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第三話
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一か月ほど前、春一番がなりをひそめ始めた三月の終わり、拓也が世話になっていた仕事仲間の一人が亡くなった。名前は鈴木マサと言う。
確か今年で八十いくつかになると、正月に挨拶した頃に言っていた。その頃には病魔に蝕まれ、丸い方だった体は骨をなぞるように細くなり、腕にはピッピと音に合わせるかのように体へ単調にモルヒネを流す点滴が、深く痛々しく刺さっていた。
優しさを絵に描いたような女性で、穏やかな声とゆったりとした物腰で、まだ慣れない拓也を指導してくれた。孫娘が拓也より一つ下なのだそうだ。だから余計に構っちゃうの、そう微笑んでいたのは、まだ丸い顔立ちの頃だった。しっかりしていて、とても真面目で素直ないい子なのよ、いつか会ったらよろしくね。そうマサも同じ職場で働いていたマサの夫である俊三も言っていた。俊三は出会って直ぐに心不全で亡くなってしまったので記憶は薄いが、二人は仲睦まじい夫婦であった。
その噂の孫娘を、今回の葬儀で初めて見た。当時高校一年生だった拓也の一つ下と言う事は、彼女は中学を卒業したばかりで、三月中だった当時、まだ法律では身分は中学生の筈だ。四月から高校生になるべく準備を進める曖昧な時期、そんなあどけない時期の筈なのに、彼女はなんと喪主を務めていたのである。
思わず式場内を見まわし、冗談じゃないのかと他の身内を探してしまったが、そんな拓也をよそに孫娘ははきはきと喪主の挨拶を務めた。
葬儀のあれそれの殆どを葬儀会社が進めてくれていたとしても、中学生が喪主だなんて有り得ないことだ。長いのであろう黒髪をきっちりと結い上げてお団子にし、皺一つない紺のセーラー服に身を包み、凛と立つ姿は確かに利発そうである。
銀色のフレームの向こうに見える狐を思わせる、目尻のつり上がった瞳も真っ直ぐと前を見ていて、参列者にゆったりと腰を折る姿も完璧で、まるで大人のようだ。しかし細い棒のような手足や、桃を含んだ白い肌のきめ細やかさ、丸みを帯びた頬が隠せない幼さを主張している。
拓也は一人で来たわけではない。通夜は行けなかったが、養父である柴田源次郎と共に告別式から参列した。源次郎はマサと拓也の上司の一人であるからか、その少女のことを知っていた。それが、鈴木光子であった。
マサには三人の孫がいて、光子は長女であり二番目の孫なのだそうだ。
「え、じゃあマサさんのこどもか、あの子の兄だかが喪主をするべきなんじゃないの?なんで俺の一個下の子が、喪主してんのさ」
故人に最後の別れを言う為、玉串奉奠の列に並んでいた。マサは神社を管理し、そして神道だった。神道の葬式はお香を火種に振りかける焼香でなく、玉串と呼ばれる小枝を祭壇に備える玉串奉奠となる。神道の葬儀は神葬祭と言うのだと、拓也は源次郎に教わっていた。
神官の読みあげる詞を聴き列に並びながら、ひそひそと声を潜めつつ横にいる源次郎に尋ねると、彼は三十代後半の若白髪混じる頭をぼりぼりとかいて、んん、と一瞬言葉を濁した。
列はマサの人望のぶん、なかなかの長さだった。葬式によっては棺に皆で花を添えることもあるそうだが、もしもこの長さでそれぞれが花を持っていたら、棺の蓋は閉まりきらないだろう。現に祭壇では、どんどん玉串が積み上がっている。
言葉を濁した源次郎の表情も、困ったような悲しむような、曖昧な笑みだった。
「まあ、色々事情があるよね、何処のお宅にも。僕らみたいに」
僕らみたいに。若すぎる養父はさらりと言い、拓也もさらりとそれを聞いた。
「中学生が喪主をする、カテイノジジョウ、ってなんだよ」
「例えば、鈴木夫妻の愛する一人娘は彼らの持つ力が一切無くて、かつ、それを持っていた両親の葬儀を無視するほど嫌悪、拒絶し、絶縁していた」
とか、と濁してはいるが、それは真実ではないだろうか?彼らの持つ力とはすなわち、超自然現象に様々な意味で触れあえる力だからだ。超自然生活安全課のことは非公然であり家族にも隠すが、マサも俊三も持っていれば普段の生活の中で関わる事は多くなる。
