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疑い
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なんで…なんで渚さんがそれを知ってるんだ?治が言ったのか?それとも健二が言ったのか?でもなんで渚さんはそもそも怒ったような顔を…?
「…事実…だ。」
「そうか。なんでそんな事を?」
「そうしなきゃ星秀さんを逃がしてくれないって言ったから…。」
「それであんな事を?」
「…そう。」
俺がそう言うと渚さんは分かりやすくため息をついた。そして俺の上に馬乗りになってきた。
「ちょ、ちょっと渚さん…っ!」
俺の上に馬乗りになった渚さんは今度は俺の顔を鷲掴みにしてきた。しかもさっきよりも渚さんは怒ってる…。
「誠也。お前自分が何したか分かってんの?」
「…どういう意味っ、」
「星秀が逃げること組長や健二さんにバレちまったらあいつはここに戻されちまう。」
「それはない…っ!」
「なんでそう言いきれるんだよ。」
「俺がそうやって取引したから…!」
「その取引も信用出来ねぇんだよ。組長はそういう人だ。多分その取引したってことは元々組長や健二さんにバレてたってことだよな。俺とお前が手を組んで星秀を逃がそうとしたってこと。」
そうか。渚さんが怒ってる理由はそれだ。星秀さんが危険な目に遭う恐れがあるから。けど俺は治と取引したんだ。あんだけ我慢して取引した。だからさすがに治も…。
「そうだ。治さんたちにバレてた…。」
「だったらそのタイミングで俺に言えばよかったじゃねぇか。なんで言わなかったんだよ。なぁ誠也。」
「で、でもそしたら渚さんが…っ、」
「なぁお前俺の事を気にかけてくれたのか?あ?俺がそんなに弱いやつに見えたかよ。俺はどうなってもこの組から破門にされることはない。自分で言うのもなんだが俺は功績を上げてるからな。俺自身も組長に命を捧げる覚悟だ。だから俺は別にどうでもいいんだよ。だが星秀は別だ。あいつは俺の親友なんだよ。なのにあいつは冷遇されてる。利用されてんだ!そいつを逃がしてやれる絶好の機会だったんだぞ。」
俺の思い込みよりも渚さんの勘の方が正しいはず。だったらあの治との取引はやっぱり嘘だったのか…?けどあいつは承諾した。もう分かんねぇ…。誰も信じられねぇよ…。
「…けど、渚さん。」
「なんだよ。」
「俺は拷問部屋にまで連れて行かれて治さんと取引したんだ。それなのに治さんは裏切ると思う…?」
「ああ。裏切る。あの方はそういう人だ。お前には星秀を逃がすと言ってどっかで星秀を捕まえた後に違うところで監禁するはずだ。それで星秀を死ぬまで使い続けるだろうな。」
「…そんな。」
俺はばかだ。そこまで考えが及ばなかった。でも仕方ねぇじゃん…っ。俺はこの世界を知らない…っ。表の世界で生きてきたんだ…っ。こんな…簡単に人を殺したりするようなやつの考えが俺に分かるわけねぇ…っ。
「誠也。お前は組長を信頼しすぎだ。お前もそん時酷い目に遭わされたんじゃねぇの?」
「俺は別に良い…」
「良くねぇよ!!」
俺は別にどうでもいい…。そう思っていたのに渚さんが何故かそう叫んだ。それも怒って…。
「良くねぇだろ誠也!俺はお前を守ると言ったんだ。なのに俺はそれすらも出来てねぇ。お前に余計な嫌な思いまでさせてしまった。星秀も結局守れなかった。ごめんな誠也…。」
渚さんはいい人だ。本当にいい人…。そう思いたいはずなのに俺はあることが頭によぎってしまった。それは健二が言っていたこと。渚さんを…信頼しすぎるなってこと。
「…渚さん。俺はほんとに大丈夫。それよりも今は星秀さんのことを考えねぇと。」
「その事は俺が決めた。とりあえず星秀は逃がさない。ここにいる方が俺もあいつを助けられるからな。組長にさっきそれを言ってきた。健二さんには仕事って言ってたけど実は組長の所に行ってたんだ。」
「…治さんはなんて?」
「俺の頼みなら聞いてやるって。だから星秀もここに戻ってくる。つか、初めからそれが良かったかもしれねぇな。」
渚さんはそう言いながら俺の隣に寝そべった。その後渚さんは俺の事を抱きしめて頬にキスをしてきた。
「今度はキス避けねぇんだな。」
「…渚さんが悲しそうな顔してるから。」
「なら慰めてくれよ誠也。」
渚さんはそう言いながら俺の事を強く抱き締めてきた。強くって言っても苦しくはねぇけどな。
「…渚さんは何がそんなに苦しいんだ?」
「星秀を逃がせなかった事と他にも悔しいことがある。俺はあいつを逃がしたいと思ってる反面あいつの事を羨ましいとも思ってる。」
羨ましい…?星秀さんが…?
