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-第二章-サマーオーシャン連合国-前編

-第二章二十節 激闘と戦闘不能-

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ドラゴンとマサツグが睨み合う様に身構えドラゴンがゆっくりと歩いて来ると

マサツグのと距離が3、4m位の距離になる。これはお互いに攻撃できる間合いで

一瞬のミスでマサツグ大ダメージを貰ってしまう間合いでもある。そうして、

マサツグがドラゴンの動きに注意しているとドラゴンが腕を振り上げ、

爪でマサツグを切り裂こうとする!


「あぶね!!

完全にお怒りですか!!」


マサツグがバックステップで回避するとドラゴンは間髪居れずに頭を伸ばし、

マサツグに噛み付こうとする。マサツグもそれを見てジャンプし、噛み付きを

回避するとカウンターで兜割りをドラゴンの頭に繰り出す!


「うおりゃああ!!

兜わ……」


__ガキン!!……


「な!…」


マサツグの兜割りはドラゴンの立派な角に当たると刃が少しばかりは角に入るも

完全には斬れず、ドラゴンの角の上でマサツグが固まってしまう。それをドラゴンが

またもやのた打ち回るとマサツグを振り落とし、ダメージを与える。


「ぐあッ!!

クソッ!!頭を狙うのは得策じゃないか……」


辺りは未だに火が燃えており、その間にもスリップダメージでマサツグの体力が

削れていく。ドラゴンも消耗が激しいのかまたもや動きがゆっくりになり始める。

しかし、相変わらずの劣勢でマサツグがドラゴンを視線から外さない様に逆転出来る

作戦を考える。


「ゴホッ!ゲホッ!

まさに、逆鱗に触れたな…」


マサツグが考えている間にドラゴンの怒りに対する波があるのかまた物凄い勢いで

吼えると、マサツグに襲い掛かるその姿は完全に怒りに我を忘れ、ただ目の前の

敵を潰す事しか考えないバーサーカー。それでもマサツグが刹那の時間ギリギリまで

武器を構え直し、ひたすらに打開策を考える。


「考えろ…考えるんだ…

このままじゃ、ジリ貧だ…」


その間にもドラゴンが体力を削る様にマサツグに猛攻を仕掛ける。尻尾で薙ぎ払い、

爪で引き裂き、顎で噛み砕こうとする。しかし、それをマサツグは往なしては回避を

し、打開策を考える。ところがここでドラゴンの様子が変わり始める。先ほどまでは

接近戦でマサツグを追い立てていたのが突如大きく息を吸い込み始める。


{嫌な予感が…}


マサツグに嫌な予感が走るがそれが的中、ドラゴンが息を吸い込みきるとマサツグに

向け、特大の特大の火球をマサツグに放つ!


「うおおおおおい!!マジかよ!!」


マサツグが慌ててその火球を横っ飛び回避する。その火球はマサツグの隣を掠める様

に通り過ぎて行くと地面に着弾した途端、大爆発を起こす。その爆風はマサツグを

襲い、大きく吹き飛ばすと地面に転がす。その際、燃えていた木々が風圧で火が

消える勢いの威力であった。


{冗談は止してくれ!!只でさえ、まともに攻撃が入らなくて四苦八苦してる最中

更にあの爆発!?…

あの時の牛型の人キメラとイーブンの威力じゃねぇか!!}


吹き飛ばされ地面に転がりながらも起き上がり、威力を見てマサツグがドラゴンに

対し嫌気が差してくる。これとは別の上位種に単身で戦いに挑む猛者の話は聞いた事

はあるがどうやって倒したのかは聞いたことが無い。そんな事を考えつつ起き上がる

とマサツグが起き上がるのを確認してか、ドラゴンは再度大きく息を吸い込む。


「イッツツツツ…こうなりゃ、自棄だ!!」


マサツグがもはや定番と言った具合に自棄を起こすとドラゴンの特大ブレスから

逃げようとせずドラゴンを真正面に構え、刀を自分の頭の上に構える。マサツグは

ここで一か八かのバルデウス戦の様に火球を斬ってしまおうと考える。すると、

この土壇場でマサツグが夏海刀を解放したと同時に覚えた新たな術技に気が付く。


「ッ!