例えば、源次郎がくるくると指先を空中で回しながら続ける。
「光子ちゃんは、その力を色濃く受け継いでいて……おっと」
話している途中で、順番が回って来た。近くで見ると光子は本当に小柄で、長身なほうである拓也や源次郎と並ぶと、ますます小さく見える。細い体や白い肌も相まって儚げに映るが、先述した通り、彼女は背筋を伸ばししっかりと足をそろえて立っていて、参列者である拓也達にしっかりと腰を折り挨拶をする姿は、とても力強い。
中を見ても?そう聞く前にもう顔の部分の扉は開いていた。そこから見えるマサの顔は本当に痩せてしまっていて、そして冷やかな印象ながら何処か温かく静かだった。拓也は微笑むマサを思い出して、ツンと鼻の奥が熱くなるのを感じ目を逸らした。
源次郎が一礼し、玉串を受け取って右回りにくるりと回転させ、根元を祭壇に向けて供えた。まだ元気だった頃の写真を使ったらしい遺影を見上げ、深く二礼して二度手を打ちつける振りをして列からどいた。どうやらそれで終わりらしい。そうやってするのか、とまじまじと見ていた拓也も、ぎこちなくはあるが何とか静かに玉串を祭壇に置いた。
そのまま離れるかと思えば、源次郎はきつと立つ光子に微笑んだ。
「光子ちゃん、僕の事覚えてる?何度か家にマサさんを送ったんだけど」
「覚えています。お久しぶりです、柴田さん。本日はありがとうございます」
「とても穏やかな顔をしているね……光子ちゃんは大丈夫だと、信じているからだね」
ゆら、と一度も揺らがなかった光子の瞳の色が揺らめいた。
「……そうだと、いいんですけれど」
落ち着きはらっていた声も、小さく掠れた。拓也は、ますます鼻の奥が熱くなるのを感じ俯く。本当に、マサは優しくて常に笑顔を浮かべた女性であった。穏やかな顔をしてはいるが、当然ながら今のマサには生きているぬくもりが一切感じられず、白と黒で閉められた空間はより一層その喪失感をあおる。
正直に言えば、死を知った時にそれなりに泣いている拓也は、年頃の男子として大勢の前で泣くことは避けたかった。順番、つっかえてるよ、そう何とか声に出して源次郎の腕を引っ張り、悲しみの元から離れることに成功した。抑えきれなかった涙をぐいと誤魔化すようにぬぐうのを、源次郎は見て見ぬふりをした。
葬儀にも来ないほど、拒絶したマサの一人娘。その二番目のこどもである光子は、色濃くマサ達の能力が受け継がれているのだと言う。見えざるものが見えて、触れられない筈のものに触れられる。人々が空に鳥や虫が飛び交い、傍らを見れば猫や犬が遊んでいるのと同じように、幽霊や妖怪を当然の世界の姿として見るのである。
自分が見えない触れられない何かを見える触れられる人に出会った時、果たして人はどんな態度を取るのか。マサの娘は、完全なる拒絶を取ったのだ。
「……あの子も、拒絶されたのか」
親もこどもも拒絶出来るものなのか、拓也にはわからない。ましてや拓也の両親は、幼い日に死んでしまったし、やはり見えるかつ、触れる人であった。
「……うん。光子ちゃんは確かに孫だけど、二人の養子になってるしね。実質、後継ぎだよ」
会話を戻して、鼻の奥の熱を逃がした。何度か鼻をすすって、こみ上げるものを押さえていく。すんすんすん、落ち着いてくる頭が単語をゆっくりと拾う。拒絶、養子、後継ぎ。
後継ぎねえ……後継ぎ?拓也は首を傾げる。後を継ぐ?それはマサの役目を継ぐということだ。マサの仕事は確かに警察で、迷える霊魂を案内したり妖怪の世話をしたり色々であるが、主な仕事は自宅近くの神社を管理することと、あるものの封印を任されていた。
千年前に突然現れ、その周辺の人々を喰い散らかした鬼を封印したという手鏡、そしてその人喰い鬼が身に着けていた、アメシストの腕輪を守る事であった。
「まさか、人喰い鬼の手鏡を守るの、これからあの子がやんの?」
「勿論」
まさかと聞いてみれば、けろりとした返答だった。拓也からどうしてもこみ上げる、悲しみや泣きそうになる気恥かしさなどが一気に吹き飛んだ。勿論?勿論と言ったかこの養父は!
