ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒

文字の大きさ
3 / 13

03:個人ダンジョン3

しおりを挟む
 マップ通りに進んでチンアントを一回倒すごとに落ち着いてを繰り返せば魔鉄がある場所にたどり着いた。

「実物? は初めて見た……」

 これが実物であるかは分からないけど五つの魔鉄を手に入れた。

 装備と一緒についていた袋にその魔鉄を何気なく入れる。

「……ん? 重くならない……」

 もしかしてこの袋もすごいものなのか?

「トキ、この袋はなんだ?」
『はい。その袋は最大1トンまで入り重さを感じない『次元袋』になります。マックスになればまた次の袋をお渡しします』

 そんな袋聞いたことがない。もしかしなくてもこれでもお金儲けできるんじゃないか? お金なんていっぱいあるけどあればあるだけいい。

 まあ動きの邪魔にならないから気にせずに戦うことができる。

「……レベルが上がってる」

 何体目かのチンアントを倒した後に速度が上がっていることでステータスを見ればレベルが上がっていることに気がついた。

『岩倉王間
 Lv:2
 HP:(3/8)
 MP:(0/2)
 STR:7
 VIT:4
 AGI:7
 DEX:3
 INT:2
 RES:2
 LUK:3
 魔法
 スキル
 ダンジョン作成/猛火の剣士』

 今までは一生Lv1のままだと思っていたから正直嬉しい。でもたぶんこのステータスだとまだキングチンアントには勝てないだろうな。

 チンアント一体の十倍の強さなんだろ。俺も十倍のLv10にならないといけないのか?

「トキ、キングチンアントの推奨Lvはあるのか?」
『Lv5です』
「それは平均でか?」

 ステータスは人それぞれ。それなのに推奨Lvが出るのか。

『オウマさまならLv5です』
「そうか、分かった」

 これは道中チンアントを狩りまくらないとLv5には到達しないだろうな。

 時間がかかるかもしれないがそれならそれでどれくらいでモンスターが出てくるかとかどれくらいで鉱物が復活するのかを確認してもいいかもしれない。

「……不思議だ」

 前までなら少しでもダンジョンにいたら気分が悪くなっていたが今はそんなことはない。

 ここが危険な場所ではないと認識しているおかげか? まだ少しだけ恐怖はあるけどこの恐怖は必要なものだ。

 まあここが大丈夫だからといって他のダンジョンに入ろうとは欠片も思わない。ここも俺の意思で入ったわけではないからな。

 ☆

 チンアントを狩り続けても未だに慣れないことに安堵を覚えつつダンジョン内を回ってLv5にすることができた。

 それなりに時間がかかったからもう少しだけ出現頻度と出現可能上限をあげても問題なかったな。

 でもこんなところで留まることもないからこれくらいがちょうどいいか。誰が好き好んでチンアントを狩り続けるんだよ。

 でも金のために才能がない人が狩り続けることはあるか。俺は金は持っているからそんなことはしないけど。

「あれ? ……トキ、ここでは魔石は出ないのか?」

 今思い出したというか俺自身、ここで倒したモンスターが最初だったから何も思わなかったが、モンスターを倒しても魔石が出てきていない。

『実践モードでは魔石は出ません』
「魔石は出ないけど、魔鉄は出るのか? もしかして消えるとか?」
『いいえ、鉱物は持ち帰ることができます。ですが魔石は違います』

 よく分からないから考えるのをやめよう。深く考えてもそういうものだと理解するしかないのだから。

 Lv5になったことでついにフロアボスがいる扉の前に来た。

「……よし」

 何度も深呼吸をして扉を開ければ中は暗かったが俺が一歩足を踏み入れた瞬間に部屋の灯りがついた。

「っ……!」

 部屋の中央にはチンアントを何倍にもした巨大なチンアントがいた。

 キングチンアントを見た瞬間に呼吸が浅くなるのを感じるがすぐに深呼吸をして落ち着かせる。

「大丈夫……大丈夫だ……」

 自分に言い聞かせるように言ってから俺はキングチンアントに立ち向かう。

 キングチンアントも俺のことを認識しており立ち向かっている俺に向かってくる。

 最初よりもはるかに速くなった移動速度でキングチンアントの側面に回り込んで側面の三本ある内の一本の足を切り落とした。

 まだチンアントの時でも細いなと思っていたけど巨大になると俺の体以上に太さがあるんじゃないのか。まあこの巨体を支えるためにはそれくらいは必要か。

 前足を切り落としたとはいえキングチンアントは体勢を崩さずに俺に顔を向けてきた。

 その瞬間俺はキングチンアントと目が合ったような気がして硬直してしまった。その直後キングチンアントの口から液体が吐かれ、俺は避けることができずにそれを受けてしまう直前にソファの上にいた。