あれ?…こんな技……いや、今はそれどころじゃない!!

ぶっつけ本番!!」


マサツグが意識を集中するとドラゴンは息を吸い込みきり、大火球をマサツグに

向け撃ち出す!その際そのブレスは先ほどとは違い規模が大きく、簡単に

マサツグを包み込める。しかし、マサツグは一歩も引かずに刀を構え、ブレスを

真っ向から立ち向かっていく。そしてブレスがマサツグの攻撃間合いに入った

瞬間、マサツグが先ほど覚えた術技を放つ!


「居合い剣・海裂の型!!!」


刀を上段に構え、大きく踏み込み真っ直ぐ寸分の狂い無く振り下ろす。

それはまるで文字通り海を斬り裂く様なモーション、これが海裂の型である。

その斬撃は鋭く、マサツグが放った斬撃は大火球を真っ二つに裂いてみせ、

その後真っ二つになった大火球はマサツグの後ろを左右に別れて木々を薙ぎ

倒すと離れた所で爆発する。そしてドラゴンが先ほどのブレスで息を切らして

いるのを確認するとマサツグが止めを刺しに掛かる。


「オオオオオオォォォォォォォォォォ!!!!!」


先ほどのブレスで動けないドラゴンはマサツグを睨み付け、恨み言を言う様に

咆哮を吐く。しかし、マサツグは怯まずドラゴンに一気に近づき首元に潜り込む

と、ドラゴンの逆鱗があった首の付け根を斬り飛ばすのであった。


「居合い剣・疾風の型ーーーーーーー!!!!」


__ズバン!!!……


マサツグが斬ったドラゴンの首は斬り上げられた衝撃で宙を舞い、あたりには刀で

斬った際の斬撃音が響き渡る。辺りはドラゴンのブレスで大火災が起き、見るも

無残な焼け野原が広がり、煙が立ち上る。しかし不思議と辺りは静かで聞えて

くるのはマサツグの斬撃音の後ドラゴンの頭が地面に落ちる音であった。


__ドスン!……


「悪いが俺の勝ちだ!…」


その音を聞いてマサツグがドラゴンの首を斬った状態で固まるのを解除し、刀を

一回振ると静かに刀を鞘に戻す。ワザとらしく格好をつけてやった所でマサツグの

体力も限界だったかその場にへたり込むとぼやくのであった。


「し…死ぬかと思った~…」


その場で大きく深呼吸をし残ったHPとTPの残量をステータス画面を開いて確認する。

そこにはのこりHPが一割未満の残量と最後の首を飛ばしたのですっからかんのTPが

表示される。そして、余りの接戦と防具無しで戦いに挑んだ緊張感と討伐完了後の

疲労感がマサツグにドッと襲い掛かり急激に体が重く感じる。


「は…ははは……

もうトカゲはお腹一杯だぞ…この大陸に来てワイバーンにドラゴンて……

ハード過ぎだぜ……」


画面上には残り体力が危険域に来た時のアラート音が響き、徐々に姿を消すドラゴン

とアイテムに変わる様子が映し出される。その際、刹那の使用時間を見るとクールタイム

が半分位まで回復しており、途中で切れていたのを物語ると更にマサツグの恐怖心を煽る。

そうして、その場で動けずに居ると何やらガサガサとこちらに向かい歩いてくる音が

聞えてくる。その音にマサツグが気付き、回復し始めたTPを消費して感知サーチを発動する

と何やら大量の中立モブがこちらに向かい歩いてくるのが確認できる。


「……あんだぁ~これぇ~?

もうこれ以上の戦闘は勘弁だぜぇ~?」


ドラゴンとの戦いで完全に精神が消耗しアホの子みたいになっているとその団体モブが

マサツグの前に姿を現す。それと同時にその場にへたり込むマサツグとアイテムに

変わっていくドラゴンの死骸も目撃したモブが驚きを露にする。


「こ…これを一人でやったのか!?…」


「なんて奴だ!!