「何考えてんだよ!光子だっけ?俺の一つ下だろ!そうじゃなくても、いきなりは無理だろうが!あの手鏡に何が封じ込められてるか、父さんは俺よりわかってんだろ!千年前に突然現れて、人を喰い散らかした人喰い鬼だぞ!」
興奮しその言葉にはビックリマークがついてはいるが、実際はその殆どの声を潜めている。あまりの剣幕に近くにいた人が一瞬振り向いたが、直ぐに自分のする事へ戻って行った。
源次郎は相変わらずのけろり顔だ。あははと笑いながら、ぽんぽんと拓也の背中を叩く。
「でも、署長の意向だし、マサさんが大丈夫ですって言ってたんだから大丈夫だよ。アメシストの腕輪は呪いの品じゃなくて、ただのサポートアイテムだし」
「いやいやいや!もっとよく考えろよ、柴田警視殿よー!絶対何か起こるだろ!」
うわーと頭を抱えてしゃがみこむ。突然拓也がしゃがみこんだ事で、今まで集まって無かった視線がついに一気に集まって来た。
しかし慌てることなく、源次郎は少々色素の薄い拓也の頭を撫でた。
「大丈夫だよ、柴田拓也巡査。その頃には君も研修が終わって巡査部長になってるだろうし、そうすると年の近い君が彼女を指導することになるし、それが君の初任務になると思う。僕は君なら安心だと、確信しているんだよ。まあ何とかなるって」
「何とかなってねーじゃん!結局問題になってんじゃねえかぁあ!」
拓也はがばりと起き上がり、はっとする。それは思考でなく、きちんと喉から音として出ている声だ。自分は今霊体でなく、ちゃんと温かい肉体に戻ってきている。
見渡せば車の中で、叫びながら飛び起きた自分の顔を源次郎が運転席から覗き込み、静江が涙目でこちらを見ていた。
「おお、起きた。よかったね、静江ちゃん」
「よかったあ!起きたぁあ!」
時間差で拓也の額から濡れたハンカチが、くしゃっと膝に落ちる。車の外はすっかり夜になっていて、自分が最低でも一時間は気絶していた事が分かった。何もかもが突然のことでぽかんとし、きょろりと外や車内を見まわして源次郎を見る。
「……何で父さんがいるの」
「そりゃ幽体離脱した愚息が突然掻き消えて、慌てて車に戻れば丁度肉体の呼吸が戻っていたけれど、揺さぶっても起きない、だなんて部下から電話が入っちゃあ、保護者であり上司である僕が駆け付けることになるよねえ?」
……成程。まだはっきりとしない額を押さえ、拓也は俯いた。ほんっと心配しました!静江がシートベルトを外し、後部座席に飛んできそうな勢いで叫ぶ。そこでやっと車が動いている事に気付いた。帰路についている。
「何とも無い?大丈夫?」
景色からは心癒す緑はなりを潜め、コンクリートやアスファルトなどの建築物が目立ち、ぎとぎとしたネオンが車のライトより眩しく通り過ぎる。ふらつく頭には、少しきつい光だ。ううう、拓也はもう一度唸り腹部を押さえ、低く答えた。
「……何か気持ち悪ィ、胃が重い」
源次郎が声をあげて笑う。
「幽体離脱している時に攻撃されたからだね。内臓がびっくりしてるんだよ」
「攻撃……?ああ……」
森の住人に一斉に叫ばれた、アレ、である。あの森では一番手っ取り早い攻撃だろうが、あんな攻撃は聞いたことも見たことも無く、ちっとも予測出来なかった。腹部を抑えつつ座席に沈み、しかし何となくかっこ悪いので予測出来なかったことは口に出さない。
口には出さないが、きっとこのロマンスグレーは、そんな拓也の心情をお見通しなのだろう。体を起こし座席にきちんと座ってシートベルトを締めると、前を見て安全運転している筈の源次郎がさらりと、光子ちゃんどうだった?と尋ねてきた。
腹部を押さえつつ、ふうと息をつく。もう胃が少々張っているくらいで、眩暈は消えた。
