
あ、俺ですね
え?混乱で思考がブレる
「はぁ。ったく。いいから、ツラ貸せ」
「あっ、うん?」
よくわからないまま腕を掴まれて立たされ教室の出口に向かう
振り返った先では動き出した三日月がハンバーガーを食べ終え手を軽く振っている
貴様!机ちゃんと拭いておけよ!
そう内心叫びながら静寂の教室を出ていった
ついたのは中庭
中庭かぁよくBLではある展開だよね!
告白とか、草むらでイチャコラしたりとか
王子様系とか眠り姫とか呼ばれる男子がいたりして
そこから接点ができてさ
お前、また来たのか
とか言われて内緒の逢瀬重ねちゃったり君がいると…よく眠れるんだ
とか言って膝枕しちゃったりね!
ピュアラブ最高!!あっは!
「なに一人でニヤついんだよ変なやつ」
「なっ!?そ、そんな事ないし」
慌てて俯く
なぜだ。今までバレた事ないのに
どんな妄想しても、死んだ魚みたいな顔してるねって三日月に言われた(目じゃないのね)ことがあって自信があったのに
こいつ、何やつ…
疑うように横目で見つめる
なんだ?このイケメン?
そんな可愛い受けちゃんが群れで襲いかかってきそうなビジュアルは?
神様キャラクリ頑張りすぎ…って前もこんな事あったような
「あのさお前、いちいちトリップするの癖なのか?」
「ドリップ?」
「いちいちドリップってなんだよコーヒーなのかお前」
呆れたように言われた
確かに
俺を抽出してもBL愛と残念な搾りかすしか残らないぞ☆
あっすみません調子乗りましたへへ平凡(自称)がすみませんねぇ
コーヒー飲めないんだけどね甘めのカフェオレならいける
コーヒー×ミルク….なんか新しい扉が
「おい!」
「ひゃい!」
肩をガシッと掴まれる
その振動で共鳴して一メートルほど離れた石が落ちた
振動数が一緒なんだね。運命的
すぐ現実逃避していると
視界に琥珀色の光が差し込む
「うわぁ…綺麗」
「……何が?」
「ん?これ」
無意識でイケメンの頬に手を添えてこちらに顔を向けさせる
するとイケメンは目を丸く開き驚いているが
俺は気づいていなかった
「綺麗…」
「うっ…ふぅ…やめろ」
「……あっごめん」
現実に帰ってきて手を離す
奴は俯いて腕で顔を隠している
馴れ馴れしすぎたかな
それとも平凡(自称)アレルギー持ちとか?通院してる?
イケメンは潔癖って相場で決まってるからね
それを攻めが俺の手で汚してやるよ。までがセット
「……おい」
「はい」
しゅんとする
これ以上逸れると良くないことが起きそうだ
俺は野生の感でそう思った
野生じゃないけど
イケメンくんはなおも顔に赤みが残ったままこちらを睨んでいる
悪かったよ勝手に触って
イケメンに睨まれると迫力パない
「ごめんなさい」
「……別に、いい」
うわぁ生BL台詞…はいすみません自重します
「それで、なんでしょうか?あ消しゴム?教室にあるから戻ろう」
「なんで消しゴム借りんのに中庭にくんだよ寝ぼけてんのか?」
確かに!でも優しく言って!赤ちゃんに愛を囁くように!平凡な俺は泣いちゃうからね
グスッ
「な、泣いてんのか!?なんでだよ?どこに泣かされる要素あった!?」
律儀にツッコんでくれるしいい人かも
あれ、このキレのあるツッコミ
そして微かにコクのあるフレーバーと後味の爽快感
以前もどこかで
「しつけぇ。ビールみたいな食レポすんな」
「あっはいっス」
口に出していたようだおそろしす~
「話が進まねぇ聞かれたことだけ答えろ」
「…」
「返事ぐらいはしろよな」
「プハッ」
「おい呼吸止める馬鹿どこにいんだよ!?ここにいたか」
残念な奴を見るような目で見やる
ひぇゾクゾクしちゃう…受けちゃんならね☆
「先週、の話だ」
「先週…」
玉の輿BL即売会だったかな
睨まれた
なぜだ!?
「くだらないこと考えやがって。まぁいい。あの、例の件だよ」
「零の剣?」
「無駄にかっこいいなおい。違うわ!」
またため息
心労で倒れないようにね
「こ、告白だよ」
「kokuhaku?」
「なんでイントネーションがカタコトなんだよ。だから、なんで俺に告白、しねぇんだよ?理由聞かせろ」
凄まれる
何を言ってるんだね君
「告白…告白。あっ!」
「やっと伝わったか!?」
なんで泣きそうな顔をしてるの?失礼じゃね?
「お昼代忘れたとか?」
「俺をなんだと思ってんだ!」
パコン!
