ショートショートショート

天羽 尤

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  ……ポツリ、ポツリと地面を濡らす雨音が

  ……隣でなにかの話をする老夫婦のの声が

  ……隣で時間を待ちきれなくてぐずる子供とそれを嗜める声が

  目の前を通過していく電車の

  踏切のタイミングがズレた警笛

  衣服の擦れる音でさえも

  足音も

  ……いま、この暗闇で立てられる全ての音雑音

  洪水となって押し寄せてくる

  頭を支配する

  うるさイ

  うるサイ

  ダマレ

  お願イダ

  黙ってイテクレ

  ……ここで僕は致命的な欠陥忘れ物をしたということを悔やむ。

  お願いだから、と

  そう繰り返しつつ、ひとり目を閉じコートのフードを被って世界を拒絶した。

  そうすれば、隔絶させた世界に安堵し、ようやく戻ってこれた気がした

ーfin
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