「髪、おかっぱになってた。あと今日のご飯は魚だね。エコバッグの隙間からちらっと見えた」
「ちゃんと料理して生活してるんだ、本当に偉い子だなあ。で、人喰い鬼の手鏡のことは?」
うぐ。それには静江も口ごもる。先程の源次郎の説明を聞く限り、静江は拓也の姿が突然掻き消えたパニックで、そのまま走って車に戻ったに違いない。もや程度にしか見えて無かったのに、よくぞその消える瞬間を逃さなかったものだ。それは静江は自分の注意力を褒めていいし、だからこそ超自然生活安全課に引き抜かれたのだと胸を張っていい。
黙り込む二人の答えに、源次郎は溜息をこぼした。重いものではなく、しょうがないよねえといつものようにのほほんとしたものである。
赤信号で車が止まった時に、源次郎が静江に助手席の足元に置かせてもらっていたらしい、自分の鞄を取るように言う。くたくたの鞄を信号を気にしつつ探り、中から茶封筒と取り出すと鞄は開いた後部座席へ、茶封筒は拓也へと渡した。紐でくくって止めるタイプで、映画のパンフレットが入りそうな大きな茶封筒である。実際厚みはそれぐらいあって、しかし茶封筒には何も記されていない。
何これ。青信号になり、再びハンドルを握る源次郎に中身を見る前に訪ねる。
「この前さ、問題解いてもらったでしょ。時間制限ありで」
「ああー、あれ?葬式……じゃなくて、しんそうさい?の後、直ぐにいきなりテストされたんだけど、何だったのアレ。テストやったの、十日くらい前だっけ?」
「それの結果が中に入ってるんだよ。やー流石拓也くんだよ」
何処か胡散臭い褒め言葉に首をひねりつつ、見て御覧、と催促されゆっくりと紐をほどいた。どちらにしろ、中身を見ないと始まらない。紐は三回ほど回せばあっさりほどけて、それ以外封もされていないので、そのまま開いて中身を取り出す事が出来た。
入っていたのはやはりパンフレットだった。だが映画の物では無い。拓也は言葉を失った。
「……なあ、本当はわかってんじゃねえの?何処までわかってんの?つか……殴っていい?」
「大人が全部わかっていると思ってるのは、こどもだけだよ。大人は少し、予測が出来るだけ」
車の中でなければ、本当に思い切り殴っていたかもしれない。このごつごつとした指輪がはまった指で、容赦なく拓也は光子の通う高校のパンフレットを歪むほど握りしめた。それにはぺらりとした紙がクリップで止めてあり、編入学おめでとうございます、の文字が薄暗い車内でも充分見て取れた。
分厚い紙が歪み痛々しくこすれる音に、源次郎が笑う。
「拓也くん、このおつかいは、まだ目的のデパートにすら辿りついてないよ」
むか、拓也の中の闘争心が燃えあがった。
「ドチキショウ、やったろうじゃんか……!見てろよ!満喫してやるよ、学園ライフ!」
そう力強くパンフレットを掲げる拓也は、まさに大人の手の内で大きく転がされているのだが、意気込む拓也は勿論、それに拍手する静江や義息子を転がした源次郎を含めて、車内にそれを指摘する者はいなかった。
確か今年で八十いくつかになると、正月に挨拶した頃に言っていた。その頃には病魔に蝕まれ、丸い方だった体は骨をなぞるように細くなり、腕にはピッピと音に合わせるかのように体へ単調にモルヒネを流す点滴が、深く痛々しく刺さっていた。
優しさを絵に描いたような女性で、穏やかな声とゆったりとした物腰で、まだ慣れない拓也を指導してくれた。孫娘が拓也より一つ下なのだそうだ。だから余計に構っちゃうの、そう微笑んでいたのは、まだ丸い顔立ちの頃だった。しっかりしていて、とても真面目で素直ないい子なのよ、いつか会ったらよろしくね。そうマサも同じ職場で働いていたマサの夫である俊三も言っていた。俊三は出会って直ぐに心不全で亡くなってしまったので記憶は薄いが、二人は仲睦まじい夫婦であった。
