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キス
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「ご馳走様でした。」
こんな美味い飯は久しぶりに食えた。というか多分食べる人が大切なんだろうな。あの屋敷にいた時はどんなものを食べても美味しいと感じなかった。けど游さんと慎都さんと食べたこのご飯は格別に美味しかったんだ。
「お、礼儀正しいじゃねぇか誠也。いい子だ。」
「ちょ、游さんっ、子供扱いするな…!!」
游さんに頭をわしゃわしゃと撫でられたから俺は游さんを手で押しのけた。子供みたいな扱いしやがって…っ。怒ってるわけじゃねぇけどご馳走様でしたぐらい言えるっつーの!
「してねぇよ。つか正直言ってお前まだ子供だろ。まだ16のガキだ。」
「ガキじゃねぇし!」
俺はもう16際になったんだ。子供でもなんでもない。なのに游さんは…っ。俺はほぼ大人みたいなもんだ…って何意地張ってんだよ…。別に子供でも大人でもなんでもいいじゃねぇか。つか、こうやって誰かに歯向かうのいつぶりだろ。游さんには本音で話してしまう自分がいてなんか悔しい…。
「喧嘩すんなやお前ら。」
喧嘩とまではいかないけど少し言い合いになってしまった俺達を見て慎都さんがそう言ってきた。
「だ、だって游さんが…!」
「んー?游がなんだって?」
あ…。この流れやばい…。俺がそう思ったのと同時に慎都さんが俺の肩に手を回してきた。これは…っ。
「可愛い顔。」
「っ、やめろって慎都さん、変な事言うな…!」
慎都さんは俺を抱き寄せて俺の顔を鷲掴みにしてきた。相変わらず力強い…。ちょっと顔を掴まれてるだけなのに…少し肩を抱かれてるだけなのに俺はビクとも出来なかった。
「何も変な事言ってねぇよ。おら誠也、目線逸らしてんじゃねぇよ。」
「っ、じゃ、離せよ…!」
目の前に慎都さんの顔があって俺は目のやり場に困っていた。だから目線を逸らしていたのに逸らすなと慎都さんに怒られちまった。後ろには游さんがいるはずなんだけど游さんは何も言わなかった。後ろにいるから游さんがどんな顔してるのか分かんねぇけどなんか游さんがニヤニヤしてんのが後ろから伝わってきた…。
「お前がこっちみたら離してやる。」
「んだよそれ…!」
見れねぇから目を逸らしてんだって…。慎都さんは余裕そうな顔してるけど…っ。だけど普通は目の前に顔があったら誰だって目を逸らすだろ…!
「なんだよ誠也。日和ってんのか?」
「そ、そんなんじゃねぇし…!!」
俺だって男だ。ちょーっと目を合わせるぐらい余裕だっつーの…。ああ…。くそ…。まんまと慎都さんの長髪に乗っちまった…。
「じゃあ俺の事見れるよな?」
「見れるし…っ。」
あーも…!何やってんだよ俺は!慎都さんの思惑通りになってんじゃねぇか!けどこのままだったら時間だけが過ぎていく。慎都さんは俺がちゃんと慎都さんのことを見るまで離してくれないきっと。それなら…っ。
「誠也。ほら、出来るなら早く俺の事を見ろよ。」
「…っ、分かったって!」
と、俺は言って慎都さんの目を見た。けどその瞬間…。
「っ、んん…!?!」
慎都さんにキスされた。一瞬のことで初めは何されてんのかわかんなかったけど慎都さんの舌が俺の口の中に入ってきた瞬間…俺はキスされたんだって分かった。
「んっ…、ん!」
やべぇ…っ、く、るし…!俺、キスされた時息どうやってしてたっけ…っ。
「んっ、ぅ、ん………っ、ぷは!」
「お前息すんの下手すぎ。鼻で息すんだよ馬鹿。口で息しようとしてどうすんだ。」
俺がちゃんと息出来てないことに気づいてくれたのか慎都さんはキスをするのをやめてくれた。そのおかげで俺はやっと呼吸出来た。ああ…まじで苦しかった…。
「だ、だって…っ、」
「まぁまぁ頭。可愛いじゃないですかそういう所も。」
ずっと俺の後ろにいた游さんが俺の頭を撫でながらそう言ってきた。しかもなんかさりげなく抱きしめられてる気がする…。けど今は抵抗する気力がない。俺は今、酸欠状態だからだ。
