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それは、とある昼間の一風景。
「ああ、もう! アレは何を考えているのったら!」
その日、少女の一人がとてつもなく不機嫌だった。
整った美しい顔立ちは怒りに歪ませ、フィオルド魔法剣術学院本館内の廊下を、足音を大きく立て歩いている。そのやり場のない怒りをあいつの代わりにぶつけている。綺麗に磨き抜かれた廊下は、悲鳴を上げていた。
「まあまぁ、落ち着いて? リア 私は大丈夫だよ」
その少女の後を、困った表情をしたもう一人の少女がひょこひょこと追いかけいるのはーーーシャルル=ホーランドは前を歩く友人をなだめている。
シャルルはシルクのレースのような透明感があるミディアムの金髪と大きな赤緑色の瞳が特徴的で、清楚で柔和な気質がその容姿や立ち振る舞いや、雰囲気から癒しを感じられる。整った顔立ちはまるで女神のようなに可憐で、男子なら無性に守ってあげたくなる。
「これが落ち着いていられるものですか!!私は大丈夫じゃあない!!」
怒っている少女は勢い良く振り返り、後を追いかけていた少女の手を掴み廊下の端による。
そこは、冷静なのだ。二人の少女のほかに周りには他の学生がおり、邪魔にならないように配慮している。
「シャルは他の学生が多くいる中でいきなり告白されて変に目立ったのよ、場所も考えないでまだ一回も話したことがないのに!!告白をするときはねぇ!! お互いの気持ちを確かめ合って、時間をかけて仲良くして夕日のキレない場所でーーー」
怒っていった少女ことーーーーマリア=エフモンドは自分がされてたい、告白のシチュエーションを語りだした。
マリアは漆のように黒髪のロングヘヤと、丸くやや吊り目の陽光の色の瞳が特徴的な、リアという少女と同じ年である。太陽の光を浴びていないような真っ白な肌に、顔はきめ細かく整っている容姿からプライドが高そうで、意志が強いように見える。内側は乙女チックでもある。今、語りを終えたマリアは少し息を上げているものの、さっきまでとは違い淑女のようなその立ち振る舞いは軽々と男は話しかけないだろう。
「リア、あの人も勇気をもって私に告白してくれたんだよ。たぶんね、緊張してたし不安でいっぱいだったかもしれない恐かったかも、あの人が真剣な気持ちで向き合っていたのわかったでしょう?だから、そんな人をわるく言っちゃだめだよ」
シャルルの言葉を聞いたマリアは反省し、さっきまでの勢いがなくなっていた。
「そうよね、ごめんなさい」
廊下の端で立ち止まっていた二人の少女は歩きを再開した。
二人の少女のその整っている顔を見て通り過ぎ行く男達は、みな感嘆の息を吐きつつ振り返っていた。
その男子に目を触れず、二人は歩るいていく。
「シャル、私たちのクラスはどこになるのかな?入学式が終わってからじゃないとクラスがわからないのはおかしいよね?」
「確かにそうだよね。でも伝統って言われたら反論もできないよ」
「シャルと同じクラスになれるといいね」
二人のたわいのない会話は入学式後に配られた紙の場所へ着くまで話し続けた。
==============
このフィオルド魔法剣術学院に入り学生になった今、魔法やドラゴンさまざまなファンタジーに憧れている人は多いだろう。
少なからず、僕は憧れている。家族からは何事にも関心が薄い子だと言われているが僕はそれをあえて表に出さないだけだ。
きっと僕は、この時の学院生活に期待し将来はどうなるのかを考えているだろう。それは次第に僕に大きく影響を与え、幸せなことや恐ろしいことが降り注いでくることだろう。
そしてもっとも恐ろしいことは、ふとした拍子に自分の生命よりも大事で大切な人がいなくなることだ。
==============
それは、とある早朝の一風景。
さわやかな風がふくなか、多くの学生たちがフィオルド魔法剣術学院に期待し、自分の実力はどこまで通用するのかわくわくしている者もいれば、中には緊張している者もいる中並木道に並ぶ綺麗な桜を歩いている。
「あの子はここに入れたのかな?」
そう、僕はあの日入学試験であの子を見た日から胸の高鳴りが止まないでいる。
