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ふしぎなおじいさん
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ボクのおうちのちかくには、もりがある。むかーしは、えらいおとのさまがすんでいたんだって。
おとのさまは、ボクとおなじもりをみてたのかな?
おなじかぜがふいていたのかな?
ボクはあるひ、そのもりでいちばんでっかい「き」のところにいってみた。
でーっかい、でっかい。
てんまでとどきそう。
きのまわりには、さくがあってあまりちかくにはいけなかった。
さくのとなりに、なにかもじがかいてあった。
『……500…のこの…とも…ばれているくすのき。………………の………………が…えたという……が…っている』
ボクにはそうよめた。
でも、まったくいみがわからなかった。
「なにこれー。」
ボクはかえろうとした。
そのときだった。
「おい、まてこぞう。」
うしろから、でっかい、でーっかいこえがした。
「だれ?!」
ふりむいたけど、だれもいなかった。
「きのせいかなぁ。」
またいえにかえろうとした。
「おい、まてといってるんだ。
きこえないのか!」
「もう!だれなのぉ!!」
ボクはこわくてこわくて、そのばにしゃがみこんでしまった。
「うしろじゃよ、うしろ。」
さっきよりはやさしいこえで、ボクによびかけてきた。
ボクは、ゆっくりふりかえってみた。
そこには、しわくちゃのおじいさんが、さくのなかでたっていた。
「おい、こぞう。そこ、ふむでない。」
「え?」
したをみると、ちいさなあかちゃんが、きもちよさそうにねていた。
「あ、ごめん。」
ボクはあかちゃんをおこさないように、そっと、あしをどけた。
「うむ、それでいい。」
おじいさんは、ゆっくりうなずき、また、はなしはじめた。
「ところでこぞう、どうしてここへきた。」
「えーっと、ここのちかくにおうちがあって、あそびにきたの。おじいさんは、どうしてここにすんでるの?」
おじいさんは、すこしさびしそうにはなしだした。
「ワシも、むかしはあのあかんぼうのようなこじゃった。
あるとき、ワシがふみつぶされそうになったとき、おまえさんのようなこぞうがたすけてくれた。
そして、そのまわりにさくでかこんで、そのなかにはいれないようにして、ワシをまもってくれた。
あのこぞうはいったのぉ、
『今日からここはおまえのとちじゃ。みなのもの、このさくからいっぽもはいるなよ!』と。」
「ふーん。」
ボクにはさっぱりわからなかった。
「そのおとこのこは、どうなっの?」
「こぞうは、りっぱなおとのさまになって、ちいさなくにをまとめあげた。こぞうは、このもりにすむものたちを、とてもたいせつにしてくれた。しかし、とうとうおこってしまったのじゃ。『いくさ』が。」
「いくさ?」
「あぁ、たたかいのことじゃ。こぞうはひっしでとめたが、まけてしまった。でも、こぞうはワシのところにはちかづくな。それだけいってしんだという。」
おじいさんは、いかにもかなしそうなめをしていた。
おじいさん、さびしそう。
そうだ!
「おじいさん、またおはなしきかせてもらってもいい?」
「あぁ。いつでもおいで。」
「うん!」
ボクはあかちゃんをふまないように、おうちへむかってかけだした。
つぎのひ
ボクはまたあのきのところにいった。
「おぉ、こぞう。どうした。そんなおもたそうなものもって。」
おじいさんはふしぎそうなかおをした。
「これだよ!」
ボクはおっきなふくろのなかからぼうとひもをとりだした。
「そ、それは……!」
おじいさんはおどろいたかおをした。
「ボクもおとのさまのように、このこをまもってあげるんだ!」
ボクはねているあかちゃんのまわりを、さくでかこんだ。
「これでどうかな?まだせもたかくないから、おとのさまがつくったさくよりもちいさいけど、もっとおおきくなって、もっとおおきなさくをつくるんだ。そして、このこをまもるんだ。……、きにいってくれた?」
おじいさんのかおをみたら、おじいさんのめからなみだがでていた。
「おじいさん!だいじょうぶ?!」
おじいさんはしばらくたったあと、こういった。
「ごめんな。ついついあのときのこと、おもいだしてしまって。こぞう、」
「なに?」
「ありがとう。」
そういったあと、すごいかぜがふいた。
「わ!」
あわててめをつぶって、きがついたら、そこにはだれもいなかった。
「あれ?」
いろんなところをさがしたけど、だれもいなかった。
「おかしいなぁ。」
ボクはまた、あのきのところへもどった。
さくのむこうにいるかもしれないとおもったけど、いかなかった。
だって、
だってあそこは、おとのさまとおじいさんのおもいでのばしょだもの。
たとえなにがあっても、おじいさんはあそこをはなれないはず。
おじいさんは、きっとこのさくのなかにいる。
おじいさんは、おとのさまのことが、だーいすきだから。
そうおもった。
そのとたん、かぜがふいた。
さっきとはちがう、あたたかいかぜだった。
かぜのおとをよくきいてみると、なにかきこえてくるきがした。
それがなんのこえか、すぐにわかった。
ひとつはおじいさんのわらいごえ、もうひとつはあかちゃんのわらいごえ。
どこからかきこえてくるそのこえ。
ボクは、おっきなさくのなかのおっきなきと、ボクがかこんだちいさなさくのなかのちいさなきのめをみつめていた。
ボクは、むかしおとのさまがすったくうきをいっぱいすって、さけんだ。
「おじいさーん!!げーんきでねー!!またあおうねー!!」
おっきなきはおおきくゆれて、ばいばいと、てをふっているようだった。
ぼくも、いーっぱいてをふった。
おとのさまは、ボクとおなじもりをみてたのかな?
