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松下康二の過去
密かな友人
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*康二視点
「ねぇ。」
「なんだ?」
先に帰ってろって頭に言われたから俺はこの見知らぬ少年と事務所に向かっていた。もしかしたらこの少年も俺と同じようにヤクザになるかもしれないから実は…俺ちょっと身構えてたんだ。
「君は誰なの?」
「俺は康二。」
「康二?」
「そう。お前は亮だっけ?」
「うん。そうだよ。」
「…親の借金?」
「なんで分かったの?」
俺もこんな感じの顔をしてたのかな…。寛也さんに助けられるまで俺は笑えなかったし…。今の亮くんは昔の自分を鏡で見ている気持ちになる。
「俺もそうだったから。それで頭に救われたんだ。」
「そうなんだ…。康二さんは何歳なの?」
「11歳。君は?」
「9歳だよ。」
俺よりも二つも下だったのか。ていうか…普通に考えたら今の状況異常だよな…。ヤクザがうろちょろしてるこの一体に子供の俺ら二人が歩いてるって…。
「そっか。じゃあこれからは幸せになろうな。」
「…え?俺は臓器売られるって…。」
「そんな事にはならない。」
「どうして康二さんはそう言い切れるの?」
「頭が動いてくれたからだよ。あの人は凄いんだ。俺も救われた。」
「…そうなんだ。」
半信半疑…って感じだね亮くん。俺もそうだった。昔の俺もこんな顔してたのか…。俺は…今の俺にはそんな力ないのに亮くんを助けたいとか思い始めてしまった。これも寛也さんのせいだ。
「あ、あそこが事務所だよ。」
「うわ…おっきい。」
「俺も初めて見た時はびっくりした。」
「康二さんはここに住んでるの?」
「そうだよ。」
「…凄いなぁ。てことは康二さんもヤクザなの?」
「うん。組員に入れて貰えたから。」
あの時は親を守るために必死だったから何も思わずにヤクザになった。けど今思うとあの選択は正解だったとつくづく思う。俺は今幸せだから。
「…俺もなれるかなヤクザ。」
「亮くんはどうしてヤクザになりたいの?」
「ヤクザになったら早く死ねそうだから。」
あ…そっか。だから全てを諦めたような顔をしてたんだ亮くんは。そっか…。それなら…。
「じゃあさ、亮くん。とりあえず事務所入ろ。」
「うん。お邪魔します。」
「こっちだよ!」
これは俺の任務だ。亮に幸せを教えてやる。俺が生きることの素晴らしさを教えてやるんだ。
「森廣さん。ただいま。」
「こら康二!ただいまじゃねぇだろ!戻りましただろ!?」
「北風さんもいたんだ。」
いつもの如く北風さんに俺は叱られている。ていうかこれが癖になってる。怒られる俺と怒る北風さんを見てる森廣さんはすごく優しい顔をしてるから。その顔をして欲しくて俺はわざと北風さんを怒らせる。
「いたんだじゃねぇよ!あ…?つかそのガキは?」
「亮だよ。」
「いやいや誰だよ。」
「さっき頭が助けた子です。」
「あ、そうなん。亮くんだっけ?よろしくな俺は北風。」
頭が助けたといえばみんなが迎え入れる。本当に頭の影響力って凄いなぁ。
「お、お願いします。」
亮が急にオドオドし始めた。そりゃ怖いよね…。北風さん顔怖いもん。刺青もすごいし。俺もそう思う。なんて俺が思っていると森廣さんが俺達の近くまで来た。
「康二。こっちに来い。」
「分かりました森廣さん。」
亮について詳しく聞こうとしたんだと俺は森廣さんから感じ取った。だからすぐに森廣さんの指示に従う事にした。まぁはなから俺には森廣さんに逆らう勇気は無いけどね。
「北風、その子を頼む。」
「分かりました。」
「康二、お前はこっち。」
「はい。」
俺は森廣さんの自室に連れて行かれた。ここに連れて行かれるのは久しぶりな気がする。
「康二。お前は亮くんの事どう思うか?」
「俺は…よく分かりません。」
「そうか。俺はあいつをこの組に入れる気は無い。若もきっとそうすると思う。」
「…え?」
まさか…森廣さんがそう言うと思わなった。それってつまり見捨てるってことだよね…?