「そうだけどよ。この調子だと長いキス出来ねぇぞ。こいつが酸欠になって終わりだ。」
「それなら教えてあげましょ俺達が。」
「そうだな…あ?俺達?調子乗んな游。こいつにキスとかしたらぶち殺すからな。」
「うわ、頭怖!」
「当たり前だ馬鹿。誠也も気をつけろよ。」
「…う、うん。」
ちゃんと話聞いてなかったけど俺はとりあえず慎都さんに返事しといた。とにかく今は酸素補給しねぇと…。
「おい誠也まで拒否するなよ。つか俺がその気になったらお前なんてすぐ捕まえられるんだからな。」
「游。てめぇ俺の知らねぇ所で誠也になんかしたら仕事量2倍に増やすぞ。」
「…わぁ、それはやめときます。」
「ああ。そうしろ。」
…はは。平和だなぁ。俺にとってこれがこれから日常になる。そう思うと俺は自然と口角が上がっていた。
「ん?どうした誠也。」
俺が微笑んでることに気づいた慎都さんがそう言ってきた。俺のほっぺをムニムニしながら。
「なんか…楽しいなって。」
「なーに言ってんだ。まぁ楽しいなら良かったけど。」
と、慎都さん。その通りだよ。俺は今は凄く楽しいよ。游さんと慎都さんのおかげで。もう何も怖くない。
「頭ぁ。何言ってんすか。俺達といて楽しくないわけがないじゃないですか!な!誠也!色々落ち着いたらどっか遊びに行こうな!星秀も一緒に!」
「おい游。勝手に決めてんじゃねぇ。つかお前いつまでここにいるつもりだ。飯食ったなら帰れ!」
「えーいいじゃないですか別に。俺だって誠也といたいです。」
「くそったれが。なんで俺はこんなやつを補佐に置いてんだろうな。」
「またまたそんなこと言って。俺の事好きなくせに。」
「黙ってろ。たく…まぁいいわ。好きにしとけ。けど游、あんま散らかすなよ。」
「分かってますよ。じゃ、誠也キスしようぜ。」
「あ?游、こらてめぇ!」
あははっ、ほんっと2人って仲良いな。幸せだけど騒がしい日常が始まりそうだ!
こんな美味い飯は久しぶりに食えた。というか多分食べる人が大切なんだろうな。あの屋敷にいた時はどんなものを食べても美味しいと感じなかった。けど游さんと慎都さんと食べたこのご飯は格別に美味しかったんだ。
「お、礼儀正しいじゃねぇか誠也。いい子だ。」
「ちょ、游さんっ、子供扱いするな…!!」
游さんに頭をわしゃわしゃと撫でられたから俺は游さんを手で押しのけた。子供みたいな扱いしやがって…っ。怒ってるわけじゃねぇけどご馳走様でしたぐらい言えるっつーの!
「してねぇよ。つか正直言ってお前まだ子供だろ。まだ16のガキだ。」
「ガキじゃねぇし!」
俺はもう16際になったんだ。子供でもなんでもない。なのに游さんは…っ。俺はほぼ大人みたいなもんだ…って何意地張ってんだよ…。別に子供でも大人でもなんでもいいじゃねぇか。つか、こうやって誰かに歯向かうのいつぶりだろ。游さんには本音で話してしまう自分がいてなんか悔しい…。
「喧嘩すんなやお前ら。」
喧嘩とまではいかないけど少し言い合いになってしまった俺達を見て慎都さんがそう言ってきた。
「だ、だって游さんが…!」
「んー?游がなんだって?」
あ…。この流れやばい…。俺がそう思ったのと同時に慎都さんが俺の肩に手を回してきた。これは…っ。
「可愛い顔。」
「っ、やめろって慎都さん、変な事言うな…!」
慎都さんは俺を抱き寄せて俺の顔を鷲掴みにしてきた。相変わらず力強い…。ちょっと顔を掴まれてるだけなのに…少し肩を抱かれてるだけなのに俺はビクとも出来なかった。
「何も変な事言ってねぇよ。おら誠也、目線逸らしてんじゃねぇよ。」
「っ、じゃ、離せよ…!」
目の前に慎都さんの顔があって俺は目のやり場に困っていた。だから目線を逸らしていたのに逸らすなと慎都さんに怒られちまった。後ろには游さんがいるはずなんだけど游さんは何も言わなかった。後ろにいるから游さんがどんな顔してるのか分かんねぇけどなんか游さんがニヤニヤしてんのが後ろから伝わってきた…。
「お前がこっちみたら離してやる。」
「んだよそれ…!」
見れねぇから目を逸らしてんだって…。慎都さんは余裕そうな顔してるけど…っ。だけど普通は目の前に顔があったら誰だって目を逸らすだろ…!