その姿を見た瞬間、恋に落ちてしまった。一目惚れをした。
大きな赤緑色の瞳に、どこかの聖画に描かれている聖女のように美しく、いや彼女が聖女なのだろう。きめ細かい肌は誰も触れることが出来ないほど神聖で柔和な笑顔が僕の心を揺さいでくる。
そんなことを考えていると、後ろから衝撃が襲ってきた。
「痛っ! 何するんだよキース」
「一人立ち止まって、にやにやしているお前がいたからな友人として奇行を止めようとな」
「にやにやしてない」
キースの言葉を否定して、立ち止まっていた歩みを再開した。
「ノエルはまたあの子の事を考えていたのか?あれは、お前じゃ相手にしてもらえないぜ!!諦めとけって。無難に行こうぜ!」
「はっ! 貴族様は女は選び放題でいいご身分ですね!!それに顔もいいときた。友人止めるわ」
「早くしないと、遅れるぞ!!」
華麗にスルーされながら、キースに言われて歩く速さを上げた。
==============
「間に合ったみたいだな」
「そうだな、でも何度見てもすごいね!!」
カスティリオーネ王国。 その王国の南部、サーマルリー地方にあるヒィースと呼ばれる都市がある。
ヒィースの最大の特徴はフィオルド魔法剣術学院が設置されていることだ。このアトランティア大陸でも有数の学院都市だという一点に尽きるだろう。
魔法剣術学院の設立と共に生まれ、魔法剣術学院と共に発展した町、ヒィース。立ち並ぶ建物の作りは芸術的で趣深い町並みを醸し出している。その一方で、魔法道具や魔法に使う素材、さまざまな種類の武器などがある。フィオルド魔法剣術学院の莫大な需要を受けて他所との貿易も活発に行われており、人の出入りも活発であり、まさに発展し続けている町だ。
そんな町並みでも十分に堪能できるが、学院の建物は別格だ。
使われている素材も見た目で高価のものだとわかる。隅々まで掃除が行き届いているのか魔法や魔道具の効果なのかわからないが、ほこり一つもなく。派手過ぎない装飾はこの学院のイメージを守っており、誇り高く、己の能力を高めるには最高のモチベーションを保てるだろう。
「そろそろ、始まるらしいから席に座ろうぜ」
キースに促されながら、空いている二つの席がありそこに座る。
まもなくすると中央の台から歩いてくる女性。女性にしては長身だ。
周りが騒がしくなる。
「めっちゃくちゃ美人だな」「足長い」「耳が長い、エルフかな?」「決めたあの人と結婚したい。」
と目の前の女性の話題一色だ。
「静粛に!!」
女性から声が発せられ、騒いでた学生は途端に静かになり、意識を完全に傾けた。
「最初にここにいる者に言おう、入学おめでとう。このフィオルド魔法剣術学院は最高の学び舎にして、君たちの能力を最大限引き出せるところである。この何百、何千の有象無象の中から入学試験を突破した君たちを私は誇りに思う。このフィオルド魔法剣術学院から歴史に名を残すものが出ることを願っている。ーー私からの話は以上だ。」
声を拡声する魔道具を利用して、声は建物の隅々まで響いていた。
その言葉を聞いた学生たちは大歓声を上げて、生徒会長の話やもろもろの話を終えて、入学式は終わった。
「なぁー、すごかったよな。ワクワクしてきた!!」
興奮が収まらないキースが話しかけてくる。
「たしかに、そうだね…」
「なんだよ、ノエル。腑に落ちない顔をしてなんか不満か?」
「いや、そんなことはなかったけど」
歯切れが悪く、なにか落ち込んでいるノエルを見てキースは何かを閃いてニヤニヤして、肩に手をまわした。
「まったく、まだ一目ぼれしたあの子を探しているのか」
「うっ、関係ないだろ」
図星を付かれて、悪態をついた。
「そんなこと、言っていいのか?ほらあそこを見てみろよ。」
「なんだよ、っっ!!」
キースに言われた方を見ていると、入学試験に目にしたあの子がいた。どこまでも可憐で、ずっと見ていたくなる。
鼓動が早くつく。
「固まってないで行って来たらどうだ?俺はここで待ってるからさ」
「あ、あぁ、ありがとう」
放心状態のノエルは我に戻って、あの子に歩み寄っていく。
周りには、入学式が終わった直後なので人はそれなりにおりなんとか人込みを避けながらあの子のいる方角に進んでいった。
