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-第一章-スプリングフィールド王国-

-第一章三節 表彰とBBS-

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次の日。

友達からゲーム内の掲示板に面白いコメントがあると聞き掲示板を見る。


-駆け出し冒険者vs騎士団長の戦い考察板-


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 1.「名無しの冒険者」


 御前試合見に行って来たけど無茶苦茶な戦いしている駆け出しを目撃なう。

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 2.「いいですとも兄貴」


 俺も見た。初めてあんな戦い方を見た!

 まず、相手の攻撃を利用しないしwwww!

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 3.「50歳賢者」


 あれは、正規の戦いで出来るのか?

 job賢者だからわからんのだが?

 情報提供求む!!

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 4.「Darkness Stalker]」


 あれは、チートだろ。

 でなきゃ、絶対できない。戦い方だろwww!!

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 5.「働きたくないでござる!」


 それがあのあと、看過された者がアーマードボアの突進を利用して検証してたで
 
  ござる。

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 6.「50歳賢者」


 で! 結果は!!

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 7.「働きたくないでござる!」


 それが、出来たみたいでござる。

 拙者は見てないでござるが…

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 8.「終焉の日は近い」


 その話俺も聞いたけど信憑性はあるのか?

 デマっぽいが?

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 9.「ニンポ使い」


 それ、マジらしいぞ。

 その検証した奴、あの「Nightmare」のクランメンバーがやったてよ。

 しかも、クランの人間が全員証人で。

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 10.「50歳賢者」

 
 マジか!!

 あのクランがやったのかwwww

 ほんと、あそこなんでもやるなwwww!

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 11.「misaka」


 ただし、その後反射ダメージ及び高所ダメージでお亡くなりになったがな。

 ちはみに、これがその時の撮ったSS。

 ・SS

 ・SS

 ・SS

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 12.「いいですとも兄貴」


 クランメンバーご本人様登場wwwwww

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 13.「50歳賢者」


 すげぇー!!

 ちょっとサブアカで剣士キャラ作ってくるw!!

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 14.「過労死寸前賢王」


 初見です。

 件の駆け出しvs騎士団長の動画を見てみたいのですが…

 どこかで閲覧できませんか?

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 15.「ニンポ使い」


 初見さんいらっしゃ~い!

 たぶんヌホヌホ動画にうpされてると思うよ!

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 16.「過労死寸前賢王」


 ありがとうございます!

 探してみます!

 でも、そんなに珍しい戦い方なのですか?

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 17.「働きたくないでござる」


 珍しいの域を出てるでござる!

 あれは、システムの限界に挑戦しているような戦い方でござる!

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 18.「ロリコン男爵」


 実は私あの戦い終了時、その駆け出しの冒険者を鑑定してみたのですが…

 彼にかなり珍しいサブが付いていましたよ?

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 19.「名無しの冒険者」


 何が付いていたんですか!?

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 20.「ロリコン男爵」


 言っても信じてくれないと思います…

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 21.「終焉の日は近い」


 もったいぶらないでとっとと言ってしまえww

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 22.「ロリコン男爵」


 それが「超幸運」が付いていたんです。

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 23.「50歳賢者」


 は?

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 24.「名無しの冒険者」


 ほんとですか?

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 25.「ロリコン男爵」


 ほ~ら~信じてない~!

 でも、本当なんです!!

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 26.「misaka」


 でも、本当だったら凄いよ!

 本当にあるかどうかも分からない幻のレアスキルなんだから!!

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 27.「過労死寸前賢王」

 
 何ですか?その「超幸運」というのは?

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 28.「いいですとも兄貴」


 「超幸運」ていうのは、無条件でLUCをカンストにするだけでなく色々と本人の
 
 都合のいい事が起きると言われるスキル。

 でも、実際はカンスト表記以上の効力があるとか憶測の域を出たことが無いんだ
 
 と。

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 29.「働きたくないでござる」


 して、その御仁の名はなんというのでござるか?

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 30.「終焉の日は近い」


 たしか、「マリツグ」だったと思う。

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etcetc……



……何だこれ?

とりあえず状況整理をする。

この前の御前試合が噂になっている…

そして、戦闘スタイルがおかしいと言われている…

あと、戦い方を検証されていたこと…

「超幸運」が幻のスキルだという事実を知った…

ここまではいい。ここまだはいいんだが最後の!!

「マリツグ」て!

俺は「マサツグ」だっつーの!!

リにもう一本棒足しなさいよ!まったく!

