勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

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最後の砦攻略

258.待っていた罠

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「急いで撤退しろ。後方の支援部隊に任せるのだ」

 声とともに兵士達が後方へと下がっていく。
 罠とは思っていたが、あんな子供騙しの罠だったとは思いもよらなかった。
 先へと行くと上空から4名、後方から2名、前方から3名、そして左右から2人ずつ一斉に襲って来た。
 その時俺は左手をチェーンブレードを生成し、更に自身のスピードを上げた。
 そしてチェーンにしながら、回転させる。それにより、左右前後から攻めていた兵士を斬る。
 そしてそれを上空へと飛ばし、数名一気斬った。
 これは罠ってより奇襲に近い。だけど、これだけじゃないはずだ。まだ、何かを隠している可能性がある。

「これだけで相手が終わるわけない・・・か」

 奇襲に失敗して今ではあまり感じないのだけど。
 すると、前方から重装備した兵士が現れる。鎧兵とでも言うのか、それとも重装兵と言うのか知らないが、ハルバードを持たせている。
 ただ、そのハルバードが少し変にも思えた。

「あんなにまだいたのか」

 数は十数名、全員が同じ装備を持っていた。
 そして撤退する兵士を援護しているのか、こちらへと走ってくる。

「撤退する兵士を援護する。我に続け!」

 掛け声とともにこちらへと向かってくる。
 そして俺の前まで来るとハルバードを地面へと叩きつけるかのように振り下ろしてくる。
 俺はそれを見た時、後ろへと下がる。

「引っかかったな!」

 地面へと当たった時、その前方へと爆風が走る。
 まさかとは思うが着火式の魔法石を使用しているか。
 魔法結晶とは違い、魔法石は無限に使える。着火式は地面、それか何かにぶつかる事によって発動する。
 主に装備はハンマーや鎖に繋がれた球体程度だろうが、あの相性は相当良い。
 俺は飛ばされながらも足で何とか着地しながら、更に後ろへと下がる。

「厄介な組み合わせを選んだものだ」

 チェーンブレードを解除した後、懐から魔法結晶を取り出す。
 重装兵はこちらへと構える。すると1人が左手にクロスボウを装着していたらしく、こちらへと撃ってくる。
 俺はそれを避け、左手に握っている魔法結晶を彼らの方へと投げる。
 重装兵は発射と同時に走り出していた。先程投げた水晶が地面へと砕け、魔法が発動する。

「ー!!」

 重装兵達は驚いていた。先程投げた水晶は氷の魔法が埋め込まれていた。
 地面が凍りつき、それが重装兵の足にも届いて一緒に凍ったのだ。

「う・・・動けない」
「氷の魔法か。小癪な」

 すると、中央付近にいた重装兵がハルバードを地面へと振り下ろし始めた。
 それを見た仲間がそれを止めに入る。

「や、やめー」

 既に遅く、彼は地面へとハルバードを当てた。
 その衝撃で前方にいた仲間も巻き添えで爆風が前方へと走る。
 地面の氷が溶け、振り下ろした重装兵は足を動かせた。だが、それで数名が巻き添えでその場で倒れた。
 もし、動かずにあれを真正面から受けてたら俺もあういう風になっていただろうな。
 あいつが勝手に仲間割れを起こしてくれたお陰でやりやすくなった。

「歩ける事を確認したらあいつに進行だ」

 そのような声が聞こえてくると、一斉にこちらへと来る。
 半分ほどしか生き残ってないのだろう。どれだけあれが強力かよく分かる。
 俺はすぐに長針を1本生成する。数は8人、半分程度と言ってもあの鎧を貫通するか、隙間に入れるしかない。
 俺は針を構えながら走った。まず1人目の攻撃をジャンプし避ける。
 そのまま後ろへと回り込んだ時、針を後ろに向け、そのまま後ろへと下り重装兵の首元に刺す。
 針を抜いた時、その重装兵は動かずに地面へと倒れた。
 近くにいた重装兵が走りながら振り下ろしてきた時、それを聖剣で防ぎながら、時計回りに回りながら持ち方そのままで首元へ針を刺す。
 動きは単純だ。このまま首元を狙えれば簡単に倒しやすい。
 刺した時、後ろから2名が俺の方へと向かってきている。更には前から1名だ。
 俺は針を抜き、それを前にいる重装兵へと投げる。
 首元へと当たり、そのまま地面へと倒れ込み、もがいていた。そして自然に動きがなくなり、ピクリとも動かなくなった。
 針を生成している時に後ろからハルバードを振り回してくる。
 俺は瞬間移動を使い、彼らの後ろへと回り込み、聖剣で斬る。
 防具は対物理魔法が掛けられている事は最初から分かっていた。だからこそ、聖剣の攻撃は貫通もしない。

「くそ、動きが読めない」

 攻撃を受けても、こちらへと振り向き、ハルバードを振り下ろしてくる。
 その瞬間に首元へと針を刺す。その衝撃でハルバードを落とした。
 それを空中で左手でキャッチし、そのまま回りながらその後ろにいる者へと投げる。
 刃が鎧へと当たり、爆風がその重装兵を襲う。
 そのまま吹っ飛ばされ、地面に強く打ちながら転がって行った。
 多分あれは気絶しただろうが、骨折などもしているだろう。
 それを見ていた残り4人は一斉にこちらへと向かってくる。

「まだ、やるってのか。なら、一気に仕留めるまで」

 俺はチェーンブレードを生成し、分離させる。それを左手で操りながら空中へと浮かす。
 その時だった。俺に向けて矢が飛んで来た。
 4人とは別の方向、先程ハルバードの爆風で飛ばされた重装兵だ。
 まだ、意識は残っていた。その為、チェーンを空中から動けない彼の首元へと落とした。彼は何かを求めるように延ばしていたが、その場で地面へとついた。
 だが、その間に4人は一斉にハルバードを振り下ろしていた。

「ちょっと油断したか」

 俺が口にした時、俺の目の前で爆風が俺を襲った。
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