夢を叶えるべからず。

にゃー

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夢を叶えるべからず。

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歳を重ねたあとにできた夢はなおのこと、叶えてはならない。

 現代、現在に存在するほとんどの家庭は知ってか知らずか一寸のズレもなく崩壊している。認識していようがしていまいが崩壊している事実に変わりはない。これは社会の尽きない問題からも同様に伺える。
 この崩壊したモノを支えるにはそれに適したモノが必要になる。そのために各家庭に産まれた子たちは皆、その壊れたモノを支えるための物になろうとする。だが所詮はただの支え。支える、現状維持するため以外のモノにはなれない。
 そうして生きる道中で誰しも夢、将来なりたいモノを見つけることもある。もちろんないことだってあるが…。サッカー選手になりたい子、野球選手になりたい子、アニメーターになりたい子、役者になりたい子、医者や保育士になりたい子など種類は様々だろう。
 しかし、これらの"結果"はどこに起因しているんだろうか。「カッコいいから」「子どもが好きだから」「そのジャンルが好きだから」など主張するものは何かしらあるだろうがこれらも1つの結果に過ぎない。これら結果の原因となるものに必ずといっていいほど入っているのが壊れた親の存在がある。夢を見つけたところでその子はただの支える物であるのに変わりはない。自分という存在を確立して夢に向かって突っ走ったところで、どこまで行っても物として役目を全うする。
壊れた親の物から変わらない・・・。

 そう、これらはどれも勘違いなのだ。ひと夏の泡沫、淡い夏の夢とでも言えば綺麗に感じることかもしれないが、残念ながら現実はもっとサめている。

 ───壊れた親を壊れているにも関わらず、それでもなお支えようと生きる物、夢はどこまでいっても夢という点においては虚しさ、虚空とともに儚さや一抹の希望などを拾い上げる人もいるかもしれない…。───

 さて、ここで一つ面白い話をしよう。

 人は誰しも産まれた時点で既に持っている特性、役割がある。RPGでいうところのアタッカー、ディフェンダー、ヒーラー、ウィザード的なものだ。でも産まれてすぐに何ができようか。レベル1にすらなってないような、あらゆるものが即死攻撃として降りかかる状態で、ゲームさえ始められずになにができるというのだ。
 …と、いうことで人々は産まれるとその環境に適するように、足りないピースを埋めるように表面上を変化させる。そうしてある程度自立できるまでの日々を過ごす。そしてその時が来たら変化していた部分を戻し、産まれ持ったものを持ち、レベル1となって生きていく…これが規定ルートだ。
 …なんだが悲しいかな、人には産まれ持った使命を持ち続けるほど強いチカラを持っていない。早々に手放し、手放したこと、持っていたもの、持っていたという事実すらも忘れてしまうのだ。それゆえに本来の自分が抱くはずの夢、進むはずの道などつゆ知らず、他人の道に沿って、それが自分の道だと決めつけて歩いていく。
 ここに1人、そんなこんなでテンプレートのごとく道を誤ったヤツがいた。
 彼は現在カウンセラーを生業としている。23歳のようだ。中学、高校の間は地元の精神病院に通いつつ学校にも通うというある意味二足のわらじで過ごしていたらしく、この期間の出来事によってカウンセラーとして生きることを選んだという。
 彼の親は仕事で忙しく家を空けることも多かったようで、さらに彼には常にエリートであることを求めており、まさに我が子を物として扱うような親だった。そんな中でいわゆるスケープゴートとなるのは必然的で、"良い子"を演じ続けることである日限界が来ることも想像に難くないものだった。
 ・・・そしてある夏の日……それまでの日常が、当たり前が、将来への道が崩れ去ってしまった。
 クラスでの活躍も、交友関係も、プライドと思っていたものも何もかもが突如崩壊という形で具現化したのだ。
 彼はその現実に耐えられず、自我の崩壊へと進んでしまう。来る日も来る日も泣きわめき、紙やペンは散乱し、机や椅子は脚が折れている。それに加えて壁や床には殴打の跡だとはっきりわかるほど暴れた形跡。それを見兼ねた親は吐き捨てるように彼にこう言ったそうだ。「早く治せ」と。
 治すと言っても原因がその家にある以上他に手立てはないんだが、彼らにとって治すことは症状を出なくすることであり、要するに気にさわらなければ何でも良いということこそが治すことだというのが当たり前だったようだ。
 そういうこともあって、彼は近所の精神病院へ通うこととなる。そこではカウンセリング、ヒーリング、処方箋、場合によっては入院による治療など行っており、彼はカウンセリングと処方箋を受けることとなった。
 最初は死人のような風貌だった彼も、月に2回のカウンセリングとその都度貰うクスリによってみるみるうちに明るくなっていった。彼いわく、カウンセラーの女医がドストライクな顔とカラダつきだったようで、クスリによる気分の豹変にも幾分か誤魔化しが効いたようだ。
 余談だがそのカウンセラーとやらは重度のショタコンらしく、病んだ子にクスリを飲ませ、そしてカウンセリングでは"最強の癒し"も使いつつショタ患者を虜にしていくような悪魔的存在だったらしい。
 サキュバスとでも呼べばいいのだろうか。彼女はマッチポンプにより次々とくるショタ患者を食い物にする…文字通り食い物に、だ。検査入院と称して一晩入院させ、その一晩でショタ患者のすべてを優しく包み込む、もとい襲いかかることでショタ患者を皆手中におさめていたのだ。彼女いわくは何も知らないウブな初夜と自我の崩壊によって出来た仮初めのウブな受け応えが相まってより一層自分の色に染められるという悦び、いたいけなウインナーにむしゃぶりつけるという優越感及び背徳感がたまらないらしい。

 もしかしなくても頭がおかしいようだ。どうしますか?

 A老いぼれジジイと4Pさせる
 A'抹殺する
 A''拉致監禁する
 Bタライを頭上に落とす
✓C放置する
 D結婚を前提にお付き合いする
 E筆下ろししてもらう

 ちなみに彼は特にオイシかったみたいだ。
彼もまんざらでもない様子で、来年の"検査入院"をたのしみにしていた。学校では友だちがおらず、誰とも接点がないため病んだ人として振る舞っていたようだが、時折見せるテンションの最高潮により病人に加えてヤク中という噂があとを絶たなかったという。
 彼にも闇の片鱗がうかがえることは幾度となくあった。しかし、実際の彼はその闇と向き合えるほどの強さを持ち合わせることも持とうともしなかった。カウンセラーの癒し、それからクスリがあればそんなことをしなくてもいいという確信に近い思い込みがあったのだ。彼は取り憑かれたように、というか実際に取り憑かれ、沼にハマってハマったことにも気づかずその悪魔的手法に手を染めていく。
 これが彼が15歳、中学3年のときだ。両親はこのときすでに彼を見限っており、祖父母に至っては現実をまったく知らない、完全なお花畑状態で「元気になって良かった」と思っている。まったく…この親にしてこの子ありだ。家庭不和、家庭崩壊の全貌がより鮮明に、より明確化したのもちょうどこの頃だろうか。
 高校進学後、彼はより自分の意志を固める出来事と出会うことになる。彼と似た境遇の、似た要素を持つ「めんどくせぇ」ヤツらとの出会いだ。どれだけめんどくせぇかといえば、メッセージの既読無視はご法度、何でもお揃いじゃないといけない、絶対に掘り起こしてはならない家庭事情、突っ込んではいけない"そもそも論"、絶対遵守の傷のナメ合い、癒し・雰囲気・現状至上主義…キリがないのでこの辺にするが、要するに「メンヘラ」、「三大欲求並みに尽きない地雷」あたりに相当するヤツらだ。
 高校2年、進級と共にクラス替えが行われる。そこで同じクラスになったのがその「めんどくせぇ」人たちだ。1年の間はクラスが違ったこともあり関わりがあったわけではないが、どうやら彼は"クスリたち"のおかげで高校デビューを無事果たし、"普通"の高校生として高校生活を送っていたこともあって自然な流れで接点を持てたらしい。
 彼はこの頃にちょうど心理学という名の支配学を勉強していたのでそれも新たに用いて彼らを"治して"あげようとしたようだ。
 相手はメンヘラ。ちょっと甘いことを囁やけばそれがウソだろうが簡単に転がる、癒しを何よりも求める、自分とどこか似た彼らを救ってあげようと、彼はその「めんどくせぇ」集団に飛び込んだ。…もちろん彼にその「めんどくせぇ」ヤツらを殺したい、人生を破壊してやりたいという心理があっただなんてことは誰も知らない。
 彼の手法はスバラシイほどの浸透性を持ち、瞬く間にメンヘラたちを手中に収めることに成功した。だがこれはまだ準備段階。ここからが彼の本領発揮だ。
 彼は次のような手法で救ってあげようとしたようだ。
一、カウンセリングの要領で相手からの信用を得て懐に忍び込む。
二、処方はできないので代わりに砂糖たっぷりの甘~いスイーツを食べ続けるように仕向け、勧める。彼は経験からか知識を得たのか、砂糖と精神薬が同じ症状を及ぼすと知っていたようだ。
三、彼氏彼女がいるならセックスを、いないならゲームやアニメ、漫画、AVなど時間を溶かすように虜となるようなものを同時に勧める。
四、これらを可能な限り続ける、続けさせる。
 そしてあたり前田のクラッカーとでも言えばいいのか、メンヘラたちもこれら手段により導き出される結果こそが治るものだと信じて疑わなかった。つまりは彼の腕により「めんどくせぇ」ヤツらはメンヘラを"治す"ことができたのだ。
 この出来事が彼をより後押しすることとなり、その後はカウンセラーなどの職業につながる精神医学やそれに類する国家資格取得などを主に取り扱う大学へ進学。在学中はことあるごとに彼お得意の話術で女を引っ掛け、毎夜毎夜遊び歩いていたようだがこれはまた別のお話。
 そして無事卒業後、晴れて"地元の精神病院"へ就職。
 両親は結果として病院勤務、医師として働くこととなった息子に対し、手首が吹き飛ばんばかりに手のひらをひねり返し、過去の"汚点"すべてに蓋をし、我が子が物として、ドールとしてまだ存在していることに安堵したようだ。
 彼自身も家庭不和が治ったと勘違いし、サキュバスのご飯として、そして新たにインキュバスとしてロリ患者を食い物にしていく…。