信じられん!!……」


そこに現れたのはポップリングスの衛兵達で町の外から戦闘音が消えた事とドラゴンが

居ない事に女王陛下が心配して派遣して来たらしい。そしてこの惨状を目撃しマサツグ

がやったと分かると改めて驚き、マサツグを助け起こす。助け起こされた際にマサツグ

が衛兵にお礼を言うと逆にお礼を言われる。


「おっと!…

こりゃどうも…」


「いや、礼を言うのは我々の方だ。

あんた一人にこんな怪物を戦わせて我々は何も出来ず……

本当にありがとう!……」


助け起こされた衛兵にお礼を言われてマサツグが珍しく照れると衛兵がもう一人に

手を貸すように呼びかける。その際、衛兵が言った言葉に引っかかりを覚えるも

この時マサツグにそんな根性は残ってはいなかった。


「誰か手伝え!

この人は俺達の故郷を守った英雄だぞ!!」


{ま~た英雄って……

確かに呼ばれて悪い気はしないけどむず痒いんだよなぁ~……

何とかならんものか点…}


「大丈夫ですか!?」


マサツグがむず痒さを感じていると呼び掛けていた衛兵が駆け寄ってきてマサツグに

肩を貸す。そして、マサツグがその衛兵に礼を言おうと顔を見るとその顔はドラゴン

と戦う前に見た覚えが有る顔であった。マサツグが声を掛けようと声を掛けると

その衛兵はマサツグにお礼を言うのであった。


「あぁ…これはご丁寧にってあれ?…

アンタは…」


「あの時は助かりました…

おかげで何人かは意識を取り戻し無事が確認できました。

あの時同僚が目の前でやられて気が動転して動けなかったけど、

貴方の怒鳴り声でハッと我に返れたんです!

もし、あの場に貴方が居なかったら僕達どころかポップリングスは落ちていたと…」


「そうか…

ところで何人って事は後のは…」


「…はい…

まだ意識不明の重体の奴も何人か…」


「そうか…」


マサツグが肩を借りて衛兵とポップリングスに戻る道中、暗い雰囲気になるも

他の衛兵がマサツグの変わりにドラゴンの素材を採取するとまるで戦後の

凱旋の様にマサツグを中心にポップリングスに戻り始める。今まで凱旋をした

事の無いマサツグは奇妙な恥ずかしさを覚え、衛兵達に止める様に訴えかける。


__ぱ~ぱぱぱっぱっぱ~!…ぱ~ぱぱぱっぱっぱ~!


{何だこの音程…まるでドラ○エのOPじゃねぇか!…

…って言うかこっぱずかしいわ!!…何とかならんのか!!}


「あ~っと…スマンがこの勇者帰還!みたいな行進をやめて貰えんか?

恥ずかしいんだが?……」


「何を言いますか!?

我等が英雄殿の凱旋をせずして何がお迎えか!?

それにこれは女王陛下の命にもあります!

この凱旋をする事によって英雄殿が無事である事を知らせると言う役目も…」


「あ、いや…俺が恥ずかしい…って聞いてくれないなぁ~(泣)」


マサツグが顔を真っ赤にし泣きたくなるのを我慢し、言う事を聞いてくれない衛兵の

凱旋に付き合っていると徐々にポップリングスが見えてくる。最初の時はさほど

離れたいなかった筈が負傷し、衛兵に抱えられて帰ってくる事で遠くまで離れていた

感覚になる。そしてマサツグの凱旋がポップリングスのゲート前まで来ると一層凱旋

の曲の音量が上がり、マサツグを苦しめる。本人達は本当に祝ってくれているの

だろうがマサツグには拷問のような恥ずかしさを覚える。そうしてマサツグがゲート

を潜ると、そこには女王陛下とミスティー、そしてポップリングスの伝統衣装か、

まるでアラビアの踊り子にジョブチェンジした様なシロがマサツグを出迎える。


「…ご主人様……」


しかし、その様子は再会を喜ぶというよりはマサツグを心配し、会えなくて悲しいと

言った表情でマサツグを見つめ、ミスティーもボロボロのマサツグを見て、驚いた様

な表情をみせる。女王陛下はマサツグが本当にドラゴンを倒して来たと証明する様に

マサツグの変わりに集めたドラゴンの素材を見て驚き、マサツグの姿を見て頷く。

そんな三人にマサツグがニカッと笑うと一言言う。


「おう!