一人ツッコミしながら状況を飲み込む。

しかしこれで気軽にぼっちプレイをし難くなった。

基本面倒事が嫌いな俺にとってこれは面倒だ。

と色々考えていたがうだうだするのも面倒になってくる。


「まぁ…なるようになるだろ。」


独り言を呟きながらゲームを起動させるのであった。

ゲームを起動させログインをする。

次に見た光景は、昨日ログアウトした城の客室だった。

ベッドから身を起こそうとするが起きれない。

昨日のダメージが残っているのかとステータスを見るがHPもTPも全快している。

ふと右腕に違和感を覚える。


「なにか、やわらかい感触が…」


マサツグが右腕の方を見る。


「う…ん…」


まったく見覚えの無いナイスバデーの美人女性がネグリジェ姿で眠っている。


「え?」


マサツグ、突然の光景に固まる。

マサツグがこの現状に困惑していると…


「んん…いったい何なんだ…」


美人女性が起き上がる。


「お…おはようございます…」


マサツグが恐る恐る美人さんに挨拶をする。

美人さんも眠い目を擦りながらこちらを確認する。

そして美人さんがマサツグを見つけると顔を引き攣らせ固まってしまう。


「…き」


き?


「キィヤァァァァァァァーーー!!」


美人さんの拳からキレの良い右ストレートが飛び、マサツグの鳩尾に入る。


「グハアッ!!」


起きて早々にHPの7割を持っていかれる。


「なぜ貴様がここで寝ている!!」


「な…何故と言われましても…将軍様にこの部屋に泊まれと言われたから…」


その場に蹲り痙攣しながら答える。


「な…師匠が!」


師匠?そう言えばそんな事…

あの将軍様にはこんな美人なお弟子さんがいるとは…

しかし、良いストレートをお持ちだ…


マサツグが蹲りながら考えていると騒ぎを聞きつけてか、

部屋の外からドタドタと将軍と衛兵が部屋に駆けつける。


「いったい何の騒ぎだ!」


部屋に入り、将軍の目に飛び込んだ光景に溜め息を吐きつつ頭を掻く。


「これはどういうことですかな?冒険者殿?姫君?」


こちらが聞きたい……ん?姫君?


「知らん!起きたら横にこのが居たんだ!!」


姫君?は涙目になりながら将軍に訴える。

そしてマサツグが美人さんの一言に引っかかりを覚える。


はて?どこかで聞き覚えのあるフレーズだ。


「愚か者…あっ!」


マサツグがベッドから体を起こし叫ぶ。


「まさかアンタ、ハイドリヒかー!」


マサツグがそう叫び、将軍が呆れ返る。


「姫君、貴方の部屋は隣でしょう。なぜここに?」


ハイドリヒとマサツグが将軍の一言に固まる。

どうやら、姫君は部屋を間違えて入りベッドへと潜り込んだようだ。


「ということは…

俺、殴られ損?」


マサツグが将軍に尋ねると溜め息混じりに将軍が答える。


「はぁ~…

そういうことだな。」


マサツグは姫様の方を向き、抗議する。


「ということらしい。何か言うことは?」


さすがの姫様も自分が悪いと思ったか目線を反らしながらマサツグに謝罪する。


「ご…ごめんなさい…」


ここで素直に謝った事にマサツグが酷く驚く。


驚いた…

あのプライドの塊みたいなハイドリヒが素直に謝った…

てっきりごねるかと思った…


マサツグがそんな事を考えていると姫様の怒りは将軍に飛び火する。


「師匠も師匠です!

何故ここに通すんですか!?

ここは空き部屋の筈では!?」


「仕方が無いだろう。

王妃様がここに通せと言ったのだからな。

それにあの方は人の意見は聞かん。

お前も分かっているだろう?」


将軍が姫さまに答えると姫様の怒りは収まらず威嚇する猫のように息を

荒げながら更に講義する!


「それにしても!!

もう少し部屋の場所を考えてください!!」


姫様の必死の講義に将軍は再び溜め息を吐きながら返事をする。


「はぁ~…

以後、細心の注意を払います」


そう言うと衛兵と共に現場を後にしようとする。

そして将軍が部屋を出ようという時に何かを思い出したか将軍が

マサツグに言伝を伝える。


「表彰授与式は、玉座の間にて行う。

準備が出来たら使いの者に伝えるとよい。」


そうマサツグに伝えるとマサツグに一礼し部屋を後にする。

そしてまたもやマサツグとネグリジェ姿の姫様と二人っきりの状態にされる。


ちょっとまって!!この状況で出て行かないでくれ~!!

しかも、姫様と二人きりとか怖いわ!


マサツグが扉に向かい空しく手を伸ばし、心の中で叫んでいると姫様がマサツグに

ある問い掛けをする。


「き…貴様…何もしていないだろうな?」


「…は?」


「だから寝てる間に私に如何わしい事をしていないだろうな!?」


今さっき起きていい右ストレートを貰ったばかりだよ!