「あ、あのっ!!」
上擦った声で、内心ドキドキしながらコンタクトをとる。
「私? どうしたのそんなに汗かいてっ!! すこし動かないでね」
汗をかいていたノエルに、新品のブレザーのポケットからハンカチを取り出し顔に近づけてきた。
「だ、だいじょうぶ!!汚いから」
「ダメだよ」
制止の言葉も聞いてもらえず、なすがままに拭いてもらうことになった。
「ところで、さっき話しかけてきたけど何かな?」
えっ、そうだ。近づいたのはいいけど何をするとか全く決めてなかった。あの子が僕のことみてるどうしよう、なにも思い浮かばない…自分の気持ちを伝える?でも、さすがに
「おーい おーい」
動かないことに、しびれを切らしたあの子は声をかけながら肩を軽くたたいてきた。
「うわっ! えーと 一目見たときから好きでした。付き合ってください」
まわりにいた学生はざわめき始めた。
「今のって、告白だよね?」「一目惚れらしいよ!!」「あの女の子めちゃかわいい!!」大きな声で言ってしまい少し離れた場所でも、聞こえてしまったらしい。
「えっ!? 気持ちは嬉しいけど、ご、ごめんなさい」
顔を赤く染めながら、すこし高い声でお断りの言葉をもらった。
「シャル、こっちに行くわよ!」
「リ、リア!? ま、待って」
後ろにいた、黒髪ロングの子が僕を睨みながらあの子の腕を引っ張りながら遠ざかっていく。ノエルは自分がしたことに理解が追いつかず、ただ、あの子の背中を眺めていると、肩に衝撃が来た。
「まぁ なんだ、まさか告白するとは思はなかった。昼奢るから元気だそうぜ! な?」
自分が送り出して、まさかの展開になってしまいいつもより優しく励ましてくれるキース。
「あ、う、うん.....そうだね」
「失恋したけど、花の学園生活は始まったばかりだぜ!かわいい子はたくさんいるはずだから」
「ううん でも諦めない.....」
「そうか、がんばれよ」
==============
それから、告白から1週間がたった。
わかった事は、あの子はシャルル=ホーランドと言う名前で貴族の名家だ。キースからの話格が高い貴族らしく、まず平民が付き合えることは絶対にないと言われた。だがそれでも、例外がある。国から武勲をもらうことだ。簡単に言えば、地位を高めること。国を脅かす魔物の討伐やアーティストファクトの制作などほぼ不可能な事を達成しない限り、シャルルほどのお嬢様と格を同じにすることができない。
「まず、力をつけないと」
右手を胸の近くで握りこぶしをし、決意を改めて固めた。
「その域だ。剣術だった俺様が教えられるから一目惚れの子のハートを掴んで来い!」
「先生!! 剣術の稽古お願いします!!」
それから、剣術の稽古が始まった、それと並行で魔法の稽古もおろそかにせず練習をする。だが、稽古だけに気をとられているだけじゃあだめだ、シャルルと仲良くならなければいけない。シャルルの相応しい男になったところで、他の男がいましたじゃあ僕の努力が水の泡になってしまう。シャルルの見た目は男子なら二度見をしてしまうレベルの美少女だ。
クラスは別々だったが、他の男に負けないように積極的に話しかけに行った。学生の前で告白した僕を嫌な顔の一つもしないで応じてくれた顔は少し赤くなっているのがかわいい。さすがに恥ずかしいらしい。
春の綺麗な桜が咲いている場所で。
「僕と付き合ってください!!」
「ごめんなさい。」
シャルルは頭を下げ、お断りの返事をした。
「うっ、諦めないから」
夏の綺麗な海の夜景が見れる場所で。
「好きです!! 付き合ってください!!」
「ごめんなさい。ノエル君はいい人なのは知っているけど…」
申し訳なさそうに返事を返された。
「僕、君に見合う男になるから!」
秋の紅葉が綺麗な場所で。
「シャルルの事が大好きです!!」
「わ、わたし...も、いえ、ごめんなさい」
声をかけようとする前に走り去ってしまった。
「まだ、相応しくないのか.....」
冬のダイヤモンドダスト舞う綺麗な場所で。
「シャルル、魔神の眷族が復活したの聞いた?僕そこの討伐に志願したよ。そこで活躍して君に相応しい男になってくるよ」
「ダメだよ!! 死んじゃうかもしれないんだよ、ノエル君と会えなくなるなんて嫌だよ!!」