その噂の孫娘を、今回の葬儀で初めて見た。当時高校一年生だった拓也の一つ下と言う事は、彼女は中学を卒業したばかりで、三月中だった当時、まだ法律では身分は中学生の筈だ。四月から高校生になるべく準備を進める曖昧な時期、そんなあどけない時期の筈なのに、彼女はなんと喪主を務めていたのである。
思わず式場内を見まわし、冗談じゃないのかと他の身内を探してしまったが、そんな拓也をよそに孫娘ははきはきと喪主の挨拶を務めた。
葬儀のあれそれの殆どを葬儀会社が進めてくれていたとしても、中学生が喪主だなんて有り得ないことだ。長いのであろう黒髪をきっちりと結い上げてお団子にし、皺一つない紺のセーラー服に身を包み、凛と立つ姿は確かに利発そうである。
銀色のフレームの向こうに見える狐を思わせる、目尻のつり上がった瞳も真っ直ぐと前を見ていて、参列者にゆったりと腰を折る姿も完璧で、まるで大人のようだ。しかし細い棒のような手足や、桃を含んだ白い肌のきめ細やかさ、丸みを帯びた頬が隠せない幼さを主張している。
拓也は一人で来たわけではない。通夜は行けなかったが、養父である柴田源次郎と共に告別式から参列した。源次郎はマサと拓也の上司の一人であるからか、その少女のことを知っていた。それが、鈴木光子であった。
マサには三人の孫がいて、光子は長女であり二番目の孫なのだそうだ。
「え、じゃあマサさんのこどもか、あの子の兄だかが喪主をするべきなんじゃないの?なんで俺の一個下の子が、喪主してんのさ」
故人に最後の別れを言う為、玉串奉奠の列に並んでいた。マサは神社を管理し、そして神道だった。神道の葬式はお香を火種に振りかける焼香でなく、玉串と呼ばれる小枝を祭壇に備える玉串奉奠となる。神道の葬儀は神葬祭と言うのだと、拓也は源次郎に教わっていた。
神官の読みあげる詞を聴き列に並びながら、ひそひそと声を潜めつつ横にいる源次郎に尋ねると、彼は三十代後半の若白髪混じる頭をぼりぼりとかいて、んん、と一瞬言葉を濁した。
列はマサの人望のぶん、なかなかの長さだった。葬式によっては棺に皆で花を添えることもあるそうだが、もしもこの長さでそれぞれが花を持っていたら、棺の蓋は閉まりきらないだろう。現に祭壇では、どんどん玉串が積み上がっている。
言葉を濁した源次郎の表情も、困ったような悲しむような、曖昧な笑みだった。
「まあ、色々事情があるよね、何処のお宅にも。僕らみたいに」
僕らみたいに。若すぎる養父はさらりと言い、拓也もさらりとそれを聞いた。
「中学生が喪主をする、カテイノジジョウ、ってなんだよ」
「例えば、鈴木夫妻の愛する一人娘は彼らの持つ力が一切無くて、かつ、それを持っていた両親の葬儀を無視するほど嫌悪、拒絶し、絶縁していた」
とか、と濁してはいるが、それは真実ではないだろうか?彼らの持つ力とはすなわち、超自然現象に様々な意味で触れあえる力だからだ。超自然生活安全課のことは非公然であり家族にも隠すが、マサも俊三も持っていれば普段の生活の中で関わる事は多くなる。
例えば、源次郎がくるくると指先を空中で回しながら続ける。
「光子ちゃんは、その力を色濃く受け継いでいて……おっと」
話している途中で、順番が回って来た。近くで見ると光子は本当に小柄で、長身なほうである拓也や源次郎と並ぶと、ますます小さく見える。細い体や白い肌も相まって儚げに映るが、先述した通り、彼女は背筋を伸ばししっかりと足をそろえて立っていて、参列者である拓也達にしっかりと腰を折り挨拶をする姿は、とても力強い。
