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「誠也。正直に答えてくれ。お前は今、逃げようと思ってる?」
「………………。」
俺がこれに正直に答えたらどうなるんだろうか。また躾とかなんやらされるんだろうか。正直に答えるのは気が引ける。けど星秀さんは正直に答えても治とか…他の奴には言わない気がする…。なんとなくだけど。だから俺は…。
「思ってる。」
って答えた。そしたら星秀さんは顔色一つ変えずに俺の頭を撫でてきた。
「そうだよな。当たり前だ。」
…え?なんだその反応…。
「…え、なん…。星秀さんは俺を責めねぇのか?」
「責めない。俺はそんな立場じゃない。」
「どういう意味だ…?」
星秀さんは俺に怒るどころか何故か反省したような様子だった。それが俺は分からなかった。星秀さんは言ってしまえば逃げないようにあんなことを俺にするような奴らの仲間だ。なのになんで…。
「俺は最低最悪の人間だからだ。」
「…星秀さんはそんな人じゃない。」
「いいや違う。それは違うぞ誠也。俺は人を何人も殺めてる。拷問もしてる。誠也の前に組長が攫ってきた少年少女を殺したことだってある。裏カジノ、闇バイト、薬の売買もしてる。」
まぁそりゃヤクザだからな。知ってるよそんなこと。そんなこと覚悟の上だ。けどそれは全部治ってやつの指示だろ?まぁ星秀さんもそれで手を下してんのかもしれないけど俺は別に気にしない。それが星秀さんの仕事だから。
「…それでも星秀さんは俺には優しくしてくれる。それが俺の救いになった。ここに来てから嫌な事しかなかったのにこうやって落ち着いて話せてるのも星秀さんのおかげだ。過去とかそんなのは知らねぇ。」
と、俺が言うとまた星秀さんが固まった。まぁこんなこと普段言われねぇよな。俺の思うヤクザの仕事は大変だから。人から褒められることもないだろう。常に死と隣り合わせだ。そんな職種についてる星秀さんさ本当に凄いと思う。
「…そうか。」
「そうだ。だから俺は星秀さんに感謝してる。」
って俺は星秀さんの目を見てそう言った。そしたら星秀さんは微笑んでくれて俺の事をギュッと強く抱き締めてきた。ちょっと苦しいぐらいに。
「なぁ誠也、キスしてもいいか?」
「……………。」
「駄目か?」
「…別に。」
「ならするぞ。こっち向いてろ。」
「…………やだ。」
嫌じゃなかったけど…俺は今知らない感情が芽生えた。なんか心臓がバクバクする。走った後みたいな…。なんだこれ…。
「やだじゃない。誠也。ほらこっちだ。」
「……強引だ。」
「はは、お前が嫌がってないの分かってるからな。誠也。目も開けてろ。」
「…やだ。」
なんなんだよこれ。な、なんでこんなにドキドキするんだ?おかしい。俺、心臓病になったか?
「嫌じゃない。ほら、目を開けろ。」
「………………っ。」
「誠也。」
星秀さんが俺の名前を優しく呼んでる。目を…開けねぇと。けどなんか顔が赤くなっていく気がする。なんだこれ。火照ってんのか…いやそうだ。そうだよ。湯船に漬かりすぎて火照ったんだ。
「…………これでいいかよ。」
「可愛いやつめ。顔が赤いぞ?」
「うるさい…っ、黙ってしろよ!」
「嫌だね。お前が可愛いから。」
「…なんだよそれ。」
「なんでもだ。そのまま目を開けてろよ。」
分かってるっつーの。さっさとしろよ!ニヤニヤしやがって…くそ…っ。
「お前の唇は柔らかいな。」
そう言いながら星秀さんが俺の唇を触ってくる。キスをされる時もちょっと唇を噛まれた。軽くだったから全然痛くはなかったけど。
「…気持ち悪いこと言うな。」
「事実だろう。」
「…もううるせぇ!」
「はは、照れてんのか誠也。」
「照れてない…!」
「照れてんじゃねぇか!」
「照れてねぇって…!」
「図星か。」
「ちげぇよ…!」
なんなんだこいつ…!調子が狂う…!
「ちげぇもんはちげぇ!」
「はいはい。分かった分かった。可愛いやつだな。」
「…可愛くねぇ。」
「はは、可愛いだろ。」
「可愛くねぇって…!」
またこのくだりかよ…!星秀さん絶対楽しんでんだろ…!俺の反応見て楽しんでやがるな…!!!