みんな、ただいま!!

シロに至っては2~3日ぶりか?」


「……ひぐっ……

ごじゅじんざま~~!!」


この一言にシロが不安な表情から一転、泣きながらマサツグに駆け寄り始める。

それに続く様に女王陛下とミスティーが歩いてマサツグの元に向うがこの後、

マサツグが倒れる事を知らなかった。


「ごじゅじんざま~~!!」


「おぉ、シロ!

ただい……」


次の瞬間、シロがマサツグと再会し、ボロボロの姿に感情が昂ぶった結果、シロが

物凄い勢いでマサツグの腹部に突撃する。その際、頭から飛び掛った為、マサツグの

腹部にヘッドバッドをしたような形でマサツグの腹部を捉える。


「ま゛う゛っ!!!」


ただいまのまが何とも重い一撃を貰った悲鳴になり、周りに居た衛兵やミスティーに

聞こえ、女王陛下もシロの行動に驚きを隠せない。そして何より驚く事は衛兵に肩を

借りていたにも拘らず押し倒したのはマサツグのみ。二人両脇に立ってマサツグに肩

貸していたのも関わらずマサツグに肩を貸したポーズで固まる。


「シ…シロちゃ~ん!!!」


無常に木霊するミスティーの悲鳴、突然の光景に唖然とし、戸惑いを隠せない

女王陛下と衛兵達。そして、シロは倒れるマサツグに泣きながら顔を摺り寄せ

離さない。結果的にこれが止めの一撃になり、マサツグのHPがゼロになる。

その際、シロに一言残してマサツグは戦闘不能状態になるのであった。


「し…シロ…

い…今のは…効いたぞ…ガクッ!」


「へ?……ご…ごじゅじんざま!?」


この一言に漸くシロが顔を上げ、マサツグの顔を見るとその表情は何処か幸せそうに

口から血を吐き、倒れていた。その状態にシロとミスティーが慌てるもマサツグは

戦闘不能状態で返事をしない。とここで漸く女王陛下が現状の把握が出来たのか

衛兵達にマサツグを王宮に連れて行き、マサツグを助ける様に命令するのであった。


「……ハッ!!

え…衛兵!!この者を王宮まで運んで命を助けるのだ!!

この者を死なせてはならん!!!」


「は…ハッ!!!」


動かなくなったマサツグは衛兵達が持って来た担架に担がれ、王宮に連れて行かれる。

その際、シロはマサツグに馬乗りになりまた泣き付く。その後ろをミスティーが

心配するように後を着いて来るのであった。


「ごじゅじんざま~~!!」


「マサツグさ~ん!!!