シャルルの瞳から大粒の涙が溢れてくる。泣いているシャルルをそっと抱きしめた。
「大丈夫、死なないから」
この討伐で活躍をしないといけない理由がある。シャルルと僕のお互いの気持ちは深いものになったのは理解をしている。おこがましいけど、シャルルは僕に好意を抱いているのがわかる。それだったらなぜ付き合えないのかそれは、簡単だ。僕がいまだにだだの平民だからだ。彼女が僕の気持ちを受け入れてもよく思わない人たちがいる、もし付き合ってもどこかしか妨害が来るのは目に見えている。それがわかっているシャルル。やさしい彼女はそれを良しとしないだろう。
だから、その障害を僕が打ち砕かないといけない。
==============
魔神の眷族の戦闘は熾烈を極めた。
次々に騎士団の屈強な戦士たちが薙ぎ払われていく。魔法士団も魔力が底を尽きようとしている。
魔神の眷族の名前はウァプラ。外見は、ライオンの胴体、ワシの顔と羽を持った巨大で恐ろしい姿をしていた。
ウァプラにダメージを与えられているが、決定的な一撃がない。
「キース! 1分っ、いや、30秒持ちこたえてくれ!!」
「まったく無茶言ってくれるぜ!」
キースはウァプラに突っ込んでいく。注意を引き付けている間に詠唱をしないといけない。
騎士団、魔法士団、志願兵の消耗が激しい。この一撃で決めないと。
その場で立ち止まり、手に剣を触れ、魔法の詠唱を唱える。
「《聖なる剣》×≪浄化の光≫
複合付加魔法ーー《滅する神具》」
この魔法は僕が創り出したオリジナルだ。
「キース、下がってろ!!」
莫大な魔力が大地を震わせた。
ウァプラに向かって、突進していく。迫りる攻撃を避けながら近づいていく。
破魔を滅するアスカロンを持ち、ウァプラの身体を真っ二つにした。
ウァプラは断末魔をあげて、消滅した。
右手のアスカロンを空に掲げ、大きく息を吸った。
「魔神の眷族を打ち取ったり!!!」
その瞬間、周りから大歓声が響いた。
周りには笑顔になっている者、泣いている者、仇を打てた者。あらゆる感情がそこにあった。
シャルル、これで君に相応しい男になれたかな。
===============
無事に魔神の眷族の討伐が終わり、志願兵はこのまま王国に行くか自分の帰りたい場所に戻る選択肢を与えられた。
ノエルはもちろん学院に戻ることを選択した。
だが、一週間後には王国に来るように言われたそれは王国から恩賞をもらうためだ。騎士団の人に言われたが結果的に僕の魔法で魔神の眷族を倒したのでそれなりの報酬や武勲をもらえるらしい。
「さすがに、死んだと思ったぜ。ノエルの魔法はいつ見てもすごいなウァプラを真っ二つだぞ!!」
「キースが剣術を教えてくれたからだよ。」
「おっ! 学院が見えてきたぞ。それと、客が来てるぞ」
「客??」
フィオルド魔法剣術学院のあるヒュースの町から少し距離があったがキースに言われた客がわかった。
見間違えるわけがない僕はあの子のために努力をして相応しい男になると決意したんだ。
いつの間にか、ノエルは走っていた。
今すぐ君の顔を近くで見たいその一心で向かっていった。
「シャルル!!」
愛しの人物の名前を叫びながら距離を縮まっていく。100メートル、50メートル、手の届くところまで。
「魔神の眷族をたおしっ うわっ!!」
シャルルがノエルの言葉を遮り、力強く抱きしめてきた。
「ばかっ! ばかっ! 本当に心配したんだよ、もうノエル君の顔が見れないと思ったんだよ!」
涙を流している、自分がここに居ると言わんばかりにシャルルを抱きしめ返した。
シャルルは一瞬身体が震えたが、すぐに身を任せてきた。
「どうしたら許してくれる?」
「許さない!」
「許してくれないの?」
「許さないもん!」
断固として意志は変えないらしい。
僕はシャルルの耳元に顔を近づけて、言葉を言う。
囁くように。
「シャルル 愛してる。」
「ずるいよ」
「君に相応しい男になれたかな?」
「うん! 私にはもったいないくらいに」
こうして僕はシャルルと付き合うことが出来た。
「ああ、もう! アレは何を考えているのったら!」
その日、少女の一人がとてつもなく不機嫌だった。