中を見ても?そう聞く前にもう顔の部分の扉は開いていた。そこから見えるマサの顔は本当に痩せてしまっていて、そして冷やかな印象ながら何処か温かく静かだった。拓也は微笑むマサを思い出して、ツンと鼻の奥が熱くなるのを感じ目を逸らした。
源次郎が一礼し、玉串を受け取って右回りにくるりと回転させ、根元を祭壇に向けて供えた。まだ元気だった頃の写真を使ったらしい遺影を見上げ、深く二礼して二度手を打ちつける振りをして列からどいた。どうやらそれで終わりらしい。そうやってするのか、とまじまじと見ていた拓也も、ぎこちなくはあるが何とか静かに玉串を祭壇に置いた。
そのまま離れるかと思えば、源次郎はきつと立つ光子に微笑んだ。
「光子ちゃん、僕の事覚えてる?何度か家にマサさんを送ったんだけど」
「覚えています。お久しぶりです、柴田さん。本日はありがとうございます」
「とても穏やかな顔をしているね……光子ちゃんは大丈夫だと、信じているからだね」
ゆら、と一度も揺らがなかった光子の瞳の色が揺らめいた。
「……そうだと、いいんですけれど」
落ち着きはらっていた声も、小さく掠れた。拓也は、ますます鼻の奥が熱くなるのを感じ俯く。本当に、マサは優しくて常に笑顔を浮かべた女性であった。穏やかな顔をしてはいるが、当然ながら今のマサには生きているぬくもりが一切感じられず、白と黒で閉められた空間はより一層その喪失感をあおる。
正直に言えば、死を知った時にそれなりに泣いている拓也は、年頃の男子として大勢の前で泣くことは避けたかった。順番、つっかえてるよ、そう何とか声に出して源次郎の腕を引っ張り、悲しみの元から離れることに成功した。抑えきれなかった涙をぐいと誤魔化すようにぬぐうのを、源次郎は見て見ぬふりをした。
葬儀にも来ないほど、拒絶したマサの一人娘。その二番目のこどもである光子は、色濃くマサ達の能力が受け継がれているのだと言う。見えざるものが見えて、触れられない筈のものに触れられる。人々が空に鳥や虫が飛び交い、傍らを見れば猫や犬が遊んでいるのと同じように、幽霊や妖怪を当然の世界の姿として見るのである。
自分が見えない触れられない何かを見える触れられる人に出会った時、果たして人はどんな態度を取るのか。マサの娘は、完全なる拒絶を取ったのだ。
「……あの子も、拒絶されたのか」
親もこどもも拒絶出来るものなのか、拓也にはわからない。ましてや拓也の両親は、幼い日に死んでしまったし、やはり見えるかつ、触れる人であった。
「……うん。光子ちゃんは確かに孫だけど、二人の養子になってるしね。実質、後継ぎだよ」
会話を戻して、鼻の奥の熱を逃がした。何度か鼻をすすって、こみ上げるものを押さえていく。すんすんすん、落ち着いてくる頭が単語をゆっくりと拾う。拒絶、養子、後継ぎ。
後継ぎねえ……後継ぎ?拓也は首を傾げる。後を継ぐ?それはマサの役目を継ぐということだ。マサの仕事は確かに警察で、迷える霊魂を案内したり妖怪の世話をしたり色々であるが、主な仕事は自宅近くの神社を管理することと、あるものの封印を任されていた。
千年前に突然現れ、その周辺の人々を喰い散らかした鬼を封印したという手鏡、そしてその人喰い鬼が身に着けていた、アメシストの腕輪を守る事であった。
「まさか、人喰い鬼の手鏡を守るの、これからあの子がやんの?」
「勿論」
まさかと聞いてみれば、けろりとした返答だった。拓也からどうしてもこみ上げる、悲しみや泣きそうになる気恥かしさなどが一気に吹き飛んだ。勿論?勿論と言ったかこの養父は!