おなじかぜがふいていたのかな?
ボクはあるひ、そのもりでいちばんでっかい「き」のところにいってみた。
でーっかい、でっかい。
てんまでとどきそう。
きのまわりには、さくがあってあまりちかくにはいけなかった。
さくのとなりに、なにかもじがかいてあった。
『……500…のこの…とも…ばれているくすのき。………………の………………が…えたという……が…っている』
ボクにはそうよめた。
でも、まったくいみがわからなかった。
「なにこれー。」
ボクはかえろうとした。
そのときだった。
「おい、まてこぞう。」
うしろから、でっかい、でーっかいこえがした。
「だれ?!」
ふりむいたけど、だれもいなかった。
「きのせいかなぁ。」
またいえにかえろうとした。
「おい、まてといってるんだ。
きこえないのか!」
「もう!だれなのぉ!!」
ボクはこわくてこわくて、そのばにしゃがみこんでしまった。
「うしろじゃよ、うしろ。」
さっきよりはやさしいこえで、ボクによびかけてきた。
ボクは、ゆっくりふりかえってみた。
そこには、しわくちゃのおじいさんが、さくのなかでたっていた。
「おい、こぞう。そこ、ふむでない。」
「え?」
したをみると、ちいさなあかちゃんが、きもちよさそうにねていた。
「あ、ごめん。」
ボクはあかちゃんをおこさないように、そっと、あしをどけた。
「うむ、それでいい。」
おじいさんは、ゆっくりうなずき、また、はなしはじめた。
「ところでこぞう、どうしてここへきた。」
「えーっと、ここのちかくにおうちがあって、あそびにきたの。おじいさんは、どうしてここにすんでるの?」
おじいさんは、すこしさびしそうにはなしだした。
「ワシも、むかしはあのあかんぼうのようなこじゃった。
あるとき、ワシがふみつぶされそうになったとき、おまえさんのようなこぞうがたすけてくれた。
そして、そのまわりにさくでかこんで、そのなかにはいれないようにして、ワシをまもってくれた。
あのこぞうはいったのぉ、
『今日からここはおまえのとちじゃ。みなのもの、このさくからいっぽもはいるなよ!』と。」
「ふーん。」
ボクにはさっぱりわからなかった。
「そのおとこのこは、どうなっの?」
「こぞうは、りっぱなおとのさまになって、ちいさなくにをまとめあげた。こぞうは、このもりにすむものたちを、とてもたいせつにしてくれた。しかし、とうとうおこってしまったのじゃ。『いくさ』が。」
「いくさ?」
「あぁ、たたかいのことじゃ。こぞうはひっしでとめたが、まけてしまった。でも、こぞうはワシのところにはちかづくな。それだけいってしんだという。」
おじいさんは、いかにもかなしそうなめをしていた。
おじいさん、さびしそう。
そうだ!
「おじいさん、またおはなしきかせてもらってもいい?」
「あぁ。いつでもおいで。」
「うん!」
ボクはあかちゃんをふまないように、おうちへむかってかけだした。
つぎのひ
ボクはまたあのきのところにいった。
「おぉ、こぞう。どうした。そんなおもたそうなものもって。」
おじいさんはふしぎそうなかおをした。
「これだよ!」
ボクはおっきなふくろのなかからぼうとひもをとりだした。
「そ、それは……!」
おじいさんはおどろいたかおをした。
「ボクもおとのさまのように、このこをまもってあげるんだ!」
ボクはねているあかちゃんのまわりを、さくでかこんだ。
「これでどうかな?まだせもたかくないから、おとのさまがつくったさくよりもちいさいけど、もっとおおきくなって、もっとおおきなさくをつくるんだ。そして、このこをまもるんだ。……、きにいってくれた?」
おじいさんのかおをみたら、おじいさんのめからなみだがでていた。
「おじいさん!だいじょうぶ?!」
おじいさんはしばらくたったあと、こういった。
「ごめんな。ついついあのときのこと、おもいだしてしまって。こぞう、」
「なに?」
「ありがとう。」
そういったあと、すごいかぜがふいた。
「わ!」
あわててめをつぶって、きがついたら、そこにはだれもいなかった。
「あれ?」
いろんなところをさがしたけど、だれもいなかった。
「おかしいなぁ。」
ボクはまた、あのきのところへもどった。
さくのむこうにいるかもしれないとおもったけど、いかなかった。
だって、
だってあそこは、おとのさまとおじいさんのおもいでのばしょだもの。
たとえなにがあっても、おじいさんはあそこをはなれないはず。
おじいさんは、きっとこのさくのなかにいる。
おじいさんは、おとのさまのことが、だーいすきだから。
そうおもった。
そのとたん、かぜがふいた。
さっきとはちがう、あたたかいかぜだった。
かぜのおとをよくきいてみると、なにかきこえてくるきがした。
それがなんのこえか、すぐにわかった。
ひとつはおじいさんのわらいごえ、もうひとつはあかちゃんのわらいごえ。
どこからかきこえてくるそのこえ。
ボクは、おっきなさくのなかのおっきなきと、ボクがかこんだちいさなさくのなかのちいさなきのめをみつめていた。
ボクは、むかしおとのさまがすったくうきをいっぱいすって、さけんだ。
「おじいさーん!!げーんきでねー!!またあおうねー!!」
おっきなきはおおきくゆれて、ばいばいと、てをふっているようだった。
ぼくも、いーっぱいてをふった。
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