整った美しい顔立ちは怒りに歪ませ、フィオルド魔法剣術学院本館内の廊下を、足音を大きく立て歩いている。そのやり場のない怒りをあいつの代わりにぶつけている。綺麗に磨き抜かれた廊下は、悲鳴を上げていた。
「まあまぁ、落ち着いて? リア 私は大丈夫だよ」
その少女の後を、困った表情をしたもう一人の少女がひょこひょこと追いかけいるのはーーーシャルル=ホーランドは前を歩く友人をなだめている。
シャルルはシルクのレースのような透明感があるミディアムの金髪と大きな赤緑色の瞳が特徴的で、清楚で柔和な気質がその容姿や立ち振る舞いや、雰囲気から癒しを感じられる。整った顔立ちはまるで女神のようなに可憐で、男子なら無性に守ってあげたくなる。
「これが落ち着いていられるものですか!!私は大丈夫じゃあない!!」
怒っている少女は勢い良く振り返り、後を追いかけていた少女の手を掴み廊下の端による。
そこは、冷静なのだ。二人の少女のほかに周りには他の学生がおり、邪魔にならないように配慮している。
「シャルは他の学生が多くいる中でいきなり告白されて変に目立ったのよ、場所も考えないでまだ一回も話したことがないのに!!告白をするときはねぇ!! お互いの気持ちを確かめ合って、時間をかけて仲良くして夕日のキレない場所でーーー」
怒っていった少女ことーーーーマリア=エフモンドは自分がされてたい、告白のシチュエーションを語りだした。
マリアは漆のように黒髪のロングヘヤと、丸くやや吊り目の陽光の色の瞳が特徴的な、リアという少女と同じ年である。太陽の光を浴びていないような真っ白な肌に、顔はきめ細かく整っている容姿からプライドが高そうで、意志が強いように見える。内側は乙女チックでもある。今、語りを終えたマリアは少し息を上げているものの、さっきまでとは違い淑女のようなその立ち振る舞いは軽々と男は話しかけないだろう。
「リア、あの人も勇気をもって私に告白してくれたんだよ。たぶんね、緊張してたし不安でいっぱいだったかもしれない恐かったかも、あの人が真剣な気持ちで向き合っていたのわかったでしょう?だから、そんな人をわるく言っちゃだめだよ」
シャルルの言葉を聞いたマリアは反省し、さっきまでの勢いがなくなっていた。
「そうよね、ごめんなさい」
廊下の端で立ち止まっていた二人の少女は歩きを再開した。
二人の少女のその整っている顔を見て通り過ぎ行く男達は、みな感嘆の息を吐きつつ振り返っていた。
その男子に目を触れず、二人は歩るいていく。
「シャル、私たちのクラスはどこになるのかな?入学式が終わってからじゃないとクラスがわからないのはおかしいよね?」
「確かにそうだよね。でも伝統って言われたら反論もできないよ」
「シャルと同じクラスになれるといいね」
二人のたわいのない会話は入学式後に配られた紙の場所へ着くまで話し続けた。
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このフィオルド魔法剣術学院に入り学生になった今、魔法やドラゴンさまざまなファンタジーに憧れている人は多いだろう。
少なからず、僕は憧れている。家族からは何事にも関心が薄い子だと言われているが僕はそれをあえて表に出さないだけだ。
きっと僕は、この時の学院生活に期待し将来はどうなるのかを考えているだろう。それは次第に僕に大きく影響を与え、幸せなことや恐ろしいことが降り注いでくることだろう。
そしてもっとも恐ろしいことは、ふとした拍子に自分の生命よりも大事で大切な人がいなくなることだ。
==============
それは、とある早朝の一風景。
さわやかな風がふくなか、多くの学生たちがフィオルド魔法剣術学院に期待し、自分の実力はどこまで通用するのかわくわくしている者もいれば、中には緊張している者もいる中並木道に並ぶ綺麗な桜を歩いている。
「あの子はここに入れたのかな?」
そう、僕はあの日入学試験であの子を見た日から胸の高鳴りが止まないでいる。
その姿を見た瞬間、恋に落ちてしまった。一目惚れをした。
大きな赤緑色の瞳に、どこかの聖画に描かれている聖女のように美しく、いや彼女が聖女なのだろう。きめ細かい肌は誰も触れることが出来ないほど神聖で柔和な笑顔が僕の心を揺さいでくる。