「何考えてんだよ!光子だっけ?俺の一つ下だろ!そうじゃなくても、いきなりは無理だろうが!あの手鏡に何が封じ込められてるか、父さんは俺よりわかってんだろ!千年前に突然現れて、人を喰い散らかした人喰い鬼だぞ!」
興奮しその言葉にはビックリマークがついてはいるが、実際はその殆どの声を潜めている。あまりの剣幕に近くにいた人が一瞬振り向いたが、直ぐに自分のする事へ戻って行った。
源次郎は相変わらずのけろり顔だ。あははと笑いながら、ぽんぽんと拓也の背中を叩く。
「でも、署長の意向だし、マサさんが大丈夫ですって言ってたんだから大丈夫だよ。アメシストの腕輪は呪いの品じゃなくて、ただのサポートアイテムだし」
「いやいやいや!もっとよく考えろよ、柴田警視殿よー!絶対何か起こるだろ!」
うわーと頭を抱えてしゃがみこむ。突然拓也がしゃがみこんだ事で、今まで集まって無かった視線がついに一気に集まって来た。
しかし慌てることなく、源次郎は少々色素の薄い拓也の頭を撫でた。
「大丈夫だよ、柴田拓也巡査。その頃には君も研修が終わって巡査部長になってるだろうし、そうすると年の近い君が彼女を指導することになるし、それが君の初任務になると思う。僕は君なら安心だと、確信しているんだよ。まあ何とかなるって」
「何とかなってねーじゃん!結局問題になってんじゃねえかぁあ!」
拓也はがばりと起き上がり、はっとする。それは思考でなく、きちんと喉から音として出ている声だ。自分は今霊体でなく、ちゃんと温かい肉体に戻ってきている。
見渡せば車の中で、叫びながら飛び起きた自分の顔を源次郎が運転席から覗き込み、静江が涙目でこちらを見ていた。
「おお、起きた。よかったね、静江ちゃん」
「よかったあ!起きたぁあ!」
時間差で拓也の額から濡れたハンカチが、くしゃっと膝に落ちる。車の外はすっかり夜になっていて、自分が最低でも一時間は気絶していた事が分かった。何もかもが突然のことでぽかんとし、きょろりと外や車内を見まわして源次郎を見る。
「……何で父さんがいるの」
「そりゃ幽体離脱した愚息が突然掻き消えて、慌てて車に戻れば丁度肉体の呼吸が戻っていたけれど、揺さぶっても起きない、だなんて部下から電話が入っちゃあ、保護者であり上司である僕が駆け付けることになるよねえ?」
……成程。まだはっきりとしない額を押さえ、拓也は俯いた。ほんっと心配しました!静江がシートベルトを外し、後部座席に飛んできそうな勢いで叫ぶ。そこでやっと車が動いている事に気付いた。帰路についている。
「何とも無い?大丈夫?」
景色からは心癒す緑はなりを潜め、コンクリートやアスファルトなどの建築物が目立ち、ぎとぎとしたネオンが車のライトより眩しく通り過ぎる。ふらつく頭には、少しきつい光だ。ううう、拓也はもう一度唸り腹部を押さえ、低く答えた。
「……何か気持ち悪ィ、胃が重い」
源次郎が声をあげて笑う。
「幽体離脱している時に攻撃されたからだね。内臓がびっくりしてるんだよ」
「攻撃……?ああ……」
森の住人に一斉に叫ばれた、アレ、である。あの森では一番手っ取り早い攻撃だろうが、あんな攻撃は聞いたことも見たことも無く、ちっとも予測出来なかった。腹部を抑えつつ座席に沈み、しかし何となくかっこ悪いので予測出来なかったことは口に出さない。
