スキル「ジョブチェンジ」で下剋上!

山椒

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20:二回目のザラルダンジョン

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 昨日ぶりのザラルダンジョン。

 だが今回の俺の役割はタンクであるため昨日とは違った動きをしないといけないから新鮮さがある。

 とは言え、俺のステータスは昨日の最終地点と同じだからザラルダンジョンの一階層のモンスターなんて弱く見えるのは確かだろう。

 嬉しい誤算は弓士で獲得した<超感覚>が戦士でも使えたことだ。昨日は弓士が後衛だから前衛のジョブにスキルがないと思っていたけど<超感覚>だけは関連スキルになっていた。

 弓士の時に使っていて分かるが、モンスターがどこから来るのかが感覚的に分かるようになっている。

 ちなみに<超聴覚>が無駄になるじゃないかと思ったけどそれを合わせることで正確な数を理解するというコンボができるそうだ。

 今の俺は<超感覚>しかないがそれだけで十分だった。

 モンスターが前から来ることを瞬時に理解したことで剣を抜く。

 俺よりもスキルが多い他の三人はそのことを俺よりも早く理解していたのが何とも間抜けなタンクだとは思ってしまうが今はどうでもいい。それが当たり前なのだから。

 前から来たのは一見すれば普通の狼だが胴体が大きい、サイレンウルフの群れだった。

 サイレンウルフは八体いる。今の俺はルナのようにデコイオーラを使うことができないからそれはブレアたちは分かっている。

 だから最初はタンクとかを気にせずに前に出ればいいということを言われている。

 ぶっちゃけタンクとか気にしなくてもいいくらいにはステータスが高いからとは言われたから俺は気にすることなく前に出てサイレンウルフに斬りかかる。

 出てくるモンスターが限定されているダンジョンで群れが現れた場合は人間みたいに役割分担をしてくる。

 俺が斬りかかったサイレンウルフとその周囲のサイレンウルフ二体は俺に襲い掛かってくるが他のサイレンウルフは仲間を呼ぶ。

 大きな声ではないが遠くまで聞こえる遠吠えをすることで超感覚がこちらに向かってくるモンスターを感じ取った。

 だけどそんなことはお構いなしだ。今の俺たちにとってはレベルアップのための経験値にしか見えないのだからな。

 レベルを上げたいところの俺はルナとアニーのことをお構いなしにモンスターを倒すことに集中する。もちろんウルフたちをひきつけるタンクの仕事を忘れない。

 ただしそのタンクの仕事はサイレンウルフを三体倒してLv15になったところですぐさま簡単になる。

「<デコイオーラ>!」

 すぐに覚えたデコイオーラによってモンスターたちは俺にターゲットを変えた。

「もう覚えたのね。それならしっかりとタンクの仕事をしなさい」
「おー、さすがはバンリー」

 周りにいるモンスターがすべてこちらに向かってきているのが分かる。

 普通なら恐怖映像になるのだろうが今の俺は大丈夫だと思えてくる。これもジョブの力なのかもしれない。

 俺たちは昨日よりも早く下へ下へと降りていく。

「どんどんと行こー!」

 ルナがハイペースにしているからそうなっているが、昨日の七階層までは行けることにはなっている。

 役割が変化しているだけで俺たちのレベルは変わらない。というか昨日よりも強くなっているのだから七階層までハイペースで向かっても問題ないことになる。

 だからLv10から始まった戦士はそれはもうとてつもないスピードでレベルが上がっていっている。他の三人もそうだろう。

 俺としても戦士のレベルを上げていればブレアとルナがいなくてもアニーとのコンビでダンジョンに潜ることができるからな。ルナのハイペースに合わせる。

 ハイペースとは言ってもちゃんと魔石と素材はアニーが回収してくれているから最短効率でダンジョン攻略をしている感じだ。

 昨日の倍以上の速度で七階層までたどり着くことができた。

「今日は何階層まで潜る予定なんだ?」

 一応ルナにそう聞いてみる。

「えー? 今日はずっと潜ってるよー?」
「え」
「だってー、昨日は出たから解散になったんでしょー? それならずっと潜っていたら解散にならないよねー?」

 おいおい、こいつ何でもない声色をしてとんでもないことを言っている。

 まるで俺と離れたくないと言っているようなものだろう。その方法がヤンデレじみているし。

「そうだな。それなら今日はずっと潜っているか」
「やったー! さすがはバンリ分かってるー!」

 ルナの好きにさせたらいいか。それでレベルが上がるのだから一日、二日潜っている分には全く問題がない。

「ちょっと待ちなさい!」

 それに待ったをかけるのはもちろんブレアだ。アニーは俺の意思に反対することはないだろうからな。

「なにー?」
「よく分かっていない得体のしれない男とダンジョンで一夜を過ごすなんて危険すぎるわ」

 確かに俺たちはそれほど会話して仲を深めているわけではないからな。

 そんな俺とダンジョンというモンスターだらけで助けも呼べない場所で一緒にいるとは危険だという言い分は分かる。

「でもバンリはいい人だよー?」
「そんな根拠どこにもないでしょ……どうしてそう思ったの?」
「うーん……何となくー?」

 ルナには特技で知る人ぞ知るお店を探し当てることができるが、その延長線上にいい人だと分かるものがあるのかもしれない。

 俺は自分をいい人だと思ったことはないけどね。

「とにかく、十階層で引き返すわよ」
「えー! そんなの嫌だー! ブレアが嫌ならブレア抜きで行くー!」

 急所に攻撃を受けたのかと思うくらいに衝撃を受けた顔のブレア。

「……わ、私よりもこんな男の方が大事かしら……?」
「お願いを聞いてくれないブレアはきらーい」
「わ、分かったわよ……」

 こうして見ていると何となくブレアとルナの関係性が分かるな。

 でもルナと出会ったときはブレアが引っ張っていきそうな雰囲気だったが……俺がいるから変になっているのか?
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