そんなことを考えていると、後ろから衝撃が襲ってきた。
「痛っ! 何するんだよキース」
「一人立ち止まって、にやにやしているお前がいたからな友人として奇行を止めようとな」
「にやにやしてない」
キースの言葉を否定して、立ち止まっていた歩みを再開した。
「ノエルはまたあの子の事を考えていたのか?あれは、お前じゃ相手にしてもらえないぜ!!諦めとけって。無難に行こうぜ!」
「はっ! 貴族様は女は選び放題でいいご身分ですね!!それに顔もいいときた。友人止めるわ」
「早くしないと、遅れるぞ!!」
華麗にスルーされながら、キースに言われて歩く速さを上げた。
==============
「間に合ったみたいだな」
「そうだな、でも何度見てもすごいね!!」
カスティリオーネ王国。 その王国の南部、サーマルリー地方にあるヒィースと呼ばれる都市がある。
ヒィースの最大の特徴はフィオルド魔法剣術学院が設置されていることだ。このアトランティア大陸でも有数の学院都市だという一点に尽きるだろう。
魔法剣術学院の設立と共に生まれ、魔法剣術学院と共に発展した町、ヒィース。立ち並ぶ建物の作りは芸術的で趣深い町並みを醸し出している。その一方で、魔法道具や魔法に使う素材、さまざまな種類の武器などがある。フィオルド魔法剣術学院の莫大な需要を受けて他所との貿易も活発に行われており、人の出入りも活発であり、まさに発展し続けている町だ。
そんな町並みでも十分に堪能できるが、学院の建物は別格だ。
使われている素材も見た目で高価のものだとわかる。隅々まで掃除が行き届いているのか魔法や魔道具の効果なのかわからないが、ほこり一つもなく。派手過ぎない装飾はこの学院のイメージを守っており、誇り高く、己の能力を高めるには最高のモチベーションを保てるだろう。
「そろそろ、始まるらしいから席に座ろうぜ」
キースに促されながら、空いている二つの席がありそこに座る。
まもなくすると中央の台から歩いてくる女性。女性にしては長身だ。
周りが騒がしくなる。
「めっちゃくちゃ美人だな」「足長い」「耳が長い、エルフかな?」「決めたあの人と結婚したい。」
と目の前の女性の話題一色だ。
「静粛に!!」
女性から声が発せられ、騒いでた学生は途端に静かになり、意識を完全に傾けた。
「最初にここにいる者に言おう、入学おめでとう。このフィオルド魔法剣術学院は最高の学び舎にして、君たちの能力を最大限引き出せるところである。この何百、何千の有象無象の中から入学試験を突破した君たちを私は誇りに思う。このフィオルド魔法剣術学院から歴史に名を残すものが出ることを願っている。ーー私からの話は以上だ。」
声を拡声する魔道具を利用して、声は建物の隅々まで響いていた。
その言葉を聞いた学生たちは大歓声を上げて、生徒会長の話やもろもろの話を終えて、入学式は終わった。
「なぁー、すごかったよな。ワクワクしてきた!!」
興奮が収まらないキースが話しかけてくる。
「たしかに、そうだね…」
「なんだよ、ノエル。腑に落ちない顔をしてなんか不満か?」
「いや、そんなことはなかったけど」
歯切れが悪く、なにか落ち込んでいるノエルを見てキースは何かを閃いてニヤニヤして、肩に手をまわした。
「まったく、まだ一目ぼれしたあの子を探しているのか」
「うっ、関係ないだろ」
図星を付かれて、悪態をついた。
「そんなこと、言っていいのか?ほらあそこを見てみろよ。」
「なんだよ、っっ!!」
キースに言われた方を見ていると、入学試験に目にしたあの子がいた。どこまでも可憐で、ずっと見ていたくなる。
鼓動が早くつく。
「固まってないで行って来たらどうだ?俺はここで待ってるからさ」
「あ、あぁ、ありがとう」
放心状態のノエルは我に戻って、あの子に歩み寄っていく。
周りには、入学式が終わった直後なので人はそれなりにおりなんとか人込みを避けながらあの子のいる方角に進んでいった。
「あ、あのっ!!」
上擦った声で、内心ドキドキしながらコンタクトをとる。
「私? どうしたのそんなに汗かいてっ!! すこし動かないでね」
