村人Aですが、世界を救う予定はありませんでした。〜ポジティブすぎて魔王まで救ってしまいました〜

moa

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第3話 不思議な少女

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俺は、ふとさっき助けた男の子のことが気になり送り届けた避難先へ向かった。



「あっ!さっきのお兄ちゃんだー!」



男の子が元気に遊んでいた。



その隣でぺこりと俺にお辞儀をしている女の人。



……良かった、無事お母さんに会えたんだな。



安心して、戻ろうと振り返ると俺と同じくらいの歳であろう1人の女の子が立っていた。



「………ねぇ。」



見慣れない顔の女の子。



あれ、村にこんな子いたっけ?



「あなた、どうやって魔物を追い払ったの?」



「……え?いや、ただなんとかなるって言っただけなんだけど……」



「そんなわけないでしょ。」



いや………事実なんだが。



他に何もしてないし。



「魔物が勝手に帰っていったんだ。」



「……ふーん。まぁ、そういうことにしといてあげる。」



女の子は納得いかない表情。



すると、俺の肩からアレクが顔を出した。



「きゅ?」



女の子は驚いて目を丸くした。



「………かわいい。」



あ、笑った。



「その子……魔物?」



「たぶん。」



「たぶんって……」



女の子は呆れたようにため息をつくと、アレクをじっと見つめた。



「魔物って人に懐かないはずなんだけど。」



「そうなの?」



「そう。」



女の子はきっぱりと言い切った。



腕の中のアレクは、そんな会話なんか気にしていないのか満足そうに目を細めている。



「きゅ。」



「じゃあ魔物じゃないのか?」



「………いや、こんな動物みたことないし、魔物だと思う。」



女の子は少し身を乗り出して、アレクの様子を観察した。



「逃げないし……威嚇もしない。」



それから、ゆっくりと俺を見る。



「さっきもそう。」



女の子は話し出した。



「魔物、あなたの一言で帰っていった。」



いや、それは俺もよく分からないんだけど。



「……やっぱり変。」



「え?」



「魔物は逃げるし、魔物には懐かれるし。」



女の子は不思議そうな顔のまま言った。



「あなた、不思議な人ね。」



「よく言われる。」



すると、アレクがぴこっと顔を上げた。



「きゅ!」



女の子はまた少し笑った。



「その子、名前あるの?」



「アレク。」



「アレク……」



小さく繰り返してから、女の子は言った。



「私はリア。」



「リアか。」



「あなたは?」



「俺?俺はリオール。」



「リオール。」



リアは少し考えて言った。



「リオール、あなた本当は何者?」



「え?ただのここの村人だけど。」



リアはじっと俺を見た。



その時だった。



「きゅ!」



アレクがぴょこんと俺の肩に乗ってきた。



まるで俺を守るみたいに、リアを見ている。



「……なにそれ。」



リアが少し呆れた声を出す。



「守ってるつもり?」



「きゅ!」



リアは少しだけ笑った。



「……そう。」



「でも、村にいる人には見えない。」



「え?」



「あなた、きっとそのうち村を出る人よ。」



「なんで?」



「そんな気がするから。」



俺は思わず笑ってしまった。



「なんだそれ。」



リアはくるりと俺に背を向けた。



「じゃあね、リオール。」



「え、もう帰るの?」



「うん。」



リアは少し振り返って言った。



「また会う気がするから。」



そう言って、リアは歩いていった。



俺はその背中を見送りながら思った。



……なんなんだ、あいつ。
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