勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

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魔王城への進行

295.破壊された壁

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「撤退は進んでいるか!」
「それが・・・通路が破壊されてました」
「・・・くそ」

 屋上では逃げ延びた兵士達がいた。人数は40人前後、散らばりながら待機していた。
 戦闘準備は整っており、木箱が改良に置かれていた。

「今は退路がないか・・・。だが、我々の出来る事をするだけだ」

 その時だった。壁の真下から突如と何かが通過した。彼らは見るのだった。
 小さな球体が空に無数に浮いていた。彼らは動くことなくそれを見るのだった。


「さあ、祭りよ!グラビティデストロイ!」

 リーネは上へと上げた腕を勢いよく、下へと振り下ろした。
 その時、何かが勢いよく当たった音が遠くから聞こえてきた。


「よ、避けろおおお」

 球体が障壁に引っかかった後、貫通しては端の方から次々と彼らに向けて球体が襲ってくる。逃げる時間もなく、屋上に鉄槌の雨が降り注いだ。
 攻撃が止んだ時、そこで動いている者はいなかった。


「成功ね。屋上にいられると多少厄介だったからねえ」
「今思ったが、あれくらいの攻撃、この兵器使わなくてもやれたんじゃあ」
「そんな面倒い事するわけないじゃない」

 面倒くさいって・・・、あれを途中から操る方が面倒くさく感じるんだが。
 まあ、この試運転も試したかったのかもしれないな。
 原理は風魔法で高速に飛ばしているだけである。弾丸に多少の爆破物を加えるだけで威力は非常に高くなる。
 だが、これは中距離専用のと、欠点として数人で支えないといけない。
 あまりにも反動がでかすぎる。何か支える物さえあれば結構楽に攻撃は出来るだろう。

「まあ、ともあれあと数発であの壁は破れるわ。撃ち続けるのよ」

 リーネの攻撃後、設置された砲弾が発射されていく。
 壁はあと少しで破れるか。それが確認した後、密かに進み、そして強襲を仕掛けるのだろう。
 まあ、破るのは後少しだろうし、今はこのままだろう。


「内側にもヒビが・・・」
「恐れるな。もし破られたとしても奴らは遠くにいる。こちらが先手を取るに越したことはない」

 ベレニアスは怯えている兵士に活気を入れる。
 次々といろんなところの壁へと当たっていく。既に何箇所かでヒビが入っていた。

「準備整いました」
「こちらもいつでも行けます」
「分かったわ。だけど、油断はしないでね。油断していると一瞬でこれだから」

 ベレニアスは兵士達に手で首を斬る動作を見せる。それを見た兵士達は息を飲み込む。
 ベレニアスが振り向いた時、壁の一部が瓦礫のように崩落していった。
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