勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

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近い遺跡へと続く西の都

110.人探し

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 聞いたポイントに来たのはいいけど、二階建て住宅や、道端で賑わいを見せる屋台などが数多く並んでいた。こんな所にそのチヨって人は住んでいるとなると、この人混みで聞かないといけない。

「流石に人多いな」
「市場みたいな所ですからね」

 確かに市場にも見える。ここは毎日のように賑やかなのだろうな。まあ、それくらいだと人に聞きやすいからこちらとしては楽だからいいけど。
 ひとまず、そこで店をだしている人に聞いてみるか。

「すみません。ここにチヨって人が住んでるって聞いたのですけど」
「チヨって、賢者チヨかい?」

 賢者チヨ、ここら辺の住人はそう呼ばれている。知っているなら、住んでる居場所も分かるかもしれない。

「すまんな兄さん。チヨ様は住んでるところ知らないんだよ」

 まあ、有名だと住居を知らされずに住むだろうな。俺自身も同じ状況になったら、同じく隠れて住もうと思う。
 多分ここに店を構えている人達に同じ事聞いても、結果は同じだろう。残る手は通行人に聞くしかないか。

「ありがとな。あとこの果物を頂きたいのだがー」


 聞いて何も買わずに去るのは俺のプライドが傷付く。買ったリンゴみたいな物に一口かじる。予想はしてたけど、リンゴの味だ。
 俺は昼にちょっと食い過ぎたけど、この3人はリンゴを何個も食べている。

「なんか、ここに来てから食べてばっかような」
「気のせいでしょ。食べたのは地域料理やら屋台の肉料理とかじゃないですか」
「それ以外にもジュースとかも飲みましたね」

 観光でこっち来たわけじゃないのだから、少しはこちらのお金事情にも注意してほしい。もう料理だけで数百銀貨は飛んでるんですけど、宿代とかお金足りてくるか心配になってくる。
 ちょっと多く買ってしまったけど、これでチヨが釣れたら1番楽なのだけどなあ。

「とりあえず聞き込みをしていくかー」
「美味しそうなリンゴですね…」

 聞き込みを始めようとした時、後ろから突如して声を掛けられる。振り返ると、フードを被った者が立っていた。

「あ、すみません。急に話しかけられるとそうなりますよね」

 声からすると女性かな、フードで顔は見えないけど、俺が持っているリンゴに反応して声をかけたか。この人がチヨだったら、俺としてはありがたい。

「すみません。朝から何も食べていなくて……、そのリンゴ一つくれませんか」
「どちらですか?」
「あぅ、すみません。そういえば名乗っていませんでしたね。僕の名は芳名千夜ほうめいちよと申します」

 食べ物でこんな簡単に探してた人が見つかる。まさかこうも簡単に釣れるとは思わなかった。
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