「それってどういう…」
「だって誠也…お前は星秀の事が好きだから。俺もお前の事愛してんのにお前は星秀しか見てねぇ。」
「…事実…だ。」
「そうか。なんでそんな事を?」
「そうしなきゃ星秀さんを逃がしてくれないって言ったから…。」
「それであんな事を?」
「…そう。」
俺がそう言うと渚さんは分かりやすくため息をついた。そして俺の上に馬乗りになってきた。
「ちょ、ちょっと渚さん…っ!」
俺の上に馬乗りになった渚さんは今度は俺の顔を鷲掴みにしてきた。しかもさっきよりも渚さんは怒ってる…。
「誠也。お前自分が何したか分かってんの?」
「…どういう意味っ、」
「星秀が逃げること組長や健二さんにバレちまったらあいつはここに戻されちまう。」
「それはない…っ!」
「なんでそう言いきれるんだよ。」
「俺がそうやって取引したから…!」
「その取引も信用出来ねぇんだよ。組長はそういう人だ。多分その取引したってことは元々組長や健二さんにバレてたってことだよな。俺とお前が手を組んで星秀を逃がそうとしたってこと。」
そうか。渚さんが怒ってる理由はそれだ。星秀さんが危険な目に遭う恐れがあるから。けど俺は治と取引したんだ。あんだけ我慢して取引した。だからさすがに治も…。
「そうだ。治さんたちにバレてた…。」
「だったらそのタイミングで俺に言えばよかったじゃねぇか。なんで言わなかったんだよ。なぁ誠也。」
「で、でもそしたら渚さんが…っ、」
「なぁお前俺の事を気にかけてくれたのか?あ?俺がそんなに弱いやつに見えたかよ。俺はどうなってもこの組から破門にされることはない。自分で言うのもなんだが俺は功績を上げてるからな。俺自身も組長に命を捧げる覚悟だ。だから俺は別にどうでもいいんだよ。だが星秀は別だ。あいつは俺の親友なんだよ。なのにあいつは冷遇されてる。利用されてんだ!そいつを逃がしてやれる絶好の機会だったんだぞ。」
俺の思い込みよりも渚さんの勘の方が正しいはず。だったらあの治との取引はやっぱり嘘だったのか…?けどあいつは承諾した。もう分かんねぇ…。誰も信じられねぇよ…。
「…けど、渚さん。」
「なんだよ。」
「俺は拷問部屋にまで連れて行かれて治さんと取引したんだ。それなのに治さんは裏切ると思う…?」
「ああ。裏切る。あの方はそういう人だ。お前には星秀を逃がすと言ってどっかで星秀を捕まえた後に違うところで監禁するはずだ。それで星秀を死ぬまで使い続けるだろうな。」
「…そんな。」
俺はばかだ。そこまで考えが及ばなかった。でも仕方ねぇじゃん…っ。俺はこの世界を知らない…っ。表の世界で生きてきたんだ…っ。こんな…簡単に人を殺したりするようなやつの考えが俺に分かるわけねぇ…っ。
「誠也。お前は組長を信頼しすぎだ。お前もそん時酷い目に遭わされたんじゃねぇの?」
「俺は別に良い…」
「良くねぇよ!!」
俺は別にどうでもいい…。そう思っていたのに渚さんが何故かそう叫んだ。それも怒って…。
「良くねぇだろ誠也!俺はお前を守ると言ったんだ。なのに俺はそれすらも出来てねぇ。お前に余計な嫌な思いまでさせてしまった。星秀も結局守れなかった。ごめんな誠也…。」
渚さんはいい人だ。本当にいい人…。そう思いたいはずなのに俺はあることが頭によぎってしまった。それは健二が言っていたこと。渚さんを…信頼しすぎるなってこと。
「…渚さん。俺はほんとに大丈夫。それよりも今は星秀さんのことを考えねぇと。」
「その事は俺が決めた。とりあえず星秀は逃がさない。ここにいる方が俺もあいつを助けられるからな。組長にさっきそれを言ってきた。健二さんには仕事って言ってたけど実は組長の所に行ってたんだ。」
「…治さんはなんて?」
「俺の頼みなら聞いてやるって。だから星秀もここに戻ってくる。つか、初めからそれが良かったかもしれねぇな。」
渚さんはそう言いながら俺の隣に寝そべった。その後渚さんは俺の事を抱きしめて頬にキスをしてきた。
「今度はキス避けねぇんだな。」
「…渚さんが悲しそうな顔してるから。」
「なら慰めてくれよ誠也。」
渚さんはそう言いながら俺の事を強く抱き締めてきた。強くって言っても苦しくはねぇけどな。
「…渚さんは何がそんなに苦しいんだ?」
「星秀を逃がせなかった事と他にも悔しいことがある。俺はあいつを逃がしたいと思ってる反面あいつの事を羨ましいとも思ってる。」
羨ましい…?星秀さんが…?
「それってどういう…」
「だって誠也…お前は星秀の事が好きだから。俺もお前の事愛してんのにお前は星秀しか見てねぇ。」
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