マサツグがそうツッコミたいのを我慢し姫様に答える。


「何もしてないしてない。」


マサツグが姫様に答え、首を横に振る。


「ほんとだろうな?もし嘘だったら…」


「だったら?」


次の瞬間、姫様の目付きが一騎打ちの時より

更に殺気を帯びた目でマサツグを睨みつけ…


「さらし首にしてやる…」


その余りの迫力にマサツグが萎縮し無実を訴える。


「ア…アイアムジェントルメン!!」


両手を上げ、首を全力で横に振り必死に訴える。


「そうか…ならいい。」


そう言うと姫様も自分の部屋に戻る為に部屋を出る。


「……し…死ぬかと思ったぁ~…」


マサツグがホッとしたのもつかの間まだ受難はつづく。

準備を整え、部屋を出るとメイドが立っていた。

そしてそのメイドさんから信じられない言葉が飛び出す!


「昨夜はお楽しみのようでしたね。」


マサツグはその問いに思わず噴出す。


「ちがいます!誤解です!!」


慌ててマサツグがメイドさんに訂正をする。

そしてマサツグがそのメイドさんを見て正体に気が付く。


「ところで何故、貴方が此処に居るんですか?王妃様?」


「あら、バレてしまいました?」


まずそんなヤバイ問いかけできるのはアンタだけだろ!!


マサツグがツッコミたいのを必死に我慢しメイドに扮装した王妃様に質問をする。


「それより、いいんですか?一国の姫が冒険者と一夜を共にしたとか良からぬ噂が

たちますよ?」


マサツグが意地悪のつもりで王妃様に質問をする。

しかし、メイド姿の王妃はマサツグの想像の上を行く答えを告げる。


「あら、それだったら、その冒険者とあの子を結婚させちゃいましょうか?」


この母親スゴイaggressive!


「いやいやいやいや!!不味いでしょう!普通!!」


「そうかしら?だって私も元は冒険者ですもの。」


衝撃のcoming out!マサツグが心の中で叫ぶ。


{嘘ぉぉぉぉぉーーー!!}


マサツグが衝撃を受けていると王妃様がちらっとこちらを見てくる。


「嘘ではありませんわ。」


心の中まで読まれた!?


「これでも有名だったのですのよ。」


そこからは王妃様の武勇伝を聞く。

その内容は今の姿からは想像出来ない話であった。

何せ何処をどう見ても貴婦人にしか見えない姿の人が自分よりデカイ剣を

持って戦っていた何て誰が信じる!?

そして最後の一言にマサツグがビクッとなる。


「今でも貴方くらいならお相手できますわよ?」


マサツグはすかさず丁重にお断りする。

そして、もう一つの疑問に思ったことを聞く。


「何でメイドの格好になっているんですか?」


すると、王妃様はこちらを向きニコッとしながら答える。


「それは、趣味ですわ。」


衝撃のcoming out!part2!!


「私、じっとできない性分ですの。

ですからメイドの格好で他のメイドと炊事洗濯掃除をして過ごしていますの。

ただ、みなさん私に何もさせてくれないのです。」


だんだん本当に王妃なのか分からなくなってくる。

それと同時に従者たちの苦労が伝わってくる。

王妃様と喋りながら歩いている内に玉座の間前に着く。


「では、こちらへ…」


メイド姿の王妃様がドアを開ける。

そこには、見事に整列した衛兵、煌びやかな装飾品そして何より目がいったのは…

王と王妃の玉座の間、少し後ろにある見事に咲き誇る桜の木に目を離せないでいた。


「どうです?綺麗でしょう?」


玉座の方から声が聞える。

そこには、王様とメイドじゃない正装の王妃様が立っていた。


いつの間に着替えたんだ…!


マサツグは王妃様の早着替えに驚きながらも王様に答える。


「とても綺麗です。」


マサツグがそう答えると、嬉しそうに王様は笑った。


「それでは、表彰授与式を行う!」


将軍が高らかに宣言をする。


「受賞者は前へ!」


マサツグは指示に従い前へと進み、王様の前で跪く。


「貴方は御前試合で騎士団長との一騎打ちの戦いにて見事打ち勝ち、

勝利を収めたことを此処に評します。」


王様から一本の刀を受け賜る。

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             春風刀 壱式

              レア度C

          ATK+75  MDEF+10  SPD+30

             [春風の加護]

        一定時間ごとにHPを2%ずつ回復する。

              現在装備不可。

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ん?…刀?ここって結構洋風だよなぁ…


マサツグがそんな事を考えていると顔に出ていたか王様が

笑いながらマサツグに尋ねる。


「意外そうな顔をしているね。」


「あ…い…いえ滅相もない!」


マサツグが慌てて答え、差し出された刀を両手で受け取る。

実のところを言うとマサツグは西洋風の剣よりもむしろ、

刀の方が好きだからである。

マサツグは再度、春風刀を見つめ目を輝かせる。


「どうやら気に入ってもらえたみたいだね。」


王様の問いかけに全力で返事をする。


「はい!」


満面の笑みを王様に見せると王様も笑っていた。

こうして無事に表彰式典を終えるのであった。

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