わー暴力!全く痛くなかったけど
君は半分は優しさでできているんだね
「何を告白すればいいの?」
「こっちが聞きてーわ!」
腕を組んで不機嫌そうだ
これだからキレやすい若者は
俺は考える
「あー告白と言えば、恋愛?」
「そ、そうだ!」
まさか、腐バレ!?今まで隠していたのに!
幼馴染の三日月は勝手に部屋に入って本棚の後ろのBL本を見つけられ
さらにパソコンの中身までセキュリティを突破されて見つかってしまった
こいつもそういう輩なのか?イケメンのくせに
必殺腹パン殺法でいけるか?失敗した場合確実に死ぬだろうけどね
「お前が俺を、すぅ……す、すー」
寝た?
「好き、なんだろ?」
すき?好きってなに?
「好きって何?」
「そこから?」
互いにキョトンとする
「好き、なんだろ?」
「何が?」
「俺を…」
「誰が?」
「お前が?」
「はぁ?」
「なんでそこでガチギレすんだよ」
突然の様相に引かれた
だが仕方ないだろう
なにをふざけた事を
「なんでそう、思ったんですか?」
尋ねる
俺にそんな要素はなかったはずだ
「だってお前、いつも俺を見てるだろ?」
「見てる?」
「……」
「……」
「え?」
唖然とされる
こっちが唖然としたいんだが?だが?
「じゃあ朝下駄箱前で待機して見つめてたり教室で教科書の隙間から除いてたり昼休みスマホのカメラで盗撮してたり図書室で俺の絵描いてたり「うわぁー!!!」」
叫んで止めた
な、なななななんで、どうして
俺の日課のBLウォッチングが、ば、バレてたなんて
….あれ、でもこやつ。俺を見てるって言って
そして見上げる
すると思い出した
いつもウォッチングで一際参考になった金ピカ頭の男
身長が高く確かに、目立っていたかもしれない
このイケメンは知らないが、創作キャラのモチーフと妄想キャラとしてお世話になった
「ああー」
「なんの納得なんだ?」
今更だった
へーこんな顔してたんだー
見つめると顔を逸らされる
有料でござるかぁ?
「えっとわかりました」
「なにがだ?」
「はい。大変ご立腹?でしょう」
「確かにお前の話の聞かなさとその態度にはご立腹だな」
「ははっ」
「なんの笑いだ」
「ひぃ」
手厳しい
カルシウムとれよな
「今後、気をつけますんで、はい。もうあの、やりませんので…」
「お前なにを言って」
キーンコーンカーン
よっしゃ!
タイミングよく鐘が鳴った
「ではばいちゃ!」
「ふるっ…てちょ待てよ!」
某木村のような事を言っているが構わず全力疾走する
もう関わりません勝つまでは
なにに?と思うでしょ?
自分に決まってんだろ!?
八つ当たりをしながら教室に戻る
机には乾いて張り付いたケチャップソースと
遅れながら超不機嫌そうな顔のイケメンくんが俺を射殺さんばかりに凝視している
窓から見える空は青かった
ねむ
0
あなたにおすすめの小説
【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】
彩華
BL
俺の名前は綾瀬葵。
高校デビューをすることもなく入学したと思えば、あっという間に高校最後の年になった。周囲にはカップル成立していく中、俺は変わらず彼女はいない。いわく、DTのまま。それにも理由がある。俺は、幼馴染の春樹が好きだから。だが同性相手に「好きだ」なんて言えるはずもなく、かといって気持ちを諦めることも出来ずにダラダラと片思いを続けること早数年なわけで……。
(これが最後のチャンスかもしれない)
流石に高校最後の年。進路によっては、もう春樹と一緒にいられる時間が少ないと思うと焦りが出る。だが、かといって長年幼馴染という一番近い距離でいた関係を壊したいかと問われれば、それは……と踏み込めない俺もいるわけで。
(できれば、春樹に彼女が出来ませんように)
そんなことを、ずっと思ってしまう俺だが……────。
*********
久しぶりに始めてみました
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
学校一のイケメンとひとつ屋根の下
おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった!
学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……?
キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子
立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。
全年齢
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
クズ彼氏にサヨナラして一途な攻めに告白される話
雨宮里玖
BL
密かに好きだった一条と成り行きで恋人同士になった真下。恋人になったはいいが、一条の態度は冷ややかで、真下は耐えきれずにこのことを塔矢に相談する。真下の事を一途に想っていた塔矢は一条に腹を立て、復讐を開始する——。
塔矢(21)攻。大学生&俳優業。一途に真下が好き。
真下(21)受。大学生。一条と恋人同士になるが早くも後悔。
一条廉(21)大学生。モテる。イケメン。真下のクズ彼氏。
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる