わたしの愛した世界

伏織

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六章

6-8

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靴のままベッドに寝そべり、クロスは目を閉じた。「寝る子は育つって言うし、寝るか」との言葉に、少し笑いが込み上げてきた。
平均的に、十八歳あたりで身体が成長しなくなる男性が多いと聞いた事がある。となると、今十八歳であるクロスはこれ以上成長する可能性は、........まぁ高くはないわけだ。私より少し高い身長の彼が、これから先成長することを心から祈っていよう。


「なんか今、失礼なこと考えたでしょ」

「うん、チビだなぁって」


正直に答えると、彼はムッとした顔で起き上がった。マントを脱ぐと、適当に丸めてこちらに投げつけてきた。「ごめんて」それをキャッチして、入り口付近のコート掛けに引っ掛けた。
人生のほとんどを、あの山の上で引きこもって過ごしてきたのだ。あまり日が当たる場所でもない。人より小柄なのは、そういう環境もあるのだろう。


「僕さぁ、たまに考えるんだよね」

「なにを」

「両親のこと。どんな人だったのかなって。
あと、もし僕が魔法使いじゃなくて、普通の子供として生まれてたら、どんな人生を送ってたかなって」


もし、彼が両親に殺されそうにならず、師匠であるモルドールとも出会わなかったら、もちろん私とも会うことは無かった。もしかすると、モルドールが“ねじ”を作り出すことも無かった可能性もある。


「........普通に生まれてたほうが、私もお前も、この世界も幸せだったかもしれない」

「そんな気もする。僕のせいかな」

「お前のせいだ。お前が悪い」


「ま、いっか」あっけらかんとそう言うと、肩を竦めてちょっと舌を出しておどけて見せた。


「考えても仕方ないことだよね。それでも、時々考えちゃうのだけれども」

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