汗をかいていたノエルに、新品のブレザーのポケットからハンカチを取り出し顔に近づけてきた。
「だ、だいじょうぶ!!汚いから」
「ダメだよ」
制止の言葉も聞いてもらえず、なすがままに拭いてもらうことになった。
「ところで、さっき話しかけてきたけど何かな?」
えっ、そうだ。近づいたのはいいけど何をするとか全く決めてなかった。あの子が僕のことみてるどうしよう、なにも思い浮かばない…自分の気持ちを伝える?でも、さすがに
「おーい おーい」
動かないことに、しびれを切らしたあの子は声をかけながら肩を軽くたたいてきた。
「うわっ! えーと 一目見たときから好きでした。付き合ってください」
まわりにいた学生はざわめき始めた。
「今のって、告白だよね?」「一目惚れらしいよ!!」「あの女の子めちゃかわいい!!」大きな声で言ってしまい少し離れた場所でも、聞こえてしまったらしい。
「えっ!? 気持ちは嬉しいけど、ご、ごめんなさい」
顔を赤く染めながら、すこし高い声でお断りの言葉をもらった。
「シャル、こっちに行くわよ!」
「リ、リア!? ま、待って」
後ろにいた、黒髪ロングの子が僕を睨みながらあの子の腕を引っ張りながら遠ざかっていく。ノエルは自分がしたことに理解が追いつかず、ただ、あの子の背中を眺めていると、肩に衝撃が来た。
「まぁ なんだ、まさか告白するとは思はなかった。昼奢るから元気だそうぜ! な?」
自分が送り出して、まさかの展開になってしまいいつもより優しく励ましてくれるキース。
「あ、う、うん.....そうだね」
「失恋したけど、花の学園生活は始まったばかりだぜ!かわいい子はたくさんいるはずだから」
「ううん でも諦めない.....」
「そうか、がんばれよ」
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それから、告白から1週間がたった。
わかった事は、あの子はシャルル=ホーランドと言う名前で貴族の名家だ。キースからの話格が高い貴族らしく、まず平民が付き合えることは絶対にないと言われた。だがそれでも、例外がある。国から武勲をもらうことだ。簡単に言えば、地位を高めること。国を脅かす魔物の討伐やアーティストファクトの制作などほぼ不可能な事を達成しない限り、シャルルほどのお嬢様と格を同じにすることができない。
「まず、力をつけないと」
右手を胸の近くで握りこぶしをし、決意を改めて固めた。
「その域だ。剣術だった俺様が教えられるから一目惚れの子のハートを掴んで来い!」
「先生!! 剣術の稽古お願いします!!」
それから、剣術の稽古が始まった、それと並行で魔法の稽古もおろそかにせず練習をする。だが、稽古だけに気をとられているだけじゃあだめだ、シャルルと仲良くならなければいけない。シャルルの相応しい男になったところで、他の男がいましたじゃあ僕の努力が水の泡になってしまう。シャルルの見た目は男子なら二度見をしてしまうレベルの美少女だ。
クラスは別々だったが、他の男に負けないように積極的に話しかけに行った。学生の前で告白した僕を嫌な顔の一つもしないで応じてくれた顔は少し赤くなっているのがかわいい。さすがに恥ずかしいらしい。
春の綺麗な桜が咲いている場所で。
「僕と付き合ってください!!」
「ごめんなさい。」
シャルルは頭を下げ、お断りの返事をした。
「うっ、諦めないから」
夏の綺麗な海の夜景が見れる場所で。
「好きです!! 付き合ってください!!」
「ごめんなさい。ノエル君はいい人なのは知っているけど…」
申し訳なさそうに返事を返された。
「僕、君に見合う男になるから!」
秋の紅葉が綺麗な場所で。
「シャルルの事が大好きです!!」
「わ、わたし...も、いえ、ごめんなさい」
声をかけようとする前に走り去ってしまった。
「まだ、相応しくないのか.....」
冬のダイヤモンドダスト舞う綺麗な場所で。
「シャルル、魔神の眷族が復活したの聞いた?僕そこの討伐に志願したよ。そこで活躍して君に相応しい男になってくるよ」
「ダメだよ!! 死んじゃうかもしれないんだよ、ノエル君と会えなくなるなんて嫌だよ!!」
シャルルの瞳から大粒の涙が溢れてくる。泣いているシャルルをそっと抱きしめた。