「なんだよ誠也。日和ってんのか?」
「そ、そんなんじゃねぇし…!!」
俺だって男だ。ちょーっと目を合わせるぐらい余裕だっつーの…。ああ…。くそ…。まんまと慎都さんの長髪に乗っちまった…。
「じゃあ俺の事見れるよな?」
「見れるし…っ。」
あーも…!何やってんだよ俺は!慎都さんの思惑通りになってんじゃねぇか!けどこのままだったら時間だけが過ぎていく。慎都さんは俺がちゃんと慎都さんのことを見るまで離してくれないきっと。それなら…っ。
「誠也。ほら、出来るなら早く俺の事を見ろよ。」
「…っ、分かったって!」
と、俺は言って慎都さんの目を見た。けどその瞬間…。
「っ、んん…!?!」
慎都さんにキスされた。一瞬のことで初めは何されてんのかわかんなかったけど慎都さんの舌が俺の口の中に入ってきた瞬間…俺はキスされたんだって分かった。
「んっ…、ん!」
やべぇ…っ、く、るし…!俺、キスされた時息どうやってしてたっけ…っ。
「んっ、ぅ、ん………っ、ぷは!」
「お前息すんの下手すぎ。鼻で息すんだよ馬鹿。口で息しようとしてどうすんだ。」
俺がちゃんと息出来てないことに気づいてくれたのか慎都さんはキスをするのをやめてくれた。そのおかげで俺はやっと呼吸出来た。ああ…まじで苦しかった…。
「だ、だって…っ、」
「まぁまぁ頭。可愛いじゃないですかそういう所も。」
ずっと俺の後ろにいた游さんが俺の頭を撫でながらそう言ってきた。しかもなんかさりげなく抱きしめられてる気がする…。けど今は抵抗する気力がない。俺は今、酸欠状態だからだ。
「そうだけどよ。この調子だと長いキス出来ねぇぞ。こいつが酸欠になって終わりだ。」
「それなら教えてあげましょ俺達が。」
「そうだな…あ?俺達?調子乗んな游。こいつにキスとかしたらぶち殺すからな。」
「うわ、頭怖!」
「当たり前だ馬鹿。誠也も気をつけろよ。」
「…う、うん。」
ちゃんと話聞いてなかったけど俺はとりあえず慎都さんに返事しといた。とにかく今は酸素補給しねぇと…。
「おい誠也まで拒否するなよ。つか俺がその気になったらお前なんてすぐ捕まえられるんだからな。」
「游。てめぇ俺の知らねぇ所で誠也になんかしたら仕事量2倍に増やすぞ。」
「…わぁ、それはやめときます。」
「ああ。そうしろ。」
…はは。平和だなぁ。俺にとってこれがこれから日常になる。そう思うと俺は自然と口角が上がっていた。
「ん?どうした誠也。」
俺が微笑んでることに気づいた慎都さんがそう言ってきた。俺のほっぺをムニムニしながら。
「なんか…楽しいなって。」
「なーに言ってんだ。まぁ楽しいなら良かったけど。」
と、慎都さん。その通りだよ。俺は今は凄く楽しいよ。游さんと慎都さんのおかげで。もう何も怖くない。
「頭ぁ。何言ってんすか。俺達といて楽しくないわけがないじゃないですか!な!誠也!色々落ち着いたらどっか遊びに行こうな!星秀も一緒に!」
「おい游。勝手に決めてんじゃねぇ。つかお前いつまでここにいるつもりだ。飯食ったなら帰れ!」
「えーいいじゃないですか別に。俺だって誠也といたいです。」
「くそったれが。なんで俺はこんなやつを補佐に置いてんだろうな。」
「またまたそんなこと言って。俺の事好きなくせに。」
「黙ってろ。たく…まぁいいわ。好きにしとけ。けど游、あんま散らかすなよ。」
「分かってますよ。じゃ、誠也キスしようぜ。」
「あ?游、こらてめぇ!」
あははっ、ほんっと2人って仲良いな。幸せだけど騒がしい日常が始まりそうだ!
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