血の繋がりのない極道に囲まれた宝

安達

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囚われの身

巣箱

*庵視点






















「………………っ……。」



んー頭痛い…。なんか空気がいつもと違う気がする。そんなはずないけど。まだ眠い。起きれそうにないや。龍たち仕事に行ったみたいだし俺はもう少しゆっくりしとこう。




「…こ………や………だ。」

「ち…………ぇ…………よ。」



うるさい…。ん?うるさいってことは亮たちが帰ってきたのかな。でもなんか起きれない。目が開かない…。なんでだ。いつもならすんなり起きれるのに。



「…からはやく………ですよ。」

「あ?こいつが………だ………。」



え…待って。嘘だよね。俺、よく聞いたらこの声知らない。亮じゃない。瀧でもない。龍でもない。だれ…だれなの。それに考えたらここ知らないところな気がする。それを確かめたいのになんでか目が開かない。目を開けられない。いや違う。目を開けられないんじゃない。目を塞がれてるんだ。俺はもう起きている。目を塞がれているから起きてないって錯覚しちゃってたんだ。




「んん゛っ!!」



ここがどこなのか。今目の前にいるのは誰なのか確かめようとしたけど俺は口も塞がれていた。だから声が出なかった。けれど俺が起きたことに気づいたんだろう。俺の近くに誰かが歩いてきた。



「栗濱さん。起きたみたいですよ。」

「そうか。目元につけてるやつを取ってやれ。」

「はい。」



誰の声だ…。わかんない。俺今どういう状況なんだ?なんで拘束されてるの?龍は?亮は…?みんなどこにいるの?



「おら、こっち向け。」

「んん゛!」



痛い!誰なの…怖い。急に乱暴に体を反転させられて俺は目元に当てられていた布を取られた。その時眩しくて俺は目をぎゅっとつぶってしまった。だから相手が誰なのか見えなかった。



「ん?どうした?」

「ふく゛っ、ぅ、」

「あー眩しいのか。少しすれば慣れるから待ってろ。」

「どうしたんだ益田。」



ますだ?益田…?益田ってどこかで聞いたことがある。えっと…。どこだ?わかんない…思い出せない。頭が働かない…。



「すみません栗濱さん。いきなり目隠しを取ったもんですから眩しかったようです。」

「ああ、そういうことか。」

「はい。」

「それならこっちに連れてこい。その間に眩しさにも慣れるだろうよ。」

「そうですね。庵、ちょっと持ち上げるぞ。」

「んん゛っ!?」



急に体が宙に浮いたので俺は抵抗した。けれど俺の事を抱きかかえているやつがかなりの力の持ち主で俺の体はまるで全身を拘束されているかのように固まってしまった。これから俺は何をされるのか全く分からない。何かをこの男たちは話していたけれどそれが耳に届かなかった。それぐらいには今パニックを起こしている。だってここがどこかも分からない。なんでここにいるのかも分からない。眠っていたはずなのに起きたら違うところにいる。その状況が怖くて仕方がなかったのだ。



「んん゛っ、んんん゛っ!!」

「暴れるな。何もしねぇから。今はな。」



そんなこと信じられるか!こんなところに連れてこられた時点で俺はお前らのことが信じられない。そもそも誰かも分からない。やっと目が光に慣れてきて周りを見渡すことが出来たけどそれができたところでの話だった。だってここは俺が初めて来たところだったから。



「栗濱さん。連れてきましたよ。」

「ご苦労。そこに寝かせろ。」

「承知しました。」



目の前に見たことの無い男がいた。40代ぐらいだろうか?じゃあ俺を運んできた男は…?誰なんだろう。そう思い俺はその男の顔を見た。だが俺はその顔を見た瞬間に背筋が凍った。なぜなら見たことがあったから。



「んく゛っ、ん、」



益田と呼ばれていた男。そうだ。こいつは龍のお父さんの補佐だ。どうしてここにいるんだ?俺は訳が分からなくて声を思わず出してしまった。すると益田が俺の顔を見るようにしてしゃがみこんできた。



「あ?今度はなんだ。」

「…ん゛っ、ぅ、」



俺は目の前に益田と呼ばれていた男の顔が来てあまりの怖さに震えてしまった。そんな俺を見て栗濱と呼ばれていた男が笑ってきた。



「はは、すげぇビビってんなぁお前。さては益田、お前の顔を覚えていたんじゃねぇのか?」

「ああ。それならこんなに驚く事に納得がいきます。ですが俺は庵と少ししか会っていないはずなんですけどね。」

「記憶力がいいのだろう。俺の事は思い出さないようだがな。」

「まぁそれは嫌でも後々思い出すでしょう。」

「そうだな。」



訳が分からない。なんの話をしているんだ。そもそも益田さんはなんでここにいる?おかしい。裏切り者だったのか?亮が言っていた。裏切り者はラットと呼ぶんだって。そのラットが益田さん?そんな…龍は?龍たちは大丈夫なのかな…。



「それで、栗濱さん。」

「なんだ?」

「翡翠(ひすい)さん達はいつ来るのですか?」

「もう少しで来るはずだ。」

「承知しました。では、俺は翡翠さん達を迎えに行きますね。」

「助かる。礼を言うぞ益田。」

「いえ。では一旦俺は失礼します。」

「ああ。」



その栗濱の返事を聞いたあと益田さんはこの部屋を出ていった。だから俺は余計に怖くなった。この男と2人っきり。どうすればいいのか分からない。逃げようにも腕と足を拘束されているため動けない。そんな俺に栗濱が近づいてきた。



「んく゛っ、ぅ、」

「状況が分かっていない顔だな。そんなお前に簡単に説明してやるよ。俺は優しいからな。ここは俺の事務所。つまりお前がこれから過ごす場所だ。いわば家だな。」



家?ふざけるなよ。何を言ってんだ。俺の家は龍と暮らしているあの家だけだ。絶対。絶対ここから逃げ出すんだ。



「けどいきなり連れてこられてなんで俺が?って思ってるよな。そりゃな、俺は一度お前を抱いたことがあるからだ。その感覚が忘れなくてな。だから可愛い息子達にプレゼントすることにしたんだ。お前をな。」



意味がわからない。本当に分からない。なんで…なんで俺なんだよ。せっかく幸せになれたのに。幸せの意味を知れたのに。龍の所に帰りたい。ここにいてはダメだ。逃げなきゃ。どうにかして逃げ道を探さないと…。



「おい。余計な事考えてんじゃねぇ。」

「んく゛っ、ん゛っ!」



俺がこいつの話を聞かずに逃げることだけを考えているとこの男に顔を鷲掴みにされた。汚らわしい。早く離せよ。汚い。その一心で俺は顔を背けようとしたが栗濱は離してくれなかった。けどまぁ暴力を振るわれなかっただけマシかもしれない。



「いいか?庵。人の話はちゃんと聞くんだぞ。それで話の続きだが俺の息子は全部で4人いる。お前はそいつらの玩具になってもらう。」



玩具?その展開は予想していなかった…。まずい。俺の1番嫌いなことをされる。これまでも何度もされてきたこと。龍にもされた。けど龍は他のみんなとは違う。亮も瀧も優しい。けれどここでそれはないだろう。この人はきっとヤクザの鏡と呼ばれるに等しいほど残酷な人だ。



「ああ、そういえばお前とも歳が近いかもな。お前は確か15ぐらいだろ?俺の息子たちも20代前半だから楽しくやっていけそうだな。だが万が一俺の息子達を楽しませられなかった時は…お前なら分かるよな。」

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