『実践解析……クリアするためにスキルを付与します』
「ふぅぅぅぅぅ……」

 たぶん何のスキルでもなかったのだろう、俺が硬直したのは。

 まだチンアントほどの大きさならどうにかなったがキングチンアントみたいな大きさはあの時の光景がよぎってしまう。

 でもあいつとは違う。だから今度は大丈夫だ、心構えはできた。

 次はどんなスキルをもらったのだろうかと確認する。

『岩倉王間
 Lv:5
 HP:(25/25)
 MP:(11/11)
 STR:18
 VIT:13
 AGI:17
 DEX:7
 INT:8
 RES:5
 LUK:6
 魔法
 スキル
  ダンジョン作成/猛火の剣士/自己加速』

 自己加速か。速くなるスキルなのか? どういう理由でこれを付与したのだろうか。

『スキルのラーニングを実施しますか?』
「あぁ、する」
『ラーニング開始します』

 再び真っ白な空間に視界が変わった。

『加速のスキル情報を開示します』
『加速
 ・思考を加速させることができる。
 ・魔力を消費すれば自身の動きを加速することができる。』

 ……あぁ、なるほど。どうしてこのスキルを手に入れたのか分かった。俺が思考を止めていたからこのスキルを付与してきたんだ。

 止まったとしてもこれで思考をスッキリとさせてから戦えと言いたいのか。……これで負ければどうにもならないな。

 俺は才能がない。だからトキがそれを補うために二つのスキルを付与してくれた。これで他の人と一緒のスタートラインには立てたということか。

『ラーニング完了。ラーニング終了します』
「実践だ」
『転送します』
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

雑魚で貧乏な俺にゲームの悪役貴族が憑依した結果、ゲームヒロインのモデルとパーティーを組むことになった

ぐうのすけ
ファンタジー
無才・貧乏・底辺高校生の稲生アキラ(イナセアキラ)にゲームの悪役貴族が憑依した。 悪役貴族がアキラに話しかける。 「そうか、お前、魂の片割れだな? はははははは!喜べ!魂が1つになれば強さも、女も、名声も思うがままだ!」 アキラは悪役貴族を警戒するがあらゆる事件を通してお互いの境遇を知り、魂が融合し力を手に入れていく。 ある時はモンスターを無双し、ある時は配信で人気を得て、ヒロインとパーティーを組み、アキラの人生は好転し、自分の人生を切り開いていく。

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

パワハラで会社を辞めた俺、スキル【万能造船】で自由な船旅に出る~現代知識とチート船で水上交易してたら、いつの間にか国家予算レベルの大金を稼い

☆ほしい
ファンタジー
過労とパワハラで心身ともに限界だった俺、佐伯湊(さえきみなと)は、ある日異世界に転移してしまった。神様から与えられたのは【万能造船】というユニークスキル。それは、設計図さえあれば、どんな船でも素材を消費して作り出せるという能力だった。 「もう誰にも縛られない、自由な生活を送るんだ」 そう決意した俺は、手始めに小さな川舟を作り、水上での生活をスタートさせる。前世の知識を活かして、この世界にはない調味料や保存食、便利な日用品を自作して港町で売ってみると、これがまさかの大当たり。 スキルで船をどんどん豪華客船並みに拡張し、快適な船上生活を送りながら、行く先々の港町で特産品を仕入れては別の町で売る。そんな気ままな水上交易を続けているうちに、俺の資産はいつの間にか小国の国家予算を軽く超えていた。 これは、社畜だった俺が、チートな船でのんびりスローライフを送りながら、世界一の商人になるまでの物語。

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
 ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

処理中です...