「あいつはこの組には合わない。だから知りたいの組に紹介しようと思う。」
「な、なんでですか!」
「あいつの為だ。あいつは態度には出さないものの俺らを恨んでいる目をしてる。若に助けて貰ってそれは多少は無くなったかもしれないが俺らの組のせいで苦しんだのは事実だしな。だからこの組に入れれば必ず誰かを殺す。それは避けたいからな。あんな子供に人殺しなんて経験させたくねぇからよ。」
「そう…ですよね。」
森廣さんにそう言われて俺は全てに納得がいった。亮があんな諦めたような目をしてたことにも納得した。あれは…諦めてたんじゃないんだ。狙ってたんだ。それを瞬時に見抜く森廣さんはやっぱり凄いなぁ。
「ああ。だからお前もあいつの事は忘れろ。」
「…分かりました。」
「そんな顔をするな康二。代わりにお前に同期が出来そうだからよ。」
「…え?」
「ねぇ。」
「なんだ?」
先に帰ってろって頭に言われたから俺はこの見知らぬ少年と事務所に向かっていた。もしかしたらこの少年も俺と同じようにヤクザになるかもしれないから実は…俺ちょっと身構えてたんだ。
「君は誰なの?」
「俺は康二。」
「康二?」
「そう。お前は亮だっけ?」
「うん。そうだよ。」
「…親の借金?」
「なんで分かったの?」
俺もこんな感じの顔をしてたのかな…。寛也さんに助けられるまで俺は笑えなかったし…。今の亮くんは昔の自分を鏡で見ている気持ちになる。
「俺もそうだったから。それで頭に救われたんだ。」
「そうなんだ…。康二さんは何歳なの?」
「11歳。君は?」
「9歳だよ。」
俺よりも二つも下だったのか。ていうか…普通に考えたら今の状況異常だよな…。ヤクザがうろちょろしてるこの一体に子供の俺ら二人が歩いてるって…。
「そっか。じゃあこれからは幸せになろうな。」
「…え?俺は臓器売られるって…。」
「そんな事にはならない。」
「どうして康二さんはそう言い切れるの?」
「頭が動いてくれたからだよ。あの人は凄いんだ。俺も救われた。」
「…そうなんだ。」
半信半疑…って感じだね亮くん。俺もそうだった。昔の俺もこんな顔してたのか…。俺は…今の俺にはそんな力ないのに亮くんを助けたいとか思い始めてしまった。これも寛也さんのせいだ。
「あ、あそこが事務所だよ。」
「うわ…おっきい。」
「俺も初めて見た時はびっくりした。」
「康二さんはここに住んでるの?」
「そうだよ。」
「…凄いなぁ。てことは康二さんもヤクザなの?」
「うん。組員に入れて貰えたから。」
あの時は親を守るために必死だったから何も思わずにヤクザになった。けど今思うとあの選択は正解だったとつくづく思う。俺は今幸せだから。
「…俺もなれるかなヤクザ。」
「亮くんはどうしてヤクザになりたいの?」
「ヤクザになったら早く死ねそうだから。」
あ…そっか。だから全てを諦めたような顔をしてたんだ亮くんは。そっか…。それなら…。
「じゃあさ、亮くん。とりあえず事務所入ろ。」
「うん。お邪魔します。」
「こっちだよ!」
これは俺の任務だ。亮に幸せを教えてやる。俺が生きることの素晴らしさを教えてやるんだ。
「森廣さん。ただいま。」
「こら康二!ただいまじゃねぇだろ!戻りましただろ!?」
「北風さんもいたんだ。」
いつもの如く北風さんに俺は叱られている。ていうかこれが癖になってる。怒られる俺と怒る北風さんを見てる森廣さんはすごく優しい顔をしてるから。その顔をして欲しくて俺はわざと北風さんを怒らせる。
「いたんだじゃねぇよ!あ…?つかそのガキは?」
「亮だよ。」
「いやいや誰だよ。」
「さっき頭が助けた子です。」
「あ、そうなん。亮くんだっけ?よろしくな俺は北風。」
頭が助けたといえばみんなが迎え入れる。本当に頭の影響力って凄いなぁ。
「お、お願いします。」
亮が急にオドオドし始めた。そりゃ怖いよね…。北風さん顔怖いもん。刺青もすごいし。俺もそう思う。なんて俺が思っていると森廣さんが俺達の近くまで来た。
「康二。こっちに来い。」
「分かりました森廣さん。」
亮について詳しく聞こうとしたんだと俺は森廣さんから感じ取った。だからすぐに森廣さんの指示に従う事にした。まぁはなから俺には森廣さんに逆らう勇気は無いけどね。
「北風、その子を頼む。」
「分かりました。」
「康二、お前はこっち。」
「はい。」
俺は森廣さんの自室に連れて行かれた。ここに連れて行かれるのは久しぶりな気がする。
「康二。お前は亮くんの事どう思うか?」
「俺は…よく分かりません。」
「そうか。俺はあいつをこの組に入れる気は無い。若もきっとそうすると思う。」
「…え?」
まさか…森廣さんがそう言うと思わなった。それってつまり見捨てるってことだよね…?
「あいつはこの組には合わない。だから知りたいの組に紹介しようと思う。」
「な、なんでですか!」
「あいつの為だ。あいつは態度には出さないものの俺らを恨んでいる目をしてる。若に助けて貰ってそれは多少は無くなったかもしれないが俺らの組のせいで苦しんだのは事実だしな。だからこの組に入れれば必ず誰かを殺す。それは避けたいからな。あんな子供に人殺しなんて経験させたくねぇからよ。」
「そう…ですよね。」
森廣さんにそう言われて俺は全てに納得がいった。亮があんな諦めたような目をしてたことにも納得した。あれは…諦めてたんじゃないんだ。狙ってたんだ。それを瞬時に見抜く森廣さんはやっぱり凄いなぁ。
「ああ。だからお前もあいつの事は忘れろ。」
「…分かりました。」
「そんな顔をするな康二。代わりにお前に同期が出来そうだからよ。」
「…え?」
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