「俺にとっちゃ可愛いな。お前は本当に可愛い。食べてしまいたいぐらいに。」
「なんだよそのクサイセリフは…。」
「別にいいだろ。なぁ誠也。もう少しお湯に浸かってようぜ。」
「…それは別にいいけど。」
「ならもう少し、な?」
「…わかった。」
俺も何してんだ…。こんな入れ墨だらけのヤクザとゆったり湯船に浸かってよ…。しかも初めての湯船に…。俺は逃げなきゃいけねぇのにこいつといるとその気が失せる…。ここでもいいんじゃないかって思っちまう…。けど多分それは今だけ。治が帰ってきたら地獄の始まりなんだから。だから今は少しだけゆっくりする。
「なぁ誠也。お前も入れ墨入れるか?俺と一緒のやつ。」
「…誰が入れるかよ。」
「そんなこと言うなって。悪いもんじゃねぇぞ。まぁ強制はしねぇけど。」
「…ならいれねぇ。」
「そうかそうか。お前のしたいようにすればいい。食いもんも好きなだけ食べて大きくなれ。まだお前は16なんだから。」
「…そうだな。」
「………………。」
俺がこれに正直に答えたらどうなるんだろうか。また躾とかなんやらされるんだろうか。正直に答えるのは気が引ける。けど星秀さんは正直に答えても治とか…他の奴には言わない気がする…。なんとなくだけど。だから俺は…。
「思ってる。」
って答えた。そしたら星秀さんは顔色一つ変えずに俺の頭を撫でてきた。
「そうだよな。当たり前だ。」
…え?なんだその反応…。
「…え、なん…。星秀さんは俺を責めねぇのか?」
「責めない。俺はそんな立場じゃない。」
「どういう意味だ…?」
星秀さんは俺に怒るどころか何故か反省したような様子だった。それが俺は分からなかった。星秀さんは言ってしまえば逃げないようにあんなことを俺にするような奴らの仲間だ。なのになんで…。
「俺は最低最悪の人間だからだ。」
「…星秀さんはそんな人じゃない。」
「いいや違う。それは違うぞ誠也。俺は人を何人も殺めてる。拷問もしてる。誠也の前に組長が攫ってきた少年少女を殺したことだってある。裏カジノ、闇バイト、薬の売買もしてる。」
まぁそりゃヤクザだからな。知ってるよそんなこと。そんなこと覚悟の上だ。けどそれは全部治ってやつの指示だろ?まぁ星秀さんもそれで手を下してんのかもしれないけど俺は別に気にしない。それが星秀さんの仕事だから。
「…それでも星秀さんは俺には優しくしてくれる。それが俺の救いになった。ここに来てから嫌な事しかなかったのにこうやって落ち着いて話せてるのも星秀さんのおかげだ。過去とかそんなのは知らねぇ。」
と、俺が言うとまた星秀さんが固まった。まぁこんなこと普段言われねぇよな。俺の思うヤクザの仕事は大変だから。人から褒められることもないだろう。常に死と隣り合わせだ。そんな職種についてる星秀さんさ本当に凄いと思う。
「…そうか。」
「そうだ。だから俺は星秀さんに感謝してる。」
って俺は星秀さんの目を見てそう言った。そしたら星秀さんは微笑んでくれて俺の事をギュッと強く抱き締めてきた。ちょっと苦しいぐらいに。
「なぁ誠也、キスしてもいいか?」
「……………。」
「駄目か?」
「…別に。」
「ならするぞ。こっち向いてろ。」
「…………やだ。」
嫌じゃなかったけど…俺は今知らない感情が芽生えた。なんか心臓がバクバクする。走った後みたいな…。なんだこれ…。
「やだじゃない。誠也。ほらこっちだ。」
「……強引だ。」
「はは、お前が嫌がってないの分かってるからな。誠也。目も開けてろ。」
「…やだ。」
なんなんだよこれ。な、なんでこんなにドキドキするんだ?おかしい。俺、心臓病になったか?
「嫌じゃない。ほら、目を開けろ。」
「………………っ。」
「誠也。」
星秀さんが俺の名前を優しく呼んでる。目を…開けねぇと。けどなんか顔が赤くなっていく気がする。なんだこれ。火照ってんのか…いやそうだ。そうだよ。湯船に漬かりすぎて火照ったんだ。
「…………これでいいかよ。」
「可愛いやつめ。顔が赤いぞ?」
「うるさい…っ、黙ってしろよ!」
「嫌だね。お前が可愛いから。」
「…なんだよそれ。」
「なんでもだ。そのまま目を開けてろよ。」
分かってるっつーの。さっさとしろよ!ニヤニヤしやがって…くそ…っ。
「お前の唇は柔らかいな。」
そう言いながら星秀さんが俺の唇を触ってくる。キスをされる時もちょっと唇を噛まれた。軽くだったから全然痛くはなかったけど。
「…気持ち悪いこと言うな。」
「事実だろう。」
「…もううるせぇ!」
「はは、照れてんのか誠也。」
「照れてない…!」
「照れてんじゃねぇか!」
「照れてねぇって…!」
「図星か。」
「ちげぇよ…!」
なんなんだこいつ…!調子が狂う…!
「ちげぇもんはちげぇ!」
「はいはい。分かった分かった。可愛いやつだな。」
「…可愛くねぇ。」
「はは、可愛いだろ。」
「可愛くねぇって…!」
またこのくだりかよ…!星秀さん絶対楽しんでんだろ…!俺の反応見て楽しんでやがるな…!!!
「俺にとっちゃ可愛いな。お前は本当に可愛い。食べてしまいたいぐらいに。」
「なんだよそのクサイセリフは…。」
「別にいいだろ。なぁ誠也。もう少しお湯に浸かってようぜ。」
「…それは別にいいけど。」
「ならもう少し、な?」
「…わかった。」
俺も何してんだ…。こんな入れ墨だらけのヤクザとゆったり湯船に浸かってよ…。しかも初めての湯船に…。俺は逃げなきゃいけねぇのにこいつといるとその気が失せる…。ここでもいいんじゃないかって思っちまう…。けど多分それは今だけ。治が帰ってきたら地獄の始まりなんだから。だから今は少しだけゆっくりする。
「なぁ誠也。お前も入れ墨入れるか?俺と一緒のやつ。」
「…誰が入れるかよ。」
「そんなこと言うなって。悪いもんじゃねぇぞ。まぁ強制はしねぇけど。」
「…ならいれねぇ。」
「そうかそうか。お前のしたいようにすればいい。食いもんも好きなだけ食べて大きくなれ。まだお前は16なんだから。」
「…そうだな。」
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