ある種の輪廻、ループ、終わりのない永久に続く人類の一片。

…とまあ、とあるカウンセラー(架空)の話を紹介したわけだが、見事なまでに産まれ持った使命をあっさり捨て去り自らの虚像による使命(笑)をまっとうしている。

少々極端な話を出したが、彼にとってもこれは1つの夢であって、さらにドツボにはまる原因の1つでもある。因果を見極めろって言えば片付く話だが、それもそれでツマラナイのでいくつか問題点を挙げると
・基本、原理原則、法則の無知
・家庭の問題を家庭外で解決したことにしている
・対症療法と根本療法(西洋医学と東洋医学の使いどころの間違い)
・治るの定義のズレ
・因果、夢、「自分」の意味の履き違え
・クスリ、精神医学など薬害問題
・何でもかんでも真に受けている
・問題の原因となる闇を無視し、他人の人生、ひいては地球そのものにも害をなしている
・今だけ良ければ、表面化しなけば、蓋さえできればあとはどうでもいい、社会がどうなろうが、自分の子どもが死のうが、地球が死のうがどうでもいいというかとっとと殺したいということ、さらに加えてそれに対する自覚がまったくないこと

などいろいろあるが後天的に染みつけた虚空の虚像により様々なことをやらかし、各方面に害をなすのはどの結果に辿り着こうがその原因が後天的かつ自己保身なものであるなら変わりはない。
今の時代に医師になって保険診療医、お国崇拝の病院で働こうという人に如何に殺人鬼が多いことか。数多くの薬害によって多くの人生を破壊し、殺人を犯していることをみれば顕著にわかるだろう。

───無想転生により未来を創る夢か、破壊の限りを尽くし滅びへ導く夢か───

汝、夢を追うならば
物ではなく者として
無から有を生み出し
夢を叶えるならば
破壊的奉仕精神、罪悪感、体裁、あらゆる言い訳とたたかい、そして受け入れ
産まれ持った要素を種とし美麗なる花を咲かすべし。

さすれば汝が進むべき本来の道へと導かれん。

※この話はフィクションです。実在のものとは一切合切関係ありません。
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