「大丈夫、死なないから」
この討伐で活躍をしないといけない理由がある。シャルルと僕のお互いの気持ちは深いものになったのは理解をしている。おこがましいけど、シャルルは僕に好意を抱いているのがわかる。それだったらなぜ付き合えないのかそれは、簡単だ。僕がいまだにだだの平民だからだ。彼女が僕の気持ちを受け入れてもよく思わない人たちがいる、もし付き合ってもどこかしか妨害が来るのは目に見えている。それがわかっているシャルル。やさしい彼女はそれを良しとしないだろう。
だから、その障害を僕が打ち砕かないといけない。
==============
魔神の眷族の戦闘は熾烈を極めた。
次々に騎士団の屈強な戦士たちが薙ぎ払われていく。魔法士団も魔力が底を尽きようとしている。
魔神の眷族の名前はウァプラ。外見は、ライオンの胴体、ワシの顔と羽を持った巨大で恐ろしい姿をしていた。
ウァプラにダメージを与えられているが、決定的な一撃がない。
「キース! 1分っ、いや、30秒持ちこたえてくれ!!」
「まったく無茶言ってくれるぜ!」
キースはウァプラに突っ込んでいく。注意を引き付けている間に詠唱をしないといけない。
騎士団、魔法士団、志願兵の消耗が激しい。この一撃で決めないと。
その場で立ち止まり、手に剣を触れ、魔法の詠唱を唱える。
「《聖なる剣》×≪浄化の光≫
複合付加魔法ーー《滅する神具》」
この魔法は僕が創り出したオリジナルだ。
「キース、下がってろ!!」
莫大な魔力が大地を震わせた。
ウァプラに向かって、突進していく。迫りる攻撃を避けながら近づいていく。
破魔を滅するアスカロンを持ち、ウァプラの身体を真っ二つにした。
ウァプラは断末魔をあげて、消滅した。
右手のアスカロンを空に掲げ、大きく息を吸った。
「魔神の眷族を打ち取ったり!!!」
その瞬間、周りから大歓声が響いた。
周りには笑顔になっている者、泣いている者、仇を打てた者。あらゆる感情がそこにあった。
シャルル、これで君に相応しい男になれたかな。
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無事に魔神の眷族の討伐が終わり、志願兵はこのまま王国に行くか自分の帰りたい場所に戻る選択肢を与えられた。
ノエルはもちろん学院に戻ることを選択した。
だが、一週間後には王国に来るように言われたそれは王国から恩賞をもらうためだ。騎士団の人に言われたが結果的に僕の魔法で魔神の眷族を倒したのでそれなりの報酬や武勲をもらえるらしい。
「さすがに、死んだと思ったぜ。ノエルの魔法はいつ見てもすごいなウァプラを真っ二つだぞ!!」
「キースが剣術を教えてくれたからだよ。」
「おっ! 学院が見えてきたぞ。それと、客が来てるぞ」
「客??」
フィオルド魔法剣術学院のあるヒュースの町から少し距離があったがキースに言われた客がわかった。
見間違えるわけがない僕はあの子のために努力をして相応しい男になると決意したんだ。
いつの間にか、ノエルは走っていた。
今すぐ君の顔を近くで見たいその一心で向かっていった。
「シャルル!!」
愛しの人物の名前を叫びながら距離を縮まっていく。100メートル、50メートル、手の届くところまで。
「魔神の眷族をたおしっ うわっ!!」
シャルルがノエルの言葉を遮り、力強く抱きしめてきた。
「ばかっ! ばかっ! 本当に心配したんだよ、もうノエル君の顔が見れないと思ったんだよ!」
涙を流している、自分がここに居ると言わんばかりにシャルルを抱きしめ返した。
シャルルは一瞬身体が震えたが、すぐに身を任せてきた。
「どうしたら許してくれる?」
「許さない!」
「許してくれないの?」
「許さないもん!」
断固として意志は変えないらしい。
僕はシャルルの耳元に顔を近づけて、言葉を言う。
囁くように。
「シャルル 愛してる。」
「ずるいよ」
「君に相応しい男になれたかな?」
「うん! 私にはもったいないくらいに」
こうして僕はシャルルと付き合うことが出来た。
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