勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

一時の時間

52.王都へ向けて

「さて、メンバーは揃ったかな」
「いつでも行けます」
「こっちも準備は大丈夫です」
「なら急いで行くとしますか」

　街の外へと向かい、外の世界へと走る。今日から3日間歩いて帰る事になると疲れるが、まあ仕方ないだろ。
　街を出て道を歩くのも久々に感じる。魔物とか出ずにそのまま王都に着けたら楽なんだけど。

「少し長旅になりそうだが大丈夫か？」
「え、ええ。これくらいは慣れないといけませんから」

　ベラニアは体力が無いように見える為に一応確認はしたが、大丈夫であろう。
　川までは少し距離はあるし、彼女に合わせながらのんびりと行くか。

　川までは到達し、一旦休憩とする。それにしても、この世界に川がいくつあるんだってぐらい多いな。まあ、その分こちらとして休憩しやすいからいいけど。

「外の世界はどうだ？」

　ベラニアに質問をしてみた。外の世界は色々な地形やそれに変わった魔物など色々と魅了される部分もあったりする。それに魅了して冒険者になった人もいるだろう。

「うーん、外に長旅するのはある意味久々なので……、楽しいですよ」
「それならいいのだけど」

　水分を取りながら休憩をしていく。個人的な質問も聞けた訳だし、もう少ししたら行くとするか。
　水筒を腰へとぶら下げて立ち上がろうとした時、

「主ーーー！私を置いていくなんてイヤですよーー」

　突如として後ろの草むらから昨日の少女が現れた。予想通り付いてきたよ。

「え？この子誰？」
「それは私も……名前すら聞いてないから」
「あ、そう言えば名乗ってませんでしたね。『スレイラ・ザ・マリス』です。これからよろしくです」

　2人の会話を聞いて少女は自分の名前を名乗る。名前はいいけど、どうやって付いてきたのだよ！

「てな訳でこの荷物は私が持ちますね」

　スレイラが下ろしていたリュックを背負った。

「では主が行くところ、わたしは一生ついていきます」

　もうこれは諦めるしか無いのだろう。正直言って彼女を連れて行くとなると、リーネに何言われるか分からないなこれ。
　そんな事を考えながらも止めをせずに出発する事になった。