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窓野枠

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第5章 ラブゲーム解禁

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「ご心配ありがとうございます。しかし、このゲームを始めていただければ、お分かりをいただけると思いますが、ゲームをする期間は個人差があります。ゴールを短期間で達成できる方もいらっしゃれば、数年を要する方もいらっしゃるのではないか、と考えて販売しております。それほど、このゲームは楽しく長時間の使用をしていただけると確信しております。また、短期間でゴールしても次のゴールを目指す方もいらっしゃると想定しております。何度もゴールを望むリピーター様の方から収益を得るという方式で運営してまいります。このゲームは個人によるいかなる展開、変化に対応することが可能なアプリです。無限ループゲームです。ゴールがあっても、さらなるゴールを目指せるゲームと高評価されると自負しております。それほど、面白いゲームを開発できたと自信を持っておすすめします」
「えぇー なんかこのゲームってすごくない? じゃ、みんな、死ぬまで使ってしまうってこと? そんなに楽しいゲームって、ハマったら怖くない?」
「そんな心配はございません。安心の見守りサポート機能付きでございます。楽しさをぜひ体験してみてくださいませ」
「見守りサポート?」
「ゲームに夢中で、いわゆるゲーム依存症にならないよう愛のサポートをする専任スタッフが常駐しております」
「へぇー そこもすごいわ。そーね、無料だし、試しにやってみてもいいわね、止めるのはいつでもできるんでしょ?」
「もちろんです。使わなければ、もう、それで止めたのと同じですから」
「分かったわ」
「それでは売買契約書にサインをお願いします」
 8ピッドはスマホを手にし、喜んで店を出ていく女性の後姿を見送りながらつぶやいた。
「この愛のドツボアプリにはまって止められるわけがないでしょ? 死ぬまでラブゲームにハマっていただき、最後はお客様の魂をわたしどもがいただくという契約になるのですよ、小山内慶子様。たいていの方は、死んだ後まで考えていませんからね、こちらも説明はしていません。でも、もう、あなたは私どもの全面的なサポートを受けてこれから愛にときめく楽しい人生を堪能してくださればいいんです。あなたはわたしにとっては、ただの外堀の一つに過ぎませんしね。たっぷり、利用させていただきますね」
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