口には出さないが、きっとこのロマンスグレーは、そんな拓也の心情をお見通しなのだろう。体を起こし座席にきちんと座ってシートベルトを締めると、前を見て安全運転している筈の源次郎がさらりと、光子ちゃんどうだった?と尋ねてきた。
腹部を押さえつつ、ふうと息をつく。もう胃が少々張っているくらいで、眩暈は消えた。
「髪、おかっぱになってた。あと今日のご飯は魚だね。エコバッグの隙間からちらっと見えた」
「ちゃんと料理して生活してるんだ、本当に偉い子だなあ。で、人喰い鬼の手鏡のことは?」
うぐ。それには静江も口ごもる。先程の源次郎の説明を聞く限り、静江は拓也の姿が突然掻き消えたパニックで、そのまま走って車に戻ったに違いない。もや程度にしか見えて無かったのに、よくぞその消える瞬間を逃さなかったものだ。それは静江は自分の注意力を褒めていいし、だからこそ超自然生活安全課に引き抜かれたのだと胸を張っていい。
黙り込む二人の答えに、源次郎は溜息をこぼした。重いものではなく、しょうがないよねえといつものようにのほほんとしたものである。
赤信号で車が止まった時に、源次郎が静江に助手席の足元に置かせてもらっていたらしい、自分の鞄を取るように言う。くたくたの鞄を信号を気にしつつ探り、中から茶封筒と取り出すと鞄は開いた後部座席へ、茶封筒は拓也へと渡した。紐でくくって止めるタイプで、映画のパンフレットが入りそうな大きな茶封筒である。実際厚みはそれぐらいあって、しかし茶封筒には何も記されていない。
何これ。青信号になり、再びハンドルを握る源次郎に中身を見る前に訪ねる。
「この前さ、問題解いてもらったでしょ。時間制限ありで」
「ああー、あれ?葬式……じゃなくて、しんそうさい?の後、直ぐにいきなりテストされたんだけど、何だったのアレ。テストやったの、十日くらい前だっけ?」
「それの結果が中に入ってるんだよ。やー流石拓也くんだよ」
何処か胡散臭い褒め言葉に首をひねりつつ、見て御覧、と催促されゆっくりと紐をほどいた。どちらにしろ、中身を見ないと始まらない。紐は三回ほど回せばあっさりほどけて、それ以外封もされていないので、そのまま開いて中身を取り出す事が出来た。
入っていたのはやはりパンフレットだった。だが映画の物では無い。拓也は言葉を失った。
「……なあ、本当はわかってんじゃねえの?何処までわかってんの?つか……殴っていい?」
「大人が全部わかっていると思ってるのは、こどもだけだよ。大人は少し、予測が出来るだけ」
車の中でなければ、本当に思い切り殴っていたかもしれない。このごつごつとした指輪がはまった指で、容赦なく拓也は光子の通う高校のパンフレットを歪むほど握りしめた。それにはぺらりとした紙がクリップで止めてあり、編入学おめでとうございます、の文字が薄暗い車内でも充分見て取れた。
分厚い紙が歪み痛々しくこすれる音に、源次郎が笑う。
「拓也くん、このおつかいは、まだ目的のデパートにすら辿りついてないよ」
むか、拓也の中の闘争心が燃えあがった。
「ドチキショウ、やったろうじゃんか……!見てろよ!満喫してやるよ、学園ライフ!」
そう力強くパンフレットを掲げる拓也は、まさに大人の手の内で大きく転がされているのだが、意気込む拓也は勿論、それに拍手する静江や義息子を転がした源次郎を含めて、車内にそれを指摘する者はいなかった。
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