勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

戦争 終章

240.闇の力をまといし者

　邪悪なオーラ、これは前にどこかで感じた事がある。だが、これをどこで感じたかは思い出せない。
　一度戦闘したら、思い出すかもしれないが、実際は相手したくない。
　だが、戦闘せざるを得ない。あの雰囲気で俺を逃してくれないだろう。

「さあ、身を固めた方がよろしくてよ」
「生憎、俺自身もここで諦めるほどバカではないんでね」
「そう、なら、ここで死になさい」

　剣を回し、その後にこっちへとダッシュした。普通では追いつかない速度だが、今の俺は見える。
　真っ直ぐと伸ばしながら突っ込んでくる。
　扱いはレイピアみたいだ。俺はそれを聖剣で横へと流す。すると目の前に彼女が止まった。
　急激なスピードで即止まると、周りに突風が走る。

「この一撃を止めるとは」

　そう言いながら、レイピアのように前へと剣を何回も突いてくる。
　俺もそれに対応するかのように防いでいく。

「まだまだ、これからなんだから！」

　彼女は空中へとジャンプする。すると剣を地面へと何回も素振りするように突いた。
　俺は咄嗟に後ろへと下がる。すると、俺のいたところに小さな穴がいくつも出来た。
　風邪を弾丸のように飛ばす攻撃か。しかも、放った後はその反動で空中浮遊の時間を延ばす事も出来る。
　空中から何発もの風の弾丸が飛んで来る。
　俺はそれを避けながら、降りてくるのを待つ。だが、一向に降りてくる気配もなく、俺へと狙いを定めて放ってくる。

「最後の一つだが、使うか」

　俺は腰に装着されていた煙玉を落とし、その場で煙を発生させる。
　これで彼女も降りてこないといけない。

「さて、これをどのように動く」

　俺は一旦その場で止まり、彼女の動向を見た。


「そんな手で私を誘き出そうってわけですか・・・、良いでしょう。私はあなたに乗っかってやりましょう」

　彼女はそのまま倒れるように地面へと落下を始めた。そして、煙の中へと入っていった。

　降りてきた。彼女は多分煙の中でも俺を見つけてくるはずだ。
　勝負はそこだな。この煙の中には俺が仕掛けた罠がある。それにうまく引っかかってくれればこちらとしてやりやすい。
　すると目の前からこちらへと走ってくる人物がいた。

「見つけましたよ。ふふ」

　笑いながらこちらへと剣を真っ直ぐに突き刺してくる。
　俺はそれを横へと寄せた時、高速に斬りに掛かってきた。
　俺も聖剣で応戦し、弾き飛ばす。
　彼女が着地した瞬間に彼女の足元から爆発した。

「一体何が・・・」

　この煙の中にはチェーンの刃が大量に設置した。煙を出した後、その瞬間に左手をチェーンブレードを生成し、辺り一面に設置してある。
　その為、彼女はこの煙の中では全く動けないだろう。だからこそ、俺にとってこの地形は有利になった。

「そういう事ですか。周りにはこういうような仕掛けを用意してるんですね」

　彼女はその場で立っていた。爆破によるのか、服が一瞬焦げていた。
　うっすらと見える彼女の顔には余裕のある顔なのか、ニヤけていた。