しっかりしてくださ~い!!!」


「…英雄殿も大変なのだな……

しかし…こうしてはおれんな!……フフフッ……」


女王陛下もドラゴン襲撃の際に壊れた城壁等の指示をする為に王宮に戻ると

ポップリングス最初のドタバタ騒ぎが終わる。そして、この様子をまた誰にも

気付かれない様に伺う者が一人いた事をまだ誰も知らないのであった。


ここで話は変わり現実世界のマサツグの方は初めて出た戦闘不能の画面に溜め息を

吐き、如何しようかと考えていた。


「取り合えず…今日はもういい時間だし…丁度良いと思って終了するか……」


このゲームで戦闘不能=ゲームオーバーなのだがそれでそのキャラクターが使えなく

なると言ったハードコアではない。戦闘不能になった場合は画面にリスポーンもしく

はゲーム終了の二択が現れる。リスポーンの場合は診療所、もしくは病院の一室から

スタートなのだがどちらも無い場合は王城もしくは王宮前からスタートとなる。

その他にも特定の条件でリスポーン位置が変わるが大体は上記に書いたどれかである。

しかし、マサツグは現実の方がいい時間だった為、ゲームを終了しログアウトする。

その際、シロの感情爆発を警戒する様に気を付けるのであった。


{とりあえず今度からはシロの様子に気をつけよう……

見事に止めを貰ったし……}


そして次の日、いつもと変わらない日常を過ごし、また自由な時間になるとゲームを

起動させ、ログインする。その際、最後に何があったかを思い出しゲームを始める。


{確か…最後はシロにヘッドバット貰ってぶっ倒れたから……

何処からだろう?…今まで何とか一度も戦闘不能にならずにやって来たからな……

…まぁ、町の外には放り出されていないとは思うが……}


そう思いつつもゲームを始めると開幕見た事無い天井。只分かる事はお高い感じの

作りに白い漆喰、手に感じるサラサラとしたシルクの様な手触りの着布団。そして…

お約束の拘束状態。余程ダメージが大きく、腕も足も動かない事に負傷状態なのかと

ステータス画面を開き、確認するもやはり何も無い。


{となると……}


マサツグが動ける範囲で辺りを見渡し始める。まずは右腕からと頭を動かし、自身の

右腕を見るとそこには見覚えのあるデンジャラスボデーのお姉さん美女がマッパで

マサツグの布団の中に潜り込み、右腕をしっかりロックしている。


{あれぇ…おかしいなぁ…まだ何かステータスに異常があるのかなぁ……}


マサツグが目をシパシパとさせ、ステータス画面を開き、確認するがやはり何も

起きていない。これを見てマサツグは今度は左側を見る、そこにはちゃんと寝間着を

着ているミスティーが右のお姉さん同様に左腕をしっかりロックしている。


{ミスティーが隣で寝ている……ちゃんと寝間着を着て……

しかし…生地が薄いのか下着が透けているぞ!!ミスティーさん!?}


ミスティーの格好がベビードールでやはり落ち着かないマサツグが溜め息を吐くと

天井を見る。ここである事に気が突く、それは妙に息苦しい事。


「何かやけに息苦しい…」


マサツグが自身の胸の方を確認すると息苦しい原因が一発で分かる。シロが大の字

でマサツグの上に乗っているのである。右左胸部と寝ている間に全身ロックされて

いたのだ。


「…何だこれ…」


この状況にマサツグがどうしてこうなったと目を閉じ、考えるも段々と面倒になり

始める。そして、本当に面倒になるとマサツグは考えるのを止めるのであった。

そうして、マサツグが動けない事をただ解決されるのを待っていると目を覚ました

シロが意識を取り戻したマサツグに気が付く。


「ん…

う?」


「おはよう、シロ。」


目を覚ましたシロにマサツグが挨拶するとシロがピタっとマサツグの顔を見て硬直

する。そして、フルフルと震え始めマサツグが不思議に感じているとシロが一言だけ

呟く。


「ご…」


{…ご?}


「ごじゅじんざま~!!!」


シロのこの一言にマサツグが首を傾げ、何の事だと考えているとシロは突如ぴょんと

飛び上がるとマサツグの顔に張り付き、昨日と同じ様に顔を摺り寄せてくる。しかも

涙と鼻水のダブルコンボ……


「ごじゅじんざまが目を覚まじだ~!」


{シロ!わかった!わかったから!!顔に張り付かないでくれ!!

い…息が…!!

マサツグさんまた戦闘不能になっちゃうから!!}


マサツグが必死に頭だけでもがくがシロのしがみ付きは頑丈でまるでフェイス○ガー

幾ら首を左右に振ろうと離れる気配を見せない。そうしてマサツグとシロが

暴れていると右腕を拘束していたデンジャラスボデーのお姉さんとミスティーが

目を覚ます。


「ん…

何じゃ朝から騒々しい…」


「ん…どうしたんですか…?」


二人が目を覚ました事にシロが気が付くと慌ててミスティーとデンジャラスボデー

のお姉さんにマサツグが起きた事を慌てて伝える。しかし、この時マサツグは

二度目の戦闘不能に直面しかける。


「ご主人様が目を覚ましたんです~!!」


「本当ですか!」


__ち~~~~ん……


「し…シロちゃ~ん!!!

マサツグさんから離れて!!

マサツグさんまた臨死体験しちゃう!!」


「ハッ!!」


慌ててミスティーがシロにマサツグの顔から離れる様に伝えるとシロも慌てて

マサツグの顔から離れる。こうして、マサツグの二度目の戦闘不能をミスティーに

助けて貰い、後でシロにフェイス○ガーをしない様に注意するのであった。

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